カテゴリー別アーカイブ: Irish – アイリッシュ

ミドルトン “ダー・ゲーラック” バッチ#01

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Midleton “Dair Ghaelach” Batch#01 (OB, “Virgin Irish Oak Collection”, Tree Number 03, 57.9%)

香りはややオイリーさを伴う麦、煮たリンゴ、プルーン、フレッシュな杉のような樹木の香り。

味わいは柔らかい穀物のフィーリング、タンジェリン、チェリー、ミドルからチクチクと刺激的なタンニン、赤い色をイメージさせるの樹木感、微かにパッションフルーツのニュアンス、スパイシーさが支配的なフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ダー・ゲーラックという言葉は「アイリッシュ・オーク」という意味。15年から22年ほどのバーボン・バレル熟成の原酒を、その名が示す通りアイルランド原産のオークの樹だけを使った樽で1年ほどの後熟をさせています。ラベルには使った樹木の番号まで書かれており、単一の樹から作り上げてられたものであることを特徴にしています。このボトルは樹の番号が3番でしたが、他にも9番くらいまであるようです。

さて、その味はというと、ミドルトン・ベリーレアと同様の柔らかな麦感とフルーツ感で始まるものの、徐々にチクチクとしたやや荒々しいフィーリングが支配的になります。これがアイリッシュ・オークの個性でしょうか。どちらかというと新樽ということが影響しているようにも思えます。

日本にミズナラというジャパニーズ・オークがあるように、このダー・ゲーラックもまた独特の個性を持ったオーク樽。それぞれの土地を表現する要素のひとつになっていくのでしょうか。個人的には、もう少し刺々しさは控えめであって欲しいので、セカンドフィル以降のもので長い熟成をしたものが出てくるかどうか、といったところが楽しみです。

ちなみに Dair Ghaelach の読みは、ゲーラックとゲーロッホの中間のような発音でした。ツアーで案内してくれた方は「ゲーラッ」という感じの発音。最後の子音はほとんど発音しないようでした。アイルランドのゲール語も、様々な看板などで普通に見かけましたし、スコットランドの一部と同様に、普通に生活に根ざしている言葉なのだと思いました。

 

ミドルトン ベリーレア 2016ボトリング

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Midleton Very Rare 2016 (OB, ex-Bourbon Barrels, 40%)

香りは甘やかな麦、トースト、ローストしたナッツ、ほのかにリンゴ、メロン、奥に紙のニュアンス。

味わいは柔らかく広がる、穀物の甘さ、ややオイリー、リンゴと薄めたマーマレードのフルーツ感、バニラクリーム、フィニッシュにかけて穏やかなホワイトペッパーと少し南国系のフルーツフレーバーが残る。

【Good/Very Good】

ミドルトン・ベリーレアは、1984年に当時のマスターディスティラーだったバリー・クロケット氏が作り出した銘柄。氏はアメリカン・オークのバーボンバレルでの熟成にこだわりを持っていたようで、同銘柄はその樽のみで構成されているスモールバッチで製造されているものです。このため、毎年限定生産となっているようで、ラベルにはボトリング年が表記されています。

氏は2013年に引退となり、2014年からマスターディスティラーはブライアン・ネイション氏に代わりました。このため、2014年のボトルからは署名が変わっています。味の傾向はボトリング年であまり変化をさせないようにしていたそうですが、そこはやはりスモールバッチらしく、色合いから見ても若干の差があります。

さて、肝心の味はというと、全体的に軽めで麦芽由来の風味とコクが主張しすぎない。この軽さも3回蒸留によるためでしょうか。やや控えめながらもバナナやリンゴ、若干の紙っぽさとその奥にメロンや赤い南国系果実も薄く感じます。典型的なアイリッシュウイスキーという印象で、VeryRareという表記の割には個性的な要素があまり感じられないところが、少し肩透かしを食らうようにも感じますね。

なお、値段もそこそこする同シリーズですが、2013年ころまでの過去のリリースボトルが蒸留所でも売られていました。値段は同じだったはずなのですが、レアリティを考慮してか、ちょっとプレミアムが乗せられてしまっていたので、アイリッシュの過去リリースもスコッチと同様にどんどん高騰していくのでしょうか……。手に入れるなら今のうちかもしれません。

アイリッシュ シングルモルト 24年 1991 TWA

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Irish Single Malt Whiskey 24yo 1991 (The Whisky Agency “The Perfect Dram” , Bourbon Barrel, 49.5%)

香りは完熟のパパイヤ、パッションフルーツ、ただれた柑橘系、青リンゴ、奥に煮出した穀物のニュアンス。

味わいは穏やかな立ち上がりで、やや青いパパイヤや青リンゴなどのフルーツ感、少しグラッシーなニュアンスがあり、ミドルからパッションフルーツ、ドライマンゴー、じんわりと広がる薄めの紅茶、少し青い感触が残るフィニッシュ。

【Very Good】

TWAのパーフェクト・ドラムからアイリッシュ・シングルモルトです。中身はどこの蒸留所なのでしょうね。詳細は不明ですが、アイリッシュ・シングルモルトに求めるトロピカルフルーツ感がしっかりとあり、やや作為的に感じつつも、やはり素直に美味しいと思えるボトルでした。

TWAのアイリッシュというと、ミュシャの絵柄のボトルは日本でもかなりの人気で瞬殺となりましたが、このボトルは海外で同様に瞬殺だったようです。日本にはほとんど入ってきていないようで、見たことがありませんでした。

アイリッシュ・ウイスキーのこのトロピカル感がどこから来るものなのか、マッシュかそれとも酵母の違いなのか、いろいろと謎は多いですが、多くが1988~1991のヴィンテージに集中していることも気になります。それ以降のヴィンテージでも同様のフレーバーが出てくるものなのか、もっと短熟or長熟の場合はどうなのか、などなど、興味は尽きません。

ピーテッド アイリッシュ シングルモルト 1991 ウイスキードリス

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peated Irish Single Malt 1991 (Whisky-Doris “The Nose Art Collection, Bourbon Barrel Cask#8231, 48,1%)

香りはややケミカルさを伴うトロピカルフルーツ、マンゴー、パッションフルーツ多め、やや青草のニュアンス、ムスク、奥にピート感。

味わいは香り同様のトロピカルフルーツ、酸味が少し優位、ミドルからじっとりと湿ったピート感が下支え、べっこう飴、ねっとりと濃密なテクスチャ、ややハッカのニュアンスあり、フィニッシュもフルーツとピートが長く続く。

【Very Good】

ウイスキードリスからリリースされたアイリッシュで、ここ最近いくつかリリースがあったピートを効かせたタイプです。先日の秩父ウイスキー祭りで友人のT氏が持参して下さいました。いつもありがとうございます。

アイリッシュらしいトロピカルフルーツ感はしっかりとのっていますが、程よく効いたピートとはどこか少し馴染まない印象もあり、相殺されてしまっている部分があるように感じられました。とはいえ、しっかりとしたフルーツ感は素晴らしく、やはり美味しいアイリッシュであることは間違いありません。面白かったのは味わいにべっこう飴やハッカのような、どちらかというと和菓子のようなニュアンスが出ていたことです。ほんのりと出汁のような旨味を感じさせる気配があり、不思議なものだなあと感じました。

さて、ここ数年ですっかりアイリッシュ=トロピカルフルーツという図式が出来上がったように思えます。勿論そうでないものもあると思いますが、質のいいアイリッシュは南国フレーバーがあり人気が高い。そこでふと思ったのが、その走りとなったボトルはどれだったのだろうか、ということです。自分の場合は The Whisky Agency のアイリッシュで初めて知ったのですが、当のページにも「最近幾つかのボトルで高評価」と書いてあり、その前にもトロピカル前回のアイリッシュがあったように思われます。

将来的に、アイリッシュの伝説的なボトル~などで紹介されることがあった場合、どのボトルが先駆けになったのかが誤って伝わらないと良いのですが。なんて遠い先のことを考えても仕方ないですけどね。もしどなたかご存知だったら教えて頂けると幸いです。

 

ブラインドサンプル from 銀牙さん (2014-09D)

銀牙さんからのブラインドサンプル、最後の4つ目です。

ブラインドサンプル from 銀牙さん (D)

香りはツンと来るアルコールの強さ、熟れた洋ナシ、メロン、草、ブーケガルニ、軽く土、微かに塩素、セメダインのニュアンス。

味わいは濃厚な紅茶、染みこむタンニン、フルーツトマトのような甘さと酸味が強い、パイナップル、ハーブ感と麦の甘さ、ミドルからミネラル感のあるブリニーさ、微かにミーティさもある、フィニッシュにかけてつよいスパイシーさとブリニーさが舌に残り、痺れるような残り味が心地良い。

【Very Good】

香りはアルコール感もありハイプルーフで若めの第一印象だったが、慣れてくると多彩なフルーツ感と、ハーブなどと共に塩素のような少しケミカルさもあるところが不思議な感じ。とはいえ、ケミカルさはごくごくわずかでマイナスには感じない。

味わいはアタックの濃厚な紅茶とフルーツ、そしてブリニーさがしっかりと主張しており、他にも様々なニュアンスが見え隠れていて全部を拾いきれないくらい多彩。アタックは弱いもののアルコール度数は高いように思える。

複雑さもあるが比較的短熟なイメージもあり、どの方向から考えたら良いのかが非常に迷う。複雑さとブリニーさ、フルーツ感からは昔の良いスプリングバンクなどがこのようなイメージもある一方、若い方向で考えると山崎のバーボン系の味わいでもこのようなものがありそうだと感じてしまった。オーナーズカスクなどだろうか。このあたりから予想を立ててみた。

【予想蒸留所】 ①スプリングバンク ②山崎 ③ミルトンダフ
【蒸留年】1990年代
【熟成年数】15年程度
【度数】52%程度

上記をメールで回答したところ、正解は……

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Ireland 26yo 1987 (La Maison du Whisky “The Nectar of the Daily Drams" 51.6 %

アイリッシュ・ウイスキーの26年物でした。

というかこのボトル、先日飲んだ気が……。そして、回答を送った15分後に「あっ、そういえば!」と気づいてしまったという。いえ、負け惜しみなんですけどね……。(苦笑)

というくらい特徴的な香り、味わいがあります。独特のフルーツ感と、強い紅茶のような渋みも感じる滋味深さなどは、スコッチとは異なるニュアンスだと思います。自分も含めて3人の方がジャパニーズを予想に入れたとのことでしたが、皆さん、やはりスコッチとはどこか違うというのを感じているのだと思います。

今後、アイリッシュは需要も伸びて市場が大きくなることが予想されますし、そうなればこのようなボトルが沢山出てくるのでは、という指摘もありました。そうであれば嬉しいですね。願わくば、もう少し値段が控えめになって頂けると助かります(笑)

銀牙さん、4種類とも興味深いボトルばかりでとても楽しめました。ありがとうございました!

アイリッシュ シングルモルト 25年 1988 The Whisky Agency

Irish Single Malt Whiskey 25yo 1988 (The Whisky Agency “Old Times Diving” Matured in Barrel 51.1%)

香りは少しヒネのような古い布のような独特のニュアンス、土っぽさとはちょっと違うような……。不思議な感覚。途中からグレープ、ローズマリーのようなハーブ感。薄く流れるような蜂蜜のニュアンス。

味わいは、熟れたリンゴから始まり、とても濃厚なパッションフルーツ、やがてマンゴスチンのような少し酸味のある南国フルーツ感も出てくる。ミドルに麦の甘さと少し清涼感のあるハーブ、再度パッションフルーツ。フィニッシュにかけてもひたすら南国感が支配的で、濃厚かつ長い。

【Very Good/Excellent】

ボトラーズのTWAから2013年にリリースされたアイリッシュ・ウイスキー。こちらは Bar 無路良 さんで頂きましたが、マスターの話によると中身はブッシュミルズではないかということです。

香りをかいだときには少しパッとしない印象、というか良くわからない、自分の知らない香りのような感じだったのですが、一口味わった瞬間にそんな印象は一気に持っていかれました。やや粘性のある強すぎないアタックから一呼吸おいて、爆発的に広がるパッションフルーツのフレーバー。とにかくこれが濃くて甘やか。その後少し酸味があるフルーツ感が出てきて、自分はこれをマンゴスチンのようだと感じました。全体的に南国フルーツ感が強く印象に残ったボトルです。

正直、アイリッシュですと出されて「どうかな?」と思ってしまったのですが、このボトルはそんなイメージを一気に覆してくれました。ここ最近、幾つかアイリッシュのシングルカスクがボトラーズから出ていますが、どれもかなり高評価なようですし、同じようにフルーツ感がしっかりと乗っているという傾向もあるようです。非常に素晴らしいのですがただ一点、アイリッシュは全体的に価格に難ありですが……。もうちょっと安ければ、と思ってしまうのは虫が良すぎますかね。

スコッチが人気で原酒不足となる中、アイリッシュや台湾、その他の国のウイスキーが台頭してくる良いチャンスなのかもしれませんね。ウイスキー戦国時代の幕開け、となるのでしょうか。とにもかくにも、アイリッシュは今後も注目株になりそうです。

ブラインドサンプル from とぅーるさん (1)

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モルト仲間のとぅーるさんから、ブラインドのサンプルを頂きました。幅広いモルトコレクションをお持ちのとぅーるさんが出してきたサンプルは一体どんなものでしょうか……。

【sample A from とぅーる】

香りはとてもプレーンな印象。若めの麦感、たらこのような海と塩っけを感じる。ハーブのようなスッとする草の印象があり、少しワクシーなニュアンスも覗かせる。徐々に開いてくると、ブリニーさが出てくるように思える。

味わいはブリニーでオイリー、アタックが強く若い印象。ミドルからニガヨモギ、青いリンゴ、若いキウイフルーツ、ほんの微かにシェリーっぽいサルファリーさも感じる。フィニッシュにかけても苦味を伴ったアルコール感が続いていく。

【Good】

香りはとにかくプレーンで、これといった特徴を感じ取るのが難しい。甘いニュアンスやフルーツ感をあまり感じず、若めのオーク樽のモルトであることくらいしか掴めない。
味わいからはかなり若めのモルトと思えるが、一貫してドライで甘さを感じないプレーンな味わい。ニューポッティな要素はそこまで無いが熟成感を感じず、近年のモルトと思われる。度数は比較的高めで、ボトラーズから出たカスクものと思われるが、少しシェリー樽由来のようなサルファリーさを感じた点から、オフィシャルのヴァッティングもあり得るのだろうか。最終的には除外。ブリニーでオイリーなニュアンスから蒸留所を検討した。

【予想蒸留所】①クライネリッシュ ②オールドプルトニー ③ハイランドパーク
【蒸留年】1990年代
【熟成年数】15年程度
【度数】54%程度

以上の予想でメールをお送りしたところ……。

ブッシュミルズ
Bushmills 1988 (54.1%, OB, for La Maison du Whisky, Rum Barrel, cask #14356)

アイリッシュ・ウイスキーのブッシュミルズでした。しかもラムバレルというなかなか異色のボトル。

自分が感じたブリニーとオイリーのニュアンスはとぅーるさんも感じられていたようで、味わいの傾向としてはなるほど納得、といったところでした。一方、ラムカスクによる味わいはあまり原酒との一体感が出ておらず、分離している印象、とのことでした。プレーンな味わいだと思った所に、少しシェリーカスクっぽい感覚を持ったのはそのせいだったのかもしれません。

最近、アイリッシュ・ウイスキーが結構いろいろと出てくるようになりましたし、これからの復権もありうるのか、要注目ということで、まさに今気になるウイスキーの一端でしたね。ありがとうございました。