月別アーカイブ: 2016年12月

マクファイルズ 2000年記念 陶器ボトル 2000ml

 

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MacPhail’s 2000 (Gordon & Macphail, Vatted Malt Scotch Whisky, 2000ml 40%)

香りは高貴なシェリー感、ふんだんに香る白桃、レーズン、プラム、リンゴと紅茶、鞣した革、アンティーク家具、複雑でリッチさがあり素晴らしい、時間を置くとバターのニュアンスも出てくる。

味わいは黒糖のようなコク、カラメル、驚くほどスムーズ、白桃、洋梨、プルーンなどのフルーツ感、ミドルから紅茶、ややドライでホワイトペッパーのように少しピリピリとするが強くは無く舌先に染み込む、鼻抜けから返りにも古樹の香り、余韻は穏やかな暖かさが残り、和三盆のように儚く消える。

【Very Good/Excellent】

天下のG&M、ゴードン&マクファイルズが西暦2000年の記念にリリースしたブレンデッド・モルトウイスキー。

縁あっておすそ分け頂く形となりました。ボトルの由来など詳細な説明はくりりん氏のブログをご参照頂ければと思います。

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陶器で2000gもあるそうで、箱も重そうな作り。 photo by くりりん

注いだ瞬間から立ち込める白桃やプラムのフルーツ感に思わず顔がほころんでしましました。高貴さも感じさせる往年のシェリー樽の香りも素晴らしいですが、単純なフルーツ感が前面に出るタイプのものではなく、木や革、古びた家具のニュアンスも同じくらい主張してきて、複雑ながらも全体として丸みを帯びている印象です。そして複雑さは味わうと舌に染み込むようで、ほとんど嫌味を感じさせませんでした。

“A vatting of rare single malt whiskies the combined ages total 2000 years” という記載では、一瞬、力技だけのブレンデッドかと思いますが、そこはきっちりと仕事をしてくれたのでしょう。さすがですG&M。合計2000年という熟成年数は伊達なだけのものではありませんでした。

ややヒネというか独特の香りがありましたが、ボトリングから16年ほど経った割には概ね状態も良好でした。原酒は概ね40年オーバーと云われていますし、今から50年も前に造られた酒が経た時をここで味わえる。素晴らしいロマンだと思いませんか?

次の節目は2100年でしょうか?(笑) こんな年末に来年以降のことを考えるなんて、何かに笑われてしまいそうですし、勿論生きてそれを見ることはできないでしょうが、G&Mならばそれをやってのけてくれる、そんな予感があります。

 

2016年結びのひと言

2016年もあっという間でした。

WordPress仕様のこのブログに移ったのがちょうど一年前で、それ以前からのテイスティングコメントなども含めて、個人のお酒ライフのチラシの裏的な形式で進めさせて頂きました。それでも、定期的に見に来て頂いている方々もいらっしゃるようで、本当に有難うございます。少しでも新しい発見などをお渡しできたのであれば幸いです。

さて、今年一年を振り返るほど充実した記事があるわけでもありませんが、何と言っても思い出深かったのはアイラ島に旅行できたことでしょう。ラガヴーリン蒸留所の200周年記念のこの年に訪れることが出来たのは本当に良い思い出になりました。現地では残念ながらアイラフェス限定の18年やバイセンテナリー25年は飲むことができませんでしたが、Warehouse Tastingで味わった34年のシングルカスクは天上の味わい、まさに至福でした。

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また、今年も持ち寄り会をはじめ、テイスティングの会などに参加させて頂き新しい発見があるなど、よりウイスキーを愉しむステップアップになったことも印象深いことでした。基本的にBarなどに足を運ぶ習慣が無い人間のため、どうしても限られた範囲になってしまいがちなのですが、こうしてウイスキー愛好家の方々と繋がりができていることは本当にありがたいことです。とても良い刺激になりました。

さて、来年はどうなるかはわかりませんが、またふらりと蒸留所を訪れて写真を撮って行きたいですね。こちらでも、「写真」カテゴリで今まで撮りためた蒸留所やスコットランドの風景を載せてきましたので、その続きというか内容を充実させられたらと考えています。国内でも新興の蒸留所がたくさん出来てきていますし、それらを訪れるのも面白そうです。

それでは、良いお年を。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

グレンモーレンジ オフィシャル 25年 旧ボトル

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Glenmorangie 25yo (OB, Distributed +/- 2003, 43%, 700ml)

香りはややくぐもった芋のようなデンプン質、おしろい、汗っぽさと獣脂のニュアンス、徐々に濃い目の柑橘、バナナ、ドライイチジク。

味わいは、香りとは打って変わってとてもフルーティ、オレンジやブドウ、イチゴのような酸味もあり、ミドルからハチミツと熟成感のあるこなれた麦、フィニッシュにかけて少し収斂味があるが落ち着いた甘みと紅茶が続く。

【Good/Very Good】

グレンモーレンジのオフィシャルボトル、こちらの25年は2003年頃の流通ボトル。2016年現在も25年のボトルはありますが、形状が異なりますね。逆算して蒸留年は70年代末の頃ということでしょうか。

香りはあまり華やかさが無く、ちょっとどうしてしまったのかと思うくらいのとっつきにくい印象でしたが、口に含んでみると多彩なフルーツ感に驚かされます。ミドルから来る麦の旨味も熟成感がしっかりと感じられ、嫌味の無いスルッとした飲みごたえ。ダラダラといつまでも飲み続けられそうな、飽きのこなさそうな美味さです。

ややシェリー樽のニュアンスが感じられたので、バーボン樽とシェリー樽のヴァッティングかと思ったのですが、後々調べてみるとどうやらバーボン樽100%ということらしいです。同様のシェリー樽のニュアンスが出るバーボン樽というのもときどき出会いますが、いつも不思議でなりません。チャーの具合などでタンニンやブドウ系のニュアンスがうまく出てくるとこうなるのでしょうか。グレンモーレンジといえば樽研究のパイオニア的な位置づけですが、昔も様々な研究をされていたのかもしれません。

なお、香りの微妙さは、口開けからまだ開ききっていない状態だったのかと思われますので、今後まだまだ開いていくことでしょう。そのときはきっと香り味ともに素晴らしい陶酔感が生まれそうです。

ブナハーブン 18年 オフィシャル現行品

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Bunnahabhain 18yo (OB, Distributed +/- 2016, 46.3%)

香りはサクランボ、イチジクとワインでコンポートのよう、やや汗臭いような穀物の甘さ、バニラエッセンス、バターナッツ、微かに清涼感のある香草、焦げたパン、錆びた鉄のニュアンス。

味わいはドライレーズン、イチジク、やや粒状感のあるカカオ、ビターチョコ、ややラフだが旨味のある麦感、ハニートーストのような甘さ、少し醤油、焦げたニュアンスとバナナ様のフルーツが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

アイラ島の蒸留所を訪れた際、現地で試飲したら思いの外美味しいと思ったブナハーブン18年。

結構なフルーツ感がのっており、また近年系ながらもなかなか良いシェリーカスクのニュアンスがしっかりと感じられるところが好印象でした。一方、フルーティではありつつもエステリーに振れきれない、どこか野暮ったさも残るところがブナハーブンらしいといえばらしいところ。アイラでは異色であるノンピート仕込みですが、ヴァッティングの妙かなかなか良いモルトです。

構成原酒はシェリーカスクが40%にバーボンカスクが60%。12年(25%:75%)や25年(10%:90%)よりもシェリーカスクの構成比率が多めとなっています。野暮ったさ、洗練されすぎない、どこか土着的な印象がありますが、自分はこれは個性だと捕らえました。最近はどれも綺麗なモルトが多くなってきていますが、こういうスタイルもまたありではないかと。

 

なお、通常ライトピートで仕込まれるブナハーブンですが、夏季の休業前に少しだけピートを炊いたモルトで仕込むそうです。特別なシングルカスク用のもので、実際に蒸留所限定で売られていたりもしました。こちらも試飲はしたものの、若さとチグハグな印象があり購入はしませんでした。その代わり、こちらの18年はなかなかの出来と思い日本に帰ってきたから探してみました。そうしたら、18年は正規では取り扱っていないのですね。とりあえずレートが良いうちに海外から引っ張ってみました。

現地マジックもあったかもしれませんが、日本で飲んでも概ね現地と似た印象でした。

インチマリン 13年 2003-2016 オフィシャル シングルカスク for JIS

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Inchmurrin 13yo 2003-2016 (OB Limited Edition for Japan Import System, Cask#07/16004 53.2%)

香りはハチミツ、オレンジ、カラシやわさびのようなツンと来る刺激、青草のニュアンス、ただれた果実、玉ねぎやキャベツなどの野菜のようなややクセのある刺激臭、さながらドリアンのようなフルーティさとただれた果実のニュアンスが交じる。

味わいはオレンジにハチミツ、やや濃厚なマーマレード、アボカド、ミドルから舌先に残るバニラ、ヒリヒリと強めのホワイトペッパー、飲み込んだ後からドリアン様の独特な香味、フィニッシュはやや荒々しく木のエグみにバニラが残る。

加水すると香りは野菜系の刺激的なニュアンスが強くなり、味わいはメロンやアボカドやマンゴーなどのこってりした甘みが強くなる。

【Good/Very Good】【Interesting】

話題のインチマリンです。
情報通なウイスキーファンの方ならご存知かとは思いますが、一部でその味わいが話題となり、まさかインチマリン(ロッホ・ローモンド)がこんなに求められることになるとは、誰が想像したでしょう。自分もつられて1本買わせて頂きました。

味わいについては、正直いうと個人的にはそこまで「美味い!」という方向のものではありませんでしたが、なんでしょうね、本当に独特なニュアンスがあります。トロピカルフルーツとも言い難いのですが、フルーティさは確かにあり、そこにこの独特の玉ねぎっぽいニュアンスがあわさって、さながらドリアンのような香味と取りました。

ドリアンが一部のコアな人に熱狂的に支持されるように、このロッホ・ローモンドもまた同じ。いわゆる珍味系の味わいはロッホ・ローモンドらしさも感じられますし、ハウススタイルともとれるでしょう。もうひとつ昔からのロッホ・ローモンドらしさといえば濡れたダンボール様の香味ですが、そこは感じられませんでした。

なお、加水すると香りはともかく味わいは良い方向に振れてフルーティさが良く出てきました。これは加水してトワイスアップなどで愉しむのが良さそうです。

 
90年代以降、綺麗で品良くまとまったモルトが増え、外れがあまり無くなった分大当たりも少なくなったように思えます。このインチマリンはそういう主流とは距離を置きながらも、以前のようなダンボールや紙のニュアンスは取り払って「いい勝負」ができるようになった、そんな風に感じます。

それにしても、ジャパンインポートさんのこのチョイスは凄いですね。値段も決して安くはないため思い切った決断だったように思えますが、結果的にはかなり話題になりました。正規代理店であるJISさんがこういうボトルを詰められるのも、これまでの実績があってのことだと思います。今後もこういう独特なボトルも偶に取り入れて頂けると、消費者としてもモルトの奥深さを再認識できますね。

タリスカー オフィシャル 25年 2004年ボトリング

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Talisker 25yo (OB, Bottled in 2004, 57.8%, Refill Casks)

香りは透明感のある麦、ハチミツ、グレープフルーツとオレンジの中間的な柑橘、塩気を伴うバター、微かにじくじくとしたタール、獣の革、汗のようなニュアンスが複雑でセクシーさも感じられる。

味わいは度数より落ち着いたアタック、麦とハチミツの甘み、柑橘の甘さから酸味へと変化して抜けていく、ミドルからは塩気とやや火薬のニュアンス、じんわりと暖かく広がる収斂味、落ち着いて長く感じられる余韻が心地良い。

【Good/Very Good】

タリスカー25年は2001年からリリースされていますが、こちらは評価が高い2004年ボトリングです。

タリスカーのイメージは荒々しさと島ものピートがあると思いますが、さすがに25年も時を経ると長熟らしい良いバランスになりますね。タリスカー蒸留所の目の前に押し寄せる波というよりは、その後ろにそびえるどっしりとした山を想像しました。

ふくよかでバランスが良い、度数からは考えられないほどのまろやかさ、やや粘性のあるフィーリングもあって、さすがの長熟レンジという他ありませんでした。

最近のオフィシャル25年はリリースはあるものの45.8%の加水仕様で、カスクストレングスのようなパワフルさがなくなってしまったのは残念ですが、どこも原酒不足でしょうから毎年リリースしているだけでも凄いと思います。加水は加水で良い部分もあるので、どこかで比較できたりしたら楽しそうですね。

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ラフロイグ 15年 2001-2016 エディションスピリッツ

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Laphroaig 15yo 2001-2016 (Edition Spirits “The First Edition”, Cask#12382, Refill Butt, 58.4%)

香りはこってりとした黒糖、おしゃれで華やかなブドウなどのフルーツの凝縮感、やや長熟ラムに通じるニュアンス、グレープフルーツ系の柑橘もありフルーツ感が多彩、奥にはしっかりとヨード、火薬、クローブ、黒胡椒などのスパイスのニュアンスが少し。

味わいは、アタックから香り同様の多彩なフルーツ感が広がる、黒糖と麦の中間的な甘み、やや強めの樽感、ミドルからの強すぎないピート感が好印象、スパイスとジャムをつけた紅茶のニュアンスが広がるフィニッシュが心地良い

【Very Good】

最近ちょこちょこと見かえるようになった “The First Edition” のこちらのロゴは、ボトラーズのエディションスピリッツから。

かなり濃厚なシェリーカスクのラフロイグで、上述の通りそのニュアンスがしっかりと出ています。華やかさに溢れ、ハイプルーフらしくパワフルさも兼ね備えた厚みのある味わい。口に含んだ瞬間から飲み込むんだ後の余韻まで、満足感がずっと続くモルトでした。分かりやすく、素直に美味しい、そんな感じです。

オフィシャルの21年ハーフボトルとは(あちらはバーボンカスクなので)異なる方向性ですが、どちらも同じように突き抜けて美味いボトルですね。残念ながら既に完売してしまっているようですが……。300本程度であれば、仕方がないかもしれません。

 

ところで、ラフロイグ蒸留所としては珍しいと思われるシェリーカスク。今年のスコットランド旅行で現地を訪れた際、ちょうど樽が本土から届いており搬入作業をしていました。話を訊くと、やはりバーボンカスクばかりだということです。

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ラフロイグ蒸留所、樽詰め前の一次保存庫内の様子。バーボンカスクが整然と並ぶ。

蒸留所のすぐ側にある熟成庫にも、基本的にはこれらのバーボンカスクばかりが並んでおり、シェリーカスクがどこにあるのかは正直見えませんでした。一方で、蒸留所内のいくつかの場所では既に役目を終えてオブジェとして並んでいるものの中にButtサイズの樽も置かれており、シェリーカスクが無いこともなさそうだ、という推測はできます。

オフィシャルの特別なボトル用、あるいは大手のボトラーズ向けに特別に払い出す用など、通常とは異なるルートで樽を手に入れてくるのかもしれません。色々な可能性はありますが、いずれにしてもシェリーカスクのラフロイグは貴重なものであることが伺えました。