カテゴリー別アーカイブ: ブレンデッド・ヴァッテッド – Blended&Vatted

バーンサイド 22年 1996-2019 小学館集英社プロダクション おやすみカラスまた来てね。ラベル

さらりと軽やか、さっぱりフルーツのニュアンスがしっかり。

Burnside 22yo 1996-2019 (Shogakukan “Oyasumi Karasu Mata Kitene”, 50.4%)

香りはメロン、苺、メントールの清涼感、葉野菜のニュアンス、乾いたオーキーさが目立つ。

味わいは滑らかな口当たりで、バニラアイス、苺のショートケーキ、少し植物感、オーキーでドライ、メロン系のフルーツとホワイトペッパーが残る軽めのフィニッシュ。

【Good/Very Good】

小学館集英社プロダクションがリリースする、コミック作品をラベルに据えたシリーズ(?)。おやすみカラスまた来てね。という作品は自分は読んだことがありませんが、ネオンのようにカラフルな夜を想起させるラベルは、バーとバーテンダーに関する作品らしさが出ています。

ブレンデッド・モルトとなっていますが、バーンサイドといえばバルヴェニー蒸留所にグレンフィディック蒸留所の原酒を少量混ぜたいわゆるティースプーン・モルト。バルヴェニーのオフィシャルは通常12年~14年が主力ですので、22年の熟成ともなればかなり長めと考えられますが、混ぜもの かつ 正式名称を隠していることでやや価格が抑えられており、お財布には優しいところが嬉しいですね。

飲んだ感じはメロンや苺のような、少し青みのある果物や野菜に通じるニュアンスが印象的。50%程度とストレートでもきつすぎない度数まで落ちてきている(加水?)ので、アタックは柔らかさを感じましたが、飲みすすめると結構ドライで、軽めでトーンの高いオーキーさが特徴的でした。

さらっとしていて甘さがくどくないので、杯を重ねても飲み疲れしない所が良いですね。

Wさん、Niceなボトルをありがとうございました。

J&B ウルティマ ブレンデッド・ウイスキー

究極のブレンデッド、その名前は伊達じゃありませんでした。

J&B Ultima (Blended Whisky, bottled in 1994, 43%)

香りは透明感のある穀物、洋梨、和梨、微かに白桃のようなニュアンスも、ニス、埃っぽいアンティーク家具、全体的に穏やかだがフルーツ感がしっかりしている。

思ったよりも芯のあるアタックから、トロリとしたメープルシロップ、サクランボ、洋梨、バナナシェーキなど多彩なフルーツ、軽めの樽感、穏やかに染み込むように消えるフィニッシュ

【Good/Very Good】

J&B ウルティマ。名前は聞いたことがありましたが飲んだことはありませんでした。合計128蒸留所(116蒸留所のモルトと12蒸留所のグレーン)で構成される「全部入り」。リリースは1994年とかなり昔になりますが、2000年代にはまだ普通に手に入ったように記憶しています。2010年頃にはさすがに見ることが無くなりました。今ではリユース市場でちらほら、といったところでしょうか。

ブレンデッドらしくまろやかで角が無い飲みやすさの一方で多彩なフルーツが感じられ、嫌味のなさと味わいの奥深さ、やや陶酔感もあるような飲んでいて満足感のある味わい。流石に「究極」の名を冠しているだけありますね。これだけたくさんの原酒を使って、しかしこれだけの美味しさを醸し出すのは一筋縄ではいかないはず。ブレンダーの手腕が問われるわけですが、見事な作品だと思います。

香味の方向性としては、いくらかバランタイン30年(1990年代ボトル)に似ているでしょうか。自分がそのあたりを飲んだ経験が多いから、というのもありますが、全体的に穏やかで磨き抜かれて仕上げられた宝石のような高級感のある味わいは共通項があるように思います。


それにしても、こんな企画、誰でも一度は思いつきはするものの、実際に実現してしまうなんていうのも凄い話ですね。リリースされた1994年は、スコッチウイスキーの「500周年記念」ということで、このようなある意味お祭り的なボトルが成立したのでしょう。

何ゆえ500周年かというと、1494年のスコットランド王室財務省文書のに記録にある 「ジェームズ4世の命により、修道士ジョン・コーに 8ボルの麦芽を与えてアクアヴィテをつくらしむ」という一文。ご存知の方も多いと思いますが、これがスコッチウイスキーの最古の記録となっており、起源であると考えられているからです。1994年はそこから500周年という節目だったというわけです。

そのジョン・コーが居た修道院というのがリンドーズ・アビー(Lindores Abbey)で、修道院自体は今は廃墟となっているのですが、2017に修道院のすぐ隣に蒸留所が稼働を始めました。

リンドーズアビー蒸留所の外観。外壁の岩は修道院廃墟のものや同産地のものを使用しておりクラシカルな印象が一層引き立つ。

2019年8月に実際に訪れてみましたが、周囲は大きな町などからも遠くのどかな牧草地帯。蒸留所の中には先程のジョン・コーも含めウイスキーと修道院にまつわる歴史に関する展示があります。この部分の見学だけでもかなりの時間を要するので、しっかりと見たい方は時間を長めに取っておくことをおすすめします。

ポットスチルとガラス越しに見えるリンドーズ・アビーの組み合わせはちょっとフォトジェニックで素晴らしい景色。外からもガラス越しのポットスチルは映える風景ですね。修道院の廃墟にも入ることができ、昔の名残を感じられたりと、とにかくいろいろな体験ができる場所になっていて楽しい場所でした。まだまだ新興の蒸留所ではありますが、訪れる価値は十分にある場所です。

まだ3年未満なのでウイスキーは飲めませんが、蒸留したニューポットの香りを試した限りでは、しっかりとフルーツや花の香りが乗っていて、嫌なニュアンスはほとんど無くスタンダードながら良いクオリティの原酒でした。2020年の12月で稼働から3年となるので、2021年には満を持してリンドーズアビーの「ウイスキー」がリリースされる予定です。スコッチの起源から再び生まれたウイスキー、期待して待ちましょう。


J&B ウルティマはモルト仲間のDrinker’s Loungeさんから小瓶でいただきました。ドリラジさん、ありがとうございました!

マクネアーズ LUM REEK ピーテッド・ブレンデッドモルト 21年

程よいピート感、バランスの取れたブレンデッドです。

MacNair’s LUM REEK 21yo (Blended Malt by GlenAllachie Distillery, 48%)

香りはレモン、濡れた布巾、柑橘のワタ、乾いたピート、バター、ピーナッツのニュアンス。

味わいは柔らかめのアタックでオレンジ、苦味の強いグレープフルーツ、ミネラル感、軽めのピート、ミドルから濃い目の紅茶、カシューナッツ、オイリーでまったりとした甘さにピートが裏打ちするフィニッシュ。

【Good/Very Good】

グレンアラヒー蒸留所が、というよりはビリー・ウォーカー氏が手掛けるブレンデッド・モルトがこの銘柄。グレンアラヒーを主体に、アイラモルトを含む複数の蒸留所の原酒を使い、熟成はグレンアラヒー蒸留所の熟成庫で行っているそうです。

ピートは軽めで強すぎずやや乾いた感じが、アイラの潮気の強い感じとはちょっと異なる印象をもたらしています。全体的にややオイリーで柑橘系の味わいもありながら円熟味もありまろやか。度数の調整もあってか、非常に飲みやすい。シングルカスクはどうしても個性が尖りすぎてしまいがちですが、そんなときに飲むとほっと安心するような一本です。

ボトルの名前からは一見グレンアラヒー蒸留所とは思えませんでしたが、ピートを使ったブレンデッド・ウイスキーということで全くの別銘柄でのリリースにした、というのはツアーガイドさんの話。LUM REEK というのは古い言葉で「煙突の煙」を意味するのですが、これは「lang may yer lum reek」という長寿と繁栄を祈る意味が込められた乾杯の言葉からきているそうです。

肖像画が描かれているHarvey MacNairという人物は、ビクトリア朝時代(19世紀)にグラスゴーで蒸留とブレンドを行っていたそう。煙突の煙が充満した部屋でモルトを飲んだ時、ピートの煙がウイスキーに与える効果を発見したのだとか。本当かどうかはさておき、昔からピートを使ったモルトがあったこと、ピートの効果を解明し自身のウイスキーに取り入れた人物がいたことを気づかせてくれるボトルでした。ラベルの絵柄やPeatedの文字、そしてこのLUM REEKという名前で全体的にピーテッド・ウイスキーであることを表しているのですね。

バランタイン30年 1990年台流通ボトル

円熟した非常に良いバランス。飲む芸術品です。

Ballantine 30yo (OB, +/- 1990s, 750ml, 40%)

香りはべっこうあめ、カラメル、トフィ、熟したリンゴ、少し植物っぽさ、清涼感のあるハーブ、洋ナシ、どれもが主張しすぎず、円やか。

味わいはとても優しいタッチでリンゴとさくらんぼ、適度な濃さの紅茶、ミドルからしっかりした旨味の出汁、和三盆、木と樽の植物感と、控えめに広がる乾いたピート、少しミルクチョコレートのニュアンス、リンゴと紅茶の渋みが微かに残る軽やかなフィニッシュ。

【Very Good】

1990年代流通と思しきバランタイン30年です。使われている原酒は、逆算して1960年代。「腐っても60年代」というような言葉もあるくらい、スコットランドのモルトが非常に優れた味わいを誇っていた時代なわけでして、これが不味いわけがない、と思えてしまう代物です。もちろん、これ以前のものにはもっと素晴らしいものや味の方向性が少し異なるなどもありますが、自分がイメージするバランタインらしい味わいというとこのボトルにあるような香味が浮かんできます。

非常に多彩でスワリングするたびにころころ変わり拾うのが楽しく、しっとりとして落ち着いたバランタインらしいさすがの複雑さと円熟味。加水と経年ということもあり、やや線の細い繊細な趣ですが奥にはピートや程よい樽感も感じられ、全体として非常にバランスが良い。

やはりブレンドの巧さなのでしょう。匠が作り上げた往年の名作、飲む芸術品、といった感じです。

このボトルの楽しみ方としては、やはり「時間に思いを馳せる」というのが良いように思います。

原酒が作られてから今ここにたどり着くまでの長い長い時間。熟成期間の長さに加えて、瓶詰めされてからも30年ほどになろうかという膨大な時間。また、これを作り上げたブレンダーが研鑽してきたその時間。この時期ですと、マスターブレンダーはロバート・ヒックス氏でしょうか。彼の技を感じられるわけですね。

そういった特別感のあるバランタイン30年ですが、このボトルであれば、昨今のシングルモルトに比べればまだまだ手頃な価格で手に入るというのがありがたいですね。これだけの満足感を得られるかどうか怪しいボトルも多い中、オールドボトルでもそれなりに安定した品質のものが多いバランタイン30年。一本手元にあって損はないと思います。

ダンカンテイラー ブラックブル 10年 ラムカスクフィニッシュ

ラム樽とウイスキーは良い相棒同士だと思うのです。

BLACKBULL 10yo Finished in EX-RUM CASKS (Duncan Taylor, Blended Whisky, 50%)

香りは熟したリンゴにシナモン、カルダモン、まだ青みがかかっているパパイヤ、フルーツ感は多彩、少しセージのようなハーブ感、奥に乳酸菌飲料のニュアンス。

味わいは優しいタッチでシャキッとしたリンゴ、和三盆的なさらりとした甘さ、クローブとカルダモンを効かせたリンゴのコンポート、微かにパッションフルーツ、ホワイトペッパーとリンゴのニュアンスがサラリと終わるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ダンカンテイラーのブレンデッド・ウイスキーの銘柄のひとつで、なかなかに息の長いのがブラックブル。ラベルがちょっとイケてないためか人気が今ひとつという印象ですが、中身は割と良いことが多いあたりはさすがのダンカンテイラーといったところでしょうか。以前は30年や40年といったボトルがかなりリーズナブルな値段でリリースされていたのですが、最近はあまりそういったボトルは見かけなくなりました。

と思っていたところに、久しぶりに新しいブラックブルのボトルを見かけたので試してみたわけですが、これはなかなか良いブレンデッドです。ラムカスクはフィニッシュとして使われているようですが、南国系のフルーツのフレーバーや、やや青みがかったハーブや果物のニュアンスなど、ラムカスク由来と思しきフレーバーがいい具合にマッチしています。

メーカーコメントほどにはトロピカル感は無いな、という印象ではありますが、それなりにしっかりとした多彩なフルーツ感にひっかかりの無い飲みやすさはかなり好印象で、値段を考えればかなり良いコストパフォーマンスだと思います。

50%の割には飲みごたえが軽めなことと、もう少し味わいに深みがあれば……と思ってしまうのはないものねだりでしょうか。15年か20年熟成のラムカスクフィニッシュを是非、と思ってしまいました。

個人的に、ラムカスクというのはウイスキーの樽の中ではバーボン、シェリーに続いて相性が良い樽なのではないかという印象です。近年のシェリーカスクに比べたらラムカスクの方が上まわってきそうなくらい好みのものが多いです。一時期はOMCのラフロイグやオフィシャルのバルヴェニー、最近ではスプリングバンクがラムカスクのものをリリースしていて、どれもかなり良い味だったと記憶しています。アイルランドのティーリングも、ラムカスクのシングルカスクはかなり好印象でした。

あまり一般的ではないのは扱いが難しいからなのかもしれませんが、ラムカスクのリリースは今後も注目していきたいです。