カテゴリー別アーカイブ: ブレンデッド・ヴァッテッド – Blended&Vatted

マクファイルズ 2000年記念 陶器ボトル 2000ml

 

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MacPhail’s 2000 (Gordon & Macphail, Vatted Malt Scotch Whisky, 2000ml 40%)

香りは高貴なシェリー感、ふんだんに香る白桃、レーズン、プラム、リンゴと紅茶、鞣した革、アンティーク家具、複雑でリッチさがあり素晴らしい、時間を置くとバターのニュアンスも出てくる。

味わいは黒糖のようなコク、カラメル、驚くほどスムーズ、白桃、洋梨、プルーンなどのフルーツ感、ミドルから紅茶、ややドライでホワイトペッパーのように少しピリピリとするが強くは無く舌先に染み込む、鼻抜けから返りにも古樹の香り、余韻は穏やかな暖かさが残り、和三盆のように儚く消える。

【Very Good/Excellent】

天下のG&M、ゴードン&マクファイルズが西暦2000年の記念にリリースしたブレンデッド・モルトウイスキー。

縁あっておすそ分け頂く形となりました。ボトルの由来など詳細な説明はくりりん氏のブログをご参照頂ければと思います。

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陶器で2000gもあるそうで、箱も重そうな作り。 photo by くりりん

注いだ瞬間から立ち込める白桃やプラムのフルーツ感に思わず顔がほころんでしましました。高貴さも感じさせる往年のシェリー樽の香りも素晴らしいですが、単純なフルーツ感が前面に出るタイプのものではなく、木や革、古びた家具のニュアンスも同じくらい主張してきて、複雑ながらも全体として丸みを帯びている印象です。そして複雑さは味わうと舌に染み込むようで、ほとんど嫌味を感じさせませんでした。

“A vatting of rare single malt whiskies the combined ages total 2000 years” という記載では、一瞬、力技だけのブレンデッドかと思いますが、そこはきっちりと仕事をしてくれたのでしょう。さすがですG&M。合計2000年という熟成年数は伊達なだけのものではありませんでした。

ややヒネというか独特の香りがありましたが、ボトリングから16年ほど経った割には概ね状態も良好でした。原酒は概ね40年オーバーと云われていますし、今から50年も前に造られた酒が経た時をここで味わえる。素晴らしいロマンだと思いませんか?

次の節目は2100年でしょうか?(笑) こんな年末に来年以降のことを考えるなんて、何かに笑われてしまいそうですし、勿論生きてそれを見ることはできないでしょうが、G&Mならばそれをやってのけてくれる、そんな予感があります。

 

ダイナース デラックス 30年 ヴァッテッドモルト

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DINERS De Luxe 30yo (Douglas Denham LTD, Vatted Malt Whisky, 40%, 750ml)

香りは黒糖、しっかりとした甘さ、ドライチェリー、レーズンも少し、昔らしいシェリー感にはやや高貴さも、ポリッシュした家具、ややスッとするメンソール系のニュアンス。

味わいは黒糖やカラメルを思わせる甘さ、栗、土っぽさ、レーズン、ミドルからは濃く煮出した紅茶、やや渋さが強め、いわゆるオールドシェリー樽らしさ、やや野暮ったいアーシーさとオールドシェリー感が比較的軽く抜けるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ダイナースといえば、そうです、あのアメリカのカード会社。
ブレンデッドウイスキーはハロッズのように特定の会社向けのオリジナルボトルなどがあるものですが、ダイナースがこんなウイスキーを出していたとは意外でした。詰めたのは Douglas Denham LTD となっていますが、どうやらこの会社は現在では消滅してしまっているようです。

ウイスキー表記であることから1989年以降といえそうですが、流通は90年代でしょうか。その場合は逆算して60年代蒸留の原酒が使われていることになります。

香味は色からも想像できる通りかなりシェリー樽のニュアンスが支配的ですが、腐っても60年代原酒といえそうな、力強く旨味もある。なによりこのオールドシェリー感は近年系のシェリー樽モルトには出せない味わいです。中身は推測することが難しいですが、やや野暮ったいアーシーな部分はファークラスあたりを連想させます。もしかしたらマッカランも混じっていたりするのかもしれませんが……、特定は難しそうです。

オールドシェリー感というのは、表現が難しいですね。近年のシェリー樽とは明らかな違いがあるのですが、こればかりは飲んでみないとうまく説明できません。いずれにしても、かなり良い原酒が使われているであろうヴァッテッド・モルトでした。

 

ピーター・ドーソン スペシャル 1970年台流通ボトル

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Peter Dawson “Special” (Blended, arround 1970s, 43%, 760ml)

香りは軽いオールド感、麦芽系の柔らかい甘さ、べっこう飴、少しピート感、革製品、旨味のある醤油のニュアンスが少し、みたらしのよう、ほのかにヨモギのような薬草感もあり。

味わいはべっこう飴の甘さ、だいだいのような柑橘、じんわりと広がる、少し醤油、湿った布のニュアンス、片栗粉、甘く煮た白い豆、じんわりとアーシーさが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ピータードーソンという、自分はこのボトルを見るまでは名前も存在も知らない銘柄でしたが、オールドブレンデッドにはそんなのがゴロゴロとあるのがまた面白いですね。今回は持ち寄り会で頂いた小瓶を家でテイスティングしました。

香り味ともに控えめながら多彩なニュアンスがあり、穀物らしい甘みを中心に内陸系のピート感、シェリー樽由来のような醤油感なども感じられ、コロコロと移ろうところが面白いです。また、感じられるニュアンスがどれも和の要素があるのも不思議なもので、べっこう飴や白いんげんの餡、出汁醤油などが連想されました。海外のバターを使ったような甘さとはまたちょっと違うような気がするためなのかもしれませんが、なかなか不思議なものですね。オイリーさが控えめだからでしょうか。

キーモルトはグレンオードが使われていた時代ということで、腐っても1970年代、ハイランド系の良質な酒質が感じられました。また、オードはデュワーズ傘下だったようで、そういえばシンプルなラベルの雰囲気もどことなくデュワーズに似ている気がします。紋章が無いことがさらにシンプルさに拍車をかけていますね。

いずれにしてもよく出来たブレンデッドです。軽いオールド感も愉しめ、肩肘張らずにスタートできる1杯といった感じでした。Kさん、いつもありがとうございます。

 

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サントリー ブレンデッド ウイスキー 「洛山」 リカーマウンテン25周年記念ボトル

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Suntory Blended Whisky “Rakuzan” 25yo (OB +/- 2015, 700ml, 43%)

香りはまさにミズナラ香、ジャパニーズらしいオリエンタル、香木、流れる糖蜜、乾いた麦の穂、アプリコットジャム、青りんご、イチゴなど多彩なフルーツ。
味わいはイチゴ、マンダリン、ミドルからややオイリーさがあり、コンデンスミルク、ココナッツオイルへと続く、リッチ、ほどよい紅茶感のタンニンの渋み、微かに硫黄のニュアンス、フィニッシュにかけてもリッチで多彩なフルーツと紅茶のニュアンスが長く続く。

【Excellent】

リカーマウンテンが25周年記念で発売した、サントリーのブレンデッド・ウイスキー「洛山」。
25年以上の原酒のみを使用したブレンデッド・ウイスキーで、昨今の山崎のお値段ということもあり、このボトル自体のお値段も相当に良いものでしたが、その内容は価格に見あう出来のものだと思いました。

内容は上記の通り、とても良く香るミズナラ香、あるいは「らしい」ジャパニーズの香りがふんだんにあり、最初のノージングでとりあえず笑ってしまうほどの力強さ。そして飲んでみてもブレンデッドらしく多層的で様々な原酒のニュアンスを拾うことができ、飽きることが全くありません。

イメージとしては日本家屋のよう。上品な和室にシンプルな床の間、仏壇も置いてありそうで、品の良いご婦人が正座でお座りになっていらっしゃる。変な例えですが(笑) 確かにそんなイメージを持てそうなモルトでした。

 

ミズナラ原酒については仲間内では度々話題になっていますが、それ単体はなく様々な原酒とのブレンドでこそ、その力を発揮すると考えています。ミズナラ原酒単体では割りとスカスカというか、香りは良いのですが飲みごたえが無く面白い部分が少ないのですが、それを補うため、あるいはブレンデッドに素晴らしい香りを与えるトップ・ドレッシングとしての機能が強いと感じます。

今回のブレンデッドもミズナラはともかく、その他に使われた原酒も恐らく山崎のバーボンカスク、パンチョン、シェリーカスクも少しあるでしょう。そしてグレーンももちろん最上のものと思われます。こういった複雑さが、飲んだ時の満足感に繋がっているのでしょうね。

そういえば、この手のハイエンドなサントリー・ブレンデッドは結局あまり続かなかったですね。ビックカメラ、信濃屋、キンコー、そしてこちらのリカーマウンテン、くらいでしょうか。流石に値段が値段ですし、なかなか交渉も難しいのかもしれませんね。

本当に貴重なボトルを持ち寄って頂けました。素晴らしい経験をありがとうございました!

スチュワーツ クリームオブザバーレイ

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Stewarts Cream of the Barley (1Litre, 75°Proof 43°G.L.)

香りはオールドシェリー、カラメル、生クリーム、シナモン、ポリッシュの家具。

味わいは香り同様にオールドシェリーの甘さ、薄めた紅茶、ミドルから意外なスパイス感、ピリリとしたホワイトペッパー、フィニッシュにかけてはみたらしダンゴのようにやや塩気と醤油気を伴う甘さ。

【Good】

初めて出会うブレンデッド・ウイスキーです。スチュワーツ クリームオブザバーレイ。

Dundee の Stewart & Son 社によるブレンデッド・ウイスキーで、ブランドとしては1831年頃から続くスコッチの老舗のひとつ。

キーモルトはグレンカダムらしいということで、確かにカダムらしさともいうべきクリーミーなニュアンスがふんだんに感じられるブレンデッドです。現行品もあるようで、アイルランドなどで人気がある模様です。

ボトルは リッターボトル、Proof 表記で概ね1970年中頃のものと思われます。年数表記がありませんが、若さはほとんど感じられませんし、どちらかというと結構長熟の原酒も使われているのではないかというまとまり具合。オールドシェリーの良いニュアンスが感じられ、低い度数と瓶熟のおかげで1杯めからだらだらと飲むにはうってつけです。

夏のこの時期には少々つらいシェリー系な印象でしたが、秋から冬にかけて、少し寒くなってきたところでこのシェリー系はとてもマッチしてくれそうです。

こちらは持ち寄り会での、主催くりりんさんのボトルその1。
いつも珍しいボトルを発掘されるその姿勢、素晴らしいです。

ジョニーウォーカー赤と黒 オールドボトルでの比較

ちょうど手元にオールドのジョニ赤・黒が揃ったため、味の比較をしてみました。年代は赤が80年代前半、黒が70年代後半と少し離れているかもしれませんが、概ね同じ頃ということで。

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飲み比べてみると、双方とも麦の甘さやカラメル系の甘味の部分は同じ傾向です。これはモルトよりもグレーンの影響の方が多いのかもしれません。使っているグレーンが同じ傾向のものであれば納得です。

その上で味の違いというと、

赤 : やや平坦、スムーズ、華やかさは黒よりも赤の方が上、

黒 : 立体的で尖っている、ブリニーやミドルからのピート感がしっかり、多層的で重厚

 

というように思えました。これは現代のジョニ赤・黒も同様だと思いますが、黒の方が重厚さがあってどっしりとしてリッチ。赤の方がスムーズでやや複雑さには欠ける、という、まあ当然といえば当然の結果になりました。

自分はやはり黒のしっかりと効いたピート感が好きです。この辺りは使っているモルトの違いなのでしょうね。黒ですとカーデュとタリスカーあたりがキーモルトでしょう。ピートはタリスカーでしょうが、そういえば結構ブリニーさもあるな、と感じたのもタリスカー由来だったのかもしれません。

昔も今も、赤と黒の違いは結構あることがよく分かりました。

コンパスボックス フレイミングハート 5th

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CompassBox “Flaming Heart” 5th (CompassBox, 2015, 48.9%)

香りは濃厚なチーズ、生ハム、レモンやグレープフルーツの柑橘系、レモングラスの葉、やや石灰のようなミネラル感。
味わいはスムースでリッチ、島系のピートとヨード、噛みごたえのあるレモン果汁、ミドルから樽のフレーバー、少しドライ、ヒリヒリとしたフィニッシュは程よい長さ。

【Good/Very Good】

コンパスボックス社がリリースするブレンデッド・モルト “フレイミング・ハート”。こちらは同社15周年記念のボトルで、以下の構成原酒を見ると確かに気合いが入っていると言っていいでしょう。

以下はM’s Liquar House より抜粋

・リフィル・アメリカンオーク・ホグスヘッド カリラ30年(27.1%)
・アメリカンオーク・ホグスヘッド再活性樽 クライヌリッシュ20年(24.1%)
・フレンチオーク混成バレルで2年寝かせたブレンデッド・モルト※(10.3%)
・リフィル・アメリカンオーク・ホグスヘッド カリラ14年(38.5%)
※ブレンデッドモルトの構成原酒はクライヌリッシュ7年、ティーニニック7年、ダルユーイン7年

飲んでみると、なるほど確かにこれはカリラです。しかし、他の原酒ともあいまってかなりの複雑さを兼ね備えた良いブレンデッドです。若い原酒の影響はほぼゼロで若さは感じないですし、ややライトタッチですが飲みごたえは十分あります。

とても良く出来たブレンデッドで佳酒なのだが、もう一歩が突き抜けないのはカリラらしいといえばカリラらしい(笑) でもそのあり方が良いんじゃないでしょうか。単体で30年のカリラを買うには厳しくなってきた昨今ですが、カリラの味を求めつつさらに複雑さをプラスで考えるならばこのボトルは大いに「有り」です。

こちらもボトルシェアで試させて頂きました。ありがとうございました!

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Image via Master of Malt