月別アーカイブ: 2016年3月

グレンリベット ファウンダーズリザーブ

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Glenlivet Founder’s Reserve (OB No-Age-Statement 40%)

香りは過熟感のあるイチジク、オーキーな樽感、フルーツトマト、軽くシェリー系の硫黄、オレンジ、マンダリン、フルーツ感がよく出ている。

味わいは若めで軽いタッチ、フルーツトマト、白い花とハーブのニュアンス、ミドルからオイリー、マーマレード、ビターチョコのニュアンスも少しあるフィニッシュ。

【Good】

ボトルシェアの2点目。グレンリベットからファウンダーズリザーブと銘打たれた、年数表記なし(NAS)のボトルです。

若い原酒が使われているであろうことは香味からすぐに分かるのですが、意外にもフルーツ感がしっかりと出ていて面白いです。特に香りにおいて良く熟れたイチジクのようなニュアンスが好印象。シェリー系の香りもあるのは色々な原酒のヴァッティングだからでしょうか。一方で味はすこしチグハグな印象で軽さも目立つ内容でした。

これまでのスタンダードである12年に取って代わるのか、価格帯も同程度で正直12年との差別化に困るところなのですが、NASということで将来的にはこちらをメインに据えて12年は廃止もしくは高級路線にシフトするのでしょうか。12年に比べると多方面で味の広がりはあるものの、少し隙間が多いというか粗いというか、洗練されていないように思えました。

ところでこのボトル、蒸留所の創業者であるジョージ・スミス氏への追想ということで、同氏が操業に携わっていた約200年前の味を再現しようとした模様です。最近こういう系統が多いですが、正直に言うとどれも手放しで褒められたものじゃない味、と感じています。あの手この手で買い手の心を掴もうとする販売戦略でもありますが、簡単に言うと、100年200年も昔の味よりも今の方が優れている、とも言えるのではないでしょうか。さすがに50年ほど前の1960年代~70年代の酒質とは比べ物にならない最近のボトルですが、少なくとも90年代以降は安定して美味しいモルトが多いと思います。

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image via Master of Malt

オルトモア12年 46% オフィシャルボトル

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Aultmore 12yo (OB 46%)

香りは薄めの蜂蜜、トーストしたパン、若さを感じる乳酸系のフレーバー、やや塩気、レモンヨーグルト。

味わいはライトで、野菜系のジャム、柑橘類の皮目の苦味、スパイスが効いている、濃い目の蜂蜜ジュース、ややスモーキーさの残るフィニッシュ。

【Good】

ここ最近、どの蒸留所でもオフィシャルのシングルモルトをリリースする動きが増えてきていましたが、オルトモア蒸留所からも12年、21年、25年という3種類立てで2015年にリリースされました。近年のオフィシャルは安定したレベルで良いものも多いということで、ボトルシェアで購入してみようという話になり参加させて頂きました。

オルトモアの印象というと線が細く華奢な味わいという印象がありましたが、今回も方向としては近いように思われます。全体的に香味ともに若さを感じる内容ですが、フィニッシュにかけてのスモーキーさに少し意外性を感じました。平坦なスペイサイド・モルト、というだけではない変化があって面白いですね。

さて、オフィシャルのオルトモアというと「花と動物」が(半分オフィシャルという意味で)思い当たるのですが、あのシリーズはいつまで続けられるのかがわからなくなってきましたね。いまだに売られているところを見ると、定期的に供給があるものだと思うのですが、年に1,2回程度のバッチ生産なのでしょうか。これだけオフィシャルが充実してきた昨今ではラインナップ整理でいつの間にかフェードアウトしていきそうな気がしています。あのラベルとラインナップ、一定のファンはいると思っています。

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image via Master of Malt

 

 

グレンファークラス 32年 1968-2000 陶器ボトル

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GLENFARCLAS 32yo 1968-2000 (OB “Old Stock Reserve” Cask#684 54.2%)

香りはこれ以上ないくらいの往年のシェリー感、濃厚なプラム、ドライイチジク、コーヒー、カカオマス、若干プラスチックのニュアンス、軽くシナモン、甘い栗、奥にハーブのニュアンス。どっしりと濃い苦味のような香りを芯に感じる。

味わいは、とても濃厚なドライプラム、枝付きレーズン、ミドルには濃縮したエスプレッソの苦味、マンダリンのニュアンス、赤ブドウ皮のようなの苦味と軽い甘味、驚くほど長く続く余韻。アタックは度数の割にはやや落ち着いており、ボディはスッと軽い。

【Very Good/Excellent】【Interesting】

グレンファークラスの陶器ボトル、1968年蒸留の2000年ボトリング。カスクナンバーは684です。

グラスに注いだ瞬間に思わず「なんだこれは……」と漏らしてしまうその色あい。そしてあたりに広がる濃厚なシェリーカスクの香り。甘やかかつカカオ系の苦味を伴った香りがどんどん膨らんでいき、期待が膨らみます。

一方で、味わいは流石にこの色から分かる通り、濃厚というか行き過ぎとも思えるどっかんシェリー。甘口ではなく苦味が優っていますが、硫黄のニュアンスはほとんどなく、鉛筆やクレヨンといったあたりのマイナス要素もほとんど感じられません。とにかく濃厚だけれども不思議なほど嫌味が無い、稀有で面白いボトルです。

近年系のシェリーカスクでは、明らかにこんな味にはならないだろうと思います。絶対に生木っぽいエグみや生臭さが出てしまうものだと思いますが、60年代のシェリーカスクはやはり別格で一線を画するものなのでしょうか。昔のシェリーカスクとはこういうものだったんだと勉強するには持って来いのボトルです。

なんといっても香りが良いので、スワリングをしながらひたすら香りを楽しんでしまう、そんなモルトでした。

 

この陶器ボトルはドイツ向けでカスクナンバーは683と684の2つがありました。どちらも同じ傾向の濃厚シェリーカスクで、自分は飲んでいないのですが味わいも同じ傾向だと思われます。ハードチャーしたシェリーカスクで、たまたま硫黄の成分などがあまり出なかったのか、それともシェリー液がかなり残っているところに原酒を入れたのか。どういうからくりでこんなボトルが出来上がったのか……。

2015年現在の状況から考えると、こんなモルトはもう出てこないだろうと思います。原酒枯渇以前に、こんな樽がそうそう出てくるとは思えない。2000年のボトリングということで、ミレニアムのお祝いでもあったのかもしれませんね。陶器ボトルに蝋封という、いかにも普通とは一線を画するボトルはファークラスの中でも特別なものだったのでしょう。

 

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このモルトは呑み終わったあともグラスの残り香が凄い。というのも、グラスがこれだけ濁るのはもはやギャグとしか思えません(笑) これは何の成分なんでしょうね? チョコレートのような香りがいつまでも楽しめるので面白いです。糖分なのでしょうか。

本当に興味深い、60年代ファークラスの脅威を見ました。

アラン 1997 17年 プライベート・カスク THE NECTAR向け

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The Arran 17yo 1997 (OB “Private cask for THE NECTAR”, Sherry Hogshead Cask#1997/624, 47.3%)

香りは爽やかなマスカット、オレンジ、レモンソーダ、ミントなどのハーブ感、黒胡椒、微かにレザーのニュアンス。

味わいは品のいい甘さ、糖蜜、黒糖、奥にひっそりとマンゴスチンやパッションフルーツ系のトロピカルも感じる、ミドルからややスパイシーでドライ、樽由来の木のニュアンス、フィニッシュにかけても華やかなフルーツ感と甘さが続く。

【Very Good】

アランのプライベートカスクから、ベルギーのTHE NECTAR向けボトルです。

シェリーカスクなのですが、マスカットなど白っぽい爽やかさを感じるフルーツ感がメインで、ハーブ感とも相まってサッパリ系の印象でした。一方で味わいはギュッと凝縮した甘味と、奥の方に微かにトロピカルフルーツのニュアンスもあるように思え、まさに「ネクター」というイメージにぴったりのモルトです。トロピカル感はあまり強くはありませんが、最近の良いアイリッシュに出てくるものと同じ傾向の味です。一緒に飲んでいた仲間は疑問符がついたようなので、自分がそう思い込んだだけかかもしれませんが……。それはともかく、とても美味しいアランでした。

アランはプライベートカスクが主体かと思わせるくらいいろいろなところ向けに出しているようですが、どれも安定してレベルが高い印象です。蒸留所の復活から約20年、ここにきて技術の進歩と安定が実を結んでいるのでしょう。個人的には結構応援したい蒸留所です。次のスコットランド旅行の際には是非とも寄ってみたいですね。

このボトルは持ち寄り会にてGSさんにお持ち頂きました。いつもありがとうございます!

モートラック 1989 25年 スクール・オブ・モルト

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Mortlach 25yo 1989 (Whisk-e “The School of Malt”, Sherry butt Cask#5145, 54.5%)

香りはサラミ、ミーティ、ゴボウ、アーシーさが強い、じくじくとしたピート、奥に良く熟れた柿、アプリコットのニュアンス。

味わいはかなり強いシェリー感で甘いチョコレート、カカオ、アプリコットジャム、レーズンのニュアンス、ややオイリーでどっしりしたボディ、噛みごたえあり、鼻抜けにミーティなニュアンス。

【Good/Very Good】

2015年末にリリースされた、デイブ・ブルームのスクールオブモルト、レッスン5はモートラックでした。

香りから独特のミーティさ、そして土のついたゴボウのようなアーシーさが強く感じられました。このあたりが「モートラックらしさ」と感じる部分で、蒸留所の特徴を良く表したボトルだと感じました。味わいは一転してかなり良いシェリー感で、強い甘味にジャムのような濃厚なフルーツ感もあって素直に美味しいと思えます。往年のシェリーカスクとはまた違う方向ですが、これはこれでとても良く出来たボトルだと思いました。

こういった近年のシェリーカスクで良さそうなものを、かなりの長期間瓶熟させたらどうなるのかが興味深いですね。

このボトルは持ち寄り会にてKTさんにお持ち頂きました。今後ともよろしくお願いいたします!

サントリー センチュリー 17年

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Suntory Century 17yo (OB bottled in 2001, 43%)

香りは旨味のある麦感、キャラメル、みたらし団子の餡、微かに醤油のニュアンス、クローブ、

味わいはトフィー、ナッツ入りキャラメルの菓子、ホワイトペッパー、ややピリピリとスパイシーなニュアンス、出汁醤油のニュアンス、返りのオークのニュアンスがフィニッシュも続く。

【Good/Very Good】

サントリーが新しい世紀を記念して2001年に発売したセンチュリーシリーズから17年のボトルです。

先日の持ち寄り会で同21年のテイスティングをさせて頂きましたが、あちらはピュアモルトということでグレーンなし。こちらは通常のウイスキーでグレーンあり。検索したら当時のプレスリリースがサントリーのサイトに残っていました。

味はともかく、パッケージの説明もあるのが面白いですね。「琥珀色の“時の海”」ですか。不思議な形状のボトルですが、どう見ても鈍器なんですよね……。いや、ホント手に持つとちょうど良いというか……。

それはさておき、中身はちょっと不思議なニュアンスがありました。みたらし団子や醤油っぽい部分が感じられ、普通の響などとはまた全然別のベクトルを向いています。決して悪い味という表現ではなくて、良く良くまとまっています。その上で上記のようなちょっと変わった風味もあり、それが個性的だと感じました。ブレンドに使ったシェリーカスク系の原酒の特徴だったのかもしれませんが、新世紀に新しい方向へ挑戦しようとしたのか……などと考えると面白いかな、と。

このボトルは持ち寄り会でKさんにお持ち頂きました。持ち寄り会の手配やボトルシェアなど、諸々ありがとうございます。本当にお世話になりっぱなし。感謝です。

スプリングバンク 15年 陶器ブック型ボトル

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Springbank 15yo (OB “Ceramic Book vol IV”, 43%)

香りは白桃、過熟ぎみのイチジク、白い瓜、メロン、微かにヨーグルトのニュアンス、奥にしっとりとした泥土のニュアンス。

味わいは染みこむような糖蜜、軽い麦感、和三盆、瓜や植物感、ミドルからパイナップル、トフィーのニュアンス、フィニッシュは軽くドライで麦チョコレートのニュアンスでサッと消える。

【Very Good】

スプリングバンクのオフィシャル15年の陶器ブック型ボトル。陶器ブック型は他にも8年、10年、12年があり、いずれも流通は1980年台でしょうか。

今まで “BigS” 表記のバンクは何度か飲んだことがありましたが、このバンクもやはり似た傾向。その上で香りに白桃やメロンなどの華やかなフルーツ感、土のニュアンスも含めて良く出ており、かなり状態が良いボトルでした。味も「バンクらしさ」をうまく表現できなくていつも悩むのですが、とても「らしい」バンクです。私の場合、バンクは瓜と植物のニュアンスをよく拾うのですが、それが他の方だとやや若いイチゴだったりするようです。

典型的な往年のバンクを楽しませて頂きました。「モルトの香水」の呼び名は伊達じゃないですね。やはりこの時代のバンクには得難いものがあったのだと感じさせてくれます。意外と値段はそこまでしないようですが、陶器ボトルはリスクが高すぎてなかなか踏ん切りがつきません。中身が見えない上に重量がわかってもどの程度入っているか不明ですからね……。

このボトルは持ち寄り会でHさんにお持ち頂きました。ありがとうございました!