バランタイン30年 1990年台流通ボトル

円熟した非常に良いバランス。飲む芸術品です。

Ballantine 30yo (OB, +/- 1990s, 750ml, 40%)

香りはべっこうあめ、カラメル、トフィ、熟したリンゴ、少し植物っぽさ、清涼感のあるハーブ、洋ナシ、どれもが主張しすぎず、円やか。

味わいはとても優しいタッチでリンゴとさくらんぼ、適度な濃さの紅茶、ミドルからしっかりした旨味の出汁、和三盆、木と樽の植物感と、控えめに広がる乾いたピート、少しミルクチョコレートのニュアンス、リンゴと紅茶の渋みが微かに残る軽やかなフィニッシュ。

【Very Good】

1990年代流通と思しきバランタイン30年です。使われている原酒は、逆算して1960年代。「腐っても60年代」というような言葉もあるくらい、スコットランドのモルトが非常に優れた味わいを誇っていた時代なわけでして、これが不味いわけがない、と思えてしまう代物です。もちろん、これ以前のものにはもっと素晴らしいものや味の方向性が少し異なるなどもありますが、自分がイメージするバランタインらしい味わいというとこのボトルにあるような香味が浮かんできます。

非常に多彩でスワリングするたびにころころ変わり拾うのが楽しく、しっとりとして落ち着いたバランタインらしいさすがの複雑さと円熟味。加水と経年ということもあり、やや線の細い繊細な趣ですが奥にはピートや程よい樽感も感じられ、全体として非常にバランスが良い。

やはりブレンドの巧さなのでしょう。匠が作り上げた往年の名作、飲む芸術品、といった感じです。

このボトルの楽しみ方としては、やはり「時間に思いを馳せる」というのが良いように思います。

原酒が作られてから今ここにたどり着くまでの長い長い時間。熟成期間の長さに加えて、瓶詰めされてからも30年ほどになろうかという膨大な時間。また、これを作り上げたブレンダーが研鑽してきたその時間。この時期ですと、マスターブレンダーはロバート・ヒックス氏でしょうか。彼の技を感じられるわけですね。

そういった特別感のあるバランタイン30年ですが、このボトルであれば、昨今のシングルモルトに比べればまだまだ手頃な価格で手に入るというのがありがたいですね。これだけの満足感を得られるかどうか怪しいボトルも多い中、オールドボトルでもそれなりに安定した品質のものが多いバランタイン30年。一本手元にあって損はないと思います。

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