アイルランドの蒸留所訪問を終えて

アイルランドの蒸留所訪問記をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

それぞれの蒸留所やアイリッシュ・ウイスキーの歴史や、アイリッシュウイスキーの製造工程などの情報については、正直ネットでいくらでも調べられるので、本当に細かい内容はそちらをご参照。現地に行ってきた自分が、それ以外で何か伝えられるとしたら、蒸留所を取り巻く場所全体の雰囲気や空気やにおい、そういった風土のようなものだと考えています。

アイリッシュ・ウイスキーの凋落からもうすぐ100年という時間が経とうとしていて、その間に消えてしまった蒸留所がどこにあったのかは定かでないものが多いのですが、今現在稼働している蒸留所でいえばどれも町の中心に近い場所にありました。スコットランドの蒸留所は、逆に町の中心にあったものは廃れてしまい、少し町外れや郊外の辺鄙な場所にあるものの方が残っているように見受けられます。次々に閉鎖せざるをえなかったアイルランドでは、効率を考えたら町からアクセスしづらい場所のものは優先的に切ってしまうしかなかったのかもしれません。

現存する蒸留所はどこも「昔ながらの伝統的な」「歴史ある建物」といった要素を前に押し出して歴史の長さなどを強調していました。しかし、実際の製造にはそのような要素はかなり限定的で、どこの蒸留所も原酒工場のようなものでした。

表向きのビジターセンターやツアー案内の部分は、過去に使われていた蒸留所を利用してそのような趣を出しているものの、裏手にはどどーんと大きな原酒工場が構えている、というスタイルだったのがブッシュミルズとミドルトン。

キルベガンも同様ではあったものの、ここは今稼働しているポットスティルがかなり小規模だったため少し異なりました。ただし、キルベガン銘柄の原酒は実際にはクーリーで作られているため、キルベガンはあくまで名前だけを冠しているにすぎません。

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キルベガン蒸留所のポットスティルはフォーサイス製のかなり小規模なものだった。

 

そう、アイリッシュ・ウイスキーはこういうスタイルが多い。銘柄でいうとレッドブレストやカネマラにタラモア、ブレンデッドもたくさんありパディやターコネルといったようにかなり多いのですが、実際にその原酒を作っているのはクーリーとミドルトンの2つくらい。どうも表と裏の顔が違うように見えてしまうところが、アイリッシュ・ウイスキーの伝統というものに対してつきまとう「いかがわしさ」の元になっている気がします。(これは明らかに自分個人の印象なのですが)

 

少し毛色が違うティーリングに関しては、かなり伝統的なものに則ったポットスティルによる蒸留を行っているため期待できる印象。とはいえ、トロピカルフレーバーで一躍話題になった1990年前後の原酒は、クーリー蒸留所のものといわれているため、実際にダブリンで蒸留された原酒が美味しく育つかどうかはまた別の話、ということになります。

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ティーリング蒸留所の原酒はどのような味になるのだろうか

ティーリングの10年~13年程度のウイスキーについては幾つか試飲しましたが、独特のトロピカル感は奥にあるもののかなり弱い。一方で、現地でハンドボトリングできる25年の原酒は、やはりマンゴスチンやパッションフルーツのフレーバーが明らかでした。20年を超えてくるとあのトロピカル感が全面に出てくるのでしょうか? どうしても謎がつきまといます。

 

アイルランドの蒸留所でもうひとつ期待したいのが、各所にオープンし始めたクラフト蒸留所。グレンダロッホなど稼働から10年が経過しているようなところ、まさにここ数年でオープンしたところなど様々ですが、それぞれの個性が楽しめるようになるのに、あと10年くらいでしょうか。期待しておきたいところです。

また、復活させたキルベガンの蒸留設備も、2000L程度のポットスティルで形もややクラフト蒸留所チック。フォーサイス製ということでモノは良いと思われます。

ミドルトン蒸留所でも2年前からクラフト蒸留所の設備を稼働させています。まだかなり新しい3つのポットスティルは、2500L,1500L,1500Lという小規模。創始者ジェムソンがかつて様々なレシピを試したように、同規模のポットスティルで現代でも試行錯誤を繰り返していこうということらしいです。

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ミドルトン蒸留所のクラフト・ディスティラリー

 

これらの原酒がシングルモルト、シングルカスクで市場に出まわる可能性は未知数で、おそらく出てこないのではないかと悲観していますが、もし手に入るようになるのであれば楽しみではあります。もしかしたら、蒸留所限定のカスクということでボトリングもしくはテイスティングができるかもしれません。10年後くらいになるかもしれません、待つのは長いですね。

スコットランドとはまた違った趣があるアイルランドの蒸留所。数は多くないものの、各地に散らばる蒸留所はそれぞれに特徴があり、また近くに観光名所なども多いので、織り交ぜて旅程を考えると楽しいでしょう。今後のクラフト・ディスティラリーの蒸留所公開ぐあいによっては、それらも候補に上がってきます。将来の楽しみが残っている、という点では、やはりアイリッシュ・ウイスキーはこれからが本気を見せてくれるところなのかもしれません。

 

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