カテゴリー別アーカイブ: 【Good】

キルベガン アイリッシュ・ウイスキー

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“Kilbeggan” Irish Blended Whiskey (OB, bottled in 2017, 40%)

香りは熟したリンゴ、パイナップルの缶詰、微かにライチ、ハチミツ、奥から清涼感のあるミントのようなハーブ、濡れた藁と馬小屋のようなニュアンス。

味わいはアタックに乏しくややボケた印象だが、桃やパイナップルサクランボなどのフルーツポンチ、ややケミカルで缶詰のよう、風邪シロップ、少し紙っぽさ、ヨモギのような草と野菜のニュアンスが後を引くフィニッシュ。

【Good】

アイルランド旅行で寄ったキルベガン蒸留所。その名を冠したキルベガンは、原酒はキルベガン蒸留所ではなくクーリー蒸留所で作られているもので、熟成年数としては6年ほどのモルトと4年ほどのグレーンによるブレンデッドだ、とはツアーガイドさんの弁でした。

正直ノンエイジのブレンデッドなんて、と高を括っていたのですが、試飲してみると、あれ? 思ったよりも美味しいぞ? と。このミニボトルをもらったため、蒸留所マジックかどうかを判断するため、家に帰ってきてから再度飲んでみたところ、やはりなかなかに良い味わいです。

ノートの通り、アイリッシュらしさとも言えるフルーツ感が良く出ていて、未熟感もほとんど感じません。香りのトロピカル感はかなり秀逸。味わいも悪くはなく及第点以上です。流石にボディの弱さは否めませんが、飲みやすさでいえばピカイチでしょう。飲み進めていくと浮ついた紙っぽさを感じるようになるため、パッと飲み始めの一杯に、といった飲み方が合うように思います。

ハイボールではフルーツ感と紙っぽさが分離して強調されるため、ちょっとチグハグかな、という気もしますが、なかなかに悪くありません。とにかくじゃぶじゃぶいけちゃうタイプでしょうか。

エントリークラスながら、非常に出来の良いアイリッシュ・ウイスキーです。

リンクウッド 19年 1991-2011 ハートブラザーズ

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Linkwood 19yo 1991-2011 (HART BROTHERS, First Sherry Butt, 55.5%)

香りはイチジク、プルーン、苦そうなカカオ、なめした革、もったりとした麦、全体的にやや控えめ。

味わいはパワフルなアタックからプラム、ドライイチジク、ダークチョコレート、強めのシェリー樽らしい渋み、同時にチョコレート系の甘みもかなりある、少しクレヨンのニュアンス、後半はピリピリとした黒胡椒が口腔を多い、プルーンのニュアンスと合わせて長く続く。

加水するとチョコレートの甘さが引き立ち、一方で後半の胡椒のニュアンスは消え去らない。口に含んだ後の波を愉しめる。

【Good】

ハートブラザーズのリンクウッド、もうこれもかなり前の2011年ボトリングでした。

ファーストフィルシェリーバットということでかなり強めのシェリー樽が効いていて、香り味ともに苦めのニュアンスが出ています。飲んで見ると原酒由来なのかかなり甘さもありますが、近年系シェリーの苦味部分も良く出てきており、パワフルさもあってビシバシやってくれている感じです。

ちょっと飲み疲れするタイプですが、原酒の素性は悪くないんですよね。2ndフィルのシェリーバットだったらちょうど良い塩梅だったんじゃないかなという感じです。一方でブレンド用としては個性的なこのモルトも良いアクセントになりそうです。

リンクウッド蒸留所は昔からブレンデッド用の原酒を製造していたところ。現在もほぼブレンデッド用の原酒工場のような側面もあります。一方でシングルモルトもそれなりの量があり、ボトラーズからのリリースも多いですね。ラガヴーリン蒸留所などではそのほとんどが2ndフィル以降のものしか無いと云われていたりもしますし、そういうのと比べれば様々な種類の樽が出てくるあたり、結構いろいろと試しているのかもしれませんね。

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オールドプルトニー FLOTILLA ヴィンテージ

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Old Pulteney FLOTILLA 2005 (OB, 2015 Release, Ex-Bourbon Casks, 46%)

香りは塩気の強いパン、水仙のような花の香り、オレンジ、火薬のニュアンス、フレッシュなオリーブオイルの青さ、粘土のようなアーシーさ。

味わいはやや若くモルティ、強い塩気とハチミツ、ミドルから強めの草、畳、口腔を覆うようにオリーブオイル、ナッツ、フィニッシュにかけてポン菓子や煎餅、穀物系の甘さが残るフィニッシュ。

【Good】

プルトニーのオフィシャルボトル、NAS表記でリリースされている FLOTILLA シリーズの2005年ヴィンテージです。サンプルとしてYさんに頂きました、ありがとうございます。

味わいはやや単調で、それなりに若さも残しつつモルティでややオイリー、そしてブリニーさが目立ちます。ある意味プルトニーらしさがよく出ていますが、もうひとつ味に奥行きがほしいところですね。このあたりはプルトニーのNAS表記のものは概ね同じような印象があります。一方で、前に飲んでいた免税店向けのWKシリーズなどはハイボールにするとサッパリとした良い味わいでしたので、このボトルもハイボール向けには結構期待できるのではないかと思います。

FLOTILLA シリーズはフランス市場向けで、これまでに2000年、2004年、そして今回の2005年の3種類がリリースされています。この2005年ヴィンテージはWhisky Live Paris用にメゾン・デュ・ウイスキーとコラボ・リリースされたもの。FLOTILLA とは小型帆船のことで、プルトニーが掲げている “Maritime Malt (海のモルト)”のキャッチコピーに相応しく、また同蒸留所がサポートしているボートレースなどとも関連しています。

 

以前のNAS表記のリリースでは WK シリーズというものもありました。WK209WK499など、こちらも実在した帆船をモチーフとしたシリーズで、4種類ほどリリースされていました。

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プルトニー蒸留所のビジターセンター内にある WK499 “Isabella Fortuna” の模型

ニュースリリースなどを見ているとプルトニーは良くボートレースの話題を取り上げており、並々ならぬ熱意を感じます。自分はそのあたりは余り詳しくないのですが、かつてはニシン漁で栄えたWickの町、そこに根付いたプルトニー蒸留所の、いわばアイデンティティなのでしょう。ビジターセンター内も、帆船に関するモチーフや小道具などがそこかしこに置かれており、他の蒸留所とはひと味違った雰囲気を感じられる造りになっています。

北の海の誇りを感じながら、今夜はプルトニーを一杯、いかがでしょう。

グレンタレット 18年 1994-2012 OMC

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GlenTurret 18yo 1994-2012 (Douglas Laing OMC, Sherry Cask, 50%)

香りは焼いた木材、紹興酒、レザー、近年系シェリーが支配的、レーズン、軽くビニールゴムのニュアンス、ややワクシーさもある。

味わいはとろっとした口当たりで黄桃とサクランボのフルーツ感、すぐに木材、タンニンの渋味が覆う、ミドルからはピリピリと痛さを伴いながらターメリックのスパイス感、セージなどのハーブのニュアンス、フィニッシュはプラムやレーズンのフルーツ感が残り不思議と悪くない。

【Good】

OMCのグレンタレット、少し前の2012年リリースのボトルです。

かなり支配的な近年系シェリー樽が特徴的で、香りはほとんどその要素にマスクされてしまっています。木材とゴムのニュアンスもありちょっと身構えてしまいましたが、飲んでみると結構フルーツ感が乗っていて、特にアタックとフィニッシュに顕著でした。ミドルのスパイシー、ハーバルなニュアンスもなかなか面白いものです。香りで損してしまっているタイプかな、という印象でした。

グレンタレットらしさはほとんど感じられませんでしたが、粘性のある口当たりがもしかしたらその片鱗だったのかもしれません。もうちょっとオイリーでミルキーなニュアンスがあればタレットらしいとも思ったのですが、そんなのお構いなしの樽感でした。

そういえばウイスキーを飲み始めた頃は、シェリー樽のモルトというのはとかく甘くなるイメージがありました。当時飲んでいたシェリーカスクというとマッカランの12年やグランレゼルバ、アベラワー105あたりだったと思うのですが、今考えるとそこまで甘口というわけでもなかった気がします。恐らく味覚や嗜好が変わってきたことや、いろいろなモルトを飲んでもっと甘口なものを経験したりしたためではないかと思います。このモルトも、最初の頃に飲んだらもっと違う印象になっていたかもしれませんね。

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スキャパ12年 オフィシャルボトル 2000年頃リリース

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Scapa 12 years old (OB, +/- 2000 bottling, 40%)

香りは豊かな麦芽の甘み、ハニートースト、爽やかなレモンスカッシュ、木の皮、少し草の根っこのニュアンス、ややオイリーさもあり、獣脂のような野性的なニュアンスも、

味わいは軽めのハチミツ、植物感に続けてイチゴのニュアンス、木の渋み、若干のコルク感、ミドルから薄めた練乳をかけた洋梨とイチゴのニュアンスがあり、甘さにやや木のエグみも残るフィニッシュ。

【Good】

2000年頃に流通していたスキャパのオフィシャル12年。2015年までスタンダードだった16年の前にあったボトルです。水彩画のようなラベルが美しいボトルですね。

香りはとりわけ強いというわけではありませんが、ハニートーストに爽やかな柑橘系の風味が良く、オフィシャルの安心できる香り、とでもいいましょうか、落ち着いた品の良さがあります。味わいの甘さに絡んでくる植物感やイチゴのようなニュアンス、これは往年の味わいでシグナトリーダンピーあたりのボトルや昔のスプリングバンクなどに共通するニュアンスに思えました。最近のボトルには感じられない不思議な感触で、どちらかというと経年変化によるもののようにも思えます。このニュアンスに多彩なフルーツ感が乗ってくると、まさに昔のスプリングバンクに近くなるような……。

スキャパというと1994年に操業を一旦停止するわけですが、こちらのボトルはその前の蒸留ということになります。終売となったオフィシャル16年も実は1994年以前の原酒が混じっていたのではという推測もありますが、16年とこちらの12年のボトルには共通点もありつつも結構な差もあります。コンディションの差か、あるいは80年代と90年代で作りが少しずつ変化していっているか、操業できた期間も生産量は結構絞られていたでしょうし、作りにムラがあったかもしれませんね。

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こちらもボトル交換でいただきました。pさん、貴重なサンプルをありがとうございます。

スキャパ スキレン SK03

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Scapa Skiren SK03 (OB, 2016, 40%)

香りはサワークリーム、レモンクリーム、ヨーグルト、少し木の削りかす、微かにレザーと溶剤のニュアンス。

味わいは薄めのマーマレード、レモンウォーター、コクの薄い麦の味、微かにトニックのような苦味、ミドルからやや渋み、もっさりとしたリンゴ、軽めの渋みが後を引くフィニッシュ。

【Good】

昨年2015年からリリースされている、スキャパのNASボトル、スキレンです。このボトルはSK03と恐らくバッチナンバーと思われる名前が付いていて、現在はSK04まで出ているようです。半年に1回以上のペースですが、1回あたりのリリースがどの程度かは分かりませんでした。

スタンダードだった16年が終売となり、このようなNASに移行したのは勿論原酒不足によるものでしょう。スキャパ蒸留所は1994年から2004年頃まで操業停止していた(少しは稼働していた時期もあったようですが)ため、16年ものと銘打つことができなくなったことが大きいと考えられます。世間的にNASがポピュラーになってきたのもあって、特に違和感があったわけではありませんが、やはり16年が終売となるのは寂しいものです。

 

さて肝心の中身は。全体的に薄いというか淡い味わいで、香り味ともに若いニュアンスが全体を支配していますが、総じてまとまりは良く全体のバランスは取れていると感じました。ミドルからの苦味や渋みのニュアンスが味を深めていて、単に甘さ一辺倒ではないところもバランスに寄与していると感じます。

樽は1st-Fillのバーボン樽を使用しているようで、そこに若いニュアンスが合わさっての酸味、甘み、そしてオークニーらしさも感じられるピート由来の苦味が少しと、様々な要素が混ざっていて、色々なニュアンスを拾うテイスティングが愉しめます。NAS表記になって全体的に若さが強調されてはいるものの、こういう方向でまとめてくれるのであれば、これもまた「あり」だと思います。

決して華やかさがあるボトルではありませんが、肩肘張らずにゆったりと、1杯目として楽しむには良いのではないでしょうか。

 

ところでこのボトル、上下のラベルの位置が全然違うのですが、これが普通なんでしょうか……。意図的にずらしているのだとしても、意図がよく分かりませんでした。うーん。

 

スチュワーツ クリームオブザバーレイ

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Stewarts Cream of the Barley (1Litre, 75°Proof 43°G.L.)

香りはオールドシェリー、カラメル、生クリーム、シナモン、ポリッシュの家具。

味わいは香り同様にオールドシェリーの甘さ、薄めた紅茶、ミドルから意外なスパイス感、ピリリとしたホワイトペッパー、フィニッシュにかけてはみたらしダンゴのようにやや塩気と醤油気を伴う甘さ。

【Good】

初めて出会うブレンデッド・ウイスキーです。スチュワーツ クリームオブザバーレイ。

Dundee の Stewart & Son 社によるブレンデッド・ウイスキーで、ブランドとしては1831年頃から続くスコッチの老舗のひとつ。

キーモルトはグレンカダムらしいということで、確かにカダムらしさともいうべきクリーミーなニュアンスがふんだんに感じられるブレンデッドです。現行品もあるようで、アイルランドなどで人気がある模様です。

ボトルは リッターボトル、Proof 表記で概ね1970年中頃のものと思われます。年数表記がありませんが、若さはほとんど感じられませんし、どちらかというと結構長熟の原酒も使われているのではないかというまとまり具合。オールドシェリーの良いニュアンスが感じられ、低い度数と瓶熟のおかげで1杯めからだらだらと飲むにはうってつけです。

夏のこの時期には少々つらいシェリー系な印象でしたが、秋から冬にかけて、少し寒くなってきたところでこのシェリー系はとてもマッチしてくれそうです。

こちらは持ち寄り会での、主催くりりんさんのボトルその1。
いつも珍しいボトルを発掘されるその姿勢、素晴らしいです。