カテゴリー別アーカイブ: ウイスキー

グレングラッサ 28年 1986-2014 ウイスキーライブ2014向け

蒸留所らしさはあまり感じられませんでした。

GlenGlassaugh 28yo 1986-2014 (OB for Whisky Live 2014, Sherry Butt, Cask#9, 43.9%)

香りはプルーン、トースト、アーモンド、煎りたてのゴマ、やや紹興酒のニュアンス。
味わいは強めのシェリー樽、レーズン、ローストナッツ、オイリーなボディ、やや出汁醤油っぽさもある、タンニンの収斂味、煮出した紅茶とナッツのオイリーさが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ビリー・ウォーカー氏がグレングラッサ蒸留所を手にしてから何度かリリースがあった、オフィシャルの長熟レンジ。グレングラッサ蒸留所は1986年から閉鎖されていましたが、2008年に蒸留を再開。その閉鎖前のラストヴィンテージとなる1986年の原酒が、Whisky Live 2014 のためにボトリングされました。

シェリー樽の要素が支配的で、香味ともにかなりオイリーなニュアンスが印象的です。グラッサらしさ、というと、草のような青々しい要素をイメージするのですが、このボトルについてはそのあたりが皆無で、ハウススタイルは感じられませんでした。樽のチャーの影響からか、ローストしたナッツやゴマのニュアンスが結構感じられるところが面白いウイスキーでした。

グレングラッサは、割と好みが分かれるというか、樽によって香味が一貫していないような印象があります。シングルカスクがかなりの数リリースされたため、ということもありますが、マンゴーなどのいわゆるトロピカルフルーツが感じられるものもあれば、草の要素が非常に強くて大草原の真っ只中、というようなボトルもあり、買う側としてはなんだか凄いバクチのような感じがしますね。ブレ幅が大きい分、突き抜けるときはとことん突き抜ける、ということなのでしょうか。

事前に試飲できれば良かったりもしますが、高額ボトルだとなかなかそういう機会が得られないことも多くて。難しいですね。

広告

バランタイン30年 1990年台流通ボトル

円熟した非常に良いバランス。飲む芸術品です。

Ballantine 30yo (OB, +/- 1990s, 750ml, 40%)

香りはべっこうあめ、カラメル、トフィ、熟したリンゴ、少し植物っぽさ、清涼感のあるハーブ、洋ナシ、どれもが主張しすぎず、円やか。

味わいはとても優しいタッチでリンゴとさくらんぼ、適度な濃さの紅茶、ミドルからしっかりした旨味の出汁、和三盆、木と樽の植物感と、控えめに広がる乾いたピート、少しミルクチョコレートのニュアンス、リンゴと紅茶の渋みが微かに残る軽やかなフィニッシュ。

【Very Good】

1990年代流通と思しきバランタイン30年です。使われている原酒は、逆算して1960年代。「腐っても60年代」というような言葉もあるくらい、スコットランドのモルトが非常に優れた味わいを誇っていた時代なわけでして、これが不味いわけがない、と思えてしまう代物です。もちろん、これ以前のものにはもっと素晴らしいものや味の方向性が少し異なるなどもありますが、自分がイメージするバランタインらしい味わいというとこのボトルにあるような香味が浮かんできます。

非常に多彩でスワリングするたびにころころ変わり拾うのが楽しく、しっとりとして落ち着いたバランタインらしいさすがの複雑さと円熟味。加水と経年ということもあり、やや線の細い繊細な趣ですが奥にはピートや程よい樽感も感じられ、全体として非常にバランスが良い。

やはりブレンドの巧さなのでしょう。匠が作り上げた往年の名作、飲む芸術品、といった感じです。

このボトルの楽しみ方としては、やはり「時間に思いを馳せる」というのが良いように思います。

原酒が作られてから今ここにたどり着くまでの長い長い時間。熟成期間の長さに加えて、瓶詰めされてからも30年ほどになろうかという膨大な時間。また、これを作り上げたブレンダーが研鑽してきたその時間。この時期ですと、マスターブレンダーはロバート・ヒックス氏でしょうか。彼の技を感じられるわけですね。

そういった特別感のあるバランタイン30年ですが、このボトルであれば、昨今のシングルモルトに比べればまだまだ手頃な価格で手に入るというのがありがたいですね。これだけの満足感を得られるかどうか怪しいボトルも多い中、オールドボトルでもそれなりに安定した品質のものが多いバランタイン30年。一本手元にあって損はないと思います。

タリスカー 175周年記念ボトル 2005年リリース

優しいピートとほんのり甘さが良いバランスでした。

Talisker 175th Anniversary (OB, bottled in 2005, 45.8%)

香りは綺麗なピート、バニラ、プリン、綺麗な出汁、少し潮の香り。
味わいは穏やかな立ち上がりでバニラ、しっとりピート、カラメルの甘さが心地いい、控えめながらコショウ、穏やかなピートのフィニッシュは優しく短く消える。

【Good/Very Good】

2005年にタリスカー蒸留所の175周年を記念して特別に詰められたボトル。限定とはいえ、50000本を超える量がリリースされたようで、あまり特別感は無く、オフィシャルの1ラインナップというイメージでした。自分が呑み始めた頃にもまだまだ酒屋に普通に置いてあったものですが、いつの間にか姿を消していたなあ、という印象だけが残っています。

最近の10年のように若さはありませんし、18年とも方向性が違う。熟成感でいえば15年程度のようにも思いますが、いまいち掴みどころがありません。比較はさておいて香味にフォーカスすると、ややカラメルが効いた甘さが特徴的で、ピートも強くなく控えめ。全体的にまとまりが良く、飲み疲れない。際立った個性は無いものの、こういう落ち着いた味わいは結構評価されても良いのではないかと思いました。

ストレート以外の飲み方では、ハイボールでやや濃い目に仕立ててみたところこれがかなり美味しい。タリスカー10年の若さもあるパンチの効いたハイボールも勿論良いのですが、本格的な夏に入る前の今の季節ならこちらの方がマッチしていました。

こちらは持ち寄り会でのNさんご持参のボトル。貴重なボトルをありがとうございました。

グレンマレイ 15年 2000-2015 SMWS35.136

溌剌とした柑橘の酸味が心地いいモルトでした。

GlenMoray 15yo 2000-2015 (SMWS 35.136 “Genteel company”, 59.5%)

香りはミルク、バニラ、オレンジ、少し布っぽさ、ポリッシュ、ややワクシーなニュアンス。
味わいはとてもハッキリとしたハチミツ、レモン、ゆず、ミドルからホワイトペッパーと紅茶、フィニッシュにかけて白ブドウと紅茶が続く。

【Very Good】

SMWS-ソサエティの35番=グレンマレイの2000年蒸留、2015年詰め。近年のボトルです。

非常にエッジの立ったくっきりとした味わいが特徴的で、はちみつのような甘さと柑橘系の酸味のバランスがとても良いです。度数が高い割にはそこまで刺激的でもなく、フィニッシュにかけての紅茶感には上品さもあり、ボトル名の “Genteel” はなるほどこういうところか、と思わされました。

フルーティ、派手ではないけれども華やか、飲みごたえもあるし加水してもあまり崩れないのでゆるゆると飲んでも楽しい。2000年の蒸留でこれはかなりの当たりなのでは。どうやら値段もかなり抑えめだったようで、これは良い買い物をされたと思います。こういうのは自分で試飲してみないと分からないですね。

こちらは持ち寄り会でのNさんご持参のボトル。貴重なボトルをありがとうございました。

コールバーン 20年 1980-2001 マキロップチョイス

シェリー樽とフルーツ感の組み合わせの妙がありました。

Coleburn 20yo 1980-2001 (Mackillop’s Choice “Single Cask”, Cask#1859, 61.3%)

香りは醤油、スターアニス、しっとり濡れた布、木の皮と樽感、少し糊のようなニュアンス。
味わいは浮ついた軽さを感じる近年シェリー、マンダリン、オランジェット、柑橘系のフルーツ強め、徐々にピリピリとスパイス感と濃いめのシェリー樽感が支配的なフィニッシュに繋がる。

【Good/Very Good】

マキロップチョイスのコールバーン、シェリーカスクのシングルカスクものです。

60%超えの力強さは少しありましたが、ボディはそこまで厚くなくやや浮ついた感じ。濃厚なシェリー樽の影響が強めで、原酒の様子はあまり伺えませんでした。ややザラザラした粉っぽい感じのある近年シェリー感ですが、柑橘とチョコレートどちらのニュアンスも感じられ、オランジェットのような味わいが面白い特徴でした。

コールバーンは1925年からDCL傘下のもとで長年稼働を続けてきましたが、80年代の不況と整理に巻き込まれて1985年に閉鎖。建物はそのまま残されていて、現在は熟成庫としてのみ、その役割を果たしています。

2014年に自分が訪れたときも蒸留所には人が居て、蒸留はしていないけれど使われている形跡がありました。せっかくの歴史ある熟成庫ですから、こうして利用できるなら使い続けていただきたいところですね。

こちらは持ち寄り会でのNさんご持参のボトル。貴重なボトルをありがとうございました。

グレンロッシー 12年 ジェームズ・マッカーサー 61.7%

ギュッと濃縮したようなパワフルさが印象的でした。

GlenLossie 12yo (James MacArthur’s “Fine Malt Selection”, Cask#4991, 61.7%)

香りはカスタード、アンズ、清涼感のあるハーブ、瓜のニュアンス、奥に微かに桃。
味わいは力強い塩気と甘味、バタークッキー、白ブドウ、微かにたまり醤油、フィニッシュはスイカと瓜の中間の味わいが残る。

【Good/Very Good】

ジェームズ・マッカーサーのグレンロッシー12年。あまり飲んだことのないボトラーズです。裏ラベルを見ると「株式会社 トーメン」とあり、特級表記がありません。幾つかのサイトを拝見する限り、ラベルが同じでカスク違いで度数が異なるものが何種類かある模様。すべて同時期のものとするならば、1990年代前半になるようです。

香りは割と穏やかで少し古びた印象があり、経年というよりはここ最近とは異なるトレンドの香り立ち、といった印象です。華やかなフルーティさではなく、麦らしさが目立つような方向性。

特徴的なのは口に含んだ瞬間のギュッと凝縮したような力強さで、クッキリとエッジの立った味わい。それもそのはずよく見てみれば度数は60%を超えていました。でも、不思議と痛々しくはないですね。最近詰められたボトルだともっと刺々しく感じそうなものですが、これが経年による変化でしょうか。25年も経てば、それなりに変化するということでしょう。

とはいえ、今も溌剌とした味わいで、まだまだこれからも楽しめそうなボトルですね。

こちらは持ち寄り会でのNさんご持参のボトル。貴重なボトルをありがとうございました。

復活するポートエレン蒸留所の新しい姿

2017年にディアジオがブローラ蒸留所とともに復活させることを宣言したポートエレン蒸留所。その新しい姿のイメージが公開されました。

復活するポートエレン蒸留所の予定イメージ Image via The Spirits Buisiness

近代的な作りの建物の中にポットスチルなど製造工程が収まり、伝統的なキルンの建物はビジターセンター的な位置づけになるようです。イラストにはありませんが、海辺のウェアハウスもビジターセンターの一部として使われるようで、このあたり一帯が大きく変貌することになるのでしょう。

ポートエレンのパゴダ。右手奥には大きな精麦工場が稼働するが、このあたりは物置場のように雑多な状態だった(撮影:2010年)
海辺のウェアハウス。上のキルン撮影の手前に位置する場所。こちらも改装され、ビジターセンターの一部になる模様(撮影:2010年)

ポットスチルは2*2セットの4基になるようで、1セットは1983年閉鎖時のものと同サイズ同型のものを、もう1セットはさらに小さいサイズの挑戦的なアプローチのもので、19世紀にポートエレン蒸留所を率いていたジョン・ラムゼイ氏へのオマージュだとしています。(ジョン・ラムゼイ氏についてはこちらの記事が詳しいですので、興味がある方はどうぞ。)

コアなファンが多いポートエレンを復活させることで、ウイスキー増産とともにファンをつなぎとめておきたいのでしょう。復活は2021年を目指しているということで、自分もまた訪れてみたいです。楽しみに待ちましょう。