Strathisla 1953-2010 (G&M, Distillery Label, 43%)
香りはカラメル、高貴さは無いが往年のシェリー感、ダークチョコ、プルーン、アーシー、ニガヨモキなどのハーブ、タバコの葉、少しタール感がありオイリーなニュアンス。
味わいは柔らかいタッチで、カラメルの甘さ、カカオチョコレート、種有りのプルーン、ミドルから少し粒状感があり、砂糖なしのココア、土気やミネラル感、タール、燻した肉にブーケガルニが添えられているよう、とても複雑なフィニッシュ。
【Very Good】
GMの蒸留所ラベルのストラスアイラは様々なヴィンテージのものがリリースされていますが、1953年蒸留の2010年ボトリングということで、50年オーバーの熟成ということになります。当然自分よりも先に生まれているわけで、そう考えると本当にめまいがしてしまいそうでした。
度数的にも実際の飲み口もかなり軽めではあるのですが、内容は重々しく複雑。全体的にシェリー感が支配的、と思いきやその中でも様々な要素が複雑に絡み合い、とてもすべてを拾うことができませんでした。やや野暮ったさも含まれているところがマッカランとは別の方向性で、複雑さはマッカラン以上でした。本当に凄いモルトです。
G&Mのこのシリーズは、同一ヴィンテージの複数樽ヴァッティングなのでしょうか。シングルカスクであればそのように明記しそうですし。いずれにしても、これまでのリリースから考えて同系統のシェリーカスクがかなりの数、G&Mには存在していたことになります。そして、これらのストラスアイラは2005年頃~2012年頃に結構な数がボトリングされリリースされていたように記憶しています。
そこで気になるのが、これらを払い出した後の空樽はどうなったのか、ということです。流石にかなりの長期間熟成に使われてきたこともあって、そのままリフィルで使うことが難しいものもあったかもしれませんが、きっと他の原酒に使われたものもあると思うのです。
そうなると、20年後くらいには良質なシェリーカスクのリフィルがリリースされるかもしれませんね。樽のポテンシャルがどの程度残っているのか、親が良くてもその子供が良いとは必ずしも言えませんが、将来にちょっと期待してみても良いんじゃないかな、なんて思うわけです。
近年のシェリーカスクのマネジメントも凄い進歩ですが、往年のシェリーカスクの再利用もありえるのでは、ということで将来のモルトに期待してみたいと思います。