月別アーカイブ: 2017年9月

オールド・プルトニーのニューリリースと終売の情報

私が一番好きな蒸留所であるオールド・プルトニーから、ニューリリースの情報が出てきました。すでに公式ページにもラインナップされていますが、まとまっている記事があったのでそちらでご紹介。

Old Pulteney 25YO and 1983 Vintage launched | Scotch Whisky

 

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リリースされるのは「オールド・プルトニー25年」と「オールド・プルトニー1983年」の2製品。

「オールド・プルトニー25年」は、22年間をバーボンバレルで熟成し、3年間のスパニッシュオークのオロロソ・バットで後熟したもの。46%の加水と多数の樽からのヴァッティングですので、十分な熟成感と多層的な味わいが期待できそうです。

「オールド・プルトニー1983年」も、同様にバーボンバレルでの熟成の後にスパニッシュオークのオロロソ・バットで後熟というスタイルのようです。46%加水とほぼ同じように整えてきていますので、2種類で比較してみたら熟成感の違いなどを確認することができるかもしれませんね。

ちなみに300ポンドと500ポンドという、どちらも結構な良いお値段……。ちょっと手を出すには躊躇してしまいます。オフィシャルのリリースなので、まあ仕方ないかなあ、という気になってしまいますが、それを考えると、9月にエジンバラ国際空港で限定発売された1985年のシングルカスクは275ポンドということで、免税のメリットをしっかりと出していたのかもしれません。

とまあ、新しいリリースがあることは良いことです。

 

さて、一方で。
この記事の中でも触れられています通り、オールド・プルトニーの17年と21年は終売になるようです。

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今年の前半頃からいろいろな噂で聞くようになり、こういった情報サイトではいくつか見かけていました。自分の知る限りではオフィシャルなアナウンスはまだ無いと思っていたのですが、どうやら6月に公式からアナウンスがあったようですね。原酒ストック不足はスコットランドでも深刻ということでしたが、プルトニーもその中に巻き込まれてしまっていたようです。

自分は21年よりも17年が好みで、適度な熟成感とバーボン樽との相性の良い味わいがとても気に入っていたので、終売は本当に残念です。21年のストックが無いので今から買い足そうかどうか……。数年前の値上げが地味に効いています。

今後は12年やNASという普及ボトルと、今回のようなプレミアムボトルの二極化が進むことになりそうです。

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鹿児島 津貫蒸留所へ (その1)

ふと思い立って、鹿児島の津貫蒸留所に行ってきました。

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長野県の信州マルス蒸留所を抱えている本坊酒造は、もともと鹿児島の南さつまが本拠地。津貫蒸留所はその本坊酒造の創業の土地にあった焼酎蔵を改装して2016年にオープンしました。蒸留所としては新生児ですが、家柄としては由緒正しい赤子といったところでしょうか。

予約なしでも受付を済ませれば自由見学ができるようでしたが、ホームページから予約をしたところ製造スタッフの方に内部を説明して頂けました。あまり人が多くなかったのも幸いだったかもしれません。

 

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まずは蒸留所のシンボルとなっている「津貫」と大きな文字が目立つタワー。元々は甲類焼酎用の連続蒸留器が収められていた建物だったので、このような背の高い建物なのですね。内部は本坊酒造の歴史をまとめた博物館のような佇まい。歴史年表、津貫の説明、昔の単式蒸留器の片割れ、使われなくなった連続蒸留器などなど。

年表はこちらにも記載されていますが、改めて見てみると、本坊酒造がいろいろな酒造りに手を広げながら発展していったことがよくわかります。戦後の復興と発展の流れの中で1949年にウイスキー製造免許を取得、日本ウイスキー界のある意味「裏役」としての立役者となった岩井氏との関係、その後一度停止してしまったウイスキーづくりなど、歴史浪漫が感じられます。

 

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続いて蒸留設備。

入ってまず「あれ?」と思いました。なんというか、ウイスキー蒸留の香りではない、違った香りがする。その疑問は一番最初に顔を見せた蒸留器によって氷解しました。独特の形状をした蒸留器、ジンですね。

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津貫蒸留所ではジンの蒸留も行っており、このときはウイスキー蒸留に先立ってジンを蒸留しているところでした。別々のスチルを使っているため味には特に影響しないと思いますが、様々なポットスチルが入り交じっているのはとても面白い絵です。

 

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ジンに使われるジュニパーベリー。こうして見るとたしかに「ベリー」らしく、小粒なブルーベリーといったところ。ひとつ食べさせてもらったところ、ベリー系の甘酸っぱさの奥からジンらしいあの香りがやってきます。なんとなく香りから青い実を想像していたのですが、百聞は一見にしかず、ですね。

 

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先程のジンの蒸留器はイタリア製でしたが、ウイスキー用のポットスチルは三宅製作所のもの。まだ新しくピッカピカです。やや小さいですが、特に右側なんかはラガヴーリンに似た形状ですね。ラインアームは下向きで、重めの酒質を狙っているのでしょうか。

ひとつだけやたら古めかしい小さな蒸留器がありますが、これは昔のウイスキー蒸留器の片割れだそうです。もうひとつの片割れは、先程の蒸留塔跡の中に鎮座していました(古すぎて使えないらしい)。いずれ新しいポットスチルもこのような年季の入った色合いになるのでしょうか。

 

その2に続きます。

ウイスキーのロックに改めて気づかされること

夏の盛りも過ぎてしまったころですが、ロックで飲むウイスキーについて書こうと思います。

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しっかりしたロックグラスを持っていないのが残念なところ。

つい最近のことですが、ウイスキーをロックで飲むと美味しいな、と思いました。

何を言ってるんだと思われるかもしれませんが、あまりロックで飲むことが無かったのです。ストレートで飲むウイスキーは香りがよく開いてくれて、ただ味わうだけではなく香りも含めて愉しませてくれます。その経験があるからでしょうか、夏場といえどもロックで飲むのを避けてしまうのは、どうしても香りが閉じてしまうから。しかし、口に含むとどうしてもぬるさが目立ってあまり美味しく感じない。香り味ともにどうも一段劣るように思え、結果的に夏のウイスキー消費は落ち込むわけです(個人の感想です)。

また、これもまた良く聞く話かとは思いますが、本場スコットランドではロックは邪道、ストレートか少量の水をいれるのみ、という話。実際には多くの方が「自由に飲めばいい」と言っていますが、なんとなくそのイメージを引きずっているところがあるのかもしれません。

まあ、夏場はハイボールでサッパリ、というのが多いのもあります。ロックよりもハイボールかな、と。

そんな自分でしたが、久しぶりにロックで飲んでみたところ、「あ、美味しいな」と思うことが増えた。それをきっかけに、いろいろなモルトをロックで飲んでみているところです。ロックにするとミネラル感や奥に潜む系のピートのニュアンスが取りやすくなるように思います。ストレートとは違った味わいを感じることができるので、逆にストレートで飲んだときに様々な要素を感じやすくなるのではないかと期待しています。

あとはやはり冷たさを感じると飲んだときのフィーリングが良いですね。昔は氷が溶けることによって薄まるのが嫌でしたが、最近は薄めのものもそれはそれでありかな、と思うことも多いです。あまり飲みやすくなると、逆にスイスイ飲んでしまってすぐに酔ってしまうのがよろしくありませんが。

 

とけない氷といえば、金属でできたアイスキューブ(?)なども売られています。ちょっと興味はあるのですが、どうも食指が伸びません。というのも、殆が金属か石のような見た目で、どうも受け付けない。やはりロックの良いところは透明と琥珀色の美しさにもあると思うのです。見た目は味わいに影響しますからね。というわけで、透明で美しく、かつしっかりと冷やしてくれるようなアイスキューブでもないものか、なんて思っているところです。

 

鳥海山 純米大吟醸 無濾過生原酒

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鳥海山 純米大吟醸 無濾過生原酒

  • アタックから米の旨味が強く、フルボディ、飲み終わりまで終始一貫した強い主張
  • メロン系のフルーツ感どっしり、米の美味さと大吟醸らしいひっかかりの無さが素晴らしい
  • 目の覚めるような日本酒

ラベルが地味なので落ち着いた味わいかと思いきや、凄いパワーを持った鳥海山でした。無濾過生原酒だからこその凄さ、という感じです。ちょっとこのボトルはオススメしておきたい。

スペイバーン蒸留所がラインナップをリニューアル

スペイバーン、飲んだことありますか?

いや、こう言ってはなんですが、正直マイナーですよね。というのも、ここ数年はオフィシャルボトルが10年のみだったことも影響しているのではないかと思います。まあ、元々ブレンデッド用がメインという趣もありますし、表立って売り出していこうという気概はあまり感じなかったところです。

が、ここに来てオフィシャルのラインナップを一新するという情報が入ってきました。

SPEYBURN – OUR WHISKY RANGE

ラベルのリニューアルとともに、スタンダードの10年に加えて15年が登場しています。また、NASシリーズで2種類、Golden Salmon の意味だというBRADAN ORACHは、若いニュアンスを逆に武器としているようです。もうひとつはアメリカ向けのARRANTA CASKS。大胆不敵、という感じの意味でしょうか。

10年はさておき、15年は気になるところです。本当は以前のように21年クラスのものが出てくれると嬉しいのですが、さすがにそこまでは望めないですかね。スペイバーンはナチュラルで軽やか、どことなく古典的なスペイサイド・モルトだという印象でしたが、最近は変わってきているのでしょうか。あまり飲んでいないところでもあったので、機会を見て試してみたいと思います。

 

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ロセスの町はずれにあるスペイバーン蒸留所。2014年の際には拡張工事中で、隣が大きく工事現場となっていた。工事が完了したのもリニューアルの理由のひとつかもしれない。

ウイスキー投資の影と光

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先日、オーストラリアのウイスキー業界で詐欺ともいえる事件が発覚しました。

TAS州のウィスキー樽一般投資募集破綻に

最近その知名度が上がってきているタスマニアウイスキーですが、こんな形でさらに知名度が上がるというのも残念ですね。

事件があったのはナント蒸留所。蒸留所がウイスキー樽を販売するのは以前から一般的になってきていますが、その樽を4年間熟成させたあと、蒸留所が利息を上乗せして買い戻すという仕組みだったようです。年率9.55%といいますから、相当な高利率ですね。しかし、実際にはナントはウイスキーを適切に生産管理できておらず、結果的にでっちあげの詐欺ということに。元から詐欺にしようとしていたのか、それとも良いウイスキーが出来ずに次第にバラせなくなってしまったのか定かではありませんが、まああんまりまともな商売じゃなかったというわけですかね。

ウイスキー製造もビジネスですから、どうやって商品としての価値を高めていくかは様々な方法があり各々の手法があるのは当然なことです。ですが、熟成して世に出るまでに時間がかかるというウイスキーの特色が、いろいろと面倒なことを引き起こしているなあ、と感じることがこのところしばしば。原酒不足にしてもそうでしょう。難しい商品ですね、ウイスキーというのは。

思ったよりも人気が出てしまい、原酒が不足して、樽売りしたものを最終的には蒸留所が買い戻すということも、最近の一部の蒸留所では聞いた話です。そういう前例があるのも、こういった詐欺的な商品が、おかしいとは言い切れない原因のひとつになってしまっているのかもしれません。いずれにしても甘い話には裏があるということを念頭に、投資をする際にはよくよく考えることが必要ですね。

 

一方で、3年ほど前に香港で始められた「ウイスキーファンド」。当初はかなりの話題になりましたが、こちらは順調な結果を出してファンドを閉じることになるようです。

希少ウイスキーファンド、成功に酔いしれ清算へ-予想上回る人気の中

長期的に続けていくようなものではなく、一時的な時価の高騰を狙って短期間で終わらせる、というのは良い判断であるように思えます。特にこの数年は一部のウイスキーの需要がかつてないほど高まった時期でしたので、このようなファンドも悪くなかったのかもしれません。あまり両手を上げて賛成はしかねますが、投資商品としては良いものだったということでしょう。少なくとも、某ワインファンドよりはマシな運用がされていたようですね。

 

何にどれだけお金を出すかは個人の自由ですが、お金が集まるところには何かと厄介なものも紛れ込んでくるものです。最終的にはご自身の判断でということになりますから、有象無象にご注意を。

 

御慶事 純米吟醸 ひやおろし

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御慶事 純米吟醸 ひやおろし

  • 香りはバナナ、味わいには白ぶどうが優位のフルーツ感しっかり
  • ボディふくよか、後味に心地よい雑味があり印象的
  • 分かりやすさと複雑さを兼ね備えた、満足感が高い一本

バランスが良いながらもハイレベルな美味しさがキラリと光る一本でした。