月別アーカイブ: 2018年12月

Look Back : 2018

Gallery-R0013184.jpg

年の瀬ということで、今年一年を振り返ってみようかと。

思えば、年始を病院で迎えるという最悪からのスタートでしたが、その後なんとか復帰を果たし、通常の生活に戻れたことはなによりだったと思います。今また少し悪化してきてしまっているので、その立て直しが急務ですが……こればかりは焦らずに進めていくしかありませんかね。

酒関連のことで言えば、上記の通り体調面の問題もあったせいかもしれませんが、ウイスキーに限らずもっといろいろなお酒を試してみようと思ったのが今年の前半。ラムやジン、コニャック、アルマニャックなどを試したりイベントに参加したりと、いつもとは違った風景からのアプローチとなりました。イベントに行ってみると、客層がかなり違うことでそれぞれのマーケットや特色があるのだな、と感心することしばしばでした。

一方で後半はウイスキー色が再び強くなり、特に9月~12月はウイスキー写真展への参加準備とイベント本番ということで、またウイスキーに戻ってくる形となりました。テイスティングについてはあまり多くはできなかったものの、いつもよりウイスキーを感じる様々な機会が多かったように思います。

今年のハイライトはやはり12月の写真展でした。今まで撮ってきた写真がこういう形で実を結んだのはとても嬉しいことです。そして、写真展を通じていろいろな方とお話できたことが何より楽しかったですね。「ウイスキー好き」の形というのはただ飲むだけじゃない、という一例を示したイベントだったと思います。

さて来年はどうしようか。

ということについては特に考えていないです。これまで通りウイスキーや日本酒のテイスティング記事をときどき上げる程度かと思いますが、特別な何かをするつもりは今の所考えていない状態です。

写真ギャラリーを整備していくのはやりたいですね。先日はウイスキーとは関係ない写真ポートフォリオを紹介しましたが、ここではウイスキー関連の写真ギャラリーをもう一度設置したいと思います。

今年になるかどうかはわからないものの、ライフワークとしてスコットランドの蒸留所はもっと巡っていきたいので、いずれまた行くつもりです。スコットランドの蒸留所は70箇所巡っていて、残りはざっと30ちょっと。次回で9割くらいまで制覇したいと考えています。その際にはまた写真を撮ってきて、何かの形で公開していきたいですね。

というわけで、今年一年、ありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願い致します。

Elixir Distillers がアイラ島に新蒸留所を計画中

エリクサー・ディスティラリーズ(Elixir Distillers)のブランドを有する英ロンドンの酒商 Whisky Exchange が、アイラ島に新蒸留所の建設計画を提出したようです。

PLANS SUBMITTED FOR NEW ISLAY DISTILLERY

3d24a885b5c932b6357b2ba4cac9ef36

Image via scotchwhisky.com

ラフロイグ、ラガヴーリン、アードベッグというアイラ島南側の3蒸留所の、さらにその西側に建設されるという新蒸留所(名称未決定)は、現代的な建築と設備を持ち、ウイスキーだけではなくジンやラムなども蒸留できる設備や、ウイスキーのためのフロアモルティング設備も持たせる模様。フロアモルティングはボウモア、ラフロイグ、キルホーマンに続くアイラ島4つ目ということになりそうです。

外観イメージを見ると、現代的な建物ということでパゴダが見当たりませんね。また、熟成庫は地下というか丘の側面をくり抜いた場所になるようです。ポットスチル4基、ウォッシュバック16基、最大120万リットルのアルコール生産ということで、かなり大きい蒸留所といえそうです。

2021年に蒸留を開始予定のようですが、まあ往々にして遅れるのが常ではあるので今のところは計画がされているだけという認識の方が良さそうです。とはいえ、スキンダー・シン氏の長年の夢だった蒸留所がいよいよもって建築されるのか、注目が集まりそうです。

個人的には、ポートエレンも可動予定、アードナホーも建築が進みここにまたさらに新蒸留所となると、ウイスキー関連の魅力は増えるのは良いことなのかもしれませんが、島の自然環境への負荷は大丈夫なのかと心配になります。現在でもかなりの負荷がかかっているという話を以前に聞いているため、今後どこかでその歪が表に現れてくるのではないか、気になるところです。

グレンモーレンジ 10年 2000年前後流通ボトル?

ゆったりとした麦の旨味と少しのオレンジ感、良い塩梅です。

20181222_162907.jpg

GlenMorangie 10yo (OB, +/- 2000?, 1000ml, 43%)

香りはオレンジオイル、やや透明感のある麦の甘さ、軽く焼いたクロワッサン、ミネラル感、少し火薬っぽいニュアンス。

味わいは非常に優しい口当たりで、カスタードプリン、マーマレードジャムと薄い紅茶、ミドルにはじわりと硬質なアーシーさ、暖かい薪ストーブのような、燃やした木を感じるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

10 YEARS OLD 表記ではなく TEN YEARS OLD 表記のため、1990年台後半~2000年前後の頃でしょうか? そのあたりと思われるグレンモーレンジのスタンダード10年。リッターボトル仕様です。

基本的には現行の10年と味の方向は似てはいるものの、味の主体がしっかりとした麦感であるところが少し異なるように思えます。現行のものは、樽使いがうまいものの、どうもボディの厚みではこの頃から一段劣るように思えました。

刺激のなさはピカイチで、染み込むような味わいが非常に心地良い。経年による抜け、かとも考えましたが、全体的にコルク臭やヒネのようなものは全く感じられず、ボディの厚みはなかなかのものだったので、ちょっと違いそうです。リッターボトルのためか、全体的に状態は良好でした。

10 YEARS OLD 表記のものは、これよりもさらに麦の厚みが強いという話ですので、かなり美味しそうですね。こういうモルトを家でゆるゆると飲めるのはひとつの幸せだと思います。

ちなみにDFSというのは……Duty Free Shop の略ということで良いのでしょうかね?

グレンリベット12年 1990年頃流通ボトル

スタンダードにして懐深い、基本にして王道です。

20181221_210742.jpg

GlenLivet 12yo (OB, +/- 1990, 75cl, 43%)

香りはやや古酒の趣き、カスタード、リンゴ、洋ナシ、焼き立てのスポンジケーキ、穏やかなピートの香りとややアーシーなニュアンス。

味わいはスルリと引っかかりのない口当たりで、カスタードケーキ、リンゴのコンポート、出がらしの紅茶とシフォンケーキのニュアンス、ジワリと穏やかな乾いたピート感のフィニッシュ。

【Good/Very Good】

特級表記ではない、赤いアザミが特徴的なラベルのグレンリベット。1990年代前半の流通と思われます。

こちらは、BAR LIVET さんへの訪問時にいただきました。ここではやはりグレンリベットを飲んでおきたかったので。

思えば、現行品にしてもグレンリベットをしっかりと飲んだのはいつ以来だろう、と思ってしまうくらい、スタンダードすぎて食指が動かなかったりもしますが、この年代のものは下支えするピートに裏打ちされた、穏やかながらも多彩なフルーツ感がスペイサイドらしい華やかさを演出しています。

やや経年による香りがあるものの悪くないニュアンスで、軽めのアルコール感はスターターとしてぴったりでしょう。もしくは、少し疲れているときならこれだけをゆったりと飲んで眠りにつく、なんていうのも良いかもしれません。

しっかりと味わうといろいろと発見があり、スタンダードにして奥深さも兼ね備えた佳酒です。
この日は、先日の写真展で出展していただいたWhisktailの件も含め、いろいろとお話をすることができました。BAR LIVETは2号店もオープンされる予定で、鋭意準備中ということです。場所は現在のお店から1分もかからないくらいの場所だとか。

今後ともますます活躍の場が広がっていきそうな静谷さん。陰ながら応援しております。

[ブラインド] ロングモーン 1973-2015 G&M

つづいてもうひとつのブラインド出題を。

DSC09524.jpg

【ブラインドB】

香りはレーズン、いちじく、かすかに乾いたピート、ヨード感はあまりない、オレンジオイル、湿った布、微かにナッツのような香ばしさがある。

味わいは染み込むような麦感とオレンジマーマレード、サルタナレーズン、ミドルから徐々にパワフルさが出てきて、ナフタレンやナッツのようなオイリー感が少し、後半に軽めのピートと煙が締めてくる、じわりと刺激が残るオレンジと煙の混在したフィニッシュ。

【Good/Very Good】

オレンジ感と後半の落ちついたスモーキーさが印象的。シェリー樽のニュアンスがあるもののそこまで強くはなく、バーボン樽6割+シェリー樽4割くらいのヴァッティングだろうか。シェリー樽のニュアンスが近年系とは少し異なる気がする。往年の素晴らしいシェリー樽に近い方向だが、なにか少しニュアンスが違うような。なんだろうこれ。

味は、感動的とはいかないまでも、落ち着いていて親しみやすい。優しいアタックで良質のシェリー感と下支えするピート感の複雑さが好印象。リラックスした雰囲気でゆるゆると飲みつづけていたいタイプ。

こなれた感じはオフィシャルのややオールド寄りか。アイラではない軽めのピート系という方向性で絞り込んでみた。

蒸留年:1980年代前半
熟成年数:18年程度
度数:46~48%
樽:バーボン樽とシェリー樽のヴァッティング
蒸留所:①ハイランドパーク ②スプリングバンク ③グレンギリー

という回答に対して正解はこちら。

SRf-kskb

ロングモーン Longmorn 1973-2015 G&M 43%

G&Mのロングモーン、1970年代前半のボトルでした。

こちらも盛大に外していますね。当たっている部分が見当たらない……。

出題者のGさんいわく、「少しサルファーが出ていてあんまり期待した味わいではなかった」ということですが、確かにちょっとシェリー樽の味わいが微妙な感じです。いわゆる「G&Mらしいシェリー樽」の味わいとは一致しないんですね。なので、自分も1970年代ではなくもう少し後かな、という回答になったのでした。

2012年くらいまでは、このラベルと似た感じでG&Mからたくさんのロングモーンが出ていたのですが、どれも評価はかなり高かったと思いました。当時はこれが普通、くらいの意見が多かったのかもしれませんが、今となっては……というのが最近のお約束。

さて、ブラインドAの回答もそうなのですが、熟成年数が全然答えられていないですね。なんか最近、熟成感というのがよくわからなくなってきました。アルコール感と若さでなんとか答えを出してしまっている感じで、一定以上の熟成となると全然認識できていない感じ。どの部分を熟成ととらえるのかをちゃんとチェックしないとダメですね。

 

[ブラインド] グレンオード 30年 オフィシャルボトル

久々にブラインドのチャレンジを頂いたので、やってみました。

DSC09524.jpg

【ブラインドA】

香りは熟したリンゴ、ピーナッツ、洋ナシ、こなれた麦感とハチミツ様、濡れた布のニュアンス、少しセメダイン。

味わいは強いアルコールの刺激的なアタック、洋ナシ、青みがかった瓜のニュアンス、ガムシロップ、甘じょっぱいキャラメル、白ぶどう、突き刺さるようなアルコール感にヒリつくフィニッシュ。

加水するとやや若いアルコール感とシナモン様が目立つ。味わいは少しチョコレート様が混じるが、基本的にドライな樽感が浮ついている。

【Okay】

やや若さも感じる、樽の味付けがあまりないプレーンな酒。もしかしたらリフィルのシェリーということもあるかもしれないが、3rd Fill以降だと思われる。若さ由来の香味と、樽感もやや生木っぽさがありうまくまとまっていない感覚。

10年前後と思いたいが、最近のリリースでは15年前後でもこのような香味になることがあるため悩ましい。甘じょっぱい味わいからは北ハイランド系を意識する。あまり多層的でない直線的な味わいはシングルカスクと推測。ボトラーズものだろうか。

蒸留年:2000年代後半
熟成年数:10年程度
度数:55%前後
樽:バーボン樽
蒸留所:①クライヌリッシュ ②プルトニー ③バルブレア
という回答に対して正解はこちら。

VhPntRRf

グレンオード Glen Ord 30年 オフィシャルボトル 58.7%

回答頂いて、自分でも驚きましたよ、えぇ(苦笑)

とりあえずスペック的なお話をすると、グレンオード30年は2005年頃に出まわっていたボトルで、逆算すると1975年前後の蒸留の原酒ということになります。今回のブラインドの回答では、度数と地方については概ね当たっていて、特に回答では③にバルブレアと書く前にオードと書いていたのでちょっと残念な。まあそれ以前に熟成年数が全く当たっていないわけですが。

なんでしょうね、酸味のある香味とハイプルーフなアタックで完全にイメージが引っ張られた感があります。10年くらいのハイプルーフなシングルカスクのオードなんて、最近リリースあったかな? と思って、比較的リリースが多かったバルブレアを入れたのでした。

それにしても、ちょっとこれはショッキングというか……。なんかいろいろと申し訳ないのですが、自分の飾らない評価は上記の通りということですね(笑)

ここ最近、「往年の麦感があるモルト」(漠然としてますが)が味わえないかと考えていて、そのイメージの最初に挙がったのがこのオードでした。あとは、カーデュとかノッカンドゥあたりがイメージ先行ですが候補に挙がっていました。

そこにちょうどこのオードがやってきて、ブラインドで飲んでみるとなんだか自分には合わない味わいという結果に。結論として、昔のモルトが(自分にとっては)常に美味しいとは限らない、ということを見せつけてくれたわけでした。

現行品でも良いボトルあるのでそっちを探せ、ってことですかね……。

とにもかくにも、良い経験になりました。
Gさん、感謝です!

グレンフィディック Pure Malt 1990年代流通ボトル?

ちょっと状態悪かったかもしれませんが、とてもスタンダードです。

20181222_164453.jpg

GlenFiddich Pure Malt (OB, +/- 1980s?, 75cl, 86 US Proof)

香りは少しヒネのような古酒感、淡い植物感、青リンゴ、古い家具のニス、少しつんとしたアルコール感、マヨネーズっぽいニュアンス。

味わいはリンゴ、柿、べっこう飴、ジワリと植物感、少し焦がしたカラメルで苦味がある、キャベツなどの野菜の甘さ、植物油のようなオイリーさ感じるフィニッシュ。

【Okay】

グレンフィディックのピュアモルト、86 US Proof表記で中国? 香港? まわりのボトルのようです。年代鑑定に詳しくないのでわからないのですが、1980年代の流通ボトルでしょうか。

軽やかなモルトの風味に少しヒネたような味わいが加わっていて、いかにもオールドボトルらしい味わいになっています。やや植物っぽいニュアンスが全体的に感じられたのが気になるところで、あまり自分の好みではないので評価はそれなり止まりとなっています。

スコッチの有名銘柄らしく、非常にライトでスムースな味わいを追求しているのはこの時期も同じでしょうか。同時期のグレンリベットと比べてもかなりライト志向のように思われます。

積極的にストレートで飲むかと云われるとちょっと考えてしまいますが、様々なモルトとの比較というかベースライン的な意味で参考になる味わいだと思いました。

20181222_164506.jpg