月別アーカイブ: 2017年2月

ダルユーイン 35年 1976 信濃屋 禽獣図会

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Dailuaine 35yo 1976 (Shinanoya “禽獣図会 – 獅子”, Bourbon Hogshead, Cask#5966, 56%)

香りは甘酸っぱい、アプリコット、タンジェリン、ワクシー、蜜蝋、少し青リンゴ、微かに溶剤のニュアンス。

味わいはやや強めの刺激でドライ、オーキーな樽感、ハッカ、ミドルからアプリコット、ドライアップル、スポンジケーキの甘さ、徐々にホワイトペッパー、奥にカレー粉のようなスパイシーなニュアンス、フィッシュはシナモンとアプリコットが心地よく続く。

【Very Good】

信濃屋さんが5年ほど前にリリースした、歌川国芳の「禽獣図会」シリーズからダルユーイン35年。今考えるととても贅沢なスペックですね……。ラベルの華やかさもさることながら、中身も相当に良いものでした。

70年代の長熟ダルユーインは、シングルカスクで出て来るものはどれもフルーティさとコクが強くあって飲みごたえがある印象です。このボトルは少し樽の影響も大きいようで、特にアタックはドライで樽感を感じました。その後は不思議と複雑なスパイス感があり、これはあまり感じたことがなかった要素でおもしろいニュアンスでした。

サントリー 響 21年

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響 -HIBIKI- 21yo (OB +/- 2015, 43%)

香りは和のお香、樹のフラグランス、樟脳、リンゴ、洋ナシ、アーモンド、少しエンピツの削りカス、とても多彩で重層的。

味わいはスッと流れるアタックからやや強めのオーキーさ、ドライフィグ、カカオチョコレート、ボディは緩め、ハチミツ入り紅茶、ジンジャーシロップ、フィニッシュにかけてややピリピリと黒胡椒、ダークチョコと紅茶のニュアンスがさらりと消る。

【Good/Very Good】

ご存知、サントリーのブレンデッドウイスキーの高級レンジ、響21年。と書いておきながらなんですが、実は今まで飲んだことが無かったのです……。17年はもう何本も飲んだのですが、なぜか縁がなかった21年、この度機会に恵まれて頂きました。ありがとうございます。

正直なところ、想像以上に樽感が強く、ウッドチップを突っ込んだのではないかと思うくらいの刺激に最初は戸惑いました。熟成感はこちらのほうが出ていて、しっかりとした輪郭を持っているのですが、どちらかというと17年の方が全体のバランスが良くできているという印象で、その場に居た仲間からも同様の指摘があって腑に落ちたところでした。

僅か4年の差ですが、ジャパニーズの熟成はかなり早い方だと思いますので、その差も大きなものでしょう。またブレンダーもそういう味の違いを明確に出しているわけで、これはもう好みではありますが、17年と21年はどちらを求めるかは人それぞれ、といったところでしょう。個人的には17年の方が好みに近いと感じています。

アイリッシュ シングルモルト 24年 1991 TWA

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Irish Single Malt Whiskey 24yo 1991 (The Whisky Agency “The Perfect Dram” , Bourbon Barrel, 49.5%)

香りは完熟のパパイヤ、パッションフルーツ、ただれた柑橘系、青リンゴ、奥に煮出した穀物のニュアンス。

味わいは穏やかな立ち上がりで、やや青いパパイヤや青リンゴなどのフルーツ感、少しグラッシーなニュアンスがあり、ミドルからパッションフルーツ、ドライマンゴー、じんわりと広がる薄めの紅茶、少し青い感触が残るフィニッシュ。

【Very Good】

TWAのパーフェクト・ドラムからアイリッシュ・シングルモルトです。中身はどこの蒸留所なのでしょうね。詳細は不明ですが、アイリッシュ・シングルモルトに求めるトロピカルフルーツ感がしっかりとあり、やや作為的に感じつつも、やはり素直に美味しいと思えるボトルでした。

TWAのアイリッシュというと、ミュシャの絵柄のボトルは日本でもかなりの人気で瞬殺となりましたが、このボトルは海外で同様に瞬殺だったようです。日本にはほとんど入ってきていないようで、見たことがありませんでした。

アイリッシュ・ウイスキーのこのトロピカル感がどこから来るものなのか、マッシュかそれとも酵母の違いなのか、いろいろと謎は多いですが、多くが1988~1991のヴィンテージに集中していることも気になります。それ以降のヴィンテージでも同様のフレーバーが出てくるものなのか、もっと短熟or長熟の場合はどうなのか、などなど、興味は尽きません。

ローズバンク 25年 1981 オフィシャル スペシャルリリース 2007

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Rosebank 25yo 1981 (OB Special Release 2007, 61.4%)

香りはグラノーラ、ハチミツ、青リンゴ、レモンピール、ポリッシュした家具のニュアンス、やや上品、少し焦げた麦とグラッシーなニュアンス。

味わいは少し強めのアタックで濃厚なハチミツ、バタースコッチ、ローストしたカシューナッツ、鼻抜けに青リンゴにやや井草のニュアンス、もったりと濃いめのハチミツに青りんごのニュアンスが残るフィニッシュ。

【Very Good】

オフィシャルのローズバンク25年。既に10年前となりましたが、2007年のスペシャリリリースのボトルです。

前述のシルバーシールのローズバンクと比較すると、やや青草や青リンゴなどが強めに感じられましたが、やはり同系統の味わいで麦由来のコクのある甘みがとても印象的でした。少しスパイシーなところもこちらの方が強めで、全体的に少し線が細い印象でしたね。とはいえ、十分なボディは持っており、どちらかというとシルバーシールが異色の太さだったという気がしています。

ローズバンクの長熟レンジを飲み比べさせて頂けるとはとても貴重な経験でした。感謝です!

ローズバンク 30年 1975-2005 シルバーシール

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Rosebank 30yo 1975-2005 (Silver Seal “Sestante Collection”, Sherry Cask, 55.8%)

香りはハチミツ、砂糖がけのポリッジ、レモンの皮、少し青い草の香り、バタースコッチ、マジパン、スミレのニュアンス。

味わいはどっしりとしたハチミツと甘い麦粥、完熟リンゴの蜜、洋ナシ、噛みごたえあり、ミドルからカルダモンやホワイトペッパー、奥にグラッシーなニュアンス、フィニッシュはホワイトペッパーとはちみつ漬けリンゴが心地よく続く。

【Very Good/Excellent】

シルバーシールのセスタンテ・コレクションからローズバンク30年。

ローズバンク蒸留所はローランドらしく3回蒸留で、となるとライトなボディでややグラッシーなニュアンスが強いイメージがありました。しかしこのボトルは素晴らしく分厚い、噛みごたえのあるボディが印象的で、さらに麦由来と思しき甘さがとても強い。下手なシェリーカスクなんかよりも全然甘いです。1杯の満足感は非常に高く、その割には飲み疲れるような印象もない。いいバランスが保たれていました。

シルバーシールは高品質なものしかボトリングしないということですが、このボトルに関しては納得の出来でした。

ボウモア 32年 オフィシャル 1968-2000

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Bowmore 32yo 1968-2000 (OB, 45.5%)

香りはやや控えめながらオレンジ、過熟したキウイ、ライチ、落ち着いたヨードと塩気、少し鞣した革、奥にコールタールのニュアンス。

味わいは染み込むように広がるパッションフルーツ、ライチ、少し完熟パイナップルの要素、徐々に麦と少し青い草に入れ替わり、じんわりと続いて下支えするピートとタール感、西洋的な魚介ダシに穀物の甘さも混じり複雑、鼻抜けには前述のトロピカルフルーツ様、フィニッシュはやや短めながら気品があり陶酔する。

【Very Good/Excellent】

オフィシャルの60年代ボウモア。ラスト・ショットを頂きました。Kさん、ありがとうございます!

さすがに最後の方であったためやや気が抜けてきてしまったそうですが、それでも素晴らしいフレーバーを堪能させて頂きました。らしいトロピカルフルーツ感は作為的ではなく、全体的に染み出してくるようにまとっているところが、近年のものとは違う部分でしょうか。各要素が決して強く主張しすぎないところが、バランスが取れた複雑さを醸し出しているようです。鼻抜けや嚥下したあとの返りがとても素晴らしく、陶酔感が満ち溢れていました。至福ですね。

ボウモアの時代変遷については他のブログなどでも語り尽くされておりますので割愛しますが、60年代のボウモアはやはり独特の個性があり美味しいです。90年代のボウモアが、同様に30年~35年程度の熟成となるのは2020~2025年ころ。その頃に、評価の高かった1993ボウモアなどが30年熟成などでリリースされるのでしょうか。そして、その味は60年代ボウモアにも勝ってくれるのではないか、そんな期待を込めたいところではあります。が、現状を考えるととんでもない値段になりそうで悲観的になってしまうのがなんともはや……。

どうかそれなりに良心的な値段でリリースされることを祈るばかりです。

スコッチ シングルモルト 年代別のリリースボトル数はどのように変わってきたのか?

「ウイスキーブーム」「シングルモルト ブーム」

もう10年ほど前からでしょうか、特にここ数年は顕著に云われていることでしょう。

そして同時に云われるのが「原酒不足」。数年前までは60年代、70年代の魅力的なリリースがあったのが、いつの間にかその姿を見ることがなくなってきたように思えます。60年代の原酒なんて、もう手に入らないのではないかという気さえします。時が移ろえば仕方のないことでもありますが、それが突然襲ってきたのがここ数年だったように思えます。

では実際どの程度の違いがあったのでしょうか?
ちょっと気になったので、調べてみることにしました。

 

調査対象:スコッチウイスキーのシングルモルトに限定

データはWhiskyBaseのリリース年を元に抽出し、蒸留年については蒸留年表記があるボトル(≒シングルカスク)を対象としました。

WhiskyBaseは投稿者からのボトル情報を集約している性質上、精確なデータとは言い切れないことはご承知おき下さい。それでも、多くのボトルが写真付きでアップロードされておりますし、大きな傾向としては異ならないと思います。

※画像をクリックすると大きな画像を見ることが出来ます


蒸留年代と年ごとのリリース数

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  • 2009年ころから90年代前半蒸留が減少し、徐々に90年代後半蒸留へシフト
  • 2012年から80年代前半が一気に減少
  • 2013年ころには60年代後半が壊滅的に

80年代蒸留は総じてボトル数が少ないのが分かりますね。やはりウイスキー不況による原酒不足というのは大きな溝を作ってしまったことが分かります。我々の想像以上に、メーカー側の方々は困ったことでしょう。ブームが来て原酒が欲しいときに過去のストックが無かったわけですから。

また、思った以上に90年代前半の原酒が無くなってきているようです。既に長熟レンジに差し掛かったこのあたりのヴィンテージは、18年あたりの中熟程度のときにリリースラッシュでその数を減らしたのかもしれません。今後もどんどんリリースは少なくなるでしょうし、ボウモアやラフロイグの1993年蒸留など特に人気のあるヴィンテージは入手が困難か値段も高くて……となることが想像できます。

00年代の割合は右肩上がりに増加していますね。00年代後半が増えたのは、主にキルホーマンなどの新興蒸留所のためでしょう。また、最近は8年や10年程度でのリリースも多く、それらの原酒がちょうどこの00年代に入ってきたところだということでしょう。

ところで、60年代前半のボトルほとんど無いのはなぜでしょうか? 熟成年数的に耐えられないものが多いのは承知の上ですが、60年代後半と比較してもあまりに少なすぎる気がします。

 


熟成年数と年ごとのリリース数

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  • 2010年ころまでは10~15年熟成が多く、2010年以降は15年~19年熟成が多い
  • 20~25年熟成の割合は2013年まで増加傾向にあった。が、その後減少気味
  • 30年オーバーは2013年頃を境に一気に減少
  • 2014年から5~9年熟成のボトルが急激に増加

2013年時点で20~25年熟成というと、1988~1993年ころの蒸留となります。このあたりは80年代の悪夢からも徐々に脱却し、各蒸留所が仕込みを多くしていった時期だと考えられます。

30年オーバーの原酒は、やはりどんどんストックが失われていっていますが、2010年から2011年にかけてがピークだったようです。そこで意欲的なリリースがどんどんあったがために、反動で2012年以降は一気にリリースが減ってしまった。

90年ころから回復した原酒生産の熟成が進むにつれて、メインとなる熟成年数がシフトしていっているようです。いま2017年現在で考えると、25年~30年熟成となるわけですね。

なるほど確かに、ここ最近は90年代蒸留で25年ものなどをよく見かけるようになった気がします。

90年代蒸留は綺麗な作りの良い原酒が多いと感じています。それらが長熟レンジにさしかかりまさに飲み頃とも言えるのが今なのではないでしょうか。さらに将来的にはこれらの原酒が35年以上、40年以上となっていくと、今現在よりはリリースが多くなっても不思議ではない(80年代のストックの少なさに比べると)ですが、それ以上にウイスキーの人気により長熟原酒が残らない可能性もあります。価格面でも容易には手に入らないことが予想されますし、いずれにしても長熟レンジはさらに厳しい状況に置かれていくと考えられます。

 


さて、いかがでしたでしょうか。
概ね予想通りの結果ではあるのですが、こうしてデータとして見てみると改めて色々と気付かされる部分もあります。意外と60年代70年代の蒸留もリリース自体は継続してあることはあるのですが、あとは価格を考慮しないとなんともといったところでしょうか。

今からウイスキーを買っていくということであれば、リリースが多く味も安定して美味しくなってきた90年代蒸留のものを選ぶのが良いのではないでしょうか。往年の味を再現できるわけではありませんが、別のベクトルでしっかりと美味しいものは多く存在します。

あまり高価なボトルを1本買うよりは、そこそこの値段のボトルを数本買うほうが選択肢は多くなりますし、なにより自分で探す楽しみというものもあるでしょう。Barなどで飲んでみて気に入ったら買う、というのが最近のリリースなら(一応)できなくもないので。勿論、話題になったボトルは瞬殺されるのが昨今なのですが……。難しいですね。

とりとめがなくなってきましたので、ここらで切り上げるとします。何かしらの参考になれば幸いです。