2016/08/12(金) 雨
ベッドの寝心地は最高だった。ぐっすりと7時間の睡眠。
朝食はフル・ブレックファスト。ベーコンの塩気が少々きつかったが、ソーセージ、ブラック・プディングがかなり美味で朝から大満足だった。ベリーの盛り合わせもどれも美味。主人は縦も横も大きな、熊のような御仁だったが、盛り付けの細やかさなどには技を感じた。最後にガッチリと握手したときも、その手の厚さには驚きだった。
アイラ島へのフェリーはポートエレン港に向かうはずだったが、天候の問題でポートアスケイグへ。海上から蒸留所を見られるかと思っていたので残念だ。帰りもポートアスケイグなので、チャンスが無くなってしまった。
2時間の船旅は、思ったよりも短く感じた。今朝までの宿で同じだったイタリア人夫妻と会話したり、このような日記を書いたりしていたらいつの間にかアイラ島だった。ポートアスケイグの見覚えのある風景、懐かしさを胸に、ようやくまた訪れることができたという感慨でいっぱいだった。
早速ボウモア方面へ向かい、最初に入ったのは……蒸留所ではなく醸造所。アイラ島のクラフトビール工房を見学。1部屋で完結する本当に子ぢんまりとした場所だが、シングルモルト樽を使った熟成など面白いことをいろいろとやっているようだ。試飲させてもらったのだが、ビールを飲んでピーティなフレーバーが残るというのは初めての経験だった(笑)
続いては織物工房。これまた不思議に思われるかもしれないが、元々今回の旅では最後にスコットランドで一番有名と思われる織物工房を訪ねる予定だったのです。一度はタータンチェックを織る工房を見たいと思っていたのだが、アイラ島のこの場所で予想外にも見ることができ感激。
なんでも工房自体は100年以上前から、建物は500年の歴史があるという。機械も100年ものだが現役で動く、こういうのはロマンを感じます。思いがけず良い経験をすることができた。これは予定していた本土の工房には行かなくても良いか、と思えるくらい。
さて気を取り直して南の3蒸留所、ラフロイグ、ラガヴーリン、アードベッグへ。ラガヴーリンのツアーに参加しようかと思ったのだが、残念ながらFull Booked。
と、ここで女性に声を掛けられた。振り向くいた先には……まさか、クリスティン・ローガンさん?!
驚きながらも色々と会話させてもらった。今年のバーショーに参加していたのよ、という話を訊いてなるほど、と。すでにボウモアからは引退していたはずだが、ウイスキー・アンバサダーとしてアイラだけでなく世界的に活躍しているのでしょう。すごいパワフルな方だ。
どうやらラフロイグも今日はツアーはFullということで、仕方なく蒸留所の周りをぶらぶらしてみた。この時期、どこも夏場の休止期間のようで、工場の操業は止めているところが多いが、ツアーは変わらず催されている。昔は夏場はビジターセンターも休みだったはずなのだが、いつの間にかどこも変わってビジターの受け入れに力を入れている。ブランド構築の一環として重要視しているのだろうな。ビジターセンターも綺麗に作り変えられている場所が多いと感じた。
それなりの時間になり、予約していた宿へ。やはりアイラ島だけは予約なしで行くのは怖かったので、出発前に予約済みだった。8年前と同じ宿、同じ部屋へ通してもらった。懐かしさを噛み締めつつ、この日の旅程はこれで終わりとなった。
P.S 夕食を終えての部屋で色々と作業していたところ、ふと外を見たらなんと晴れ間が見えてきた。慌てて外へ出てボウモア蒸留所が見える港まで急ぐ。感動的な夕焼け、というわけには行かなかったが、なかなかの光景を見ることができた。さすがアイラ島、天気がころころ変わる。