月別アーカイブ: 2019年3月

ジャックダニエル シングルバレル “バレルプルーフ”

度数の高さに驚きますが、非常にポテンシャルの高い原酒です。

Jack Daniel’s Single Barrel “Barrel Proof” (OB, Barrel No.18-7014, 134.9Proof/67.45%)

香りは新品の木製家具、あるいは樽そのものの香り 甘いメープルシロップ、ローストしたクルミ、少しセメダインのような溶剤、ドライチェリーやフィグのフルーツ感、チョコレート、香木系のふくよかな香り、かすかにおしろいのよう、非常に多彩。

味わいは非常に強烈なアタック、ピリピリと焼き付くよう、遅れて桃、ドライフィグのはっきりとしたフルーツ感、ミドルからはナッツの皮の部分の収斂味、強く煮出した紅茶、メープルシロップの甘さと強い紅茶のタンニンが残るフィニッシュ。

加水すると香りは溶剤とフルーツ感、濡れた土のようなアーシーさが引き立ち、味わいはバニラアイスの甘さと白桃のようなフルーティさが目立つ。多めの加水ではチョコレートと紅茶感がうまくまとまる。加水の幅が広く、好みが出てくるスポットを見つけるのも楽しい。

【Very Good】

久しぶりのアメリカン・ウイスキーです。こちらのボトルは、昨年12月の写真展の際にイシハラさんが持ち込んでいた一本。参加された方は、試飲された方も多かったのではないでしょうか(そこそこ減ってました)。

特筆すべきはやはりその度数の高さ。65%を超えるウイスキーというのは初めて呑みました。スコットランドではほとんどありえない度数ですね。原酒のバレルエントリーが62.5%なので、5%近くも度数が上がったことになります。

アメリカン・ウイスキーは、ご存知の方も多いと思いますが、樽の保管は高さがあるラック式がほとんどです。スコットランドは伝統的にダンネージ式が多いですが、その場合はせいぜい4段程度。一方のラック式は10段以上になることがザラで、高いものだと8階建てくらいのビルに相当します。地面に近いものと上のものでは温度環境が大きく異なり、上の方はかなり暑い環境に晒されることになります。

ジャックダニエルの熟成庫が立ち並ぶ様子。ビル7~8階建て程度か。

暑さ以外にもその他諸々の要因はありますが、今回のようにバレルエントリー時よりも度数が上がることもあるわけです。相当過酷な環境のように思えますね……。

さてそんなハイプルーフなこちらのシングルバレルですが、その香味はかなり上質のもので、樽選定に込められた気合いを感じさせるものでした。ストレートではさすがに度数が高すぎて、味もへったくれもなくなってしまうので加水することが前提になりますが、通常のウイスキーと同程度の50%~45%程度まで加水すると、様々なフレーバーを伴った甘さと香木感がコロコロと変化して、飲んでいて非常に楽しいです。

加水は、少し時期は過ぎてしまいましたが、一番寒かった2月頃にはお湯割りが非常に美味しかったのも印象的でした。湯気とともに立ち上るウイスキー・フレーバーには、バニラやハイカカオチョコレートのような香味があり、香りだけでかなりの時間を愉しむことができました。大ぶりで香りが溜まりやすいグラスで愉しむのが良かったです。

というわけで、かなり美味しいジャックダニエルでした。シングルカスクなので、これと同じ味わいを得ることは難しいかもしれませんが、他のシングル・バレルも、もしかしたらこれと同等かそれ以上に美味しいかもしれません。シングルカスクものは当然樽の個性が出るため味わいが安定しない懸念がつきまといますが、その個性をこそ愉しむものともいえます。蒸留所のセレクションを信頼するのも一興でしょう。

なお現在の公式ページを見ると “Barrel Strength” となっており、少しラインナップが変化しているようですが、基本的には同じでしょうか。アメリカン・ウイスキーとしては高級クラスに分類されそうですが、最近のスコッチと比べるとまだまだ良心的な価格とも考えられるあたり、モノの値段の考え方って難しいなあと思ったりするのでした。

[日本酒] 五橋 西都の雫 しぼりたて純米吟醸生原酒

[日本酒] 五橋 西都の雫 しぼりたて純米吟醸生原酒

  • フレッシュでジューシーなメロンと爽やかな柑橘の甘さ
  • ボディの厚みがあるが濃厚すぎない、さっぱりと軽快さを感じられる
  • 甘露であるがゆえに、あまり食事とは合わないか。カマンベールを少しかじりながらは悪くない。

これはなかなかハイレベルな純米吟醸で、フルーツ感の強さとさらりとした甘さが好印象でするするとどこまでも飲めてしまいそうな一本でした。下手するとすぐに酔いつぶれるレベルまで呑んでしまうので危ない。

瓶詰め直後に飲んだボトルは、もっとパチパチと弾けるようなフレッシュさでしたが、少し時間がたったこのボトルはそれなりに落ち着きを見せていました。日本酒は割と短い期間で変化していくので、記憶のあるうちに確認することができます。変化の度合いがわかりやすいですね。

[日本酒] 鳥海山 初しぼり純米吟醸無濾過生原酒

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鳥海山 初しぼり純米吟醸 無濾過生原酒

  • 酸っぱい! 柚子やグレープフルーツのような酸味が際立つ
  • 生原酒だがボディは思ったよりも強くない、が後味にも酸味は強く残る
  • 油ものやチーズのような濃厚な味に合わせると吉

びっくりするほど酸の際立った純米吟醸。酸度が2.1と、2を超えてくるものは初めて見た気がします。その割には日本酒度は+2.0と、マイナスに振れておらず甘すぎないところがいいバランス。

これは好みが分かれそうですが、日本酒の幅広さもここまでくるか、と驚きの1杯でした。

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