カテゴリー別アーカイブ: Irish – アイリッシュ

キルベガン アイリッシュ・ウイスキー

DSC04752.jpg

“Kilbeggan” Irish Blended Whiskey (OB, bottled in 2017, 40%)

香りは熟したリンゴ、パイナップルの缶詰、微かにライチ、ハチミツ、奥から清涼感のあるミントのようなハーブ、濡れた藁と馬小屋のようなニュアンス。

味わいはアタックに乏しくややボケた印象だが、桃やパイナップルサクランボなどのフルーツポンチ、ややケミカルで缶詰のよう、風邪シロップ、少し紙っぽさ、ヨモギのような草と野菜のニュアンスが後を引くフィニッシュ。

【Good】

アイルランド旅行で寄ったキルベガン蒸留所。その名を冠したキルベガンは、原酒はキルベガン蒸留所ではなくクーリー蒸留所で作られているもので、熟成年数としては6年ほどのモルトと4年ほどのグレーンによるブレンデッドだ、とはツアーガイドさんの弁でした。

正直ノンエイジのブレンデッドなんて、と高を括っていたのですが、試飲してみると、あれ? 思ったよりも美味しいぞ? と。このミニボトルをもらったため、蒸留所マジックかどうかを判断するため、家に帰ってきてから再度飲んでみたところ、やはりなかなかに良い味わいです。

ノートの通り、アイリッシュらしさとも言えるフルーツ感が良く出ていて、未熟感もほとんど感じません。香りのトロピカル感はかなり秀逸。味わいも悪くはなく及第点以上です。流石にボディの弱さは否めませんが、飲みやすさでいえばピカイチでしょう。飲み進めていくと浮ついた紙っぽさを感じるようになるため、パッと飲み始めの一杯に、といった飲み方が合うように思います。

ハイボールではフルーツ感と紙っぽさが分離して強調されるため、ちょっとチグハグかな、という気もしますが、なかなかに悪くありません。とにかくじゃぶじゃぶいけちゃうタイプでしょうか。

エントリークラスながら、非常に出来の良いアイリッシュ・ウイスキーです。

ティーリング 25年 1991-2017 蒸留所限定 ハンドボトル

DSC04748

DSC04749

Teeling 25yo 1991-2017 (OB, Hand bottling, American Bourbon, Cask#8448, 51.3%)

香りはライチ、マンゴスチン、酸味のある白ぶどう、木の皮のような木香、バニラ、マジパン、微かにバニラビーンズ、甘く熟したスイカのニュアンス、スワリングすると清涼感のあるハーブとバニラのニュアンスが香り立つ。

味わいは柔らかいアタックで、香り同様のライチ、マンゴスチンに強烈なパッションフルーツ、ミドルはややスパイシーでホワイトペッパー、クローブ、シナモンが良いバランスを奏でる、甘みもたっぷりでコクのあるパウンドケーキ、薄めたパイナップルジュースにフレッシュな木の香りが心地よく続くフィニッシュ。

加水すると香りに桃と紅茶のニュアンスが出てくる。味にはフルーツの皮のような渋みが表に出てくるためあまり良い変化はしない。口当たりも柔らかいため加水の必要性はあまりなく、ストレートが良い。

【Very Good/Excellent】

ティーリング蒸留所のハンドボトル、樽出し原酒を直接詰めたもの。先日の若いボトルと同様、今年4月のアイルランド旅行でティーリング蒸留所を訪問した際に購入してきたボトルです。

DSC02994

 

アイリッシュに求める「らしさ」が全開で、マンゴスチン、パッションフルーツなどのトロピカルフレーバーは探すまでもなく感じることができます。心地よいところまで自然に落ちたアルコール感、樽の影響によると思われるスパイス感もほどよく、これ以上寝かせると渋くなったりもしそうですが、そこまでには至っていない。いろいろな面でバランスの良い、まさにボトリング時期真っ盛りといったところ。流石に少々値は張りましたが、ティーリングさん、蒸留所のビジターに良いものをチョイスしてくれてていますね。

仲間内の話を聞くと、中身はブッシュミルズの原酒ではないかということです。自分はてっきりティーリング氏が勤めていたというクーリー蒸留所のものかと思っていたのですが、これ以外にもリリースされているアイリッシュのウイスキーなどからブッシュミルズの可能性が高そうですね。

 

それにしても、1990年近辺、25年前後の熟成のアイリッシュ・シングルモルトにある、このトロピカルフレーバーは一体どこからくるものなのでしょうね。2000年以降蒸留の原酒には、まだこのような面影を見るものはあまり無い気がしますし、たまたまその時期にアタリの樽が多かったのか、それとも原酒のポテンシャルとしては同じようなものなのか……。ブレンデッドのアイリッシュでも結構似たようなフレーバーをうっすらと感じるので、後者だと自分は認識しているのですが。

スコッチと異なるのは、原料の一部を発芽させていない大麦を使っているところ、いわゆる「シングルポットスティル」の部分でしょうか。均質でない原料からくる多彩さが、このようなフレーバーに繋がっているのかもしれません。

などなど、いろいろと考えてしまいますが、飲んでいる間はそんなことはどうでも良くなりそうなくらいの美味しいウイスキーです。ちょっと思い出補正が入ってしまっているかもしれませんが、そこはまあご容赦下さい。

 

DSC04751

それにしてもこのボトル、かなり重量があり箱も専用のもので大きく重い……。コルク栓まで重くて、開栓時に驚いて落としてしまったほどです。高級感があって良いですが、他のボトルよりもかなり場所を取るのが難点でしょうか(笑

 

ティーリング 9年 2007-2017 蒸留所限定 ハンドボトル

DSC04740

Teeling 9yo 2007-2017 (OB, Hand bottling, Port Butt, Cask#11650, 59.2%)

香りは黒蜜、赤ブドウ、レーズン、焦がしたカラメル、綿菓子、少し清涼感のあるハーブと切った木材。

味わいはブドウ、濃いカラメル、ビターチョコレート、ハイプルーフらしくピリピリとスパイシー、タンニンの収斂味、フィニッシュはブドウ、焦げた木や炭のニュアンスが残る。

加水するとブドウ感が強まるが、味に焦げたニュアンスが強まり好みが別れる所。ざらざらした粒状感も特徴的。ほんの少しパイナップルやライチのニュアンスが顔をのぞかせる。

【Good/Very Good】

ティーリング蒸留所のハンドボトル、樽出し原酒を直接詰めたもの。今年4月のアイルランド旅行でティーリング蒸留所を訪問した際に購入してきたボトルです。

 

DSC02993-2

ざっくりと言って、近年系シェリーカスクの短熟ウイスキー、という内容です。シェリーカスクではなくポートカスクですが、内容的にはほぼ同様の味の傾向でした。素性は悪くなく、10年にギリギリ満たないものですが未熟感も特に無く、良い熟成を経たものであることが分かります。一方で度数が60%近くもありストレートで飲むにはちょっと辛い内容。加水するのが良いでしょう。

ダブリンで稼働し始めたティーリング蒸留所はクーパレッジも抱えており、バーボン樽、シェリー樽は勿論、ポート、マディラ、ラム、カルヴァドス、ワイン、etc… といったように世界中から様々な種類の樽を仕入れて使っているようです。場所もコストもかかるため小さめの蒸留所では独自のクーパレッジを抱えるというのは難しいと聞きますが、自分たちが納得いくような品質の高い樽を造り続けるためには必要との判断でしょう。

アイルランドではスコットランドに比べてシングルモルトは総じて高額な傾向にありますが、こちらはハンドボトルでも値段が控えめな方ということもあり、それなりに売れ行きは良いようです。無くなったら入れ替わりで概ね10年前後のものが準備されるので、時期によって樽の種類が違いそうです。ダブリンを訪れるウイスキー関連の方は多いので、モルトBarなどではもしかしたらバーテンダーの方が現地で買ってきたボトルがある、なんてことがあるかもしれません。見かけたら是非試して見て下さい。

ミドルトン “ダー・ゲーラック” バッチ#01

DSC04168

Midleton “Dair Ghaelach” Batch#01 (OB, “Virgin Irish Oak Collection”, Tree Number 03, 57.9%)

香りはややオイリーさを伴う麦、煮たリンゴ、プルーン、フレッシュな杉のような樹木の香り。

味わいは柔らかい穀物のフィーリング、タンジェリン、チェリー、ミドルからチクチクと刺激的なタンニン、赤い色をイメージさせるの樹木感、微かにパッションフルーツのニュアンス、スパイシーさが支配的なフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ダー・ゲーラックという言葉は「アイリッシュ・オーク」という意味。15年から22年ほどのバーボン・バレル熟成の原酒を、その名が示す通りアイルランド原産のオークの樹だけを使った樽で1年ほどの後熟をさせています。ラベルには使った樹木の番号まで書かれており、単一の樹から作り上げてられたものであることを特徴にしています。このボトルは樹の番号が3番でしたが、他にも9番くらいまであるようです。

さて、その味はというと、ミドルトン・ベリーレアと同様の柔らかな麦感とフルーツ感で始まるものの、徐々にチクチクとしたやや荒々しいフィーリングが支配的になります。これがアイリッシュ・オークの個性でしょうか。どちらかというと新樽ということが影響しているようにも思えます。

日本にミズナラというジャパニーズ・オークがあるように、このダー・ゲーラックもまた独特の個性を持ったオーク樽。それぞれの土地を表現する要素のひとつになっていくのでしょうか。個人的には、もう少し刺々しさは控えめであって欲しいので、セカンドフィル以降のもので長い熟成をしたものが出てくるかどうか、といったところが楽しみです。

ちなみに Dair Ghaelach の読みは、ゲーラックとゲーロッホの中間のような発音でした。ツアーで案内してくれた方は「ゲーラッ」という感じの発音。最後の子音はほとんど発音しないようでした。アイルランドのゲール語も、様々な看板などで普通に見かけましたし、スコットランドの一部と同様に、普通に生活に根ざしている言葉なのだと思いました。

 

ミドルトン ベリーレア 2016ボトリング

DSC04167

Midleton Very Rare 2016 (OB, ex-Bourbon Barrels, 40%)

香りは甘やかな麦、トースト、ローストしたナッツ、ほのかにリンゴ、メロン、奥に紙のニュアンス。

味わいは柔らかく広がる、穀物の甘さ、ややオイリー、リンゴと薄めたマーマレードのフルーツ感、バニラクリーム、フィニッシュにかけて穏やかなホワイトペッパーと少し南国系のフルーツフレーバーが残る。

【Good/Very Good】

ミドルトン・ベリーレアは、1984年に当時のマスターディスティラーだったバリー・クロケット氏が作り出した銘柄。氏はアメリカン・オークのバーボンバレルでの熟成にこだわりを持っていたようで、同銘柄はその樽のみで構成されているスモールバッチで製造されているものです。このため、毎年限定生産となっているようで、ラベルにはボトリング年が表記されています。

氏は2013年に引退となり、2014年からマスターディスティラーはブライアン・ネイション氏に代わりました。このため、2014年のボトルからは署名が変わっています。味の傾向はボトリング年であまり変化をさせないようにしていたそうですが、そこはやはりスモールバッチらしく、色合いから見ても若干の差があります。

さて、肝心の味はというと、全体的に軽めで麦芽由来の風味とコクが主張しすぎない。この軽さも3回蒸留によるためでしょうか。やや控えめながらもバナナやリンゴ、若干の紙っぽさとその奥にメロンや赤い南国系果実も薄く感じます。典型的なアイリッシュウイスキーという印象で、VeryRareという表記の割には個性的な要素があまり感じられないところが、少し肩透かしを食らうようにも感じますね。

なお、値段もそこそこする同シリーズですが、2013年ころまでの過去のリリースボトルが蒸留所でも売られていました。値段は同じだったはずなのですが、レアリティを考慮してか、ちょっとプレミアムが乗せられてしまっていたので、アイリッシュの過去リリースもスコッチと同様にどんどん高騰していくのでしょうか……。手に入れるなら今のうちかもしれません。

アイリッシュ シングルモルト 24年 1991 TWA

DSC02049.jpg

Irish Single Malt Whiskey 24yo 1991 (The Whisky Agency “The Perfect Dram” , Bourbon Barrel, 49.5%)

香りは完熟のパパイヤ、パッションフルーツ、ただれた柑橘系、青リンゴ、奥に煮出した穀物のニュアンス。

味わいは穏やかな立ち上がりで、やや青いパパイヤや青リンゴなどのフルーツ感、少しグラッシーなニュアンスがあり、ミドルからパッションフルーツ、ドライマンゴー、じんわりと広がる薄めの紅茶、少し青い感触が残るフィニッシュ。

【Very Good】

TWAのパーフェクト・ドラムからアイリッシュ・シングルモルトです。中身はどこの蒸留所なのでしょうね。詳細は不明ですが、アイリッシュ・シングルモルトに求めるトロピカルフルーツ感がしっかりとあり、やや作為的に感じつつも、やはり素直に美味しいと思えるボトルでした。

TWAのアイリッシュというと、ミュシャの絵柄のボトルは日本でもかなりの人気で瞬殺となりましたが、このボトルは海外で同様に瞬殺だったようです。日本にはほとんど入ってきていないようで、見たことがありませんでした。

アイリッシュ・ウイスキーのこのトロピカル感がどこから来るものなのか、マッシュかそれとも酵母の違いなのか、いろいろと謎は多いですが、多くが1988~1991のヴィンテージに集中していることも気になります。それ以降のヴィンテージでも同様のフレーバーが出てくるものなのか、もっと短熟or長熟の場合はどうなのか、などなど、興味は尽きません。

ピーテッド アイリッシュ シングルモルト 1991 ウイスキードリス

名称未設定 2

peated Irish Single Malt 1991 (Whisky-Doris “The Nose Art Collection, Bourbon Barrel Cask#8231, 48,1%)

香りはややケミカルさを伴うトロピカルフルーツ、マンゴー、パッションフルーツ多め、やや青草のニュアンス、ムスク、奥にピート感。

味わいは香り同様のトロピカルフルーツ、酸味が少し優位、ミドルからじっとりと湿ったピート感が下支え、べっこう飴、ねっとりと濃密なテクスチャ、ややハッカのニュアンスあり、フィニッシュもフルーツとピートが長く続く。

【Very Good】

ウイスキードリスからリリースされたアイリッシュで、ここ最近いくつかリリースがあったピートを効かせたタイプです。先日の秩父ウイスキー祭りで友人のT氏が持参して下さいました。いつもありがとうございます。

アイリッシュらしいトロピカルフルーツ感はしっかりとのっていますが、程よく効いたピートとはどこか少し馴染まない印象もあり、相殺されてしまっている部分があるように感じられました。とはいえ、しっかりとしたフルーツ感は素晴らしく、やはり美味しいアイリッシュであることは間違いありません。面白かったのは味わいにべっこう飴やハッカのような、どちらかというと和菓子のようなニュアンスが出ていたことです。ほんのりと出汁のような旨味を感じさせる気配があり、不思議なものだなあと感じました。

さて、ここ数年ですっかりアイリッシュ=トロピカルフルーツという図式が出来上がったように思えます。勿論そうでないものもあると思いますが、質のいいアイリッシュは南国フレーバーがあり人気が高い。そこでふと思ったのが、その走りとなったボトルはどれだったのだろうか、ということです。自分の場合は The Whisky Agency のアイリッシュで初めて知ったのですが、当のページにも「最近幾つかのボトルで高評価」と書いてあり、その前にもトロピカル前回のアイリッシュがあったように思われます。

将来的に、アイリッシュの伝説的なボトル~などで紹介されることがあった場合、どのボトルが先駆けになったのかが誤って伝わらないと良いのですが。なんて遠い先のことを考えても仕方ないですけどね。もしどなたかご存知だったら教えて頂けると幸いです。