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サントリー プレステージ25年 ブレンデッド・ウイスキー

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Suntory PRESTIGE 25yo (Suntory Blendend Whisky, 43%, 750ml)

香りは、チョコレート、プルーン、アンティーク家具、強めの樽感と削りたての樹木、白檀のような高貴さも感じられる、微かにスモモのような酸味、ワックスやなめし側のようなニュアンスを奥に感じる。

味わいは少し強めのアタックだが、すぐにまったりとしたローストナッツのオイリーさ、熟成感を伴う深い味わい、カカオ、プルーン、少しバター、ミドルは樽感が強くピリピリとブラックペッパーの刺激、フィニッシュにかけてはまたオイリーさがあり、ほんのりとシトラス系フレーバーも合わさる。重層的でやや高貴さも感じるリッチなブレンデッドウイスキー。

【Very Good】

サントリーが1989年に創業90周年としてリリースしたブレンデッドウイスキーです。

素性については検索していただくといろいろと情報が手に入りますが、使われている原酒は1960年代の山崎に、グレーンは本当にこれどこから持ってきたのでしょうね。輸入したものでしょうか。またモルトの一部もこうした輸入原酒を使用している可能性もあり、良質なシェリーカスク原酒はもしやあの蒸溜所が……? なんて謎も楽しめます。

近年ものとは異なる昔のシェリーカスクの香りが閉じ込められていて、グラスに注いだ瞬間に部屋中に香りが広がっていきます。飲む前から期待が高まる。カガミクリスタル製の特別ボトルも高級さを感じさせます。というかとてつもなく重い。ボトル底部のガラスの厚みを見れば当然ではありますが……。

味もシェリーカスク主体で、熟成感を感じるまろやかさが広がりますが、樽の影響がかなり強めに出ている原酒があるようでやや強めの刺激も。そして、このあたりはブレンデッドらしさなのか、少しボディが弱く中間の膨らみはもう一歩欲しいような、そんな印象を残します。ちょっと欲張りすぎますが。

どちらかというと香り優先ですね。友人曰く「サントリーのAge UnKnownに通じる」と評していた香りは本当に素晴らしいです。

ともすると(近年系とは異なるとはいえ)どっかんシェリーになりがちなところですが、加水とブレンドによってほどほどのバランスにまとめあげられているように感じます。これがカスクストレングスだったら、かなりピーキーな味わいで日本人一般にはあまり受け入れられなかったのではないかと。海外には受けそうではありますが。サントリー響にも通じる、繊細さを保ったブレンド技術の為せる技を感じます。

今回のボトルは、ちょっとした記念に良いものを開けようと取り出しました。最初は硬かったのですが開封後2ヶ月ほど経ってそこそこ開いてきたようです。これから暑くなる季節にはちょっと向きませんが、冬になる頃にはしっかりと開いてきて美味しく感じられるのではないかな、と期待しています。

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スプリングバンク10年 オフィシャル 2017年新ラベル

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Springbank 10yo (OB, +/- 2018, 46%)

香りは透明感のあるハチミツ、マスカット、薄めのオレンジ、ユーカリ、奥に石灰とピート、微かにシロップ漬けの桃、みたらし醤油のニュアンス。

味わいは軽やか、バタースコッチ、ややクリーミィ、バニラ、ミドルからホワイトペッパー、ミントのようなハーブ感、軽い感じのピート、ミネラル感と柑橘に加えて微かな桃を感じるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

2017年にラベルチェンジしたスプリングバンク。ラインナップは10,12,15,18年と従来と変わらなかったものの、ラベルがポップというか少々前から流行りのフラットデザインを取り入れたようなものに代わりました。「あんまり好きじゃない」「ダサい……」等のコメントがちらほら見受けられましたが、というか自分の所感ですが、まあそれはそれとして。実はその新ラベル10年がとても良い出来であるという話も良く聞こえてきていました。先日、友人と一緒に飲む機会があり、噂通り美味しかったところに近場で見つけたので1本買ってきてみました。

前振りが長くなりましたが、香味は若さもあるもののピート感しっかりで複雑性があり、フルーツのニュアンスも良く出ていて総じてバランスが良いまとまりに仕上がっています。46%という加水がちょうど良く作用しているのか、飲みやすさと飲みごたえが両立しているのも地味に良い。10年という熟成年数からはちょっと信じられないくらいの複雑さとバランスの良さです。スターター~中締めとしてちょうど良く、コスパの良さからオールマイティに使えるボトルと言えるでしょう。

ひと口飲んだときに感じたのは、キルケラン12年との親和性でした。ちょうど手元にあったため飲み比べてみると、フルーツのニュアンスやピート感、やや石灰っぽいミネラル感なども共通しているように思えます。このあたりは同じスプリングバンク(J&A ミッチェル社)が手がけているためかと思いますが、それにしても設備はまったくの別物なので、ここまで似てくるのも不思議は残ります。ヴァッティングの方向性が似ているのでしょうか。不思議ですね。

リリース当初は噂を聞きつけた愛好家がこぞって買ったためか手に入らない状態になっていましたが、最近はまた流通し始めているようです。一方で、生産量には限界があり日本市場は最近あまり重要視されていないためか輸入の割当量が少なく苦労されているような話もちらほら伺います。今後の傾向は分かりませんが、継続的に輸入されることを願いたいですね。

 

フェッターケアン 33年 1975 ザ・テイスター

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Fettercairn 33yo 1975 (Scotch Malt Sales “The TASTER”, Cask#2314, 58.5%)

香りはローストしたナッツ、バターと麦のブラウンルー、ヌガーやキャラメル、微かにカモミールティー、白い花を思わせるフローラル。

味わいはねっとりとしたオイリーさ、バタースコッチ、マジパン、シロップ漬けの洋ナシとドライアプリコット、ミドルから白胡椒と薄めの紅茶のニュアンス、余韻にかけてハーブティに代わり意外とキレが良くまとまるフィニッシュ。

【Very Good】

スコッチモルト販売のザ・テイスター シリーズからフェッターケアンです。

「フェッターケアンらしさ」ってこれだったよね、と思えるようなオイリーさとほっこりした麦感。ともすれば野暮ったい味わいになりそうですが、そういうわけでもなく洗練された味わい。飲みごたえもちょうど良く、バランスが整っている印象です。

ザ・テイスター はウイスキー業界で著名な方がチョイスしたシリーズ。今年もトミントール1996がリリースされるなど、かなり長期に渡り続いているシリーズですね。このボトルをチョイスしたカーステン・エールリヒ氏はウイスキーフェアの主催者ということで、流石の選定眼。良い原酒を引っ張ってこれるコネクションが、こうして日本向けに良いボトルをリリースして頂ける原動力になるわけで、モルト飲みとしては嬉しい限りです。

ザ・テイスター シリーズはシンプルさと独特のロゴがスタイリッシュなラベルが好みです。シリーズとして揃って並んでいたらさぞかし壮観でしょうね。味わいも素晴らしかったので、やはり買っていなかったことを後悔するのでした……。

タリスカー 15年 1978-1993 ケイデンヘッド

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Talisker 15yo 1978-1993 (Cadenhead “Acthentic Collection” 56.4%)

香りはやや荒さを感じるオールドシェリー、プルーン、ドライフィグ、やや強めのシナモン、コリアンダー、微かに醤油のニュアンス。

味わいはやや粗野な口当たりの濃厚なオールドシェリー、少し硫黄感、シナモンケーキ、強めに煮出した紅茶、鼻抜けにプルーンなどの様々なフルーツ感が通り過ぎ、やや収斂味を伴いながらピートとスパイスが締めくくるフィニッシュ。

【Very Good】

90年代にケイデンヘッドがリリースしていたオーセンティックコレクション、通称グリーンケイデンのタリスカー15年です。同シリーズはプレーンな樽感と中熟程度の熟成から、クリアな麦感が主体のものが多い印象でしたが、このボトルは濃厚なシェリーカスクでした。

やや強めかつ荒々しさを感じる昔のシェリーカスクで、ボトリング約25年という時間を経てもまだまだパワフルさは失われていません。恐らくリリース当初はもっとパワフルな味わいだったものと思われ、かなり飲み疲れするボトルだったのではないでしょうか。

そう考えると、今現在リリースされている濃厚ボトルも、時間が経ったときにどのように変化していくのかは楽しみなところではあります。もっとも、麦感やシェリー樽などの基本要素が異なるため、同じような変化は期待できないですが、もしかしたらとんでもなく化けるボトルがあったりするかもしれません。というような夢を掻き立てられるボトルでした。

 

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ロングモーン 1969 G&M カスクシリーズ

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Longmorn 1969 (G&M “CASK Series” for Japan, 62.9%)

香りはライチやパイナップルなどのとてもナチュラルで作為的でないトロピカルフルーツ感、バニラ、ハチミツ、セージやミントのハーブ感、少しシナモン、微かに青いバナナのニュアンス。

味わいはライチ、マンゴスチン、桃、ミドルから白胡椒の刺激、白ワインの様な爽やかさと青みがかかったニュアンスが奥行きを作る、シナモンやアニスのようなスパイス感を伴うトロピカルフルーツの幸福な余韻。

【Excellent】

有限会社ウイック経由で日本に入ってきたG&Mのロングモーン1969。

その香味は、目まぐるしく飛び込んでくるトロピカルフルーツを中心としたフルーツ感。完熟から青さの残るところまでの多彩さ、それを支える麦のボディ。60%オーバーとは思えないソフトな口当たり。ボディは分厚く、余韻にかけて広がるトロピカル感。アタックからリリースまですべてが素晴らしくまさに至福でした。

ただただ凄いとしか言いようがなくて、テイスティング・ノートの語彙が貧弱になってます。

こちらのボトルを飲んだのは初ですが、曰く状態にかなりばらつきがあるそうで、これは大当たりのボトルということでした。たしかに、往年のロングモーンに求める要素がすべて詰まっておりその上で良いバランスを保っている。モルトってこんな香味も持つのか、と改めて感動しました。

口開けでこの素晴らしさ。ですが、これから開いていくのではなく後は味が落ちていく一方、ということもあるようで、かなりピークが短い模様。このあたりのコンディションの把握も難しいですね。

先日アナウンスがあった通り、G&Mは今年2018年に数あるシリーズを整理して5種類に絞ることになっており、このCASKシリーズは終了してしまいます。かなり長い間続いていたシリーズであり、こういった素晴らしいボトルが多かった同シリーズが終了してしまうのはちょっと残念ですが、まあいたし方ありませんね。今このクラスのボトルをリリースするとなると、恐らくハイエンドの「ジェネレーションズ」に分類されるのでしょう。

割と手軽にこんなボトルを手にすることができた時代があったとは、ちょっと信じられませんね。

 

ブローラ 4thリリース 30年 1975-2005

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Brora 4th 30yo 1975-2005 (OB 4th Release, 56.3%)

香りは過熟気味のネクタリン、マンゴー、パッションフルーツ、チーズ、おしろい粉、湿った洞窟、ややくぐもったオイルのニュアンス。

味わいは香り同様のフルーツ感に熟成したチーズなどの乳製品の旨味とオイリーさ、濃厚なバター、少しハーブ様と樹木のニュアンスが鼻を通り抜ける、じっとりとしたピートとフルーツが長く続くフィニッシュ。

【Excellent, Interesting】

ディアジオのオフィシャルリリースの4thボトル。もう原酒が無い無いと言われながらも、昨年2017年までの16thまで毎年着実にリリースされ、その都度価格も着実に階段を上っていったというブローラ。思えば遠くへ来たものです……。

そんな貴重なブローラの初期リリース、70年代のボトルを飲む機会を頂きました。Tさん、ありがとうございます。

上記のテイスティング・ノートはグラスに注いでから1時間ほど経ったところでのものです。今回のボトルはその場での口開けで、直後はかなり閉じていたものの、15分くらい経つと期待する過熟フルーツが出てきて、30分ほどでそれが全開になってきました。かなり変化が著しく、表情をコロコロと変えていくので驚きでした。

そして、ブローラといえばやはりこの個性的なフルーツ感。独特の腐りかけのような危うさ、でも破綻していない、本当に不思議な魅力が詰まっています。麦なのか樽なのか、はたまた蒸留設備なのか。同時に飲んだ72クライヌリッシュにはこのような個性が見受けられないので、蒸留設備の違いとしか思い浮かばないのですが、それにしてもどういう違いなのか、まったくもって不明です。洗浄していない部分があってその影響、とかなのでしょうか。

呑むにあたっては小さめのコニャックグラスと、リーデル・ソムリエグラスのような大ぶりのグラスで試しましたが、これについては小さめの方が香味の発散具合がちょうどよくマッチしていました。大ぶりの方では少しぼやけてしまっている香味が、小さめのではシャープになって輪郭がはっきりしていて好印象。このあたりの比較もあまりできるものではないので、全てにおいて贅沢な時間でした。きっとこの先も忘れないでしょうね。

クライヌリッシュ 32年 1972-2005 エイコーン

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Clynelish 32yo 1972-2005 (ACORN “Natural Malt Selection”, 53.5%)

香りは優しい麦感、ハチミツとカスタード、アーモンドの香ばしさとオイリーさ、削ったばかりのヒノキのような木材香、オレンジとバナナのフルーツ感。

味わいはしっとりとした口当たりでカスタードやスポンジケーキ、良く熟したオレンジ、バナナチップ、マジパン、クリーミーなオイリーさ、ローストしたナッツと落ち着いたフルーティさが鼻抜けからフィニッシュまで長く続く。

【Very Good】

日本の古参ボトラー、エイコーンがリリースしていたクライヌリッシュ。1972年といえばクライヌリッシュの鉄板ヴィンテージ。ボトリング後の時間経過からか、かなり落ち着いていて優しいニュアンスが全体的に支配しており、53%という度数の割にはするすると飲めてしまう仕上がりになっていました。

しっかりとした麦感とオイリーなニュアンス、そしてフルーツ感が良いバランスで混在していて、奇をてらわない素の美味しさといった感じです。バーボンカスクのお手本のような方向性、それでいてこの複雑さは、90年代のバーボン樽のボトルだとちょっと思いつきません。90年代の30年オーバーはまだまだこれからなので。もしかしたらこのようなボトルにもお目にかかれるかもしれませんが、昨今のリリースを見ているとかなりの高額となってしまい手が出せそうにないような雰囲気があります。

今のうちにバーなど飲める場所で飲んでおいた方が良いかもしれませんね。