カテゴリー別アーカイブ: Glenallachie – グレンアラヒー

グレンアラヒー 13年 2016-2019 蒸留所限定ハンドボトル #6600

どっしり濃厚なPXカスクでした。

GlenAllachie 13yo 2016-2019 (OB “Hand Bottling”, PX Hogshead #6600, 59.5%)

香りはバターレーズン、プラム、カカオチョコ、口紅のような香水感、強く煮出した紅茶、微かにゴマ油、獣の皮のニュアンス。

味わいは強く渋みを伴うアタックで、レーズン、カシス、栗の皮、カカオ84%のチョコレート、イチジク、ゴマ油、鼻抜けにはデーツ、甘さとそれに勝るカカオの苦味が続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

蒸留所限定のボトルのひとつ、こちらはボトリングされていない、ビジター自らが樽から瓶詰めする体験ができるハンドボトリングです。実際の樽ではなく、ディスプレイ用の別樽に移し替えられてはいますが、この自分でボトリングするのはやはり特別感があって楽しいものです。

さてその香味はというと、これはもうかなり樽成分が強く原酒の要素がわからなくなっています。ホグスヘッドということで、一般的なシェリー樽のバットに比べればかなり小さくあ、樽の出方も早いものと推測。シェリー樽らしい甘さと、それを上塗りするような強めのタンニン、苦味。途中、ゴマ油と紹興酒のようなニュアンスもあり、どことなく中国方面のニュアンスがあったのも面白いです。

単体で、しかもカスクストレングスのまま飲むのは少々つらいところもありますが、加水をすると香りの華やかさがよく出てくることと、ゴムっぽさはなかったため比較的好印象でした。

グレンアラヒー 12年 2006-2018 蒸留所限定シングルカスク#27978

甘さ控えめ、苦味強め。大人の味わいです。

GlenAllachie 12yo 2006-2018 (OB “Distillery Exclusive”, Bourbon Barrel #27978, 61.4%)

香りは洋梨、グレープフルーツ、蜂蜜レモン、少し酸味のあるヨーグルト、メンソール、清涼感のある木の香り。

味わいは強くバタースコッチ、ヌガー、グレープフルーツ、ミドルから柑橘の皮の苦味、ピリピリと強いアルコールの刺激、生乾きのナッツのようなオイリーさと柑橘のニュアンスが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

蒸留所限定のボトルのひとつ、バーボンバレルの12年という短熟のボトルです。

これもちょっと変わっていて、甘さ控えめで苦味強め。ここまで甘さが乗ってこないのも珍しいくらい。柑橘の果肉ではなくちょっと苦いところを味わっているような、そんな気分になりました。ハイプルーフで刺激が強いこともあって、加水をしてみましたが傾向はあまり変わりませんでした。熟成年数にしては、少し樽の出方が強いようにも思いますね。

グレンアラヒーのボトルを幾つか飲んでみての印象は、しっかりとした柑橘系のフルーツ感をベースに、樽の種類でフルーツやハーブ、バニラ、まさに木の樽そのものなど様々なフレーバーが宿っているような構成かな、といったところ。特にギュッと濃縮したようなオレンジやグレープフルーツのような部分が、この蒸留所のコアなところでしょうか。あとはややオイリーなテクスチャも印象的。

このあたりは発酵工程の独特さがハウススタイルに結びついているかもしれません。というのも、 これは ツアーで一番驚いた部分なのですが、発酵の時間が他の蒸留所とはかなり違いました。

発酵槽のところでガイドさんからこちらにクエスチョンが。「発酵時間はどれくらいだと思う?」。んー、72時間? 「No.」 96時間くらい? 「No.」 ……もっと長いの? 「Yes.」

なんと発酵時間は1週間ほど、150時間にも及ぶそうだ。こんなに長いのは初耳で、本当に驚いた。

実は発酵槽の部屋に入ったときに、なんか他の蒸留所とは違う香りがするな、とは思っていたのです。まあ、例えば酒蔵でも住み着いている微生物が微妙に違ったりするわけだからそういう類のものかな、と考えいたのですが、違ったらしい。発酵時間の長さによって出てくるフレーバーが他とは違うのだそう。よりフルーティさが強くなるものの、行き過ぎればそれこそ腐りかけの果物のようになりそうです。そのあたりのコントロールと、長時間の発酵からくるキャラクターづくりがこの蒸留所の核心なのかもしれません。

グレンアラヒー 29年 1989-2018 蒸留所限定 シングルカスク

危ういバランスの個性的なシングルカスクでした。

GlenAllachie 29yo 1989-2018 (OB “Distillery Exclusive”, Hogshead Cask#2588, 45.9%)

香りは過熟気味の洋ナシ、濡れた布、湿った山羊の毛、枯れた植物、バターミルク、金魚のエサ?、紹興酒、火薬のニュアンス。

味わいは紅茶、ブルーベリージャム、レーズン、重さを感じるタンニン、じっとりとしたピートのようなニュアンスが下支え、オイル漬けのマッシュルーム、ジャム入り紅茶のタンニンがしっとりと締めくくるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

グレンアラヒー蒸留所を訪れると、蒸留所限定のボトルが幾つか置かれていましたが、このボトルもそのひとつ。ホグスヘッドの29年熟成という長熟ボトルです。

通常の25年とも全然ベクトルが異なる香味で、シングルカスクらしい個性溢れる一本。特に香りの過熟気味の果物はかなり危ういニュアンスで、後半には金魚のエサのあの香りのような……自分でも本当に? と思いつつもやっぱりアレだよな、と確認してしまうような。とにかく不思議な香りでした。

自然な度数落ちなのか、かなりしっとりと優しい味わいでフルーツ感強く、また軽くピートのようなじくじくしたニュアンスが下支えしているところが好印象でした。コアレンジの味わいとは一線を画していて、こういう面白いボトルがオフィシャルからリリースされるという点でも、ビリー・ウォーカー氏らしい試みなのでは、と思ってしまいました。

2018年にコアレンジがリリースされた直後、イベントで蒸留所の方の話も聞いていましたが、ビリー・ウォーカー氏はシングルカスクのリリースにも意欲的で今後は様々なヴィンテージ、樽のシングルカスクがリリースされてゆくだろう、とのことでした。今年に入って海外を中心にその通りの様子で、ビジターセンターにもシングルカスクが12年から30年まで、数種類が用意されていました。

グレンドロナックでもシングルカスクが大量にリリースされましたが、今後、グレンアラヒーからも同様にたくさんのリリースがあるのではないでしょうか。良い樽はたくさん眠っている(なにせ1000万樽ですから)ので、ビリー氏が手にしたストックの中にもたくさんの良い樽があることでしょう。今後のリリースにも注目です。

グレンアラヒー 25年 オフィシャルボトル

流石の長熟ボトル、しっかりと美味しく陶酔感もありました。

GlenAllachie 25yo (OB bottled +/- 2019, 48%)

香りはレモングラス、ブーケガルニ、レザー、ポリッシュしたアンティーク家具、オランジェットのニュアンス、ヒノキのような清涼感。

味わいはまったりとした甘さ、濃厚でとろけるようなプリン、リッチ、ミドルから暖かみのある木炭、ハーブ感が少し、フィニッシュにかけてデコポンのような甘い柑橘とバターサンドのようなリッチさが続く。

【Very Good】

グレンアラヒー蒸留所のコアレンジから、長熟の25年です。

以前に日本で試飲をした際にも「これは美味いな」と思ったのですが、今回改めて飲んでみてやはりしっかりとした美味さがあります。

香りは一瞬「んん??」と思うような、少しハーブや強めの樽感など独特のニュアンスが乗っていますが、徐々にオランジェットのような柑橘のニュアンスが広がってきて楽しい。味わいは長熟ならではの重みのある円熟さ、どっしりとしてまったり、ゆったりと楽しむのが正しいあり方といわんばかりの重みです。凝縮された味わいと、鼻抜けの陶酔感が心地いい。まさに時が磨き上げた宝石のようです。

まあ正直お値段もよろしいわけですが、それに見合った満足感をもたらしてくれると思います。うん、これは美味しいモルトです。

グレンアラヒー蒸留所には14棟の熟成庫があり、すべてあわせると1000万丁を超えるとか。本当にそんな数の樽があるのかと考えてしまいますが、熟成庫はひとつひとつがかなり巨大でそれが14棟ともなると、たしかにそういう数になるのだろうと納得。

その中から使えるものをピックアップしてひとつの商品として送り出すのも、考えることが多すぎてなかなか単純にはいかなさそうです。しかしこのボトルは本当によく出来ている。原酒の素晴らしさとともに、造り手の技を感じる一本でした。

グレンアラヒー 10年 ポートウッドフィニッシュ オフィシャルボトル

独特の甘味が強く印象に残るオフィシャルボトル。

GlenAllachie 10yo Port Wood Finish (OB bottled +/- 2019, 48%)

香りは蜂蜜、イチジク、ニッキ飴、酸味を感じる穀物様、みたらし醤油、微かにゴムのニュアンス。

味わいは濃い蜂蜜の強い甘み、コーヒー飴、チョコレートケーキ、ミドルからハッカ、ローストしたアーモンド、鼻抜けに焼けたゴムのニュアンスがあるが嫌味ではない、チョコレートと近年系シェリーのニュアンスが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

2017年にビリー・ウォーカー氏が手中にしたグレンアラヒー蒸留所。その後オフィシャルリリースが開始され、当初は12年、10年カスクストレングス、25年などがコアレンジでしたが、フィニッシュものもいろいろとリリースをしていました。今回はその中で10年のポート樽のフィニッシュものです。

その香味は、全体的に甘味の押しが強い印象。近年系のシェリーに近い味わいも一部ありますが、ポートワインらしいとろっとした甘さが強く印象に残りました。少しだけ若さを感じるニュアンスはあるものの、うまく樽感でマスクされている感じ。長熟ではないぶん、ギスギスした樽感にはなっておらず、これはこれでうまく仕上げてありますね。

蒸留所でツアーに参加した際、使っている樽について説明を受けたのですが、もはや憶えられないくらいたくさんの種類を使っているとのことでした。バーボンやシェリーは勿論のこと、ラムやワイン、その他の樽も豊富。シャトーやラムメーカーらしい聞いたこともないような名前が色々と飛び出してきて、多分15~20種類くらいあったと思います。様々な樽で熟成させ、可能性を探しているらしい。面白いですね。

ちなみにこれらの小瓶は蒸留所のツアーに参加した際、ドライバーのため試飲ができない人に用意されるもの。コアレンジのものはラベルも縮小版ながらしっかりと印刷されていて、ちゃんと用意されているところが嬉しいですね。ツアーの内容もさることながら、いつの間にか1本追加していただけたりと、サービス盛りだくさんでした。

以前は蒸留所は非公開で、2016年に訪れた時も Not Open to Public といった看板があったと記憶していますが、蒸留所がビリー氏傘下になるとそれまでリリースしてこなかったシングルモルトに軸足を移し、そして今年に入ってからビジターセンターとツアーが一般向けに開設されています。なかなかに穴場だと思いますので、スペイサイドを訪れた際には是非寄ってみては。

グレンアラヒー 23年 1989 ジャック・ウィバース

名称未設定 1

Glenallachie 23yo 1989 (Jack Wiebers “Auld Distillers Collection”, Cask#10116, 42.6%)

香りはチョコナッツ、レーズン、メープルシロップ、ヒノキ、品のいい樽のニュアンス。

味わいはチョコレートケーキ、レーズンバター、熟したリンゴ、ミドルから程よい木の渋み、フィニッシュにかけてもレーズンバターのニュアンスが続く。

【Good/Very Good】

ジャック・ウィバースから2013年ころにリリースされたグレンアラヒーの23年ものです。

色合いからは結構過熟で樽が強いようにも見えたのですが、香り、味ともに丁度いい程度に落ち着いていて品があります。近年系のシェリーカスクではありますが、生木っぽさなどは控えめでそこまでマイナス要素は感じませんでした。

グレンアラヒーのハウススタイルと云われうとどんなだったか……というくらい多くは飲んだことがないのですが、イメージとしては麦の旨味がしっかり乗った少し古風なスペイサイドモルト、という印象があります。今回のボトルはシェリー系のニュアンスが強く上記イメージからはかけ離れていますが、素直に美味しいモルトとして楽しめました。

ところでこのボトル、42.6%とやたら度数が低いのが気になります。加水にしては中途半端ですし、自然に落ちてこの度数だったのでしょうか。23年にしてはとんでもない度数落ちのようにも思えますが、これはこれで丁度いいボトリングタイミングだったのかもしれませんね。