カテゴリー別アーカイブ: ブレンデッド・ヴァッテッド – Blended&Vatted

スリーシップス バーボンカスクフィニッシュ

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Three Ships Bourbon Cask Finish (OB, 43%)

香りはカスタード、バニラ、穀物由来の甘やかな香り立ち、井草っぽさと紙のニュアンス、バナナと微かにパパイヤのようなフルーツ感。

味わいは薄めたような紙とトロピカル感、穀物の単調な甘さ、ミドルから草模様が広がり、若干のエグみが口腔内を覆う。フィニッシュにかけては微かなトロピカル感が再び顔を覗かせるがややドライに終わる。

【Good】

南アフリカのジェームズ・セジウィック蒸留所が手がけるブレンデッドウイスキー。アワードを受賞した5年ものの姉妹品で、バーボンカスクフィニッシュというこちらは3.5年の熟成期間だそうです。

最初に飲んだときの第一印象は「割とよくできたアイリッシュ・ウイスキー」でした。アイリッシュに独特な紙っぽさと裏返しのほんのりとしたトロピカルフルーツ感があり、軽やかな仕上がりも手伝ってアイリッシュっぽいという印象でした。「グリーンスポット」や「キルベガン」などに近いように感じます。

開けたてはもう少しフルーツ感が出ていたのですが、開栓後3ヶ月ほど経ってこなれてきたのか、やや草っぽさが主張してくる感じになってきました。前述の5年よりは華やかさがあって、自分はこちらの方が好みでした。夏の暑いときにロックで飲むのもなかなかに良かったです。ハイボールは少し紙っぽさが目立ってしまったので、1回だけ試したきりになってしまいました。

 

バーボンカスクフィニッシュの3年半という熟成期間は、マルコポーロがヴェニスからイェルサレム、そしてクビライ・カーンに謁見したという東方見聞録の旅程からヒントを得ているとか。その航路に南アフリカは関係が無いはずですが……(笑) まあ、そういう旅の時間というのを意識したシリーズなのでしょう、スリーシップスというのは。

 

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スリーシップス 5年 南アフリカ ウイスキー

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いわゆる5大ウイスキーといえばスコットランド、アイルランド、US、カナダ、日本ですが、それ以外の国でも勿論ウイスキーは作られています。インドのアムルット、台湾のカヴァランなどはかなりメジャーになってきたと思いますし、オーストラリアや北欧のブランドも勢力を増してきているのを感じます。

一方で、南アフリカでもウイスキーが作られているのをご存じの方はどれほどいらっしゃったでしょうか。自分はウイスキーマガジンのこちらの記事で初めて知りました。スリーシップスを作っているアンディ・ワッツ氏は、ボウモアで実務経験を積んでいらっしゃるようです。ちょうど日本の竹鶴氏がスコットランドで修行をして自国でウイスキー造りを進めたように、どこの国にも先駆者としてウイスキー造りと普及に邁進されている方はいらっしゃるのですね。

かねてから飲んでみたいと思っていたこちらのボトルは、2012年のウイスキーワールドアワード(WWA)で「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー」を獲得したものです。

さて、その味はといいますと……

Three Ships 5yo (OB, 43%)

香りはスモモ、ラズベリー、ジンのようなジュニパーベリーのニュアンス、カスタードクリーム、軽くカモミール、タールのようなニュアンスも潜んでいる。

味わいは優しい立ち上がりの麦感、徐々にヒリヒリとホワイトペッパー、ヨモギのようなハーブのような植物感、やはりジンのようなジュニパーベリーのニュアンス、グレーン由来と思しき軽い風味で〆るフィニッシュ。

【Okey】

正直、かなり軽いですね。ちょっと平坦であまり特徴の無いブレンデッド、という感じではありますが、しいて言えば華やかな甘さだけではなく様々な要素が混在していて複雑さはあると思います。ちょっと不思議なのは、ジンに感じるようなジュニパーベリーのニュアンスが含まれていること。ハーブ感もとらえているのでそのあたりから派生した香りでしょうか。ちょっと面白いところです。

が、これがワールドベストのブレンデッドかと言われると、正直首を捻ってしまいます。同価格帯でももっと分かりやすく美味しいものはありますし、わざわざこれを選ぶ理由が無いかな、というのが率直なところ。物珍しさはありますし、未熟感は明らかにバランスが崩れているということはありませんから、品質的には優れたものだと思いますが……。

 

とまあ、味の感想はこのくらいにして。

南アフリカと言うと暑い地域という印象ですが、ジェームズ・セジウィック蒸溜所があるのはケープタウンの近郊。ケープタウンの気候を見ると、最高気温は冬は平均10℃弱、夏は平均26℃程度で意外と冷涼なようです。結構穏やかな熟成となりそうですが、雨がちで湿度がやや高めというあたりがスコットランドと異なるところでしょうか。アフリカに行ったことはないのでなんとも言えませんが、温度湿度的には日本に近い気もします。

ジェームズ・セジウィック蒸溜所は130年ほどの歴史があるということで、日本のウイスキー蒸留所よりも長いようですね。ただ、その間ずっとウイスキーを製造していたかというとそうではなく、元々は主にブランデーの蒸留を行っていたようです。そこに、前述のアンディ・ワッツ氏がスコットランドから技術を得て、ウイスキー造りに適した設備を導入し、スリーシップスのブランドを立ち上げていきました。

ブレンデッド・ウイスキーなので、もちろんグレーンも入っています。グレーンは当初はスコットランドからの輸入で、そこに自社蒸留したモルトと混ぜていたようですが、現在はコラムスティルを導入しており自社製造しているとのこと。今では100% Made in South Africa というわけですね。

スリーシップスの名は、大航海時代かそれ以前から港町として栄えたケープタウンにちなんだもの。また、5年という熟成年数は、ビーグル号でガラパゴスを含む世界各地を航海したダーウィンからヒントを得ているようです。確かに、途中でケープタウンにも寄港していますね。

未知への憧れが世界を動かした時代のロマンを、現代に再現したいのかもしれませんね。最近はシングルモルトもリリースされたという話も聞きましたので、機会があればどこかで飲んでみたいと思います。

 

ジョニーウォーカー グリーン 15年 台湾向け 48%

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Jonnie Walker 15yo Green Label for Taiwan (OB, Blended, 48%)

香りはハチミツ、やや若さを感じるヨーグルトとバターの風味、レモンバーム、青りんご、ハーブとグラッシー、奥の方に焦げたような、タールのようなニュアンスが潜む。

味わいはスムーズ、リンゴ、ハチミツ、ややグラッシーさが強め、アンズ、ホロホロと崩れるような線の細い甘さ、鼻抜けはややミネラル感がある、ブレンデッドらしいスムーズさで消えるようなフィニッシュ。

【Good】

サンプルとして頂いた、台湾向けのジョニーウォーカー グリーンラベル。いつもありがとうございます。

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image via くりりんのウイスキー置場

詳細は頂いたくりりんさんのBlogにまとめられていますのでそちらをご参照頂くとして、緑のジョニーといえば、2012年に日本では終売になっており、色合いがひとつ消えることになったのか……なんて感慨を抱いたものです。2016年に復活したわけですが、台湾ではそのまま売られ続けていたという、ちょっと謎でしたね。

 

元々の緑のジョニーも1度くらいしか飲んだことがないため、その味との比較ができないのですが、このボトル単品で言うならば線の細い万人受けしそうな、でもスコッチらしい一品、という印象です。全体的にはモルトらしい甘さでまとめつつも、奥の方に潜む焦げ感、スモーク、タールといったニュアンスが味を引き締めている。48%という度数は、でもそこまでは強くは感じさせない優しさがあります。

15年という熟成年数にしては少々香りに若さが感じられるところがあるものの、レモン系の爽やかなところは暑い夏でも清涼感を感じられそうです。線の細さから割って飲むと風味が消えてしまいそうですが、少し濃い目のハイボールならありかもしれません。

 

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ジョニーウォーカーといえば、ちょうどつい先日試飲で21年XRを飲んでいました。こちらの方がボディの膨らみがしっかりとあり、リンゴのようなフルーツ感が乗っていてリッチなニュアンスでした。線も太く飲みごたえがあるのは流石にプレミアムレンジですね。同じジョニーウォーカーでもキャラクターがかなり違うところが面白い。値段も全然違うので比較にはならないとは思いますが、単純に美味しさを求めるならこの値段の差は当然か、と思わせるだけの実力がありました。

ブルームスベリー 30年 ファイネスト オールドブレンデッド ウイスキー

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Bloomsbury Finest Old Blended Scotch Whisky 30yo (Bloomsbury, 43%)

香りはクリームやバターなどの乳製品、とてもコクが強い、徐々にリンゴや洋ナシのフルーツ感が現れ、続いてポリッジ、バタースコッチ、微かにフローラルなハチミツ様も。

味わいは柔らかくとてもクリーミーで、香り同様のミルク感、一呼吸置いてリンゴ、徐々にホワイトペッパーのような刺激、セージなどのハーブ感、奥にピートのニュアンス、フィニッシュはカスタードクリームに複雑なハーブ感が合わさる。

【Very Good】【Interesting】

ブルームスベリーというと、もうかれこれ10年以上前に幾つかリリースがあったものの、最近は全然聞かなくなってしまったボトラーズですね。近年でもボトラーズは現れては消えていくものが多いですし、そういうものなんでしょう、とある種開き直ってしまったりもしています。

さて、このボトルがリリースされたのがいつかは正確には分からないのですが、恐らく2005年より前だと思います。30年熟成ということですので、1970年代前半に蒸留されたモルトがメインであることは間違いないでしょう。ものによっては1960年代の原酒も入っているかもしれませんね。

クリーミーな味わいからなんとなくグレンタレットが思い浮かんだりしましたが、いかんせん情報が無いのでさっぱり分かりません。しかし、ブレンドらしく多層的な味わいで、原酒が良いからかしっかりとした芯の強さを感じる良質なウイスキー、という印象です。

情報があまり無いので詳しい所は分かりませんが、昔はこういうブレンデッドも結構たくさんあったのですね。以前記事にしたダイナースなども、ある意味個性的なブレンデッドでした。しっかりとした味わいで良い物が多かったのだなあ、としみじみ感じてしまうのでした。

 

マクファイルズ 2000年記念 陶器ボトル 2000ml

 

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MacPhail’s 2000 (Gordon & Macphail, Vatted Malt Scotch Whisky, 2000ml 40%)

香りは高貴なシェリー感、ふんだんに香る白桃、レーズン、プラム、リンゴと紅茶、鞣した革、アンティーク家具、複雑でリッチさがあり素晴らしい、時間を置くとバターのニュアンスも出てくる。

味わいは黒糖のようなコク、カラメル、驚くほどスムーズ、白桃、洋梨、プルーンなどのフルーツ感、ミドルから紅茶、ややドライでホワイトペッパーのように少しピリピリとするが強くは無く舌先に染み込む、鼻抜けから返りにも古樹の香り、余韻は穏やかな暖かさが残り、和三盆のように儚く消える。

【Very Good/Excellent】

天下のG&M、ゴードン&マクファイルズが西暦2000年の記念にリリースしたブレンデッド・モルトウイスキー。

縁あっておすそ分け頂く形となりました。ボトルの由来など詳細な説明はくりりん氏のブログをご参照頂ければと思います。

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陶器で2000gもあるそうで、箱も重そうな作り。 photo by くりりん

注いだ瞬間から立ち込める白桃やプラムのフルーツ感に思わず顔がほころんでしましました。高貴さも感じさせる往年のシェリー樽の香りも素晴らしいですが、単純なフルーツ感が前面に出るタイプのものではなく、木や革、古びた家具のニュアンスも同じくらい主張してきて、複雑ながらも全体として丸みを帯びている印象です。そして複雑さは味わうと舌に染み込むようで、ほとんど嫌味を感じさせませんでした。

“A vatting of rare single malt whiskies the combined ages total 2000 years” という記載では、一瞬、力技だけのブレンデッドかと思いますが、そこはきっちりと仕事をしてくれたのでしょう。さすがですG&M。合計2000年という熟成年数は伊達なだけのものではありませんでした。

ややヒネというか独特の香りがありましたが、ボトリングから16年ほど経った割には概ね状態も良好でした。原酒は概ね40年オーバーと云われていますし、今から50年も前に造られた酒が経た時をここで味わえる。素晴らしいロマンだと思いませんか?

次の節目は2100年でしょうか?(笑) こんな年末に来年以降のことを考えるなんて、何かに笑われてしまいそうですし、勿論生きてそれを見ることはできないでしょうが、G&Mならばそれをやってのけてくれる、そんな予感があります。

 

ダイナース デラックス 30年 ヴァッテッドモルト

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DINERS De Luxe 30yo (Douglas Denham LTD, Vatted Malt Whisky, 40%, 750ml)

香りは黒糖、しっかりとした甘さ、ドライチェリー、レーズンも少し、昔らしいシェリー感にはやや高貴さも、ポリッシュした家具、ややスッとするメンソール系のニュアンス。

味わいは黒糖やカラメルを思わせる甘さ、栗、土っぽさ、レーズン、ミドルからは濃く煮出した紅茶、やや渋さが強め、いわゆるオールドシェリー樽らしさ、やや野暮ったいアーシーさとオールドシェリー感が比較的軽く抜けるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ダイナースといえば、そうです、あのアメリカのカード会社。
ブレンデッドウイスキーはハロッズのように特定の会社向けのオリジナルボトルなどがあるものですが、ダイナースがこんなウイスキーを出していたとは意外でした。詰めたのは Douglas Denham LTD となっていますが、どうやらこの会社は現在では消滅してしまっているようです。

ウイスキー表記であることから1989年以降といえそうですが、流通は90年代でしょうか。その場合は逆算して60年代蒸留の原酒が使われていることになります。

香味は色からも想像できる通りかなりシェリー樽のニュアンスが支配的ですが、腐っても60年代原酒といえそうな、力強く旨味もある。なによりこのオールドシェリー感は近年系のシェリー樽モルトには出せない味わいです。中身は推測することが難しいですが、やや野暮ったいアーシーな部分はファークラスあたりを連想させます。もしかしたらマッカランも混じっていたりするのかもしれませんが……、特定は難しそうです。

オールドシェリー感というのは、表現が難しいですね。近年のシェリー樽とは明らかな違いがあるのですが、こればかりは飲んでみないとうまく説明できません。いずれにしても、かなり良い原酒が使われているであろうヴァッテッド・モルトでした。

 

ピーター・ドーソン スペシャル 1970年台流通ボトル

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Peter Dawson “Special” (Blended, arround 1970s, 43%, 760ml)

香りは軽いオールド感、麦芽系の柔らかい甘さ、べっこう飴、少しピート感、革製品、旨味のある醤油のニュアンスが少し、みたらしのよう、ほのかにヨモギのような薬草感もあり。

味わいはべっこう飴の甘さ、だいだいのような柑橘、じんわりと広がる、少し醤油、湿った布のニュアンス、片栗粉、甘く煮た白い豆、じんわりとアーシーさが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ピータードーソンという、自分はこのボトルを見るまでは名前も存在も知らない銘柄でしたが、オールドブレンデッドにはそんなのがゴロゴロとあるのがまた面白いですね。今回は持ち寄り会で頂いた小瓶を家でテイスティングしました。

香り味ともに控えめながら多彩なニュアンスがあり、穀物らしい甘みを中心に内陸系のピート感、シェリー樽由来のような醤油感なども感じられ、コロコロと移ろうところが面白いです。また、感じられるニュアンスがどれも和の要素があるのも不思議なもので、べっこう飴や白いんげんの餡、出汁醤油などが連想されました。海外のバターを使ったような甘さとはまたちょっと違うような気がするためなのかもしれませんが、なかなか不思議なものですね。オイリーさが控えめだからでしょうか。

キーモルトはグレンオードが使われていた時代ということで、腐っても1970年代、ハイランド系の良質な酒質が感じられました。また、オードはデュワーズ傘下だったようで、そういえばシンプルなラベルの雰囲気もどことなくデュワーズに似ている気がします。紋章が無いことがさらにシンプルさに拍車をかけていますね。

いずれにしてもよく出来たブレンデッドです。軽いオールド感も愉しめ、肩肘張らずにスタートできる1杯といった感じでした。Kさん、いつもありがとうございます。

 

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