カテゴリー別アーカイブ: ウイスキー関連書籍

[読書感想]KENTUCKY BOURBON COUNTRY -The Essential Travel Tuide-

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フォアローゼスのプライベートセレクションをIさんから譲って頂いた際、同時にバーボンの参考資料にとお借りしたのがこちらの書籍。現在のバーボン蒸留所を取り巻く環境について、基本的なことから各地の情報までを網羅してるハードカバーです。

各地域ごとに蒸留所を紹介していて、現地への行き方、蒸留所の営業日、ツアー情報から現地の宿やバー、レストランの情報まで、いうなればウイスキーマニア版「地球の歩き方」といったところでしょうか。内容はすべて英語ですが、基本的な英語ですし、写真も多く載せられているため読むのはそこまで苦にはなりませんでした。

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こういった写真で見ているだけで、バーボンの蒸留所はスコッチのそれとはかなり異なることがよくわかりました。例えば原料の粉砕工程。スコッチの場合はどこもモルトミルがあるわけですが、バーボンではコーンやライ麦など多様な原料を使うため、その粉砕機も一般的なモルトミルとは全然異なる形状をしています。また、貯蔵庫の並びひとつとってもアメリカとスコットランドでは全く別物。土地面積の広さもあるのでしょうが、ゆったりとした間隔で並ぶ貯蔵庫は、スコットランドの風景ではまず見ることができない光景でした。

これを見ていたら、バーボンの蒸留所を訪れるのも面白いかもしれないな、なんて思いが膨らんできてしまったり。

 

ところで、著者はSusan Reiglerという女性で、ルイヴィル在住のレストランや外食関連の批評家かつアドバイザーだそうです。著書も多く、また文化系全般に造詣が深いようで、様々な活動をされているとか。今年のスコットランド旅行でも思いましたが、蒸留所のツアーガイドも女性が多くなりましたし、単に上辺だけの知識ではなくて製造工程の細かい部分までをしっかりと理解している人ばかりです。ある蒸留所スタッフも言っていましたが、「最近は女性の方が作りには詳しくてね」なんて発言もでるくらいです。

ビジターセンターの拡充から観光地のひとつとしての側面を強めてきているウイスキー産業、ソフト面でのサポートは女性の活躍の場でもあるわけですね。今後、もっと労働環境が変わっていくことでしょうけれども、男としては、造りの部分では男の役割はまだまだ大きいと思いたいところでもあります(笑)

 

[読書感想] スコットランド酔夢紀行 / 佐々木幹郎

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2015年の本。著者のスコットランド旅行記をメインに、蒸留所の説明やシングルモルトの魅力についていろいろと書かれている。単なる旅行記でもなく、ウイスキーの入門書でもない。著者の体験を元に書かれたエッセイのようなものだが、思いの外読みやすく、面白かった。

蒸留所や歴史の説明が半分、個人的な体験記録や考えなどが半分、といったところだが、どちらも堅苦しさがなくてとても読みやすい。著者は詩人らしいが、そのあたりは流石といったところだと思う。そしてこれだけの文章を書ききることができるというのも、また凄い。読みごたえのある旅行記には時間も忘れて没入してしまった。

この人の体験を通じて、スコットランドの、シングルモルトの魅力に触れるのはなかなかに面白い。自分もスコットランドに行き同じものを見てきたはずだが、感じるものが違っていたり同じであったり。違う視点を取り入れることで、また新しい魅力に気づくことができる。それはスコットランドに行ったことが無くても同じだと思う。別の視点というのは面白いものだな、と感じた。

日本のウイスキー業界的に著名な人が何名か出てくるが、その人たちのことを改めて知って、ウイスキー界隈もまた、たくさんの人によって造られてきたものなんだな、と。
そしてこれからは、ネットを使ってもっともっと広がりが生まれていくことでしょう。今は我々消費者もリードしていける時代ですから。

[読書感想] ウイスキー案内 -狂おしいほどの1本に出合う- / 栗林 幸吉(監修)

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Image via Amazon

ウイスキー案内とあるが、概ねオールドボトルなどレアリティの高いボトルの紹介がメインとなっている。そのため、明らかに一般向けではなく「通」しか狙っていないように思える。これを買うモルト初心者はあまり居ないのでは……。ボトル紹介の後ろに、申し訳程度にウイスキーの製造工程などの説明があるが、あくまでおまけ。とにかくレアリティの高い、そして伝説とまで言われるボトルの紹介がメインとなっている。

監修されている栗林氏は、モルト好きならばその名は知っている方も多い「田中屋」の店長。シングルモルトがブームとなる前の時代からモルトを見続けてきた方ならではのセレクトと言えるでしょう。自分も見たことがあるボトルは多いものの、飲んだことのないボトルが多い。見たことが無いものもかなりあった。

また、スコッチだけではなくバーボンのレアボトルについてもかなりの数が載っていた。私はバーボンは良くわからないのだが、きっとその手の人には瓶影だけで高まるのだと思う。

手元に置いておいて、度々眺めるには良いのではないでしょうか。

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スコッチ・ウィスキー物語―ラベルに読む英国の歴史 / 森 護 著   1990年7月

著者は1920年代の生まれで昔からのスコッチ・ウイスキー好きということで、戦後の日本におけるスコッチ・ウイスキーの歩みをしっかりと見てこられたのだと思います。スコッチ好きが高じて、ラベルに疑問をもったところから紋章学に手を伸ばしたようで、かなりの学者肌な方だったのでしょう。

ラベルに書かれている内容が大きく分類されていて、紋章、歴史上の人物、メーカー情報、タータンチェックの文化などなど、それぞれがスコットランドの歴史を物語っている、という内容です。実際、紋章は王家の変遷を見ることができるし、歴史上の人物は勿論どれもスコットランドの重要な人物ばかりです。ほとんど一度は読んだことがある歴史物語なのですが、ボトルに描かれている人物を通して見ると、これが不思議なほど頭にするすると記憶されていく。興味がある部分と紐づくと何でも捗るという良い例ですね(笑)

以前から知っているボトルも、こうして改めて見てみると本当に面白いです。勿論知らないボトルもたくさんあり、また昔のラベルはこんなだったのかと驚くこともあり、とても興味深い内容でした。ウイスキー好きで、それにまつわるスコットランドの文化全般に興味がある人ならば一度読んでみることをおすすめします。

著者は故人となってしまったようですが、これの続編なり同じ系統の本なりをもう1冊くらい書き上げて欲しかったな、と思いました。

 

読書感想 : スコッチvsサントリー/平澤 正夫

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スコッチvsサントリー/平澤 正夫 著  1986年1月出版

80年代のウイスキー業界がどのようになっていたのか、特に80年以降の凋落が書かれているものは無いかと思い読んでみました。

求める部分は多少は書かれていたが、大部分はサントリー批判の内容だった。これでもかとサントリーを、佐治敬三氏を批判する内容だったので、少し、いやかなり辟易しましたが、まあ分からなくもないかなといったところ。

批判のポイントは確かに正しいと思う。ダルマのオールドなんて何が入っているかわからないような代物だったろうし。それを美味い旨いと飲んでいた時代だったんだなあ、と。サントリーは昔から広告上手で、有名人やお偉いさんがたを染め上げて優良イメージを作り上げていたのでしょう。それがブランドと言えなくもないし、成功していたのだとは思うけれども。

が、とりあえず批判のためにネタを集めて批判してる、という本で得るものがほとんどなかった。同じような内容を繰り返しすぎていて、読んでいて飽きた。まあ、こういう本が出てくれていたというのは面白いけれども。

80年代のウイスキー不況による影響なのか、その後のサントリーのウイスキーづくりは、自分が知る範囲では結構誠実な路線だったと思う。特に輿水さんの時代では。一方で、ここ10年くらいを見るとだんだんと悪化しているように見える。マーケティング方式や値上げ路線などは、この本に書かれている内容と被る部分もあるし、歴史は繰り返す……のかもしれないですね。