月別アーカイブ: 2015年5月

バルヴェニー 13年 蒸留所限定カスクサンプル シェリーカスク

Balvenie 13yo (Warehouse No24 “Duty Paid Sample” Syerry Cask Cask#11270 59.6%)

香りは、アップルジャム、イチジク、ドライフィグ、ややオイリーなニュアンス、ビニル、ゴムのニュアンス、煮出した紅茶、雨に濡れた草木。

味わいはトフィー、カカオマス、若い麦感がしっかり、ブラックペッパー、ヒリヒリとした収斂味、鼻抜けにはバナナ様も、染みこむような草のニュアンスと刺すようなアルコール感のあるフィニッシュ。

【Good】

バルヴェニー蒸留所のメンバーシップ “Warehouse No.24” 向けの特別なツアー用カスクサンプル。こちらはシェリーカスクでした。

全体的にまだ若さの残るシェリーモルトで、ちょっと香りにビニールやゴムっぽい印象もありますが、ギリギリ許容範囲内といったところ。それ以外は全体的に近年らしいシェリーカスクですが、面白いのは、グラスに注いでから時間が経つと、駄菓子に共通するニュアンスが出てくるところです。なんだろう、コーンスターチ? このボトルも持ち寄り会で飲んでいたのですが、駄菓子で納得でした。麦感が似た系統の香りなんでしょうか。

ちなみに、熟成庫では23年物のシェリーカスクというのも試すことができました。こちらは残念ながら購入はできなかったのですが、しっとりと柔らかいシェリーカスクの味わいは近年のシェリー系とは異なる趣きでした。かなり美味しかったので、可能なら購入したかったのですが、交渉の結果もNGでした。残念……。

3本ともそれなりの出来ですが、スコットランド旅行の良い思い出です。

バルヴェニー 13年 蒸留所限定カスクサンプル バーボンバレル

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Balvenie 13yo (Warehouse No24 “Duty Paid Sample” Bourbon Barrel Cask#4594 62.7%)

香りは酸味の強い青りんご、レモン果汁、ヨーグルト、オレガノなどのハーブ、透明感と若さのある麦感、若干ニューポッティ。

味わいは甘味が強いバニラ、青りんごとまだ若さのあるバナナ、清涼感のあるハーブ、薬草っぽいニュアンス、ミドルから若い麦のニュアンス、適度な草のような渋みが引き締める。

【Good】

バルヴェニー蒸留所のメンバーシップ “Warehouse No.24” 向けの特別なツアー用カスクサンプル。これはリフィルのバーボンバレルでした。

1st Fill のものと比較すると、こちらの方がフルーツ感に酸味があり、またボディ部分にはハーブのニュアンスが若干強いと感じました。他の2サンプルと同様のニューポッティさもあり、バルヴェニー蒸留所の熟成庫は結構熟成が遅いのかな、なんて思ったりもしています。

でも、樽から直接原酒を組み上げてそれを自分で瓶詰めできるというのは、経験としてはとても面白いものですね。思い出としてはかなり印象的に残っているので、これはこれで有りかな、なんていう個人的思い出補正が入ります。

バルヴェニー 14年 蒸留所限定カスクサンプル 1st Fill バーボンバレル

Balvenie 14yo (Warehouse No24 “Duty Paid Sample” 1st Fill Bourbon Barrel Cask#193 60.8%)

香りは甘いリンゴ、白い花、精製した蜜、透明感と若さもある活き活きとした麦感、木の枝、若干ニューポッティ。

味わいはアタックから若い麦とヨーグルトのような乳酸系の風味、リンゴやバナナのニュアンス、バター、微かにスモークのニュアンス、オレンジのタネの苦味。

【Good】

バルヴェニー蒸留所のメンバーシップ “Warehouse No.24” 向けの特別なツアーに参加すると、熟成庫で樽から直接瓶詰めして購入することも可能なサンプルを試すことができます。まあまあ悪くないかな、と思ったのと、折角の記念なので購入して来ました。購入できる樽は事前に3種類用意されていますが、それ以外から選ぶことはできませんでした。

先日、知り合いの持ち寄り会で開けてみたところ、第一印象がとんでもなくニューポッティだったのですが、改めて家で飲んでみるとそこまでではありませんでした。あの時は既に結構飲んでいたのと、周りが超長熟系ばかりだったので、相対的に若い部分が際立ってしまっていたように思えます。

とはいえ、全体的にはやはり若々しいニュアンスが多く、フレッシュなリンゴや蒸留所特有の麦感もあり、やはりニューポッティさも残っていました。同様のサンプルの3ボトルとも、13~14年という熟成となってはいますが、その年数から考えてもここまでの若さはちょっと珍しい気もします。時間が経つとバニラヨーグルトのような芳香があり、典型的なバーボン樽の強い香りが楽しめるボトルでした。

会ではちょうどバルヴェニーのシングルカスク12年が空いていたので比較してみましたが、正直に言うとそちらの方が美味しかったです(笑)

グレン・スコシア オフィシャル10年 ヘビリーピート

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GlenScotia 10yo Heavily Peated (Official Bottle “Legend of Scotia” Campbeltown Picture House 100th Anniversary 50%)

香りはもっさりとした生クリーム、青りんご、青い梅、糠床、濡れた布製品、バタースコッチ、ミルクに浸したビスケットのニュアンス。

味わいはミルクがけの濃厚なメロン、バナナ、濃いバタースコッチ、じんわりと炭のようなピート感、リコリス、染みこむようなピートとバタースコッチがじんわりと続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

グレンスコシアから10年のヘビーピートもので、キャンベルタウンピクチャーハウスという映画館の100周年記念のボトルです。スコシアも最近ボトルのデザインが変更になりましたが、そのタイミングで出てきた1本ですね。某先生のブログでかなり好評だった記事を見ていたところに、ちょうど店舗で見かけたのでついつい買ってしまいました。うーん、ハマってますね(笑)

スコシアらしいといえばらしい生クリームなどのミルク感に溢れていて、そこに明らかにアイラのものとは異なるピート感が全体をぐっと引き締めている感じです。

香りには、どちらかというとクリーム感を通りすぎて糠床というか不思議なニュアンスがあり、またそこまで香り立ってきてはいないという印象でした。一方で、味わいはアタックから濃厚ミルク+フルーツ感がものすごいです。ミドルの染みこむようなピートやアーシーなニュアンスも好印象で、これは確かに凄いと感じました。個性が光っていますし、度数的にもちょうど良い塩梅で飲みやすかったです。

評価はかなり迷いましたが、香りがあまり立っておらずちょっとくぐもった感じと個人的にマイナスなフレーバーの部分が気になり、限りなくVery Goodに近いですがG/VGとしました。まだ開けてから時間が経っていないので、もしかしたらこれから開いてくるのかもしれません。しばらくしてからまた飲んでみると変わるかもしれませんね。

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2015/06/12 追記

およそ1ヶ月ほど経ちましたが、香りのくぐもった感じが晴れて、カスタードケーキやオレンジリキュールのようなフルーツ感がかなり湧き上がってきました。マイナスのフレーバーもほとんど消え去り、確かにこの内容ならば【Very Good】と言えると思います。

若さを感じなくもないですが、出汁感もありピートのこなれた感じもあり、とにかくとても個性的なボトル。ありきたりではないちょっと突き抜けた感じが好印象です。

ベンロマック オフィシャル10年 100プルーフ

Benromach 10yo 100proof (Official Bottle in 2014 57%)

香りはオレンジ、バニラ、アンティーク家具、エッジに枯れ草のニュアンス、少し野暮ったい麦、微かにピートや煙くささ、ミントやハーブのニュアンス。

味わいは強くオレンジピール、トフィー、ヌガー、ミドルから薬草、仁丹のニュアンス、少しピーティ、フィニッシュにかけてコクのある麦の甘さ、草、柑橘系の甘さも混ざりしっかりと残る。

【Good/Very Good】

ベンロマック蒸留所のオフィシャルボトル。10年の100proof = 57%のものです。2014年に従来のものからパッケージが一新され、通常の43%のボトルとこの57%のボトルが流通しています。

バーボン樽80% / シェリー樽20% の構成で、さらに最後の1年をオロロソ・シェリー樽で仕上げているそうです。確かに味わいにもシェリー樽由来と思われるチョコレートやオレンジピールのようなニュアンスがのっていて、近年のシェリーカスクのニュアンスがほんのりと全体を覆っている感じが出ていました。決して強くはありませんが、良いバランスがとれていると思います。

味わいの本質としては、おそらく原酒由来と思われるのがミドル部分で、少し野暮ったさも感じる麦の甘さに薬草や仁丹のニュアンスが個性を主張しているようでした。決して嫌味なほど尖っているわけではないあたりが良い具合ですが、アルコール度数の高さからちょっと呑みやすいとは言えない仕上がりです。これは加水して50%程度にすると丁度いいと思いました。

ベンロマック蒸留所は主に2名という少人数での生産を行っているそうです。ボトルにも書いてありますが、The Classic speyside single malt whisky と銘打っている通り、1960年代の造りをなるべく再現しているようです。Webサイトにもその物語がいろいろと載っていますので、造り手の思いを見てみてはいかがでしょうか。

個人的に、香りのアンティーク家具のような部分が、どことなく70年代蒸留の何かのボトルに似ていると感じたのですが、自分でも何だったか思い出せず悶々としています(笑) 最近の持ち寄り会で感じたニュアンスだと思ったのですが、何だったのか……。さておき、最近のニューリリースとはちょっと違うような、昔のスタイルがあるのではと思いました。

恐らく43%のスタンダードボトルも似たような傾向の味わいだと思います。もう少しオレンジのニュアンスが広がっているのであれば、そちらの方がオススメかもしれません。

グレンゴイン 1968 ヴィンテージリザーブ 50.3%

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GlenGoyne 1968 (Official Bottle “Vintage Reserve” 50.3%)

香りはしっかり熟したリンゴ、こなれた麦、透明感のある糖蜜、白い花を連想させるフローラル、つつじの花と蜜、おしろいの粉、微かにブーケガルニのようなハーブ感。

味わいはとてもやわらかいタッチから、リンゴジャム、少しアプリコットジャム感も、紅茶や煮詰めたリンゴジャム、凝縮感あり、返りにシナモン、ブーケガルニ、微かにゴマ、

しみじみ落ち着いた麦と糖蜜、樽由来と思しき木材様が引き締める。暖かく長いフィニッシュ。

【Very Good】

グレンゴイン蒸留所のビンテージ表記ありのシリーズから1968年蒸留のボトルです。

香りからしっかりと熟成感があり、角のない丸さが感じられます。香り味ともにリンゴのコンポートと紅茶をあわせたような部分と、おしろいの粉のような花っぽさと粉っぽさが感じられるところが個性的な部分でした。

この個性的な部分というのが、当日自分が持っていった蒸留所で買えるハンドボトルにも感じられ、これがハウススタイルなのかな、といったことを仲間と会話していました。1968のこのボトルは流石に円熟味があり、一方でハンドボトルはまだまだ荒々しい部分が見え隠れしていましたが、蒸留所の個性は60年代から2000年までしっかりと受け継がれているのだとしたら、これは嬉しいことですね。

美味しいモルトを呑ませて頂きまして、ありがとうございました。

ウイスキーの生産量 原酒不足はどの程度深刻か?

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ウイスキーの需要がここに来てうなぎ登りで、どこの蒸留所も原酒不足というのはここ2,3年良く言われていることです。本場スコットランドでも数年前から増産体制のための設備投資が盛んになり、既存蒸留所の蒸留器増設から新規の蒸留所建設まで、どんどん規模を拡大していっています。

日本でもサントリーが山崎、白州ともに蒸留器を増設、ニッカは設備の変更はない様ですが1割り程度の増産を目指すというニュースがありました。キリンや信州マルスにも効果は波及しているのでしょうか。ちょっとこの辺りまでは分かりませんでしたが、信州マルスは2011年からの生産再開もありましたね。

さて、原酒が足りないというと「本当に足りないのだろうか?」と思ってしまう部分もあるのですが(特に最近のサントリーはソフトドリンクなどで品薄商法をしているような節もありますし……)、本当の所はどうなんでしょうか。

日本のマイクロ・ディスティラリーである秩父蒸留所も、初期は樽のオーナー制度があり希望者には売ることもあったそうですが、ここに来て原酒不足となっており、樽を買い戻したいという話があることもちらほら聞こえてきます。もう少し前には、アイラ島に2005年に開業したのキルホーマン蒸留所でも似たような話を聞きました。

数樽を買い戻す程度で不足分が補えるものなのだろうか、という疑問があったのでちょっと計算してみました。

蒸留所名 年間生産量 Barrel (180L) Hogshead (230L) Butt (480L)
グレンフィディック(大手) 10,000,000 L 55,556 樽 43,478 樽 20,833 樽
グレンファークラス(中堅) 3,000,000 L 16,667 樽 13,043 樽 6,250 樽
秩父(小規模) 120,000 L 667 樽 522 樽 250 樽
キルホーマン(小規模) 110,000 L 611 樽 478 樽 229 樽

※:年間生産量の情報は少し古い可能性が高いです。また、純粋なアルコール量かどうかで樽の数も変わります(通常はアルコール度数68%程度で樽詰め)

ここから更に Angel’s Share で年間3%程度は原酒が無くなっていきますから、内容量としてもかなり減ってしまいます。年3%減少で10年間となると、元の内容量の73%程度。実に3/4以下になってしまいます。

改めて数字で見てみると、小規模な蒸留所にとっては1樽がかなり重要なことが分かりますね。勿論、樽によっては物理的に壊れてしまうものや、味的に壊れてしまうものもあるでしょう。歩留まりがどの程度かは想像するしかないのですが、全体の5%もあったら相当な痛手です。かなりシビアなんですね。

今後のウイスキー需要がどうなるかはまだまだ未知数で、

過熱しすぎなブームはちょっと避けたいところではあるのですが、折角の設備投資が無駄にならないような未来が待っていると良いですね。