スコッチ シングルモルト 年代別のリリースボトル数はどのように変わってきたのか?

「ウイスキーブーム」「シングルモルト ブーム」

もう10年ほど前からでしょうか、特にここ数年は顕著に云われていることでしょう。

そして同時に云われるのが「原酒不足」。数年前までは60年代、70年代の魅力的なリリースがあったのが、いつの間にかその姿を見ることがなくなってきたように思えます。60年代の原酒なんて、もう手に入らないのではないかという気さえします。時が移ろえば仕方のないことでもありますが、それが突然襲ってきたのがここ数年だったように思えます。

では実際どの程度の違いがあったのでしょうか?
ちょっと気になったので、調べてみることにしました。

 

調査対象:スコッチウイスキーのシングルモルトに限定

データはWhiskyBaseのリリース年を元に抽出し、蒸留年については蒸留年表記があるボトル(≒シングルカスク)を対象としました。

WhiskyBaseは投稿者からのボトル情報を集約している性質上、精確なデータとは言い切れないことはご承知おき下さい。それでも、多くのボトルが写真付きでアップロードされておりますし、大きな傾向としては異ならないと思います。

※画像をクリックすると大きな画像を見ることが出来ます


蒸留年代と年ごとのリリース数

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  • 2009年ころから90年代前半蒸留が減少し、徐々に90年代後半蒸留へシフト
  • 2012年から80年代前半が一気に減少
  • 2013年ころには60年代後半が壊滅的に

80年代蒸留は総じてボトル数が少ないのが分かりますね。やはりウイスキー不況による原酒不足というのは大きな溝を作ってしまったことが分かります。我々の想像以上に、メーカー側の方々は困ったことでしょう。ブームが来て原酒が欲しいときに過去のストックが無かったわけですから。

また、思った以上に90年代前半の原酒が無くなってきているようです。既に長熟レンジに差し掛かったこのあたりのヴィンテージは、18年あたりの中熟程度のときにリリースラッシュでその数を減らしたのかもしれません。今後もどんどんリリースは少なくなるでしょうし、ボウモアやラフロイグの1993年蒸留など特に人気のあるヴィンテージは入手が困難か値段も高くて……となることが想像できます。

00年代の割合は右肩上がりに増加していますね。00年代後半が増えたのは、主にキルホーマンなどの新興蒸留所のためでしょう。また、最近は8年や10年程度でのリリースも多く、それらの原酒がちょうどこの00年代に入ってきたところだということでしょう。

ところで、60年代前半のボトルほとんど無いのはなぜでしょうか? 熟成年数的に耐えられないものが多いのは承知の上ですが、60年代後半と比較してもあまりに少なすぎる気がします。

 


熟成年数と年ごとのリリース数

bottles_per_matured_year_1

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  • 2010年ころまでは10~15年熟成が多く、2010年以降は15年~19年熟成が多い
  • 20~25年熟成の割合は2013年まで増加傾向にあった。が、その後減少気味
  • 30年オーバーは2013年頃を境に一気に減少
  • 2014年から5~9年熟成のボトルが急激に増加

2013年時点で20~25年熟成というと、1988~1993年ころの蒸留となります。このあたりは80年代の悪夢からも徐々に脱却し、各蒸留所が仕込みを多くしていった時期だと考えられます。

30年オーバーの原酒は、やはりどんどんストックが失われていっていますが、2010年から2011年にかけてがピークだったようです。そこで意欲的なリリースがどんどんあったがために、反動で2012年以降は一気にリリースが減ってしまった。

90年ころから回復した原酒生産の熟成が進むにつれて、メインとなる熟成年数がシフトしていっているようです。いま2017年現在で考えると、25年~30年熟成となるわけですね。

なるほど確かに、ここ最近は90年代蒸留で25年ものなどをよく見かけるようになった気がします。

90年代蒸留は綺麗な作りの良い原酒が多いと感じています。それらが長熟レンジにさしかかりまさに飲み頃とも言えるのが今なのではないでしょうか。さらに将来的にはこれらの原酒が35年以上、40年以上となっていくと、今現在よりはリリースが多くなっても不思議ではない(80年代のストックの少なさに比べると)ですが、それ以上にウイスキーの人気により長熟原酒が残らない可能性もあります。価格面でも容易には手に入らないことが予想されますし、いずれにしても長熟レンジはさらに厳しい状況に置かれていくと考えられます。

 


さて、いかがでしたでしょうか。
概ね予想通りの結果ではあるのですが、こうしてデータとして見てみると改めて色々と気付かされる部分もあります。意外と60年代70年代の蒸留もリリース自体は継続してあることはあるのですが、あとは価格を考慮しないとなんともといったところでしょうか。

今からウイスキーを買っていくということであれば、リリースが多く味も安定して美味しくなってきた90年代蒸留のものを選ぶのが良いのではないでしょうか。往年の味を再現できるわけではありませんが、別のベクトルでしっかりと美味しいものは多く存在します。

あまり高価なボトルを1本買うよりは、そこそこの値段のボトルを数本買うほうが選択肢は多くなりますし、なにより自分で探す楽しみというものもあるでしょう。Barなどで飲んでみて気に入ったら買う、というのが最近のリリースなら(一応)できなくもないので。勿論、話題になったボトルは瞬殺されるのが昨今なのですが……。難しいですね。

とりとめがなくなってきましたので、ここらで切り上げるとします。何かしらの参考になれば幸いです。

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スコッチ シングルモルト 年代別のリリースボトル数はどのように変わってきたのか?」への1件のフィードバック

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