月別アーカイブ: 2017年7月

ウイスキーのニューメイク飲み比べ

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先日、ニューポットを比較テイスティングするという貴重な機会を頂きました。少し前にスコットランドなど、蒸留所を巡ってきた方々が入手したものです。こういう機会はなかなか無いので本当に有難いです。

グレンリベット、アベラワー、マッカラン、そして日本の三郎丸蒸留所のヘビーピートタイプの4種類です。(一番左はニューメイクではありません)

グレンリベット
やや線の細い、おとなしめな印象。穀物の甘さ、無骨なパン、洋ナシのようなフルーティさはやや奥に潜む。

アベラワー
この中ではもっとも華やかで高級感のある味わい。花の蜜、白い花を想起させるフローラル。エステリーな印象。

マッカラン
予想外にもったりとして重々しい。ややオイリー、ライ麦のような雑味も含む穀物、セメダインのような溶剤のニュアンスもある。

三郎丸
ヘビリーピートなのでそもそもキャラクターが違いすぎるが、かなり好印象。元の酒質が良いのかまとまりが良いところにピートのニュアンスも乗りが良い。

 

もちろんニューメイクですので、どの原酒も麦焼酎のような若々しさとハイプルーフで荒々しいところはありますが、それを除いた上での違いは上記のようなところでした。

少し前には長濱蒸留所のニューメイク、ノンピートとライトピートも飲んでみたのでその記憶も残っています。この中だとリベットに近いかもしれない、と思いました。こんかいの原酒と比べてみても、結構落ち着いていた印象があります。長濱のライトピートはかなり良い出来だったので期待しています。

 

そういえば以前、いろいろな蒸留所の(ほぼ)ニューメイクを詰めた「ザ・ファースト・ドロップ」シリーズなんてものもありましたね。2008年ということですので、既に10年も前のようですが……。あまり買う人もいなかったようなので、どこぞの酒屋などではまだ残っているかもしれません。

ウイスキーは熟成させた方が美味しいのは言うまでもありませんが、こうして出来た原酒がどの程度違うのか、それが熟成でどう変わっていくのか、考える上ではとても良い経験になると思います。もし機会があれば試してみると、楽しいですよ。

 

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グレングラント 1952 G&M蒸留所ラベル

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GlenGrant 1952 Distilled (G&M, Distillery Label, 75cl, 40%)

香りはプラム、レーズン、黒糖、高貴さもあるオールドシェリー香、やや工場のような、セメダインのニュアンス。

味わいは緩くライトなタッチ、プラム、ザラメ、ポン菓子の甘さ、軽く柿渋、紅茶、ローストしたカシューナッツのオイリーさ、フィニッシュは緩やかに紅茶のニュアンスが消えていく。

【Good/Very Good】

G&M社の蒸留所ラベルのグレングラント、1952年蒸留ですが年数表記はありません。60年代さえ枯渇していまった現在においては、50年代前半というのはなんとも恐ろしいスペックのモルト……。

香りは良質なオールドシェリー感がふんだんに漂っており、スワリングするごとにこの香りに包まれるのは喜びであります。一方で、味わいはかなり緩めで良く言えばゆるゆるとどこまでも飲めそうな、悪く言えばパンチに欠けて印象が薄い、という感想。個人的にはこのくらいのゆるさは歓迎で、特に1,2杯目にこちらでスタートできたなら素晴らしいでしょうね。

G&Mによるグラントの蒸留所ラベルはこれ以外にも様々なヴィンテージや熟成年数表記のものがリリースされているので、正直どれが良いものなのかがパッと見で判断がつきにくい印象があります。一部のものはかなり濃いシェリーカスクのものもあったり、一方で5年表記などでも昔のものはかなり凄い味わいのものがあったりと幅が広いことも。ある意味、どれもが個性的でそれぞれのキャラクターがあるということなので、グラントにハマる人はきっと幅広く揃えていたりするのでしょうね。

 

最近では2016年にオフィシャルボトルがラベルチェンジを行い、描かれていた二人のオジサンが姿を消してしまうという寂しさもありました。逆に味わいは洗練されて良くなったようですが、あの2人のハイランダーのラベルは「古臭い」ものと感じられてしまったのでしょうかね。

 

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ちなみに、ラベルのおじさん二人は誰かと言うと、1840年にグレングラント蒸留所を創業させたジェームズとジョンのグラント兄弟です。元々は他の蒸留所と同様に密造から始まったようですが、正式に免許を受けて稼働するように。ロセス地区のなかでもひときわ大きい蒸留所となったということでした。

大変貴重なボトルを経験させて頂きました。ありがとうございました!

 

 

ラガヴーリン 12年 カスクストレングス 2016年ボトリング

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Lagavulin 12yo (OB, bottled in 2016, 57.7%)

香りはフレッシュな柑橘、グレープフルーツのワタ、ハチミツの甘やかな香り、スモークしたチーズ、少し焦げた樽のニュアンス、ラガらしいヨードのニュアンスが広がる。

味わいはパワフルでバターとハチミツの甘さ、グレープフルーツ、しっかりめのヨードとスモーク、ホワイトペッパーとジンジャーのピリピリしたフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ラガヴーリン蒸留所が年に一度リリースしている12年カスクストレングス、こちらは創業200周年記念となった2016年ボトリングです。ラベルの上側のシールが200周年記念の表記になっていますね。

ラガ12年に求める味わいがしっかりと出ている印象で、スタンダードの16年と比べると柑橘のニュアンスなどがやや若くフレッシュ。カスクストレングスだけあってパワフルなところは当然ではありますが、思ったよりも度数は低く感じられる、やや丸みを帯びたところが印象的でした。

12年はリリース当初の2003年頃のものがとても美味しく、途中一度中だるみしてしまった感がありますが2011年あたりから(年ごとのばらつきはあるものの)徐々に良くなってきていました。そこにこの200周年記念。蒸留所側も気合を入れてきたのか、しっかりとした良い味わいの出来栄えとなっています。

残念ながら日本市場にはあまり入ってこなかったらしく、通常なら見かけた店舗でも見ることが無かったのはそういうことだったのかと納得してしまいましたが、せっかくの200周年記念ボトルなのでどこかで買えるなら買っておきたい一本でした。

ちなみにこちらは当日開けたばかりでしたので、まだまだこれから伸びしろがあるものと思われます。フルーツ感はもっと出てくると思うので今後に期待もできる一本でした。

 

ボウモア 19年 1998-2017 アイラフェス2017年向け

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Bowmore 19yo 1998-2017 (OB, THE FEIS ILE COLLECTION 2017, First Fill Sherry Puncheon, Cask#57, 54.3%)

香りはボウモアらしいヨード、マーマレード、レーズン、酸味のあるブドウ、ハチミツ、除光液のような少し溶剤系のニュアンス、パフュームとは異なるが花のようないい香り。

味わいはなめらかな滑り出しでネクタリン、桃に黒ブドウ、フルーツ感強め、オイリーで粘性がある、ミドルから鉛筆、木くず、はっきりと支えるヨード感、鼻抜けに香りの花のようなニュアンスが心地よく抜ける、リッチなフルーツ感と木くずのニュアンスが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

今年5月のアイラフェスでは、ボウモアからは2種類の限定ボトルがリリースされたそうです。ひとつはこちらのボトル、もうひとつは11年熟成のものでした。

フルーツ感が多彩で、香りも飲んでも素直に美味しいと思えるボウモアです。近年のボウモアは安定して良い物があると思う一方で、シェリーカスクのものはちょっと苦味やエンピツ感などがひっかかりを生んでしまうものが多かった印象なのですが、このボトルは滑らかな口当たりでほぼ引っかかる部分が無く、特別に良い樽を選んだのだろうな、ということが想像できます。

ファーストフィルのシェリーカスクでここまで滑らかな仕上がりというのは、一体何をしたんだろうかと疑ってしまうくらい不思議な出来栄えなのですが、最近のシェリーカスクのマネジメント技術がかなり向上してきた結果なのだろうと感じています。シェリーカスクの未来は明るいように思いますね。

樽が効きすぎているといえばその通りで、ボウモアのスタイルがしっかりと感じられるかどうかという点には確かに疑問は残るものの、総じて満足感の高いボトルでした。こんなボトルが手軽に変えたら言うことはないのですけれど、やはり特別なものは特別、ということですね。

貴重なボトルを経験させて頂きました。ありがとうございました!

 

[読書感想] Sherry -Unfolding the Mystery of Wine Culture- / 中瀬航也

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Bar “Sherry Musium” 館長で、日本のシェリー酒の専門家としてはとても著名でいらっしゃる中瀬氏のシェリー酒本です。

ウイスキー、特にスコッチであればシェリー酒樽を使った熟成というのは伝統でありひとつの個性であり、そして常に謎がつきまとってきたものでもあります。マッカランをはじめ、シェリーカスクにこだわる蒸留所は多いですし、その独特の味わいは多くのモルトラヴァーを魅了しつづけますが、1970年前後の蒸留のものと、いわゆる近年系シェリーカスクは味がまったく異なりますし、どうしてこうなったのか、いろいろと疑問は尽きないものでした。

本書は基本的にはシェリー酒の分類や歴史などについてがメインですが、ウイスキーとシェリー酒の関係についても言及しています。また、そもそもその関連を知るためには酒のことに限らず、歴史一般で広く知っていなければならないことが多く出てくることに改めて気付かされました。この本を読むと、酒とは人間の歴史そのものと本当に深い関係があるということに気づくと同時に、著者の歴史に関する知識の深さに感服しました。

上辺だけの内容ではなく、かといって固くなりすぎない語り口でかなり読みやすかったです。シェリー酒好きにもウイスキー好きにも、そして世界史だけでなく日本史好きにも読んで頂きたい、そんな本でした。

 

暑さを愉しむ酒 – 泡盛

梅雨はどこへ行ってしまったのか……と思いたくなる7月前半。関東では既に梅雨明けと思われるような暑さが続いています。こう暑くなってくると、なかなかウイスキーは飲み進まないですね。

外が暑い中、クーラーをガンガンに効かせた部屋でウイスキーを飲むというのも、エネルギーの無駄遣い的な意味で贅沢の極みのひとつと言えるかもしれませんが、残念ながらあまりそういう趣味はありません。

となると、ウイスキーを飲むならロックかハイボールあたりでしょうか。炭酸のシュワっとした口当たりに、ベタついたりせず重すぎないライトな味わいのハイボールは、ある意味ビールよりも夏向きの飲み物ともいえるかもしれません。

ウイスキー以外に目を向けると、自分の場合、夏には泡盛が飲みたくなる傾向にあります。

泡盛もウイスキーと同じく蒸留酒で、樽ではなく甕で寝かせるものもありますが、最近は寝かせるのもタンクでしょうね。3年以上寝かせたものを古酒(クース)と呼び、やはり若いものとは少し異なる独特の味わいがあります。とはいえ、樽で寝かせるウイスキーと比べるとそこまで劇的な変化ではありませんが……。

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アルコール度数が30%程度あれば、開封しなければかなり保存がきくのもウイスキー同様に良いところです。酒屋に長いこと残されているものでも品質的には大丈夫なものも多く、泡盛のファンにはそういった昔のボトルを求める方も多いとか。というのも、泡盛はボトリング後も瓶内で熟成するということなので、時間が経っていればその分熟成感が期待できるというわけです。

しかし、かくいう自分もボトリングが昔のものを購入したりしてはいるものの、そこまで劇的な変化を感じたことはこれまでありません。まあ、同じ銘柄で新古どちらも試したわけではないのですが、所謂オールドボトル的なニュアンスが凄いでているものというのはあまり経験が無いです。

ちなみに泡盛は瓶詰め日が記載されているものが多いので分かりやすくて良いです。ウイスキーもちゃんと瓶詰め日を書いてくれたら良いんですけどね。

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飲み方はロックが良いですね。ウイスキーと違って、水っぽくなってもあまり気にならないところが、気楽に飲めて良いところ。冷凍庫で冷やして氷なしでも良いですが、30度を越えてくるものは少し飲みづらいかな、と思います。

たまにはウイスキー以外にも手を出してみると、いろいろと発見があって面白いですね。特に泡盛は沖縄の酒ということもあってか、暑い中で飲むのに適しているように感じます。