月別アーカイブ: 2017年10月

キルケラン 12年 グレンガイル蒸留所

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諸事情でボトルが割れてしまったため、代用ボトルです……。

Kilkerran 12yo (OB, Glengyle Distillery, 2016, 46%)

香りはレモン、酸味が強めの柑橘、やや薄めの麦芽ジュース、ほんのりとヨーグルトやバター、ミネラル感、奥にひっそりとアーシーなニュアンス、ピート感だろうか、ボディ薄めで線が細いイメージ。

味わいは優しいタッチでふやかしたシリアルに少しハチミツ、洋ナシ、微かに桃のニュアンス、全体的に薄め、奥からじんわりとミネラル感とピートなのだろうか、じっとりとした苦味も感じる複雑さがあるフィニッシュ。

ロックではミネラル感、しっとりとしたピートが良く立ち上がる。レモンウォーターのような清涼飲料水のようなほろ甘さも。
結構良い変化。

【Good/Very Good】

昨年2016年にようやく Work in Progress ではないオフィシャルラインナップとしてリリースされました、グレンガイル蒸留所のキルケラン12年。スコッチ好きの方であればもはや説明不要かと思います。だいぶ今更感が漂っていますが、先日近場でボトルを見つけて何となく気づいたら買っていました。いやまあ、安かったですしね。

まだ若いニュアンスは残っているものの、刺々しさは特にありませんし、フルーツや麦の甘さとミネラルやピートのほろ苦さが良いバランスをとっていて、ゆるゆる飲むにはかなり適したボトルです。フルーツ感は控えめで、なんというか、日本の果物ではなくヨーロッパの(あまり甘くもなくちょっと味気ない)果物という感じ。個人的にはロックにしたときのエッジが立ってくるほろ苦さに好印象を受けました。

 

現地リリース直後の2016年5月にスプリングバンクとグレンガイルに寄っていたこともあって、蒸留所スタッフのちょっとした熱気がこもった説明や雰囲気を良く憶えています。スタッフにとって、このキルケラン12年はようやくこぎつけたリリースだったようで、苦労がたえなかったそうですがそれが報われた、ということでした。

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キルケラン蒸留所の Work in Progress シリーズが誇らしげに肩を並べていた

 

現地でも、そして日本に帰ってきてからも仲間内で飲んだりしていて、ただし自分はそこまで好みではないかな、という印象だったので特に食指が動かなかったのですが、改めて飲んでみると決して派手ではないですがしっかりした味わいで、やや古典的なスコッチの王道を行くような味。ロックもハイボールもこなせるオールラウンダーとして重宝しています。これは今後も楽しみですね。

一方で、継続してのリリースが無いのか輸入元が手配できていないのか、どこも売り切れ状態なのが気にかかります。次のリリース、15年熟成あたりを狙っているのでしょうか。あまり大きな生産量ではないようなので継続リリースが難しいのかもしれませんが、気長に待ちたいと思います。

 

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[動画紹介] 2003年収録のスコッチウイスキードキュメンタリー

久々に動画の紹介です。

2003年に収録されたスコッチウイスキーのドキュメンタリーで、様々な業界人へのインタビューでスコッチウイスキーの魅力を語る、というものです。

デイヴ・ブルーム、チャーリー・マクリーン、リチャード・パターソン、イアン・マッカーサー etc… スコッチウイスキー、特にシングルモルトにハマっている人ならご存知のあの方々が登場されますが、

とにかく皆さん若い!!(笑

15年も前なので当たり前といえば当たり前でしょうが、なかなかにギャップがあってちょっと面白いです。後半にはハイランダーインの皆川さんも登場していますが、やはりお若い。裏を返せば、それだけ長い間を最前線で過ごしている方たちなわけですから、本当に凄いことだと思います。

ドキュメンタリーの中身はまあ良くあるスコッチの歴史と現在といったところなので、知っている方には今更なものも多いですが、上記の面々の若かりし姿や過去の蒸留所やツアーの様子、当時のボトルラインナップなどいろいろな細部に興味が尽きませんでした。

スリーシップス バーボンカスクフィニッシュ

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Three Ships Bourbon Cask Finish (OB, 43%)

香りはカスタード、バニラ、穀物由来の甘やかな香り立ち、井草っぽさと紙のニュアンス、バナナと微かにパパイヤのようなフルーツ感。

味わいは薄めたような紙とトロピカル感、穀物の単調な甘さ、ミドルから草模様が広がり、若干のエグみが口腔内を覆う。フィニッシュにかけては微かなトロピカル感が再び顔を覗かせるがややドライに終わる。

【Good】

南アフリカのジェームズ・セジウィック蒸留所が手がけるブレンデッドウイスキー。アワードを受賞した5年ものの姉妹品で、バーボンカスクフィニッシュというこちらは3.5年の熟成期間だそうです。

最初に飲んだときの第一印象は「割とよくできたアイリッシュ・ウイスキー」でした。アイリッシュに独特な紙っぽさと裏返しのほんのりとしたトロピカルフルーツ感があり、軽やかな仕上がりも手伝ってアイリッシュっぽいという印象でした。「グリーンスポット」や「キルベガン」などに近いように感じます。

開けたてはもう少しフルーツ感が出ていたのですが、開栓後3ヶ月ほど経ってこなれてきたのか、やや草っぽさが主張してくる感じになってきました。前述の5年よりは華やかさがあって、自分はこちらの方が好みでした。夏の暑いときにロックで飲むのもなかなかに良かったです。ハイボールは少し紙っぽさが目立ってしまったので、1回だけ試したきりになってしまいました。

 

バーボンカスクフィニッシュの3年半という熟成期間は、マルコポーロがヴェニスからイェルサレム、そしてクビライ・カーンに謁見したという東方見聞録の旅程からヒントを得ているとか。その航路に南アフリカは関係が無いはずですが……(笑) まあ、そういう旅の時間というのを意識したシリーズなのでしょう、スリーシップスというのは。

 

スリーシップス 5年 南アフリカ ウイスキー

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いわゆる5大ウイスキーといえばスコットランド、アイルランド、US、カナダ、日本ですが、それ以外の国でも勿論ウイスキーは作られています。インドのアムルット、台湾のカヴァランなどはかなりメジャーになってきたと思いますし、オーストラリアや北欧のブランドも勢力を増してきているのを感じます。

一方で、南アフリカでもウイスキーが作られているのをご存じの方はどれほどいらっしゃったでしょうか。自分はウイスキーマガジンのこちらの記事で初めて知りました。スリーシップスを作っているアンディ・ワッツ氏は、ボウモアで実務経験を積んでいらっしゃるようです。ちょうど日本の竹鶴氏がスコットランドで修行をして自国でウイスキー造りを進めたように、どこの国にも先駆者としてウイスキー造りと普及に邁進されている方はいらっしゃるのですね。

かねてから飲んでみたいと思っていたこちらのボトルは、2012年のウイスキーワールドアワード(WWA)で「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー」を獲得したものです。

さて、その味はといいますと……

Three Ships 5yo (OB, 43%)

香りはスモモ、ラズベリー、ジンのようなジュニパーベリーのニュアンス、カスタードクリーム、軽くカモミール、タールのようなニュアンスも潜んでいる。

味わいは優しい立ち上がりの麦感、徐々にヒリヒリとホワイトペッパー、ヨモギのようなハーブのような植物感、やはりジンのようなジュニパーベリーのニュアンス、グレーン由来と思しき軽い風味で〆るフィニッシュ。

【Okey】

正直、かなり軽いですね。ちょっと平坦であまり特徴の無いブレンデッド、という感じではありますが、しいて言えば華やかな甘さだけではなく様々な要素が混在していて複雑さはあると思います。ちょっと不思議なのは、ジンに感じるようなジュニパーベリーのニュアンスが含まれていること。ハーブ感もとらえているのでそのあたりから派生した香りでしょうか。ちょっと面白いところです。

が、これがワールドベストのブレンデッドかと言われると、正直首を捻ってしまいます。同価格帯でももっと分かりやすく美味しいものはありますし、わざわざこれを選ぶ理由が無いかな、というのが率直なところ。物珍しさはありますし、未熟感は明らかにバランスが崩れているということはありませんから、品質的には優れたものだと思いますが……。

 

とまあ、味の感想はこのくらいにして。

南アフリカと言うと暑い地域という印象ですが、ジェームズ・セジウィック蒸溜所があるのはケープタウンの近郊。ケープタウンの気候を見ると、最高気温は冬は平均10℃弱、夏は平均26℃程度で意外と冷涼なようです。結構穏やかな熟成となりそうですが、雨がちで湿度がやや高めというあたりがスコットランドと異なるところでしょうか。アフリカに行ったことはないのでなんとも言えませんが、温度湿度的には日本に近い気もします。

ジェームズ・セジウィック蒸溜所は130年ほどの歴史があるということで、日本のウイスキー蒸留所よりも長いようですね。ただ、その間ずっとウイスキーを製造していたかというとそうではなく、元々は主にブランデーの蒸留を行っていたようです。そこに、前述のアンディ・ワッツ氏がスコットランドから技術を得て、ウイスキー造りに適した設備を導入し、スリーシップスのブランドを立ち上げていきました。

ブレンデッド・ウイスキーなので、もちろんグレーンも入っています。グレーンは当初はスコットランドからの輸入で、そこに自社蒸留したモルトと混ぜていたようですが、現在はコラムスティルを導入しており自社製造しているとのこと。今では100% Made in South Africa というわけですね。

スリーシップスの名は、大航海時代かそれ以前から港町として栄えたケープタウンにちなんだもの。また、5年という熟成年数は、ビーグル号でガラパゴスを含む世界各地を航海したダーウィンからヒントを得ているようです。確かに、途中でケープタウンにも寄港していますね。

未知への憧れが世界を動かした時代のロマンを、現代に再現したいのかもしれませんね。最近はシングルモルトもリリースされたという話も聞きましたので、機会があればどこかで飲んでみたいと思います。

 

スコットランドと赤いライオン

スコッチウイスキーをある程度好む人なら、アザミといえばスコットランド、というイメージはあるかと思います。その由来や国花とされているアザミは、ウイスキーのラベルにもよく描かれていますね。

一方で、赤いライオンのシンボルマークも、スコッチウイスキーを良く飲む人には馴染みがあるのではないでしょうか。というか、ライオンというとベルギーの方が思い浮かんだりしたものですが、スコットランドでもそうなのか……? よく見かけるなあと思っていたものの、自分はつい最近までこの由来を知りませんでした。

 

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赤いライオンが印象的な、ダグラスレインのブレンデッド・ウイスキー「キングオブスコッツ」

レッドライオンはスコットランドの国章で、スコットランド女王メアリーの第一子であるジェームズ6世(イングランドではジェームズ1世)が広めたとされています。今でもイギリスでは Red Lion の名を持つパブはとてもポピュラーでどこの街でも見かけるそうな。一体いつから国章となったかは分かりませんが、「まさしくスコットランドであるもの」に対して国章であるレッドライオンを掲げるというのは、日本なら桜をモチーフにするようなものなのでしょう。ちなみに金のライオン3頭がイングランド、アイルランドは竪琴が国章となっています。

 

一方で、イギリスといえば紋章の国、というくらい紋章がたくさんあるわけですが、王室の紋章で左右(サポーターといわれる部分)に描かれているライオンとユニコーンは、ライオンがイングランド、ユニコーンがスコットランドを表してます。中心のシールドの中には、上に書いたイングランド、スコットランド、アイルランドのモチーフも描かれていますね。

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イギリス国章は王室の紋章でもある

さて、そうするとレッドライオンとユニコーンはどちらがスコットランドを表すものなのだろう? と疑問に思うのですが、実はどちらもスコットランドの象徴となっていて、ユニコーンは国獣とされています。日本の国鳥がキジなのと似たようなものでしょうか。想像上の獣が国の代表というのも面白いものです。

 

というわけで、レッドライオンやユニコーンがスコッチウイスキーのラベルに描かれるのはある意味自然なことだったわけです。

 

レッドライオンが印象的なのは、前述の陶器ボトルに大きくあしらわれたレッドライオンが印象的な「キングオブスコッツ」ブレンデッド・ウイスキーの他には、RED_LION

まさにそのままの名前を冠した「レッドライオン」ブレンデッド・ウイスキー。

 

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ホワイト&マッカイのラベルといえば「ダブルライオン」が有名ですが、これもレッドライオンの派生でしょうか。

 

また、ユニコーンを初めて見かけたのはキングスバリーのラベルでした。

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一時期、様々なシリーズがリリースされていたキングスバリー。改めて見てみると、右側の盾にはレッドライオンも描かれていたのですね。左側は青地にポットスチルでしたか。青はスコットランドの色でもありますし、まさにスコッチウイスキーですね。

 

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少し毛色は異なりますが、スリーリバーズからリリースされていた「貴婦人と一角獣」シリーズも、そういう意味では繋がりがあってのもの……だったのでしょうか。どちらかというとシリーズものとして受けが良さそうだったから、という理由かと思いますが。貴婦人と一角獣のタペストリーはフランスのものですが、描かれているのはライオンとユニコーンのセットなので、何かしらの繋がりがあるのかもしれませんね。

 

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その他にも、フェッターケアンは最近のラベルではユニコーンがモチーフとして描かれていました。

 

こうして見てみると、様々なラベルで使われていることがわかりますね。向こうではレッドライオン、ユニコーンともに自然に扱われているモチーフなのでしょう。こういうのはどこの国でも持っているものだと思いますが、その由来を知ってみると、なるほどラベルの見方も変わってくるかもしれませんね。

 

お気に入りの一本

唐突ですが、料理することが好きです。

別に上手でもなんでもないんですが、自分で何か作ってそれを食べると結構満足感があります。まあ、ちょっとは不味くても食べられなくなければそれなりに美味しいと感じることができるので、馬鹿舌なのかもしれませんが。

自分で手をかけたものは評価が高くなる。これは科学的にも証明されていることで、「インバルブメント効果」と呼ばれます。なるほど、人間というのは思い込みが強いからですね。先入観などによって同じボトルでも美味しく感じたりそうでもなかったりと、バイアスがかからないことは無いといっていいほどだと思います。

「苦労して手に入れた一本」が美味しいと感じるのは、ある意味では自然なことなのかもしれません。それはそれで良いことだと思っていて、思い入れのあるボトルというのはその人にとって大切な思い出と繋がっているものだと思います。昔だれかにプレゼントで貰ったもの、バーでおすすめされて美味しかったもの、酒屋を巡ってようやく手に入れたもの etc…

自分の場合は、スコットランドに旅行して現地で詰めたボトル、良くヴァリンチやハンドボトリングという名前で紹介していますが、これらが思い出深いボトルです。昨日、久しぶりにケイデンヘッドで詰めたボトルを飲んで、懐かしさを感じると共に「やっぱりこれ結構良いよなあ」なんて浸っているところでした。

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キャパドニックとリベットが特にお気に入り

 

旅のお土産ボトルは、単なる土産ものというだけではなく、将来感じるであろう懐かしさまでを含めたものなのかもしれません。そう考えると、ちょっと奮発するのも仕方のないことなのかもしれません。

というポジティブ思考で高いボトルを買ったことを正当化してみてはいかがでしょう(笑)