カテゴリー別アーカイブ: Irish – アイリッシュ

ティーリング 10年 蒸留所限定 ハンドボトリング

10年と短いながらも、アイリッシュらしさに溢れていました。

Teeling 10yo (OB “Hand Bottling”, Cask#22060)

香りは洋ナシ、チョコレート、ダークフルーツ、フルーツたっぷりのヨーグルト、コロンやムスクのニュアンス、近年系シェリーらしさ、微かにゴムが焼けた後の暖炉。

味わいは少し強めのアタックで、チョコレートの甘さ、イチジク、ドライアプリコット、奥にダークチョコレート、ミドルからアイリッシュらしいトロピカル感も見え隠れする、ビターチョコとキャラメルの甘さが重なったようなフィニッシュ。

【Good/Very Good】

アイルランドはティーリング蒸留所で購入できるハンドフィル。自分が行った時は2種類の樽が用意されていましたが、購入者のSさんが行かれた際も同様に短熟、長熟の2種類が用意されていたそうです。こちらは短熟の方、シェリー樽で10年熟成のものです。(Sさん、ありがとうございます!)

香りは基本的には近年系シェリーのそれですが、味わいが思ったよりもずっと綺麗めで端正。良いフルーツ感とチョコレート、アイリッシュらしいトロピカルフレーバーも感じられ、妙な引っ掛かりがほとんどない、全体的にレベルが高く美味しいアイリッシュでした。

先日ウイスキーフェスティバルで、ティーリングの白ワイン樽を使った10年熟成のものを飲んだのですが、そのときにも奥の方にしっかりとしたトロピカル感があり、なるほどアイリッシュらしいと思いました。今回のも10年ほどで同様の傾向。これはやはりティーリングの長熟なら、誰もが思い描くようなあのトロピカル感が出てくるのかもしれません。少なくとも、1990年前後だけに発生した特別なもの、というわけではないのかもしれませんね。

相変わらずアイリッシュのこのトロピカル感はどこからやってくるものなのかが不明なのですが、今後も同様のフレーバーが生き残ってくれるなら、アイリッシュ・ウイスキーの将来は明るいのではないかと思います。

なお、長熟のハンドフィルの方はやはりトロピカル全開だそうで。もしティーリング蒸留所に行かれた際には是非試してみてください。

クーリー 11年+16年 ケイデンヘッド・オープンデー Big Tasting 2019向け

アイルランドとスコットランド、旅するモルトのストーリー。

Cooley 1992 11yo(+16yo) (Cadenhead for Open Day “Big Tasting” 2019, Barrel, 53.4%)

香りはバタースコッチ、熟成したチーズ、あんぽ柿、グァバ、バンレイシ、グリーンノートとややもったりした甘さ、メンソールのニュアンス、

味わいはねっとりとした立ち上がりでグァバ、洋ナシ、ネクタリン、少しパッションフルーツ、やや強めの樽感とタンニンの収斂味、ドライながらもエキゾチックなフルーツ感が続くフィニッシュ。

少量加水するとドライな部分やエグみが抑えられ整う感じ。柑橘の甘みとパッションフルーツが主張してくる。

【Good/Very Good】

ケイデンヘッドの熟成庫ツアー、ウェアハウス・テイスティングでボトリングされた、アイリッシュ・ウイスキーのクーリーです。今年2019年5月に行われた、ケイデンヘッド・オープンデー向けのもの。

こちらも全開のポール・ジョンに負けず劣らず面白いボトル。表記上は11年となっていますが、1992年蒸留にしては年数が合いません。これはアイリッシュ・ウイスキーの定義によるものでしょう。アイリッシュ・ウイスキーを名乗るためには熟成について次の制約があります。

木製の樽において
(i) 国内の倉庫において3年以上、もしくは
(ii) 北アイルランド内の倉庫において当該期間、または
(iii) 国内および北アイルランド内の倉庫において合計3年以上の期間
熟成されたものとする。

このウイスキーは11年をアイルランドで、その後の16年をスコットランドで熟成したものとなります。その場合はアイルランドでの熟成年数のみを表記することで、アイリッシュ・ウイスキーとして存在することができる、という仕組み。

というわけで実際には27年の長熟アイリッシュ、という扱いで良いかと。その味わいは、支配的ではないもののアイリッシュらしいトロピカル感、そしてフルーツ感は果肉の甘みと皮部分の苦味が同居している感じ。甘さと同居するほろ苦さは、ライトピート麦芽を用いたというところに由来するものでしょうか。

熟成期間が長いこともあり、やや樽の強さが出ているところがありますが、ギリギリ嫌味にならないところだと思います。これ以上熟成させると完全に樽の味になりそうな気配があり、ボトリングの時期としては良く考えられているように感じました。

改めて思うのは、ケイデンヘッドの熟成庫には本当にいろいろな樽があるな、と。自分がボトリングしたものの中でも、ドロナックで樽詰めされたグレンリベットとかありましたし、確かモーレンジで10年ほど熟成させて戻ってきたスプリングバンクなどの話もあったり。スコットランド内であれば熟成年数は通常通り加算されていきますから、どこでどんな風に熟成されたかというのはボトルだけ見ていても分からないこともあるのだな、と思わされました。

単に一つの熟成庫で眠っている樽もあれば、あちこちの蒸留所を旅する樽もあり。どこでどんな風に過ごしたかによって、突然変異のようなシングルカスクが生まれることもあるのかもしれません。このあたりも熟成の神秘ですかね。

キルベガン アイリッシュ・ウイスキー

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“Kilbeggan” Irish Blended Whiskey (OB, bottled in 2017, 40%)

香りは熟したリンゴ、パイナップルの缶詰、微かにライチ、ハチミツ、奥から清涼感のあるミントのようなハーブ、濡れた藁と馬小屋のようなニュアンス。

味わいはアタックに乏しくややボケた印象だが、桃やパイナップルサクランボなどのフルーツポンチ、ややケミカルで缶詰のよう、風邪シロップ、少し紙っぽさ、ヨモギのような草と野菜のニュアンスが後を引くフィニッシュ。

【Good】

アイルランド旅行で寄ったキルベガン蒸留所。その名を冠したキルベガンは、原酒はキルベガン蒸留所ではなくクーリー蒸留所で作られているもので、熟成年数としては6年ほどのモルトと4年ほどのグレーンによるブレンデッドだ、とはツアーガイドさんの弁でした。

正直ノンエイジのブレンデッドなんて、と高を括っていたのですが、試飲してみると、あれ? 思ったよりも美味しいぞ? と。このミニボトルをもらったため、蒸留所マジックかどうかを判断するため、家に帰ってきてから再度飲んでみたところ、やはりなかなかに良い味わいです。

ノートの通り、アイリッシュらしさとも言えるフルーツ感が良く出ていて、未熟感もほとんど感じません。香りのトロピカル感はかなり秀逸。味わいも悪くはなく及第点以上です。流石にボディの弱さは否めませんが、飲みやすさでいえばピカイチでしょう。飲み進めていくと浮ついた紙っぽさを感じるようになるため、パッと飲み始めの一杯に、といった飲み方が合うように思います。

ハイボールではフルーツ感と紙っぽさが分離して強調されるため、ちょっとチグハグかな、という気もしますが、なかなかに悪くありません。とにかくじゃぶじゃぶいけちゃうタイプでしょうか。

エントリークラスながら、非常に出来の良いアイリッシュ・ウイスキーです。

ティーリング 25年 1991-2017 蒸留所限定 ハンドボトル

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Teeling 25yo 1991-2017 (OB, Hand bottling, American Bourbon, Cask#8448, 51.3%)

香りはライチ、マンゴスチン、酸味のある白ぶどう、木の皮のような木香、バニラ、マジパン、微かにバニラビーンズ、甘く熟したスイカのニュアンス、スワリングすると清涼感のあるハーブとバニラのニュアンスが香り立つ。

味わいは柔らかいアタックで、香り同様のライチ、マンゴスチンに強烈なパッションフルーツ、ミドルはややスパイシーでホワイトペッパー、クローブ、シナモンが良いバランスを奏でる、甘みもたっぷりでコクのあるパウンドケーキ、薄めたパイナップルジュースにフレッシュな木の香りが心地よく続くフィニッシュ。

加水すると香りに桃と紅茶のニュアンスが出てくる。味にはフルーツの皮のような渋みが表に出てくるためあまり良い変化はしない。口当たりも柔らかいため加水の必要性はあまりなく、ストレートが良い。

【Very Good/Excellent】

ティーリング蒸留所のハンドボトル、樽出し原酒を直接詰めたもの。先日の若いボトルと同様、今年4月のアイルランド旅行でティーリング蒸留所を訪問した際に購入してきたボトルです。

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アイリッシュに求める「らしさ」が全開で、マンゴスチン、パッションフルーツなどのトロピカルフレーバーは探すまでもなく感じることができます。心地よいところまで自然に落ちたアルコール感、樽の影響によると思われるスパイス感もほどよく、これ以上寝かせると渋くなったりもしそうですが、そこまでには至っていない。いろいろな面でバランスの良い、まさにボトリング時期真っ盛りといったところ。流石に少々値は張りましたが、ティーリングさん、蒸留所のビジターに良いものをチョイスしてくれてていますね。

仲間内の話を聞くと、中身はブッシュミルズの原酒ではないかということです。自分はてっきりティーリング氏が勤めていたというクーリー蒸留所のものかと思っていたのですが、これ以外にもリリースされているアイリッシュのウイスキーなどからブッシュミルズの可能性が高そうですね。

 

それにしても、1990年近辺、25年前後の熟成のアイリッシュ・シングルモルトにある、このトロピカルフレーバーは一体どこからくるものなのでしょうね。2000年以降蒸留の原酒には、まだこのような面影を見るものはあまり無い気がしますし、たまたまその時期にアタリの樽が多かったのか、それとも原酒のポテンシャルとしては同じようなものなのか……。ブレンデッドのアイリッシュでも結構似たようなフレーバーをうっすらと感じるので、後者だと自分は認識しているのですが。

スコッチと異なるのは、原料の一部を発芽させていない大麦を使っているところ、いわゆる「シングルポットスティル」の部分でしょうか。均質でない原料からくる多彩さが、このようなフレーバーに繋がっているのかもしれません。

などなど、いろいろと考えてしまいますが、飲んでいる間はそんなことはどうでも良くなりそうなくらいの美味しいウイスキーです。ちょっと思い出補正が入ってしまっているかもしれませんが、そこはまあご容赦下さい。

 

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それにしてもこのボトル、かなり重量があり箱も専用のもので大きく重い……。コルク栓まで重くて、開栓時に驚いて落としてしまったほどです。高級感があって良いですが、他のボトルよりもかなり場所を取るのが難点でしょうか(笑

 

ティーリング 9年 2007-2017 蒸留所限定 ハンドボトル

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Teeling 9yo 2007-2017 (OB, Hand bottling, Port Butt, Cask#11650, 59.2%)

香りは黒蜜、赤ブドウ、レーズン、焦がしたカラメル、綿菓子、少し清涼感のあるハーブと切った木材。

味わいはブドウ、濃いカラメル、ビターチョコレート、ハイプルーフらしくピリピリとスパイシー、タンニンの収斂味、フィニッシュはブドウ、焦げた木や炭のニュアンスが残る。

加水するとブドウ感が強まるが、味に焦げたニュアンスが強まり好みが別れる所。ざらざらした粒状感も特徴的。ほんの少しパイナップルやライチのニュアンスが顔をのぞかせる。

【Good/Very Good】

ティーリング蒸留所のハンドボトル、樽出し原酒を直接詰めたもの。今年4月のアイルランド旅行でティーリング蒸留所を訪問した際に購入してきたボトルです。

 

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ざっくりと言って、近年系シェリーカスクの短熟ウイスキー、という内容です。シェリーカスクではなくポートカスクですが、内容的にはほぼ同様の味の傾向でした。素性は悪くなく、10年にギリギリ満たないものですが未熟感も特に無く、良い熟成を経たものであることが分かります。一方で度数が60%近くもありストレートで飲むにはちょっと辛い内容。加水するのが良いでしょう。

ダブリンで稼働し始めたティーリング蒸留所はクーパレッジも抱えており、バーボン樽、シェリー樽は勿論、ポート、マディラ、ラム、カルヴァドス、ワイン、etc… といったように世界中から様々な種類の樽を仕入れて使っているようです。場所もコストもかかるため小さめの蒸留所では独自のクーパレッジを抱えるというのは難しいと聞きますが、自分たちが納得いくような品質の高い樽を造り続けるためには必要との判断でしょう。

アイルランドではスコットランドに比べてシングルモルトは総じて高額な傾向にありますが、こちらはハンドボトルでも値段が控えめな方ということもあり、それなりに売れ行きは良いようです。無くなったら入れ替わりで概ね10年前後のものが準備されるので、時期によって樽の種類が違いそうです。ダブリンを訪れるウイスキー関連の方は多いので、モルトBarなどではもしかしたらバーテンダーの方が現地で買ってきたボトルがある、なんてことがあるかもしれません。見かけたら是非試して見て下さい。

ミドルトン “ダー・ゲーラック” バッチ#01

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Midleton “Dair Ghaelach” Batch#01 (OB, “Virgin Irish Oak Collection”, Tree Number 03, 57.9%)

香りはややオイリーさを伴う麦、煮たリンゴ、プルーン、フレッシュな杉のような樹木の香り。

味わいは柔らかい穀物のフィーリング、タンジェリン、チェリー、ミドルからチクチクと刺激的なタンニン、赤い色をイメージさせるの樹木感、微かにパッションフルーツのニュアンス、スパイシーさが支配的なフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ダー・ゲーラックという言葉は「アイリッシュ・オーク」という意味。15年から22年ほどのバーボン・バレル熟成の原酒を、その名が示す通りアイルランド原産のオークの樹だけを使った樽で1年ほどの後熟をさせています。ラベルには使った樹木の番号まで書かれており、単一の樹から作り上げてられたものであることを特徴にしています。このボトルは樹の番号が3番でしたが、他にも9番くらいまであるようです。

さて、その味はというと、ミドルトン・ベリーレアと同様の柔らかな麦感とフルーツ感で始まるものの、徐々にチクチクとしたやや荒々しいフィーリングが支配的になります。これがアイリッシュ・オークの個性でしょうか。どちらかというと新樽ということが影響しているようにも思えます。

日本にミズナラというジャパニーズ・オークがあるように、このダー・ゲーラックもまた独特の個性を持ったオーク樽。それぞれの土地を表現する要素のひとつになっていくのでしょうか。個人的には、もう少し刺々しさは控えめであって欲しいので、セカンドフィル以降のもので長い熟成をしたものが出てくるかどうか、といったところが楽しみです。

ちなみに Dair Ghaelach の読みは、ゲーラックとゲーロッホの中間のような発音でした。ツアーで案内してくれた方は「ゲーラッ」という感じの発音。最後の子音はほとんど発音しないようでした。アイルランドのゲール語も、様々な看板などで普通に見かけましたし、スコットランドの一部と同様に、普通に生活に根ざしている言葉なのだと思いました。

 

ミドルトン ベリーレア 2016ボトリング

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Midleton Very Rare 2016 (OB, ex-Bourbon Barrels, 40%)

香りは甘やかな麦、トースト、ローストしたナッツ、ほのかにリンゴ、メロン、奥に紙のニュアンス。

味わいは柔らかく広がる、穀物の甘さ、ややオイリー、リンゴと薄めたマーマレードのフルーツ感、バニラクリーム、フィニッシュにかけて穏やかなホワイトペッパーと少し南国系のフルーツフレーバーが残る。

【Good/Very Good】

ミドルトン・ベリーレアは、1984年に当時のマスターディスティラーだったバリー・クロケット氏が作り出した銘柄。氏はアメリカン・オークのバーボンバレルでの熟成にこだわりを持っていたようで、同銘柄はその樽のみで構成されているスモールバッチで製造されているものです。このため、毎年限定生産となっているようで、ラベルにはボトリング年が表記されています。

氏は2013年に引退となり、2014年からマスターディスティラーはブライアン・ネイション氏に代わりました。このため、2014年のボトルからは署名が変わっています。味の傾向はボトリング年であまり変化をさせないようにしていたそうですが、そこはやはりスモールバッチらしく、色合いから見ても若干の差があります。

さて、肝心の味はというと、全体的に軽めで麦芽由来の風味とコクが主張しすぎない。この軽さも3回蒸留によるためでしょうか。やや控えめながらもバナナやリンゴ、若干の紙っぽさとその奥にメロンや赤い南国系果実も薄く感じます。典型的なアイリッシュウイスキーという印象で、VeryRareという表記の割には個性的な要素があまり感じられないところが、少し肩透かしを食らうようにも感じますね。

なお、値段もそこそこする同シリーズですが、2013年ころまでの過去のリリースボトルが蒸留所でも売られていました。値段は同じだったはずなのですが、レアリティを考慮してか、ちょっとプレミアムが乗せられてしまっていたので、アイリッシュの過去リリースもスコッチと同様にどんどん高騰していくのでしょうか……。手に入れるなら今のうちかもしれません。