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スペイバーン蒸留所がラインナップをリニューアル

スペイバーン、飲んだことありますか?

いや、こう言ってはなんですが、正直マイナーですよね。というのも、ここ数年はオフィシャルボトルが10年のみだったことも影響しているのではないかと思います。まあ、元々ブレンデッド用がメインという趣もありますし、表立って売り出していこうという気概はあまり感じなかったところです。

が、ここに来てオフィシャルのラインナップを一新するという情報が入ってきました。

SPEYBURN – OUR WHISKY RANGE

ラベルのリニューアルとともに、スタンダードの10年に加えて15年が登場しています。また、NASシリーズで2種類、Golden Salmon の意味だというBRADAN ORACHは、若いニュアンスを逆に武器としているようです。もうひとつはアメリカ向けのARRANTA CASKS。大胆不敵、という感じの意味でしょうか。

10年はさておき、15年は気になるところです。本当は以前のように21年クラスのものが出てくれると嬉しいのですが、さすがにそこまでは望めないですかね。スペイバーンはナチュラルで軽やか、どことなく古典的なスペイサイド・モルトだという印象でしたが、最近は変わってきているのでしょうか。あまり飲んでいないところでもあったので、機会を見て試してみたいと思います。

 

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ロセスの町はずれにあるスペイバーン蒸留所。2014年の際には拡張工事中で、隣が大きく工事現場となっていた。工事が完了したのもリニューアルの理由のひとつかもしれない。

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ウイスキー投資の影と光

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先日、オーストラリアのウイスキー業界で詐欺ともいえる事件が発覚しました。

TAS州のウィスキー樽一般投資募集破綻に

最近その知名度が上がってきているタスマニアウイスキーですが、こんな形でさらに知名度が上がるというのも残念ですね。

事件があったのはナント蒸留所。蒸留所がウイスキー樽を販売するのは以前から一般的になってきていますが、その樽を4年間熟成させたあと、蒸留所が利息を上乗せして買い戻すという仕組みだったようです。年率9.55%といいますから、相当な高利率ですね。しかし、実際にはナントはウイスキーを適切に生産管理できておらず、結果的にでっちあげの詐欺ということに。元から詐欺にしようとしていたのか、それとも良いウイスキーが出来ずに次第にバラせなくなってしまったのか定かではありませんが、まああんまりまともな商売じゃなかったというわけですかね。

ウイスキー製造もビジネスですから、どうやって商品としての価値を高めていくかは様々な方法があり各々の手法があるのは当然なことです。ですが、熟成して世に出るまでに時間がかかるというウイスキーの特色が、いろいろと面倒なことを引き起こしているなあ、と感じることがこのところしばしば。原酒不足にしてもそうでしょう。難しい商品ですね、ウイスキーというのは。

思ったよりも人気が出てしまい、原酒が不足して、樽売りしたものを最終的には蒸留所が買い戻すということも、最近の一部の蒸留所では聞いた話です。そういう前例があるのも、こういった詐欺的な商品が、おかしいとは言い切れない原因のひとつになってしまっているのかもしれません。いずれにしても甘い話には裏があるということを念頭に、投資をする際にはよくよく考えることが必要ですね。

 

一方で、3年ほど前に香港で始められた「ウイスキーファンド」。当初はかなりの話題になりましたが、こちらは順調な結果を出してファンドを閉じることになるようです。

希少ウイスキーファンド、成功に酔いしれ清算へ-予想上回る人気の中

長期的に続けていくようなものではなく、一時的な時価の高騰を狙って短期間で終わらせる、というのは良い判断であるように思えます。特にこの数年は一部のウイスキーの需要がかつてないほど高まった時期でしたので、このようなファンドも悪くなかったのかもしれません。あまり両手を上げて賛成はしかねますが、投資商品としては良いものだったということでしょう。少なくとも、某ワインファンドよりはマシな運用がされていたようですね。

 

何にどれだけお金を出すかは個人の自由ですが、お金が集まるところには何かと厄介なものも紛れ込んでくるものです。最終的にはご自身の判断でということになりますから、有象無象にご注意を。

 

アードベッグの新商品 Ardbeg An Oa (アン・オー)

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アードベッグから、新しく定番商品としてリリースされる “Ardbeg An Oa” の情報が出てきました。UKでは9/1から発売されるということで、徐々に日本にも入ってくることと思います。

定番商品ですのでそこまで冒険した味わいではないと思いますが、new charred oak、PXシェリー樽、ファーストフィルバーボン樽で熟成させた原酒のヴァッティングということで、Ardbeg TEN よりはややスパイシーかつシェリー樽の甘やかな方向に振れているかな、と想像しています。アードベッグファンはマストバイなボトルでしょう。

 

個人的に気に入っているのは、An Oa (「アン・オー」もしくは「アノー」)というネーミングで、これはアイラ島南西部にある Mull of Oa (オー半島)が由来となったものです。この Oa は、初めてアイラ島を訪れたときにレンタサイクルで1時間以上かけて走っていったのですが、アイラ島で蒸留所以外の観光場所としては個人的にイチオシの場所です。

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ヨーロッパ的な荒涼とした風景、というイメージそのものが体験できる場所で、駐車場からモニュメントがある半島の先までの小一時間ほどのフットパスは、ちょっとしたファンタジー世界の冒険者気分が味わえます。例えるなら、少し古いですがゲームの「ICO」や「ワンダと巨像」の世界。もしここを馬に乗りながら歩けたら、まさにワンダの世界でしょうね。モニュメント以外に何もないですが、その何もないところが逆にオススメな場所です。

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そんなわけで Oa の名前を冠したこちらのアードベッグ、個人的にちょっと気になっているところです。まあ、Mull of Oaの名前と味わいにどんな共通点があるのかは定かではありませんが。

もしアイラ島に行かれることがあれば、是非 Mull of Oa にも脚を運んでみて下さい。車でなら、ポートエレンから一時間弱で到着できます。レンタサイクルですと、アップダウンが激しいのでちょっとした覚悟が必要です。あと、ポートエレンの町で水を買っていくのを忘れずに!

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メーカーズマーク プライベートセレクト 萌木の村 ポールラッシュ生誕120周年記念

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Maker’s Mark Private Select (OB, “Paul Rusch’s 120th Birthday”, 55.5%)

香りは典型的なバーボンらしさ、メロン、糖蜜、酸味のあるリンゴ、清涼感のある樹木の香り、焦がしたトーストにハチミツがけ、メンソール様の爽やかさ。

味わいはとろりと甘い、青リンゴ、杉のようなやや刺激的な樹木感、徐々にピリピリとブラックペッパー、少しミント系のハーブ感、鼻抜けに焦げた木材、カラメル、青いハーブ感とブラックペッパーが続くフィニッシュ

【Good/Very Good】

清里は萌木の里のオリジナルボトル。同地の発展に貢献したポール・ラッシュ氏の生誕120周年を記念したボトルです。こちらはくりりんさんとバーボンを小瓶で交換する機会があり、その折に頂いたものです。くりりんさん、ありがとうございます。

詳細についてはくりりんさんの記事がとても詳しいため、そちらをご参照下さい。

香り味ともに典型的なバーボン、といっても差し支えないと思いますが、総じて高いレベルのバーボンです。アタックはさすがにハイプルーフらしく強めではあるものの、ややトロっとした口当たりがそれを緩和し、ボディも軽めでさらっと流れてくれます。度数からマッチョなラガーマンをイメージしましたが、なるほど、そこは牧師様の記念ボトル、温和で整ったところを感じさせてくれます。

リンゴ感や独特の胡椒のようなピリピリとしたところが際立っている感じ。このバーボンは単体でストレートでも良いですが、肉料理なんかとも相性が良さそうです。そういえば以前、フォアローゼスの試飲会では果実のリンゴと合わせて飲むととても良くマッチしたのを思い出しました。おそらくは新樽によるバーボン独特の香味が、リンゴなどと相性が良いのかな、などと考えています。

カリラ 18年 1997-2016 ウイスキーファインド 山海經シリーズ “精衛填海”

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Caol Ila 18yo 1997-2016 (WhiskyFind, “山海經/精衛填海”, Sherry Butt Cask#2, 40%)

香りは白い海岸を思わせる塩とヨード、爽やかなヨーグルト感、バニラ、レモンの皮、ビターオレンジ、とてもバランスが良い。

味わいは柔らかめのタッチで、塩たらこ、素朴な麦感、控えめなオレンジなどの柑橘系フルーツ、ミドルからミネラル感、再び塩気とバターが現れ、ピート感と合わさっていくフィニッシュ。

【Good/Very Good】

台湾の新興ボトラーズ、ウイスキーファインドが詰めたカリラ18年。

90年代後半のカリラ、というかいつの時代でもカリラは安定した品質を提供してくれますが、こちらもとても良いカリラでしたあ。派手さはなく、落ち着いているけれどもアイラモルトの良いところを凝縮したような味わいで、バランスも良く飲みやすいボトルでした。

加水ではない度数落ちの40%ということなのですが、さすがに18年でそこまで落ちるのかはちょっと不思議な気もしますが……。ちなみにシェリーバットなのですが、あまりシェリー樽のニュアンスが取れませんでした。この日はマッカランやストラスアイラなど良質のシェリーカスクものが多かったためか、軽めのシェリーのニュアンスが拾えなかったようにも思えます。

ダルユーイン 1980-1999 マキロップチョイス

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Dailuaine 1980-1999 (Mackillop’s Choice, Cask#1236, 55.2%)

香りはメロン、青い草、バニラ、プレーンなオーク樽、少しメンソールのニュアンス。

味わいはややパワフルなアタックで、バニラアイスのような甘さと柑橘類や梅のような酸味、少しオイリーな乳製品、素朴なオートビスケット、ホワイトペッパーが刺激的に残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ダルユーインはどういったところがハウススタイルなのか、今ひとつ明確に理解できていないところ。香りにメロンや青い瓜的なニュアンスが特徴的ですが、一方で味にはあまりメロンっぽさは無く、プレーンなバーボン樽の良い部分が出てきている印象でした。20年弱という長熟ではない熟成が樽感の強さを回避しているのでしょう。

80年頃のモルトとなると近年では30年オーバーになるわけで、どうしても過熟による樽の強さにつながってしまいがちです。そう考えると、中熟の飲み頃のモルトは過去のリリースでないと味わえないわけで、こういったボトルで往年の味わいを勉強するのも難しくなってきてしまいました。貴重な経験をありがとうございます。

ところで、マキロップチョイスというとどうしても思い出してしまうのが、某酒屋で投げ売りされてしまっていた時期があったこと。確かにその頃は他にもっともっと素晴らしいモルトがひしめき合っていたため、マキロップチョイスはそこまで注目されることがあまり無かったように思います。結果的にその投げ売りの印象から「安かろう悪かろう」のイメージが付いてしまったように思います。しかし、このボトルは良い香味で素晴らしいものでした。飲まないで印象だけで語ってはいけませんね。

 

グレンモーレンジ 10年 1981-1991 ネイティブロスシャー

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GlenMorangie 10yo 1981.02.05-1991.04.17 (OB, The Native ROSS-SHIRE, Cask#978, 59.6%)

香りはツンとくるアルコールの刺激、レモン、カスタードやバターの風味がケーキのよう、奥に紫蘇のニュアンス。

味わいはプラムジャム、薄めた塩バター、乾いたオーク感がしっかり、ミドルからレモンバームとカスタードクリーム、ピリピリとホワイトペッパーの刺激、やや軽めのタッチで柑橘系とオーク香が続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

グレンモーレンジのネイティブ・ロスシャー10年。オフィシャルのシングルカスクでカスクストレングスというのは、当時としては相当な意欲作だったことでしょう。時期的には魔の80年代を過ごし、90年代で少し上向き始めるかどうか、といったところ。もしかしたら、売り手側も「何か変わらないといけない」と思ったのかもしれません。

このあたりは1991年に詰められた余市のシングルカスクと似たような経緯があるように思えます。

ボトリング後25年を経てなお荒々しくパワフルなところがあり、当時はもっと強く個性的だったのかもしれません。一方で少しボディにかけて軽めなのは、経年によるものか短熟によるものか、どちらかだけでなくそれぞれのミックスと言う感じ。紫蘇やレモンバームのような独特のニュアンスがありつつも、飲んだ瞬間に「あ、モーレンジらしい」と思わされたところに、近年のモーレンジとも共通するハウススタイルがあるのだなと気付かされました。

そういえば1981年ということでマイヴィンテージでした。最近はめっきり見かけなくなってしまった年代ですが、こうしてまたひとつ味わえたことに感謝です。Kさん、ありがとうございました。