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ビジターセンターの歴史 – その2

ビジターセンターが作られれば人々は観光地として気軽に蒸留所を訪問することができるようになったわけですが、では、それ以前はどうだったのでしょうか。ビジターセンターができる前の蒸留所の様子を探っていきます。

蒸留所は閉鎖的だったのか?

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昔の蒸留所のイメージというと、とにかく閉鎖的で一般人が内部を見るようなことは叶わない。ウイスキーの作り方は秘伝のもので、仮にそれを見ていきたいなんて人間がいたら産業スパイかなにかだ、と考えられていたような、なんとなくそんなイメージがあります。このあたりは竹鶴政孝の時代の逸話によるものかもしれません。

実際には先述の新聞記事にもあったとおり、事前の予約があれば訪問が可能だった蒸留所も少なくありませんでした。いきなり飛び込みではさすがに無理がありますが、旅行会社とか業界人とか記者のような人物であればアポは取れたのでしょう。

一般的な旅行者の場合はどうするかというと、例えば泊まった宿屋で主人に相談してみると
「ああ、そこなら俺の友人が働いているんだ。なに? 中を見てみたい? ちょっと待ってろ、電話してみるから」というやりとりからアポが取れたりだとか。

実はこれ、今でもあったりします。地元の人ならそういったツテのひとつやふたつはあるもので、本当にみんな顔見知りだったり。特にアイラ島とかは地元の繋がりがとても強い。B&Bの人が蒸留所のツアーガイドや観光ハイヤーなど様々なコネクションを持っていたりします。

宿屋ではなくとも、ひとつ目の蒸留所でツアーに参加したら、そこの従業員から別の蒸留所に紹介してもらったりとか。そういった繋がりをつたって様々な蒸留所を訪問することができるのです。

 

ビジターブックに残る歴史

蒸留所では古くからビジターブックが用意されていたようで、全員とは云わないものの多くの人が書いていたことでしょう。むしろ昔だと書かないと何物だこいつ? と思われかねない。日本でも古くからの旅館などでは宿帳がありますが、あれと同じ感覚だと思います。

タリスカーのビジターブックには、なんと1900年頃からのものが残されています。タリスカー蒸留所のビジターセンターには様々な昔のアイテムが展示されているのですが、そのうちのひとつなのでしょう。

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Image via Whisky.com

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タリスカーのビジターセンター内部 おそらくビジターブックはこのあたりに

また、グレングラッサでは1960年代のビジターブックがあるそうです。月に数人程度なので現在に比べたら随分と少ない数ですが、こうしてしっかりと名前が残されているのは凄いですね。

プルトニーではハンドボトルの際に名前を書くのですが、それが実はビジターブックになっていて、遡ること1969年になるようです。えっそうなの?! 知らなかった!! 今後行くときにはじっくりと見てこなければ……。

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Image via THE PISHED FISH

このように、ビジターセンターができる以前も、一部はそこまで閉鎖的な空間ではなく割とフレンドリーだったようです。現在においても、ビジターセンターが無い蒸留所はいくつもありますが、全部が全部閉鎖的かというというそうでもなく、アポイントがあれば――というところも少なくありません。このあたりは昔も今も状況は変わらないのでしょう。

歴史を発見する訪問

ビジターセンターが無かった時代はどこでもてなしたかというと、まあ基本的にはオフィスだったようです。オフィスとはいっても事務机が並ぶだけの作業場だけではなく、小さいながらも客のもてなしができるような部屋が用意されていました。今あるビジターセンターも、当時のオフィスを改装して作られているところが少なくありません。

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ストラスアイラのツアー待ちの一室 クラブのような立派なしつらえ

スコットランドの建物は100年200年は当たり前の世界。風格があるのはただ単にそういった装飾だけによるものではなく、積み重ねてきた年月の重みが自然と生み出しているものなのでしょう。

こうしてみると、蒸留所を訪れる際に見るべきところというのは本当に多いことに改めて気付かされます。今までは蒸留所の外観や製造工程(特にポットスチルによる蒸留)あとはお土産コーナーの特別ボトルなどばかりに目を奪われてしまっていましたが、部屋やその内装、飾られているものひとつひとつに様々な歴史があり、見るべきところがあるのですね。

もし蒸留所を訪れる際には、ぜひとも隅々まで見てまわって下さい。他のビジターが気づいていないような、もしかしたら蒸留所のスタッフさえも気づいていないかもしれない、あなただけの発見があるかもしれません。

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ビジターセンターの歴史 – その1

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先日、2017年のビジター数についての記事を取り上げてみて、そのときにふと思ったのですが、蒸留所がビジターセンターを作ったのはいつ頃だったのでしょうか。各蒸留所ごとに時期に違いはあると思いますし、今でもビジターを受け付けていない蒸留所もあります。その違いは何なのでしょうか。そんなあれこれが気になったので調べてみました。

ビジターセンターの歴史

意外なことに、ビジターセンターがいつ設立されたかという情報は、蒸留所側としては大したことではないのか、オフィシャルのWebサイトなどを見てもほとんど情報がありません。これにはちょっと面食らいました。各蒸留所のサイトを見ていけば調べがつくと思っていたのに、結構面倒なことになりそうだぞ、と。

しかし、スコットランドで初のビジターセンターを作った蒸留所については多くのサイトで情報を見ることができました。1969年7月 グレンフィディックが他に先駆けてビジターセンターを公開しました。当時の新聞にもその記事があります。

New Reception Centre opened GLENFIDDICH WILL KEEP TRADITION OF HOSPITALITY

Monday 07 July 1969
Aberdeen Press and Journal

また、ブレア・アソールでは1975年にはビジターを多数受け入れていたと思われる記述があります。ブレア・アソールは Bell’s のキーモルトとしての歴史が蒸留所の中で展示されています。

… It is the centre Bell’s worldwide operations many visitors and overseas-agents have visited this New House Bell’s, NUHIIR FOUR To ensure that demanik can met a fourth Highland’s malt distillery …

Tuesday 30 December 1975
Aberdeen Press and Journal

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ブレア・アソール蒸留所には Bell’s の歴史が展示されていた

タムデューには1977年にビジターセンターが出来たようです。が、残念ながらこれは今では存在しません。タムデューには元々線路が通っていて(今は廃線)、タムデュー駅の駅舎にビジターセンターが作られていました。

Highland Distilleries to provide visitor facilities at Tamdhu Distillery. Knockando, was opened this week, writes David Morgan, For those taking part the surroundings must have smacked of a different era. The car park …

Wednesday 18 May 1977
Aberdeen Press and Journal

駅の反対側にはノッカンドゥ蒸留所があるのですが、以前訪問したときにこの2つの蒸留所は本当に近くて驚いていました。線路があったのも蒸留所への搬出入を効率よく行うためだったのでしょう。

種々の情報をまとめてみると、主な蒸留所のビジターセンター開設は次のようになっています。(出典:whisky for everyone, Whisky.com, 蒸留所情報など)

1969 : グレンフィディック
1973 : グレンファークラス
1974 : ボウモア
1976 : グレンドロナック
1978 : グレンリベット
1982 : エドラダワー
1986 : ハイランドパーク
1989 : フェッターケアン
1992 : ダルウィニー
1994 : グレンモーレンジ
1998 : ラガヴーリン
1998 : アードベッグ
2000 : プルトニー
2002 : クラガンモア
2004 : オーヘントッシャン
2004 : グレンマレイ

 

グレンフィディックに見るビジターセンターの成功

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ビジターセンターを最初に作ったグレンフィディックはやはり注目されたようで、また、観光地としての押出しの強さや規模も当初から大きかったからでしょう、様々なイベントが新聞記事にもなっていました。

スペイサイドの蒸留所で5000人目の訪問者にビッグなプレゼント!

Big dram for 5000th visitor. A Speyside distillery is today expecting its 5000th visitor of the summer season and the lucky person will be presented with a bottle of whisky to mark the …

Wednesday 08 July 1970
Aberdeen Evening Express

グレンフィディックの5000人目のビジターが祝福を受ける。

ALASKAN IS LUCKY 5000th VISITOR AT GLENFIDDICH LUCKY WINNER
bottle Of Genfiddich malt whisky for being the 5000th visitor to the Moray distillery is a man from Alaska — Mr Junius Jewett, a land surveyor …

Thursday 09 July 1970
Aberdeen Press and Journal

グレンフィディックは現在も訪問者数がトップ3に入っているくらいの有名どころですが、当初からこういう宣伝や人集めが上手だったということなのでしょうね。5000人目のビジターが1970年7月8日ということは、ちょうど1年で5000人だったようですが、なんとなく1周年だからキリの良い数字にしてしまえというようなアバウトさが感じられるのは気のせいでしょうか(笑)

グレンフィディックでは年間50,000人の訪問客を見込む

Scotch, with dash of tourists
… 50,000 visitors are expected at Grant’s Glenfiddich Distillery alone. The numbers have been zooming by around 10,000 each season.

Friday 14 March 1975
Aberdeen Evening Express

 

グレンフィディックの300,000人目のビジターが祝福を受ける

Dufftown distillery entertain their 300,000th visitor. BELGIAN holidaymaker Mr Jean De Strooper and his family from Brussels became VIPs when they called at William Grant and Sons’ Glenfiddich Distillery, Dufftown. The …

Wednesday 24 August 1977
Aberdeen Press and Journal

その後、30万人に達するまで約7年、1975年の記事では年間で5万人を見込んでいるようですし、現在の一般的な蒸留所と比べてもかなり大きな数字です。というか、2013年の時点でグレンフィディックが年間8.1万人ですから、既に現在と同等レベルの観光客を受け入れいていたことになります。これはかなり驚異的ではないかと。当時から蒸留所を目玉としたツーリズムが流行っていたことが伺えます。

グレンフィディックに続く蒸留所たち

そんなグレンフィディックの状況を見てか、世界へそのブランドを知らしめようと画策する蒸留所はビジターセンターを整備していきます。

Scotch, with dash of tourists
… Mr David Illingworth, of Elgin, the regional director of the GTA, said although there were only three distilleries which can visited without prior arrangement, a number of other distilleries will show visitors round provided notice is given. This season three distilleries feature on the trail and these are Glenfiddich,, Dufftown; Glenfarclas, Ballindalloch; and Strathisla, Keith. The AA erect special road signs to guide tourists and coach drivers from May October. There are over 30 distilleries in the Speyside area.

Friday 14 March 1975
Aberdeen Evening Express

1975年のこの記事では3つの蒸留所が「事前予約なしで」訪問できるとなっており、グレンフィディック、グレンファークラス、ストラスアイラの名前が上がっています。また、旅行者やバスドライバーのために標識を掲げ、スペイサイド地域のウイスキー蒸留所を巡る「ウイスキートレイル」を盛り上げていこうという姿勢が伺えます。

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ウイスキートレイルの標識 蒸留所のパゴダがトレードマーク

 

スコットランドのみならずイングランドからもバスツアーが組まれ、ビジターセンターでは既に大画面のムービーが流されたり多言語に対応したガイドが準備されるなど、現代と変わらない様子。ツアー客を乗せた大型バスが何台も乗り付ける様子が目に浮かびます。ツアーの最後にいくつか試飲できるというのも今と同じですね。

ちなみに、ウイスキートレイルは現在もスコッチウイスキーの普及活動を積極的に行っており、8つの蒸留所とスペイサイド・クーパレッジが参加しています。

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Image via The Malt Whisky Trail

もちろんスペイサイドにはこれ以外の蒸留所もたくさんありますが、まずは取っ掛かりとなる蒸留所ということでこれらがタッグを組んでみた、ということなのでしょう。あるいはビジターセンターを開設した最初期の蒸留所がこれらだった、と考えるべきでしょうか。早い段階から門戸を開放していた蒸留所が多いです。

 

時は流れて1980年代に入りウイスキーは冬の時代を迎えるわけですが、その中でも幾つかの蒸留所ではビジターセンターを開設していきます。売上が伸びない中であえてビジターセンターを作るなんていうのはなかなか難しい判断もあったことと思いますが、起死回生の一手としてあえて実施した場合もあるのでしょう。

大資本による蒸留所の買収なども発生し、親会社の意向でビジターセンターが建てられたというケースも見受けられます。エドラダワーはペルノ・リカールが買収した1982年の後からビジターセンターが建てられたようで、潤沢な資金がある会社の恩恵にあずかった形に見受けられます。

その2に続きます。

2017年、スコッチウイスキー蒸留所へのビジター数が過去最高に

ディアジオが、2017年に傘下の蒸留所へ観光で訪れたビジターについて発表していました。

DIAGEO’S DISTILLERY TOURISM AT RECORD HIGH

The most popular Diageo distillery visitor centres in 2017 were:

1. Blair Athol (86,019 visitors)
2. Talisker (71,006)
3. Dalwhinnie (55,983)
4. Oban (53,912)
5. Glenkinchie (44,978)
6. Glen Ord (34,774)
7. Lagavulin (27,040)
8. Royal Lochnagar (21,576)
9. Caol Ila (15,093)
10. Cardhu (13,342)
11. Clynelish (8,544)
12. Cragganmore (7,993)

これは2016年に比べて 15.2% の上昇で、ここ2012年からの5年間で 96.3% とほぼ2倍の上昇となっています。近年のウイスキーブームと観光誘致策が功を奏した結果でしょうか。これに伴う問題は諸々ありそうですが、それはさておきこれほどまでに観光客が増えているのは凄いですね。

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ディアジオ系列1位となったブレアアソール蒸留所。古いつくりの建物が伝統を感じさせる。

 

ディアジオ系列以外でのビジターがどうなっているのか気になるところなのですが、スコットランド観光局の Visit Scotland で、2012,2013年の統計情報が公開されていました。トップ20の蒸留所だけですが、次の通りです。

Whisky Tourism – Facts and Insights (PDF File)

1. The Scotch Whisky Heritage Centre (301,782)
2. Glenturret (85,304)
3. Glenfiddich (81,316)
4. Glengoyne (59,275)
5. Edradour (54,463)
6. Blair Athol (53,637)
7. Talisker (51,967)
8. Oban (42,466)
9. Dalwhinnie (32,598)
10. Glenkinchie (32,192)
11. Aberfeldy (31,120)
12. Ben Nevis (23,555)
13. Glen Ord (20,340)
14. Tomatin (20,043)
15. Glenmorangie (19,495)
16. Highland Park (18,090)
17. Macallan (15,297)
18. Strathisla (14,254)
19. Royal Lochnagar (11,800)
20. Ardbeg (10,500)

トップはエディンバラのヘリテージセンターで、これは流石に蒸留所じゃないので除外して考えましょう。なんだか見事にディアジオ系列がトップにひしめいているのと、グラスゴーから近いグレンゴインやグレンタレット、観光地として名高いピトロッホリー付近ということでエドラダワーが選ばれているようです。

しかし、ちょっとこの結果には納得がいかないような。アードベッグが入っているならボウモアやラガヴーリンも入っていそうですし、マッカランが入っていないのも気になります。全蒸留所から情報を集めたというよりは、手持ちの情報をとりあえずまとめてみただけ、という気がしなくもありません。

Record Visitors At Morrison Bowmore Distilleries

20th September 2010

こちらの記事によると、ボウモアは2010年に年間10000人ということですので、現在はもっと増えていると考えると上記のランキングには入ってきそうです。

Isle of Arran Distillery welcomes a record number of visitors – Scotch Whisky News

アランでは2016年に年間10万人のビジターという情報が。こちらもグラスゴーから比較的近い場所にあり、観光地として名高いアラン島は人々の目的地になりやすいのでしょうね。

というわけで、先ほどのランキングがすべてというわけでは無さそうです。

ディアジオのランキングに戻ると、あまりメジャーとはいえない(失礼)グレンキンチーがスペイサイドのクラガンモアよりも5倍も多かったりするのがなんとも面白いです。クラガンモアとカーデュでも1.5倍の差があるのがとても不思議です。立地的にはかなり近いといえば近いのですが。

マッカランに寄ったついでのカーデュと、グレンファークラスに寄ったついでのクラガンモア、といったロケーションなのですが、前者のほうが強いということでしょうか。ちょっと世知辛いですね。

 

全蒸留所をあわせた年間トータルは2016年で170万人ということでした。2017年の統計もそのうち出てくるでしょうが、この数字を上まわってくるのは確実でしょうね。改めて、観光産業との結びつきが強いことがよくわかりました。

『ウイスキーの良さを知ってもらう本』のクラウドファンディングが100%達成(引き続き継続中)

先日ご紹介した「ウイスキーの良さを知ってもらう本」のクラウドファンディング、なんと残り54日を残して目標金額を達成してしまいました。凄いですね!

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かなりいい勢いでパトロンが集まっていたので、このままいけば残り30日くらいで達成しそうだなーなんて思っていたのですが、まさかこんなに早く達成してしまうとは……予想外でした。

一度目標は達成はしたものの、引き続きパトロンは募集しておりますし、もう少し金額が集まればさらに広めるための手が打てることと思いますので、もし興味があるけれどもまだ支援していないという方がいらっしゃいましたら是非。

最終的にどこまで伸びていくのか、楽しみに結果を待ちたいと思います。

1/25はBurn’s Nightです

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1/25は、スコットランドの国民的詩人にしてウイスキーマニアだったロバート・バーンズの誕生日、バーンズ・ナイト(Burn’s Night)です。

バーンズ・サパーとも呼ばれるこの日は、スコットランドの郷土料理「ハギス」を食べるのが正式(?)です。この日はスコットランドのみならずイングランドでもお祝いされるようです。さすがにイングランドの人はハギスを食べようとは思わないんじゃないかなあ、なんて邪推してしまうところですが(笑)

「ハギスのために(Address To A Haggis.)」という詩をうたいながらハギスにナイフを入れて取り分けていき、ウイスキーとともに頂く。んー、まさにスコットランドといった風情ですね。自分はウイスキーはもちろん、ハギスも好きなのでこの組み合わせはバッチリいけます。

ハギスを作るのは難しいかもしれませんが、ウイスキーを愉しむことは簡単ですので、1/25 は是非ウイスキーで乾杯をしてみましょう。

 

ちなみに「ハギスのために」の歌詞はとても長いので、詳細は各自検索してみて頂きたいですが、冒頭からなんだか凄い詩です。

 

Fair full your honest, jolly face,
Great chieftain of the sausage race!

腸詰一族の偉大なる王よ、正直なおまえの笑顔に幸いあれ!

 

もうね、詩人ってやつは、本当に……。

 

キルホーマンの10年熟成シングルカスク

2005年に蒸留所が設立されたキルホーマン蒸留所。気づいてみればいつの間にか12年の歳月が流れていたわけですが、そういえばと思っていた10年熟成のボトルが幾つかリリースされています。現在、割とお手軽に買えそうなのは、Whisky Exchange 向けのシングルカスク10年、シェリー樽での熟成のボトルがあります。

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Image via WhiskyExchange

他にも、キルホーマンのファンクラブ向けのリリースなどがあるようですし、今後はもっと増えてきそうです。

3年ものなどがリリースされた当初の盛り上がりからは少し熱が落ち着いてきて、その後もリリースは5年程度の熟成が中心にバラエティに飛んだ内容でした。マキヤーベイ(MACHIR BAY)、サナイグ(SANAIG)、ロッホゴルム(LOCH GORM)など、樽の種類が異なる内容で差別化しています。

個人的には8年、10年、12年……というスタンダードな進め方を期待していたのですが、それだと目新しさが無いからでしょう。新興の蒸留所ではこういうリリース方法が多いですね。

秩父蒸留所のような、毎年1つはオフィシャルの新作をリリースしつつも、シングルカスクなどで様々なリリースを行うのが定番になってきている気がします。アラン蒸留所もシングルカスクを様々なボトラーズや団体に払い出していて、しかもその品質はかなり安定かつ比較的安価だったことからポピュラーな存在となりました。キルホーマンのシングルカスクはそこまで聞きませんが、海外だと一般的にリリースがあるのでしょうか。

創業当初はいろいろと大変だったようですが、それでも安定したリリースを続けていて現在ではアイラ島の蒸留所として自然に溶け込んでいるように思えます。2010年と2016年、それぞれ訪れたときも、アクセスが悪いにもかかわらず訪問客は結構な人数でした。タイミングが悪くて内部ツアーに参加したことは無いのですが……ほとんどの場所で鍵もかかっておらず、ほぼセルフツアーみたいに色々と見れてしまうくらいオープンな蒸留所だったりします。大丈夫なのかと心配になるくらいです。

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フロアモルティング場も扉が開けっ放しでした

 

もうそろそろ12年物の話も出てくることでしょう。15年か20年くらいで節目のお祝いなんかもありそうです。原酒の品質も当初と比べるとかなり変わってきていると思いますし、その変遷を愉しむのも良いかもしれませんね。

オールド・プルトニー、2018年最初のニューリリース情報

私が一番好きな蒸留所であるオールド・プルトニー蒸留所から、2018年初のニューリリースの情報が出てきました。今回は3種類のボトルが、主に免税店向けとして発売されます。

OLD PULTENEY UNVEILS THREE NEW TRAVEL RETAIL EXCLUSIVE WHISKIES

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Image via Old Pulteney Whisky Blog

 

Old Pulteney Single Cask 2002 (number 717)

“Viking Line Cinderella Whisky Fair” という豪華客船上で行われる一風変わったウイスキーイベントがあるそうで、その10周年を記念して発売されるシングルカスク。船が出発するスウェーデン向けということで、スウェーデンの空港の免税店向けだそうです。

アメリカンオークのバーボンバレルで、58.2%のカスクストレングス。1299スウェーデン・クローナという値段は、おおよそ1.8万円というお値段のようです。典型的な造りのプルトニーらしい味わいのようですね。

 

Old Pulteney 1990 Vintage

2点目はプルトニーの1990年ヴィンテージ。同様にアメリカンオークのバーボン樽で熟成させた後、スパニッシュオークの樽に移し換えていますが、この樽は以前にヘビーピートものを熟成させており、リッチかつスパイシーさも付け加えられ複雑さが増す効果を狙ったもの。どの程度の期間で後熟扠せたかは分かりませんが、通常のプルトニーとは違う味わいが期待できそうです。

46%でナチュラルカスクストレングスということですが、本当でしょうか。288ポンドで世界中の免税向けにリリースされるようです。

 

Old Pulteney 2006 Vintage

最後は2006年ヴィンテージの11年熟成。こちらも46%のナチュラルカスクストレングスということで、うーん、多分加水だと思うのですが……その分値段は55ポンドと良心的です。シングルカスクではないと思いますので、通常の12年ものとどの程度味わいが異なるのかが気になります。

 

ここ最近は免税向けに様々なリリースを行っているプルトニーですが、以前は同系列のリリースとして1989年ヴィンテージや1990年ヴィンテージなどが日本にも入ってきていました。できれば通常品として日本の酒屋の店頭にも並んで欲しいものですが、あまり市場が大きくない日本では厳しいでしょうか。プルトニー好きで免税店に行かれる方は是非チェックしてみて下さい。