カテゴリー別アーカイブ: Ardbeg – アードベッグ

アードベッグ 1993-2004 エーカーダイク “A Single Old Malt Cask”

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Ardbeg 1993-2004 (Acredyke “A Single Old Malt Cask”, 57.5%)

香りは濃厚なチーズ、ヨード、海の潮気、甘そうなハチミツ、少しミーティさ燃やした枝のニュアンス。

味わいはやや強めのアタック、柑橘の白い部分や袋、若さを想起する乳酸系、チェダーチーズ、じくじくとしたタール様、海岸の泥、フルーツ感は乏しくじっとりとしたヨードとチーズ感が個性的なフィニッシュ。

【Good/Very Good】

エーカーダイク、という読み方で良かったように思いましたが、どうだったか。この1993アードベッグは香りにチーズ感がとても特徴的で、アイラの要素がしっかりとあるもののボウモアのようなフルーツ感に乏しく、ラフロイグのように柑橘のニュアンスも薄い。かといってカリラほどオイリーで地味でもない。というところから第一印象はアードベッグでしたが、ここまで濃い目のチーズやミーティなニュアンスは経験が無く、ラガなどと迷うところでした。

簡易ブラインドで答えを聞いたときは納得でしたが、アードベッグで1993年というヴィンテージは休止中ではないかと思っていたため出てきませんでした。そう、アードベッグと言えば1981年に頃に休止した後、1989年から1996年まで不安定な操業が続いていたのですが、この期間を完全休止と思っていたのが原因です。その後、1997年にモーレンジが買収してからは安定した操業が可能となり、今では様々なリリースが出るようになりました。

度数の割には飲みくちはやや柔らかく、ボトリング後の経年によるものかもしれません。一方で香りと味にも若々しさの残るチーズ感が特徴的でした。個性的なアイラの蒸留所から、さらに個性的とも思えるボトルが選ばれた、そんな気がしますね。

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アードベッグ キルダルトン 2014年リリース

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Ardbeg Kildalton (OB, Distillery Limited, 46%)

香りは素直な麦の甘さ、レモンバーム、グレープフルーツ、ヨード、クローブの甘やかな香り、やや若さを思わせる乳酸系のニュアンス、奥にコールタールと火薬もあるが全体的にはクリアで綺麗め。

味わいは フレッシュなグレープフルーツやレモンなどの柑橘、やや若いが麦の甘み、バタークリーム、ミドルから軽めのヨードと落ち着いたピート感、魚介系の出汁、じんわりと黒胡椒などスパイス系の刺激が広がるが強くはない、落ち着いた麦の甘さと柑橘系のニュアンスが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

アードベッグ蒸留所のショップ限定で売られている、アードベッグ・キルダルトン。
2014年頃から置かれているようですが、今年2016年に自分が行った際にもまだ売られているのは確認できました。その10年前の2004年頃には以前のキルダルトンがリリースされ、それは1980年頃の蒸留というかなりの長熟モノだったようです。(飲んだことがないので情報だけです)

本ボトルは10年~15年程度が中心と思われる、やや若さも目立つ内容ですが、全体的に綺麗な造りでピートやヨードなども比較的穏やかでうまくまとまっています。バーボン樽やリフィルのシェリー樽など様々な樽のヴァッティングで、さらに加水されているためか荒々しさや野暮ったさはそこまで無いため、比較的近寄りやすい印象を持ちました。

実は蒸留所では試飲をさせてもらい、結構美味しいなと思っていたのですが、なんといってもその箱が大きすぎて……。さすがに荷物になりすぎるということで買うのは諦めたボトルでした。こうして改めて飲んでみるとやはり良い出来だと思いました。うーん、失敗したかもしれません。

 

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なお、ご存知の方も多いと思いますが、キルダルトンというのはアードベッグから更に東へ10kmほど行った場所にある、寺院遺跡やハイクロス(十字架)が残されている場所のことです。かなり辺境の地ですが、文化遺産ということで訪れる人が絶えない場所でした。ハイクロスは非常に存在感があり一見の価値ありですので、アイラ島を訪れた際には是非足を運ばれることをお勧めします。

 

アードベッグ 1997-2016 フレンドシップ プライベートボトリング

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Ardbeg 1997-2016 Special Reserve Whisky (Friendship private bottling, 47%)

香りはアプリコット、オレンジ、バター系のオイリーさ、あまり強くはないが塩素、ヨードも強すぎず上品、やや熟成感のある麦の旨味。

味わいは優しいアタックからドライアプリコット、シロップ漬けのサクランボなどのフルーツ感強め、雑味の無い麦の旨味、ミドルから塩気、ヨードはやや控えめながら奥にじっとりと広がる、バランスが良く全体的にやや陶酔感のある仕上がり、フィニッシュにかけても前述のフルーツ感を中心とした暖かさが長く残り素晴らしい。

【Very Good】

今年11月に開催されたWhisky Festival in TOKYOにて、Kinkoさんのブースでひっそりと置かれていたというアードベッグ。すみません、自分は全く気づきませんでした。どうやら同じように見逃した方が多かったようですが、ネット上で美味しいとの評判がいくつか挙がっていました。ボトリング本数88本という貴重さや、ラベルの通り有名所の方々が選ばれたということもあり、買い逃して涙をのんだ方も多かったとか。

さてその内容ですが、香りからしてとても多彩なフルーツ感と上品なヨード感や複雑さ。ひとことで、美味しそうなニュアンスがプンプン漂うモルトです。飲んでみてもしっかりとしたフルーツに控えめながらまとまりの良い麦、ヨード、塩気……。陶酔感のようなニュアンスもあり、とても素晴らしいですね。

70年代のクールなニュアンスではなくここ最近らしい暖かみのあるピートやヨードですが、その中でもこれはピカイチの出来映えだと思います。90年代後半でもここまで美味しいアードベッグが出て来るのか、と。やはり特別な一樽というのはあるものですね。こんなアードベッグがオフィシャルから限定リリースでも出てくれれば良いのですが、周年のArdbeg Day限定ものも、どうもここまでのクオリティが出てこないのはなぜでしょうね……。
個人的には、88本と非常に少ないボトリングとなっているところが気になります。どこか別のボトラーとのシェアなのか、一般にリリースできたのがこれだけだったのか、それとも単純にエンジェルズシェアでもっていかれたのか……。当のKinkoさんたちはご存知なのかもしれませんが、色々と勘ぐってしまいたくなります(笑)

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Cadenheadの熟成庫を訪れたときに気づいたこととして、様々な人がテイスティングをして樽から何本かボトリングしていくツアーなどもあるわけです。一定期間そうした後、樽に残った量を今度は一般販売用などでボトリングする、といったこともあるのではないでしょうか。

つまり、例えば、

  • 元々樽には200本とれる量があった
  • 個別のボトリングなどで120本分が瓶詰めされて各個人がもっていった
  • 一定期間経って、そろそろボトリングしないと劣化しそうではないかということになった
  • サンプルを各方面へ送って、買い手がついたら残り80本分をボトリング → 80本限定!!

なんてことが、可能性としてはあるかもしれないかな、と考えたわけです。

勿論ただの推測です。ボトラーズの矜持としてこんなことはやらないだろう、と思うものの、向こうの人はそれくらい適当なところもあるからなあ、なんて思ってしまったりもします(笑)

 

とまあそれはさておき、このアードベッグ、ここ最近では抜群の出来でした。もしBarなどで見かけることがあれば、是非呑んで頂きたい一杯です。

アードベッグ 200周年記念 Perpetuum

Ardbeg Perpetuum (OB Bicentenary Committee Release 49.2%)

香りは塩気のあるヨードがしっかり主張、海藻、グレープフルーツのわた(T.M先生の表現が的確ですね)、若さもあるが甘めの麦感、軽く発酵した塩バターや塩ヨーグルト、リンゴかメロンのようなニュアンス。

味わいは土気を伴う若い麦のアルコール感、ターメリック、クローブを噛んだような甘さと土気のスパイス感、紙粘土、コーヒーのニュアンス、キノコの出汁成分、アーシーさあり、フィニッシュにも少し渋さの残るアーシーさと塩気が続く。

【Good】

アードベッグ蒸留所が、今年200周年記念(バイセンテナリー)を迎えるにあたってボトリングした特別なアードベッグ。まさか呑む機会に恵まれるとは思っていなかったのでとても嬉しいですね。渡辺さん、本当にありがとうございます。

実際の香味はというと、香りは近年のアードベッグらしさがしっかりと出ていて、塩気があるバターなどの乳製品っぽさが出ています。またアイラらしい海藻やヨードのニュアンスが感じられ、関連して出てくると思われるグレープフルーツ感もしっかりです。昔のアードベッグらしさとも言うべき、冷たくて塩素のようなニュアンスはほとんど感じられませんでした。

一方、味わいはアーシーさとコーヒーのようなニュアンスがすこし意外な感じで、他にも上記のようにキノコのような味わいも感じられ多彩ではあるのですが、どうも少しちぐはぐな感じがします。色々な方向性の味があって面白いけれども、全体的なまとまりとしてはあちこちに向かっている感じ。時間が経つと落ち着くのでしょうか。原酒をヴァッティングしてから落ち着かせた期間が短いような、そんな印象です。

さて、アードベッグ蒸留所がこれをバイセンテナリーとして出してきたというのは、昔はこんな味だったとういことか、これからの方向性がこのような味になるということか、どちらでしょうね。自分としては、どちらかというと後者に感じられました。昔は良かったというよりも、これからもこういう感じでやっていくので宜しく、といったイメージでしょうか。全く想像でしかありませんけどね。

貴重なボトルを体験できたことに感謝です。渡辺さん、ありがとうございました!

アードベッグ スティルヤング

Ardbeg Still Young (Official limited bottle in 2006 56.2%)

香りは若さを感じる穀物の甘さ、洋ナシやバナナのフルーツ感、塩バター、微かに出汁のニュアンス、ナッツのオイリーさ、しっかりしたピートと若い麦のバランスが良い

味わいは粉っぽさも伴うドライマンゴーやオレンジなどのフルーツ感が強い、続いてスパイシーさがやってくる、ミドルから濡れた苔や土のようなニュアンス、塩バター飴、フィニッシュにかけては塩気とピートの薬品臭がしっかりと残る。

【Good/Very Good】

アードベッグが生産再開後に、10年もののボトルを作ろうとしているその途中経過を世に問おうと出した「アードベッグ10年への道」(Very Young / Still Young / Almost There / Renaissance) のうちの2つ目です。

確かに若さが強いですが、ピートの強いアイラモルトには不思議と若い方がその魅力がしっかりと出てくることがあるんですよね。ピートは熟成が進むと迫力が消えてしまうことも多いためか、10~15年程度がパワフルかつ複雑さも兼ね備えて良いボトルになるのでしょうか。

ピートの強さとしっかりとしたフルーツ感もあり、若いボトルとしてこれが出てきたなら今後も期待できるのはと思ったことでしょう。塩気や出汁のニュアンスなどもしっかり出ており、またこの年数だからこそのフレッシュ感を求める人にはたまらないのではないでしょうか。

アードベッグ 1975 コニサーズ・チョイス

Ardbeg 1975-2003 (Gordon & McPhail Conoisseurs Choice 43%)

香りは塩素、消毒液などの薬品、冷たいメンソールのようなハーバルなニュアンス、奥に少しオレンジのような果実感。

味わいはねっとりとしたオレンジの果実感とクレゾールのような薬品、塩気の効いた魚介系の出汁、タールや土のニュアンス、フィニッシュにかけてメンソールのニュアンスが残る。

【Good/Very Good】

70年代のアードベッグを飲んでみたいと思い注文したボトル。コニサーズ・チョイスというと、最近はパッとしない印象がありますが、このボトルは典型的な70年代のアードベッグの味を知ることが出来るとのことで、試してみました。

味もそうですが香りに特に顕著なのは、同じ薬品臭さでもニュアンスが全然異なることでした。最近のアードベッグはどちらかというと暖かみがありますが、このボトルには冷たさを感じます。飲んでもやはり独特の薬品感と旨味の効いた出汁、そこに果実感も合わさって来るような特徴がありました。自分が良く拝見しているM氏のテイスティングでも「冷たい」ニュアンスが特徴的とのことでしたが、なるほど確かにその通りでした。

マスター曰く70年代のアードベッグは「異質」とのことでしたが、なるほど確かにこれは今のアードベッグにも無いですし、他の蒸留所でも感じられない独特な味わいです。好きな人はハマってしまいそうですし、もうその味が出てこないとなれば昔のボトルを手に入れたくなる気持ちが分かります。

自分がウイスキーを飲み始めた頃に、酒屋で Load of the Isles が売られていたのは憶えているのですが、今思えばなぜ買っておかなかった……と後悔するばかりです。まあ、仕方がないですね。

アードベッグ オーリヴェルデ

Ardbeg Auriverdes (Official limited bottle in 2014 49.9%)

香りはしっかりピート、インキ、熟しすぎた果実感、ローストしたナッツ、チョコレート、奥にミーティなニュアンスもあり。

味わいはクリーミィなアタックから始まり、すぐにサッパリとしたハーブ感に変わる、熟れたリンゴや梨のような果実感、金属質なニュアンス、若い麦のニュアンスとしっかりしたピートで強いボディ、ザラついた木のエグ味と出汁のニュアンスのあるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

今年2014年のアードベッグ・デー(5/31)向けの限定ボトルは、ブラジルでのワールドカップを意識した金(Auri)+緑(Verde)のボトルでした。アードベッグはこういうイベントに合わせたボトリングをしてくるので楽しいですね。

樽の鏡板に特別な処理を施したということと、味わいに「コーヒーのような」とあることから、強くチャーを行って独特の風味を出したのではと言われていますね。確かに香り味わい共にチョコレートやローストしたニュアンスを感じることができ、作りたいものを作れる技術力の高さには驚きです。

味は少し若い傾向が感じられますが、アードベッグらしいしっかりとしたピート感や出汁や金属質のニュアンスと、前述の通りローストのニュアンスが入り混じって複雑さがあります。口に残る余韻も長めなので、1杯でもしっかり楽しめるモルトだと思いました。