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[蒸留所訪問] 江井ヶ島酒造 ホワイトオーク蒸留所

山崎蒸留所に続いて、兵庫県明石にある、江井ヶ島酒造 ホワイトオーク蒸留所を訪問してきました。

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江井ヶ島酒造は江戸時代初期から400年近く続く日本酒蔵。酒の名所、灘の近く。ここでも良い水、良い米が取れ、昔から酒造りが盛んだったようです。その江井ヶ島酒造がウイスキーの製造免許を取得したのは1919年。来年で100年という区切りを迎えることになります。

とはいえ、自前で蒸留を始めるのは後になってから。それまでは海外の原酒を調達、ブレンドを行い販売していたそうです。現在のウイスキー蒸留器が収まったのが1984年とのことで、およそ34年が経っていることになります。

銘柄としては「ホワイトオークウイスキー」を使ってきており、「あかし」という名前を使い始めたのはここ10年ほどだそう。確かに、以前はホワイトオークという名前のウイスキーがあったな、酒屋ではそこそこ流通しているのか、よく見たな、というイメージがありました。現在は「あかし」という名前が定着している印象があります。

 

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という情報を教えて頂きながら、ウイスキー蒸留所の前にまずは日本酒蔵から案内して頂きました。

酒蔵の構内は、驚くほど広い……。日本酒蔵は大小の差がかなりある(小さいと本当に普通の家くらいのサイズ)のですが、ここはひとつの町かと思うくらい。といったらちょっと大げさかもしれませんが、移動は基本的に自転車というのも頷けます。道幅も広く、フォークリフトも楽々動ける広さでした。

当日はちょうど今年の日本酒の仕込みが始まろうという時期で、まずは米の精米や洗いを行っているところでした。本醸造などが年内に作られていき、年明け頃から吟醸造りの仕込みが始まるようです。今年の出来はどうでしょうね。こちらも気になるところです。

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酒蔵のすぐ裏手は瀬戸内海が広がり、島々や明石海峡大橋が一望できました。ボウモアなどとも肩を並べるくらい海に近いです。もしかしたら熟成中に潮気が付いたり……しないですかね。

 

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さて、続いてメインディッシュであるウイスキー関連。ホワイトオーク蒸留所の内部へ。主要設備は二階部分にあるのですが、ワンルームの中に粉砕機、ウォッシュバック、マッシュタン、そして2器のポットスチルがすべてまとまっていました。サイズ感からか、キルケランのグレンガイル蒸留所を思い出しました。あそこも同じくらいの大きさだったかな、と。

内部はやや黄色がかったアイボリー色で統一されていて、ポットスチルの鈍色がよく目立つ。シンプルながら良い雰囲気でした。

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このポットスチル、1984年から使用されているものですが、その前に何に使われていたのかは定かでないそうです。焼酎でしょうかね?

あまり稼働率は高くなかったため、実際に使った期間は7年少々とのことですが、このポットスチル、なんと今年で役目を終えるそうです。今年の蒸留は11月初週、つまりこの訪問時に仕込んでいた麦を蒸留するところで最後になるのでした。なんか不思議なタイミングでの訪問となりました。

実際にはまだまだ使用可能ではあるものの、設備投資の一環で更改に。来年からは新ポットスチル。形状は同じですが、果たしてその香味は同じか変わるか……。どうなるか気になりますね。

 

工場内の見学を一通り終えてからいろいろとお話を伺いました。昨今のジャパニーズウイスキーのブームを受けて、「あかし」もかなり人気があるようです。しかし、何でもかんでも売れれば良いというわけではなく、江井ヶ島酒造ではその透明性を重視していました。

日本では3年未満の熟成でもウイスキーを名乗れますが、そこは品質を重視して最低3年の熟成期間を置いています。スタンダード品の「あかし」には海外から輸入した原酒も使用しており、商品説明にはその旨を記載。すべて、本場のスコットランドに倣った表記方法です。

また、実は「ジャパニーズウイスキー」の表記はどこにもない。海外の原酒を使用しているものをジャパニーズ・ウイスキーを名乗るつもりはない、ということです。

こういう品質重視のスタイルを、失礼ながらあまり目立たなかった時代からずっと続けていたのは、ひとえに職人たちの矜持でしょう。

来年からの新生ホワイトオーク蒸留所がその原酒をリリースするのは2022年から、ということになります。しばらく時間が掛かりますが、楽しみに待ちましょう。

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[蒸留所訪問] サントリー山崎蒸留所

 

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山崎蒸留所に行ってきました。

えー、何を隠そう、実は山崎は初訪問だったりします……。

白州蒸留所は何回も行ったことあったのですが、あまり西の方を旅行することが少なくて、いつの間にか。京都までは行っても、大阪に行くことがあまりなかったのです。

この日は午前中に山崎、午後に明石という予定でして、その間に通った高槻には昔ちょっと用事があったりで行ったことがあったので懐かしかったです。高槻から山崎なんてすぐだったので、帰りにでも寄れば良かった。

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さて、気を取り直して山崎の訪問ですが、しかしすごい既視感の数々。まあ、これまでいろいろなところで写真を見てきてしまっているので、仕方ないですね。駅から蒸留所へ向かう道路の眺めや、ちょっと特徴的な屋根の形状など、ああこれが、と先行しているイメージを確認する作業でした。

 

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ツアー内容もお決まりのものですので詳細は割愛しますが、蒸留器の中でとても新しいものがあることに気づきました。なんでも今年に入ってからやってきたニューカマーということで、まだまだ金ピカの一年生。これで山崎蒸留所のポットスチルは18器だそうです。スコットランドの各蒸留所も生産能力の向上を続けていますが、日本も負けていないですね。

 

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最後のテイスティングは、山崎NASとその構成原酒の一部、ホワイトオーク樽原酒、ワイン樽原酒という組み合わせ。

ホワイトオーク樽の原酒は12年以上の熟成。イチゴや青リンゴ、シリアル、やや乳酸系の酸味。味にもイチゴの甘味、シリアルやあポリッジ、チョコといったニュアンスでした。

ワイン樽原酒はカスタードプリン、レーズン、ムスク、チョコそしてワインのベリー感。酸味が心地いいニュアンスです。

こうした原酒を味わった上で山崎NASを味わってみると、なるほど各原酒の要素がここら辺にあるな、と確認することができて面白いです。そしてもちろん他の原酒のニュアンスもいろいろと感じられ、多層的な味わいを作り出していることが伺えました。

なお、ワイン樽原酒が入っているのは山崎NASだけらしいです。確かにこの原酒の特徴もしっかりと味に貢献していたので、NASとはいえ上質な仕上がりを目指しているのには納得。色合い的にも濃くなるから熟成感が増す……というのは邪推だったかもしれません(笑)

そして、この山崎ノンエイジと山崎プレミアムソーダで作るハイボールは予想以上においしかったです。蒸留所マジックかもしれませんが、プレミアムソーダの強すぎない炭酸が上品な仕上げに一役買っていました。真夏には強炭酸のハイボールが欲しくなりますが、暑さが一段落した季節なら、このハイボールはかなり良いのでは。

 

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原酒不足の影響もあって、テイスティングやお土産コーナーは以前と比べると寂しい内容であるのは仕方がないですが、だからといって訪れる価値が無いかというとそうでもなく、いろいろな見所がありました。

この後、テイスティング・コーナーで2杯ほどいただきましたが、それは別の記事に。

ラフロイグ 15年 2000年頃流通ボトル

少し落ち着いた、でもやはりラフロイグらしさを感じるボトルでした。

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Laphroaig 15yo (OB, +/- 2000, 43%)

香りはレモン、バニラクリーム、魚介出汁、スモークとピート、おしろい、微かに線香のような香り。

味わいは柔らかく和三盆の甘さ、レモン、いがらっぽさが残るパイナップル、はっきりとしたピート、後半からバニラの甘さとピートの強さが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ラフロイグの昔の15年ボトル。2000年頃に日本でも流通していたボトルですが、こちらのラベルにはイタリア表記があり、日本に入ってきたものとはちょっと異なるようです。

ピートと魚介系の旨味、レモンっぽさなどがラフロイグらしいところですが、パイナップルの皮に近い部分のいがらっぽさと、さらりとした甘さがちょっと印象的でした。ボトリングからかなり時間が経っているためか、やや落ち着いた印象を受けましたが、ヒネなど悪い要素は特に感じず、状態は良好だと思います。

2015年にリリースされた200周年記念のボトルと、記憶ですが比較をすると、こちらの方がややピートが落ち着いている印象です。経年の変化のせいでしょうか、パワフルさは少しなりを潜めているように思いました。

ラガヴーリン 25年 2002年ボトリング

素晴らしいラガヴーリン、それしか言えません。

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Lagavulin 25yo (OB, 2002 bottling, 57.1%)

香りは少し古酒のニュアンスを伴いながら、レーズン、バニラ、落ち着いたヨード、弱めながら溶剤のツンとした感じ、奥からオレンジ、マンダリンのような柑橘。

味わいはまろやかなタッチで、バニラとピートの共演、ヨードのパワフルさとオレンジがしっかり、さらりとした和三盆の甘さ、魚介系の旨味、スモークとピートがしっかりと残る骨太なフィニッシュ。

【Very Good/Excellent】

ラガヴーリンの長熟ボトルといえば、ここ最近だと2016年にリリースされたバイセンテナリーの25年がありました。次に思い浮かぶのは、2000年代にいくつか見かけたことのある21年や37年といったボトル。オフィシャル37年は蒸留所で見かけましたが、恐ろしい値段でした。

さて一方で2002年にボトリングされたというこの25年熟成については自分は知りませんでした。あまりにシンプルであっさりとしたラベルですが、25年という文字を見て驚きです。逆算すると蒸留年は1977年ころ。70年代の原酒とは、飲む前から期待が高まってしまいましたが、飲んでみると、期待どおり、いやそれ以上のものでした。

口あたりのまろやかさは57%という度数を感じさせないもので、せいぜい50%くらいなのでは、というくらいの円熟さ。バニラ、スモーク、ヨードフレーバーはどれもしっかりしながらまとまりが良く、とてもバランス良く作られています。バイセンテナリーの18年のようなとても満足感のある味わいですが、さらにそこから一歩進んだ熟成感は、熟成年数もそうですが、経年による変化もプラスに働いたのでしょう。

とにかく素晴らしくまろやかな熟成感を伴ったラガヴーリンでした。

ラガヴーリンは80年代の原酒不足から2000年初期にスタンダードの16年が安定してリリースできないという事態になり、2002年からは12年のカスクものをリリースするようになりました。しばらく後には16年も安定供給できるようになったため今でも16年熟成でリリースが続いています。

この25年のリリースからちょうどスタンダードの16年という分だけ時間が経ったという事実に、いろいろと考えさせられます。今、当時とはいろいろと違うところもありますが、原酒不足や価格高騰などのウイスキー事情は似たようなところもあるといったところです。歴史は繰り返し、そしてこの先はどうなるでしょうね。まさかまた16年が危うい……などといったことが無いように願いたいところですが、さて。

Mさん、素晴らしいラガヴーリン、ありがとうございます!

グレンファークラス 38年 1977-2015 ウイスキーフープ向け

白ブドウ系のフルーツ感が印象的なファークラスでした。

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Glenfarclas 38yo 1977-2015 (OB for THE WHISKY HOOP, Plain Hogshead, #8203, 47.1%)

香りはプレーンなハチミツ、トースト、栗、穀物の甘さがメイン、フルーツ感はやや控えめでライチと白ぶどう。
味わいは優しいタッチで白ブドウ、ハニートースト、ややケミカルなシロップのような甘さ、ぶどうの種を噛んだような苦味、薬草酒のニュアンス、白ワインの樽の収斂味がさっぱりと切れ上がるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

The WHISKY HOOP といえばもはや説明不要かと思いますが、これだけの長熟原酒を引っ張ってこれるのは流石の一言。昨今では蒸留所側もあまり原酒が無いため、良い樽はなかなか手に入らないと聞きます。これまでの実績が買われてのことなのでしょう。本当に凄いですね。

樽はプレーンホグスヘッドということですが、ファークラスは基本すべてシェリー樽。プレーン表記は4回目か5回目のフィリングのものに使われるのが通例のようです。確かにここまでくるとシェリーの影響はほとんど感じない、色合い、味ともにバーボン樽とも変わらないような印象です。

味わいの白ブドウや、その種のようなタンニン感が程よく、全体的にさっぱりとしたところが印象的でした。

この日は気温が高かったため、冷蔵庫で少し冷やしてからいただきました。また、口開けでもあったので、まだまだ香味が開いていないところもあるでしょう。なんとなくですが、白い花やライチあたりのニュアンスがどんどん強くなっていくんじゃないかな、という印象を持ちました。

Gさん、いつも素晴らしいボトルをありがとうございます!

オールド・プルトニー 18年 1970-1988 セスタンテ向け

時代の経ても変わらないスタイルを感じるボトルでした。

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Old Pulteney 18yo 1970-1988 (Gordon & MacPhail for Sestante, 56%)

香りはリンゴ、レモン、レモングラス、柑橘の酸味、カルダモン、少し井草やヨモギのニュアンス。

味わいはじわじわと太い、ハチミツ、レモンジャム、バター、ミドルから針葉樹の樽、ヨーグルトタブレット、少し草を伴ったはちみつレモンの爽やかなフィニッシュ。

【Good/Very Good】

プルトニー蒸留所のボトルの中ではかなりの人気を誇るボトルなのではないでしょうか。セスタンテ向けのこのラベルは、シンプルながら威圧感ともいうようなパワーを感じます。

このボトルは以前にも頂いたことがありましたが、そこから4年ほど時間が経っているためか、やや香りが抜けてきたような印象を持ちました。一方で、飲んでみると、ややオイリーな口当たりに蜂蜜と柑橘系のジャムのような噛みごたえがあり、この点はプルトニーらしさが健在といったところ。後半のヨモギのような草のニュアンスも、以前のテイスティングノートを見返してみると同様に取っていたため、自分の印象としては同じ方向なんだな、と感じました。

同席していた方々の意見も同じだったのですが、基本的にはプルトニーはこの頃から2000年頃まで、味の芯の部分はブレが無いように思います。2000年代原酒についても、幾つか飲んでいる限りでは同じ傾向で、一貫していたハウススタイルを感じ取りやすいと思っています。ただしシェリー樽はあまり原酒との相性が良くないように感じていて、良質なバーボン樽のものが良いのではないかと。

1990年代のバーボン樽のシングルカスクとか、ほとんどハズれないですしね。若さも味方につけやすい味わいなので、12年熟成でも十分な場合があります。逆にあまり長熟には向かないのではないかと。25年を超えてくると途端に樽感に負け気味になっているように思います。

グレンギリー 1971 サマローリ 43%

とても複雑で難しい、でも美味しいギリーでした。

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Glen Garioch 1971-1997 (Samaroli, 43%)

香りは獣脂、なめした革、熟成したチーズ、メンソールのニュアンス、強くはないがマンダリンのようなフルーツ、少し石鹸のようなニュアンスも奥に感じる。
味わいはオイリーさを感じるチーズ、やや強めの内陸ピート、無塩バター、ミドルから石炭、スモークしたジャーキー、メンソールとピート感が続くフィニッシュ。

【Very Good】

サマローリが詰めた1971グレンギリーは加水ボトルと樽出しのフルプルーフのボトルがありますが、これは前者の加水バージョン。

その香味はとても複雑で、43%とは思えないボディの厚さ。分かりやすいフルーツ感というわけではなく、獣っぽさや少しソーピーなニュアンスも見え隠れする、玄人好みのボトルでした。華やかさとは異なる方向でとても多彩な香味を兼ね備えていて、ニュアンスを拾い上げるのがとても大変でした。でも嬉しいし、とても美味しい。

これは凄いですね。分かりそうでよく分からないけど、凄い。

自分はもうちょっとわかりやすいフルーツ感とかあった方が好みなのでこの評価ですが、もう1ランク上でも全然おかしくないボトルです。

シェリー樽らしいのですが、樽の影響がすごい利いているという印象は受けず、そのためかテイスティング・ノートにもあまりシェリー樽のニュアンスを拾いませんでした。その割には色合いは結構濃いめなんですよね。カラメルっぽさも感じないですし。後から思い返すとちょっと不思議な感じでした。

Mさん、レアなボトルを飲ませていただきましてありがとうございます!