月別アーカイブ: 2016年11月

グレンマレイ 20yo 1991-2012 BBR

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Glen Moray 20yo 1991-2012 (BBR, Cask No.5654, 57.3%)

香りは蜂蜜、ヘザー、オレンジピール、ライム、軽さのある麦芽の香り、クリーンでフレッシュ。

味わいは糖蜜、麦の甘さ、ハイプルーフらしくピリピリとした口当たり、濃い目のオレンジの皮、ミドルからコンデンスミルク、鼻抜けにやや乳酸菌飲料のようなニュアンス、フィニッシュにかけてややオイリーさが残るがくどくは残らない。

【Good/Very Good】

BBRオリジナルラベルのグレンマレイ、カスクストレングスのボトルです。

全体的にややハイトーンで軽やかな味わいですが、ドライではなく後半にはオイリーさもあります。乳製品のようなニュアンスがあるものの不思議と若さは感じません。一方でフルボディでもない。まさに中熟のちょうど良いところをとった感じで、ボトリング時期の選定が素晴らしいと思わされます。

加水すると麦の甘さと乳製品のニュアンスがより顕著になり、味わいには更にフルーティさも出てきてこなれた感じ。少し多めの加水で、30%くらいの弱めの度数にするとさらっと飲めてしまうのが結構面白いです。

近年系の美味しいバーボン樽の中熟、シンプルながら奥の深いボトルです。

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タリバーディン 27年 The Stillman’s Dram

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Tullibardine 27yo (OB, “The Stillman’s Dram”, 700ml, 45%)

香りは麦由来の甘い香り、カスタードクリーム、青りんご、古びた家具のニュアンス、カラメルソース、すもも、時間をおくとみたらし餡のような醤油のニュアンスも出てくる。

味わいは少し桃とリンゴのニュアンス、コシのある麦の甘さと旨味、カラメルソース、ミドルから少しタンニン様の収斂味、出汁醤油、ピリピリと胡椒、奥の方にはじっとりと横たわるピートが微かに感じられる、あっさりとして長くは続かないフィニッシュ。

【Good/Very Good】

The Stillman’s Dramと銘打たれたシリーズのタリバーディン。瓶詰めは2000年頃となりますので、逆算すると1973年頃の蒸留と考えられます。

タリバーディンの魅力と云われても全く思い浮かばないのですが、このボトルは素朴な麦の味が一世代前の「美味しさ」を現しているように思えます。最近のバーボン樽の華やかさを求めるスタイルでもなく、かといって往年の良いシェリー樽の素晴らしさが出ているわけでもなく。しかしながら、腐っても70年代前半というべきか、麦の美味さがしっかりと感じられる、そんなボトルです。

複数樽のヴァッティングと思われる構成で、シェリー樽のニュアンスも感じられますが、出汁醤油っぽいところが少し苦手な人もいるでしょう。自分はこれはこれでありかな、というところです。45%という度数はちょうど良い塩梅。1ショット頂けば、確かな満足感が得られます。

さて、The Stillman’s Dramというシリーズで似たようなボトルが同時期に何本か出ており、他にもブルイックラディ、ダルモア、タムナヴーリン、ジュラ、フェッターケアンなどがありました。いずれも25年から30年程度のもの。これらは元々インバーゴードン社が所有していた蒸留所で、1993年頃にホワイト&マッカイの親会社であるJBB(Jim Beam Brands)に買収された後にリリースされたものです。これらの蒸留所もその後は所有企業がバラバラに分かれていますから、同シリーズで継続的にリリースされたものではありませんが、同シリーズはその後もボトルが幾つかリリースされています。

ラベルで同時期にリリースされたボトルたちは、2000年前後で25年オーバーの長熟ながら割りと手頃な値段だったようで、モルトの入門としてはとっつきやすかったのではないでしょうか。(自分はまだそのときにはウイスキーに興味が無かったですが)

往年の味を、最近のボトルと比較して呑めるのも、蒸留酒であるウイスキーの魅力のひとつです。

プルトニー蒸留所

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街中にあり、大きなキルンも無いため目立ちにくいプルトニー蒸留所。

しかし、ビジターセンターは小さいながらもしっかりとした造り。北の果てまでわざわざ足を運んだ訪問客を丁寧に迎えてくれました。

フレーバー付きウイスキー 飲んでますか?

ウォール・トリート・ジャーナルに面白い記事が投稿されていました。

チェリーパイ風味ウイスキーの功罪

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副題にもある通り、「ブランドイメージ傷つくリスク」の警鐘を鳴らしています。

詳細はリンク先の記事を読んで頂くとして、ここ数年フレーバー付きウイスキーはたくさんの種類がリリースされていて、主にライトドリンカーの入り口として機能しているようです。自分はメーカーズマークのミントジュレップを飲んだことがあるくらいで他にどんなものがあるかもほとんど知らないのですが、色々とリリースされている話題は聞いたことがありました。

個人的にはフレーバー付きウイスキーも「あり」だと思っています。積極的に飲もうとは思いませんが……美味しければ良いと思いますし、それを求めている人がいるのならばメーカーが需要に応える、あるいは需要を作り出すのも良いのではと。

ただし、それは核となるウイスキーそのものが美味しいことが前提です。痩せ細った不味い原酒をごまかすためだけにとってつけたようにフレーバーを添加し、それっぽく仕上げただけのものであるならば、そういうのは飲みたいとも思わないです。フレーバー付きウイスキーで新規顧客を惹きつけてもすぐに離れられてしまうのは、本質的に美味しくないと思われているからではないでしょうか? そして、ここ最近の顧客は、結構そういう美味しい美味しくないというのに敏感だと思います。

流行に乗らない、という方針を貫くのもブランドを守る意味ではありなのではないでしょうか。媚びない、しっかりとした堅実な造りを貫く。個人的にはそういうスタイルの方が好みです。一般受けはしないかもしれませんが。

まあ、こういうニーズの研究は企業ならそれこそしっかりとした専門の人がいるでしょうし、それで世の中渡っていっているメーカーたちですから素人が横から言うようなことではないのかもしれませんが……。
それにしても、改めてフレーバー付きウイスキーについて調べてみると、本当に色々な種類がありますね。

  • 蜂蜜
  • ピーチ
  • チョコレート
  • スモーク・メープル
  • アップル・シードル
  • ホップ

うーん、蜂蜜あたりは良さそうですが、それなら自分でシングルモルトにヘザーハニーでも混ぜて作ってしまいますかね!

グレンロッシー 20yo 1992-2013 BBR

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GlenLossie 20yo 1992-2013 (BBR, Cask No.3464, 46%)

香りはオレンジ、こってりとした穀物の甘さ、白い花のニュアンス、汗のようなセクシーさもある、時間が経つと少し火薬っぽさも現れる。

味わいは穏やかで軽やかに流れるような口当たり、マーマレード、ピンクの果実、ミドルから落ち着いて素朴な麦の甘さ、まとまりが良くしみじみとしたフィニッシュ。

【Good/Very Good】

BBRオリジナルラベルのグレンロッシー、46%に加水されているボトルです。

ひっかかりが少なくするすると呑めるのは加水が巧いためでしょうか。オレンジなどのフルーティさもしっかりとあり、何も考えずにゆるゆると飲むにはちょうど良いボトルです。ロッシーらしさというのはあまり分かりませんが、軽やかで甘さのハッキリとしたフルーティさはスペイサイドらしい一本。

BBRの90年代蒸留のものはこういうプレーンな樽のものが多い印象で、ディアジオのオフィシャル樽に近いイメージがあります。こってりしたシェリー樽などはあまり持っていない印象。そのためか、どのボトルを飲んでも突き抜けて美味いものは無いように思えるのですが、安定した樽選びを堅実に続けている老舗、といったところでしょうか。

元々ワイン商のBBR、ワイン樽をウイスキー用におろしたりしていないのか、ちょっと気になります。あまりあれこれいじり倒そうという野心的なものは感じられないので、ウイスキーとワインは全く別物で考えられているのでしょうか。

G&M社のパンフレット

ウイスキーフェスティバルのG&M(ジャパンインポートシステム)のブースで、こんなパンフレットが配られていました。

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The Wood Makes the Whisky.

 

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裏面はG&Mのロゴが。
ウイスキーの独立瓶詰め業者(ボトラーズ)としてトップに君臨するG&M社、その樽選びの経験と各蒸留所とのコネクションは他の追随を許さないものがあります。そんな彼らの哲学と、シンプルながら樽についての知識が凝縮されたパンフレットでした。

 

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表裏とも木の年輪がモノクロで描かれていて渋いです。内部もほぼすべてモノクロ。無駄を削ぎ落としたデザインが秀逸。

  • 樽に使われる木の種類
  • 樽の選定
  • 熟成の過程
  • サンプリングとテイスティングの頻度
  • 樽詰めの判断基準

などが纏められています。

事細かに書かれているわけではありませんし、ウイスキーに詳しい人なら考えられる範疇ではあるのすが、「ああ、やっぱりそうなんだ」という、ある意味答え合わせが出来たのがとても嬉しいですね。G&Mがやっていること=王道とも考えられますし。

ただ、いくつか誇張だったりちょっと間違いなんじゃないかと思われる記述もあったりしてですね。
「樽の中でどう熟成するのか、完璧に理解することができました。」とか
(完璧に理解できてたら樽熟成の神秘がまだ残っていることが説明できないですし)

「すべてのバーボンバレルはクエルクスアルバで作られます」とか
(クエルクスアルバ=アメリカンホワイトオークと書かれているため、実はバーボンの定義はアメリカンホワイトオークに限らないですし)

まあ、そのへんはゴニョゴニョ、といった感じです。

いずれにしても、G&Mの真髄の一端に触れることができました。こういうパンフレット、大好きです。