カテゴリー別アーカイブ: GlenMorangie – グレンモーレンジ

グレンモーレンジ アスター 2017リリース

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Glenmorangie ASTAR (OB, 2017, 52.5%)

香りはハチミツ、ネーブルオレンジなどの柑橘、バニラチョコレート、ハイトーンで洗練されたクリアな清涼感のある木香、奥に熟したイチジク、実にアスターらしい香り。

味わいはややしっかりした口当たりから、透明感のあるハチミツ、バニラケーキ、アンズ、サワーヨーグルト、ミドルから木材の収斂味、良いバーボンらしい木のニュアンス、焦がしたチョコレート、トフィー、シナモンと木の香りが良く残るフィニッシュ。

加水すると香り味ともに樽を焦がしたようなニュアンスがエッジを強める。ボディはあまり膨らまない。ストレートの方が満足感が高くオススメ。

【Very Good】

あのグレンモーレンジ・アスターが帰ってくる、というニュースを聞いて嬉しくなった人も多かったことでしょう。自分もそのひとりでした。

2008年~2012年にリリースされていたアスターは、ワールドワイドな展開だったためか日本でも手に入りやすいボトルでした。仲間内でも「近年ボトルの中では抜群の安定度で美味い」というのが当時の評価だったと記憶しています。また、700mlボトルで5000円程度という値段の安さも魅力的で、非常にコスパの良いボトルでした。モルトの入門者向けとしても、ファーストステップのオフィシャルスタンダードから続くセカンドステップとして、アベラワー・アブーナなどと共に名前が挙がることが多かったと思います。

アスターの特徴は何と言っても「樽の影響を真剣に研究した結果」であること。ビル・ラムズデン博士が研究してきた「デザイナーズカスク」による、グレンモーレンジの樽使い。それらの知識の結集がこのアスターです。嫌味のない綺麗な樽感、そしてどこか華やかさも兼ね備えたまさにバーボン樽のお手本とも言える樽使い。前アスターのときから評判が良かったですね。

今回の2017年リリースではどうなのかと期待しながら飲んでみました。まず香りからして、いかにもグレンモーレンジらしい、そして、アスターらしい香り、とでも言えましょうか。バーボン樽の良い香りが広がります。味も洗練された嫌味の無い素直な味で、原酒由来と思しきフルーツやハチミツのような味わいがトップに、ミドルからは樽感の良い香りが鼻腔全体に広がっていきます。

総じて満足感が高い、近年系のバーボンカスクのモルトとしては実に素晴らしい出来栄えです。

 

しかし一方で、同じアスターならば以前のリリースはやはりお手頃だったという印象が否めない……。こればっかりは時代背景にもよりますので仕方のないことですが、どうしても比較してしまいますね。

昨今のウイスキーブームによる品薄、原材料費の高騰、そして為替の影響も大きいと思います。前アスターのときはちょうどリーマンショックがありかなりの円高でした。当時と比べると2017年は2割ほど上がっていることになりますから、少なからず値段にも反映されてしまっています。

いろいろと現実を見せつけてくれるリリースですが、間違いなく今の時代を代表するハイクオリティなボトルだということもまた確かだと感じました。

 

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グレンモーレンジ 10年 1981-1991 ネイティブロスシャー

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GlenMorangie 10yo 1981.02.05-1991.04.17 (OB, The Native ROSS-SHIRE, Cask#978, 59.6%)

香りはツンとくるアルコールの刺激、レモン、カスタードやバターの風味がケーキのよう、奥に紫蘇のニュアンス。

味わいはプラムジャム、薄めた塩バター、乾いたオーク感がしっかり、ミドルからレモンバームとカスタードクリーム、ピリピリとホワイトペッパーの刺激、やや軽めのタッチで柑橘系とオーク香が続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

グレンモーレンジのネイティブ・ロスシャー10年。オフィシャルのシングルカスクでカスクストレングスというのは、当時としては相当な意欲作だったことでしょう。時期的には魔の80年代を過ごし、90年代で少し上向き始めるかどうか、といったところ。もしかしたら、売り手側も「何か変わらないといけない」と思ったのかもしれません。

このあたりは1991年に詰められた余市のシングルカスクと似たような経緯があるように思えます。

ボトリング後25年を経てなお荒々しくパワフルなところがあり、当時はもっと強く個性的だったのかもしれません。一方で少しボディにかけて軽めなのは、経年によるものか短熟によるものか、どちらかだけでなくそれぞれのミックスと言う感じ。紫蘇やレモンバームのような独特のニュアンスがありつつも、飲んだ瞬間に「あ、モーレンジらしい」と思わされたところに、近年のモーレンジとも共通するハウススタイルがあるのだなと気付かされました。

そういえば1981年ということでマイヴィンテージでした。最近はめっきり見かけなくなってしまった年代ですが、こうしてまたひとつ味わえたことに感謝です。Kさん、ありがとうございました。

 

グレンモーレンジ オフィシャル 25年 旧ボトル

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Glenmorangie 25yo (OB, Distributed +/- 2003, 43%, 700ml)

香りはややくぐもった芋のようなデンプン質、おしろい、汗っぽさと獣脂のニュアンス、徐々に濃い目の柑橘、バナナ、ドライイチジク。

味わいは、香りとは打って変わってとてもフルーティ、オレンジやブドウ、イチゴのような酸味もあり、ミドルからハチミツと熟成感のあるこなれた麦、フィニッシュにかけて少し収斂味があるが落ち着いた甘みと紅茶が続く。

【Good/Very Good】

グレンモーレンジのオフィシャルボトル、こちらの25年は2003年頃の流通ボトル。2016年現在も25年のボトルはありますが、形状が異なりますね。逆算して蒸留年は70年代末の頃ということでしょうか。

香りはあまり華やかさが無く、ちょっとどうしてしまったのかと思うくらいのとっつきにくい印象でしたが、口に含んでみると多彩なフルーツ感に驚かされます。ミドルから来る麦の旨味も熟成感がしっかりと感じられ、嫌味の無いスルッとした飲みごたえ。ダラダラといつまでも飲み続けられそうな、飽きのこなさそうな美味さです。

ややシェリー樽のニュアンスが感じられたので、バーボン樽とシェリー樽のヴァッティングかと思ったのですが、後々調べてみるとどうやらバーボン樽100%ということらしいです。同様のシェリー樽のニュアンスが出るバーボン樽というのもときどき出会いますが、いつも不思議でなりません。チャーの具合などでタンニンやブドウ系のニュアンスがうまく出てくるとこうなるのでしょうか。グレンモーレンジといえば樽研究のパイオニア的な位置づけですが、昔も様々な研究をされていたのかもしれません。

なお、香りの微妙さは、口開けからまだ開ききっていない状態だったのかと思われますので、今後まだまだ開いていくことでしょう。そのときはきっと香り味ともに素晴らしい陶酔感が生まれそうです。

グレンモーレンジ 1978年 ティン・エルミタージュ

GlenMorangie 1978 “Tain L’Hermitage” (Official Bottle 43%)

香りはカスタード、オレンジ、すももなどが華やかに香る、少しミルキーさ、微かにアーシーなニュアンス、奥に香木のような香りも潜む。

味わいは酸味が強く青リンゴのよう、しみじみとした滋味深い穀物の味わい、ミドルから草や土、ミネラル感、若干オイリーさを伴う、フィニッシュにかけても滋味深く落ち着いた穀物様が短めで終わる。

【Good/Very Good】

グレンモーレンジの1978年蒸留の特別なボトル、ティン・エルミタージュと銘打たれています。ローヌワイン樽でのフィニッシュものということで、その後のマディラやポートなど様々なフィニッシュものの先駆けとなったボトルでしょうか。ちなみに Tain というのはグレンモーレンジ蒸留所がある町の名前ですね。

明らかなフルーティさや華やかさがそこまであるわけではないのですが、どちらかというと麦感、ミネラル感が中心に置かれているようで、落ち着いてしみじみと美味しいモルトです。また、香りに比べると味わいは酸味が強く出ており、少しギャップがあるように思われ、この辺りはフィニッシュものならではなのかもしれないと感じました。

この日のスターターとして頂きましたが、飲みやすく奥深い、良いモルトでした。