カテゴリー別アーカイブ: 【Good/Very Good】

バルヴェニー “ピートウィーク” 14年 2002ヴィンテージ

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Balvenie “Peat Week” 14yo 2002 Vintage (OB, American Oak Casks, 48.3%)

香りはハチミツ、酸味のあるベリー、スモモ、ショウガ、軽くベーコンのような燻製香、ややスモーキー、枯れ草のニュアンス。

味わいはとろりとした麦の甘み、薬用トローチ、ジンジャーハニー、ミドルからややオイリーで塩気を伴うベーコン、塩バター、枯れ草の灰、余韻にかけてしっとりとピーティさ、ホワイトペッパーとジンジャーを伴うフィニッシュ。

【Good/Very Good】

バルヴェニー蒸留所は伝統的な製法が特徴的で、現在もフロアモルティングを続けている数少ない蒸留所。2002年から1年に1週間だけヘビーピートを焚く期間があり、それを Peat Week としているそうです。ボトルの外箱には、各年のピート週間がいつだったのかを表す記載があります。今回のボトルは2002年に始めた Peat Week の初のリリースとなります。

香味は麦感主体で、ややクラシカルな雰囲気。フルーツ感は全体的に控えめながら奥に潜んでいるような、どこか奥ゆかしさを感じます。30ppmというヘビーピートという割にはピーティさはあまり強くなく、アイラ系の島モノのピートとも少し異なり、よく燻したベーコンのようなニュアンスも少し感じたのが面白いところでした。

という香味の感想を持ちながらリリース情報などを探してみたところ、どうやら使用しているピートがフェノール値の低いものらしく、アーシーさ、スモーキーさが強調されるとともに、島モノのような塩気や薬品様が抑えられているとのこと。なるほど納得です。ひと口にピートといってもいろいろな種類があることがよくわかりました。

 

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バルヴェニー蒸留所のフロアモルティング場。柱にはOpticの文字があり、大麦はオプティック種が使用されているようだった。

 

圧倒的なフルーツ感も高貴さも備わってはいないものの、かなり複雑で飲むたびに新しい発見があります。加水と思われる度数もちょうど良いバランスで、飲みごたえを保ちつつハードパンチャーにならないように気をつけているような印象を受けました。

暫くは毎年リリースがあるのでしょうか? 来年も楽しみですね。

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キルケラン 12年 グレンガイル蒸留所

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諸事情でボトルが割れてしまったため、代用ボトルです……。

Kilkerran 12yo (OB, Glengyle Distillery, 2016, 46%)

香りはレモン、酸味が強めの柑橘、やや薄めの麦芽ジュース、ほんのりとヨーグルトやバター、ミネラル感、奥にひっそりとアーシーなニュアンス、ピート感だろうか、ボディ薄めで線が細いイメージ。

味わいは優しいタッチでふやかしたシリアルに少しハチミツ、洋ナシ、微かに桃のニュアンス、全体的に薄め、奥からじんわりとミネラル感とピートなのだろうか、じっとりとした苦味も感じる複雑さがあるフィニッシュ。

ロックではミネラル感、しっとりとしたピートが良く立ち上がる。レモンウォーターのような清涼飲料水のようなほろ甘さも。
結構良い変化。

【Good/Very Good】

昨年2016年にようやく Work in Progress ではないオフィシャルラインナップとしてリリースされました、グレンガイル蒸留所のキルケラン12年。スコッチ好きの方であればもはや説明不要かと思います。だいぶ今更感が漂っていますが、先日近場でボトルを見つけて何となく気づいたら買っていました。いやまあ、安かったですしね。

まだ若いニュアンスは残っているものの、刺々しさは特にありませんし、フルーツや麦の甘さとミネラルやピートのほろ苦さが良いバランスをとっていて、ゆるゆる飲むにはかなり適したボトルです。フルーツ感は控えめで、なんというか、日本の果物ではなくヨーロッパの(あまり甘くもなくちょっと味気ない)果物という感じ。個人的にはロックにしたときのエッジが立ってくるほろ苦さに好印象を受けました。

 

現地リリース直後の2016年5月にスプリングバンクとグレンガイルに寄っていたこともあって、蒸留所スタッフのちょっとした熱気がこもった説明や雰囲気を良く憶えています。スタッフにとって、このキルケラン12年はようやくこぎつけたリリースだったようで、苦労がたえなかったそうですがそれが報われた、ということでした。

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キルケラン蒸留所の Work in Progress シリーズが誇らしげに肩を並べていた

 

現地でも、そして日本に帰ってきてからも仲間内で飲んだりしていて、ただし自分はそこまで好みではないかな、という印象だったので特に食指が動かなかったのですが、改めて飲んでみると決して派手ではないですがしっかりした味わいで、やや古典的なスコッチの王道を行くような味。ロックもハイボールもこなせるオールラウンダーとして重宝しています。これは今後も楽しみですね。

一方で、継続してのリリースが無いのか輸入元が手配できていないのか、どこも売り切れ状態なのが気にかかります。次のリリース、15年熟成あたりを狙っているのでしょうか。あまり大きな生産量ではないようなので継続リリースが難しいのかもしれませんが、気長に待ちたいと思います。

 

メーカーズマーク プライベートセレクト 萌木の村 ポールラッシュ生誕120周年記念

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Maker’s Mark Private Select (OB, “Paul Rusch’s 120th Birthday”, 55.5%)

香りは典型的なバーボンらしさ、メロン、糖蜜、酸味のあるリンゴ、清涼感のある樹木の香り、焦がしたトーストにハチミツがけ、メンソール様の爽やかさ。

味わいはとろりと甘い、青リンゴ、杉のようなやや刺激的な樹木感、徐々にピリピリとブラックペッパー、少しミント系のハーブ感、鼻抜けに焦げた木材、カラメル、青いハーブ感とブラックペッパーが続くフィニッシュ

【Good/Very Good】

清里は萌木の里のオリジナルボトル。同地の発展に貢献したポール・ラッシュ氏の生誕120周年を記念したボトルです。こちらはくりりんさんとバーボンを小瓶で交換する機会があり、その折に頂いたものです。くりりんさん、ありがとうございます。

詳細についてはくりりんさんの記事がとても詳しいため、そちらをご参照下さい。

香り味ともに典型的なバーボン、といっても差し支えないと思いますが、総じて高いレベルのバーボンです。アタックはさすがにハイプルーフらしく強めではあるものの、ややトロっとした口当たりがそれを緩和し、ボディも軽めでさらっと流れてくれます。度数からマッチョなラガーマンをイメージしましたが、なるほど、そこは牧師様の記念ボトル、温和で整ったところを感じさせてくれます。

リンゴ感や独特の胡椒のようなピリピリとしたところが際立っている感じ。このバーボンは単体でストレートでも良いですが、肉料理なんかとも相性が良さそうです。そういえば以前、フォアローゼスの試飲会では果実のリンゴと合わせて飲むととても良くマッチしたのを思い出しました。おそらくは新樽によるバーボン独特の香味が、リンゴなどと相性が良いのかな、などと考えています。

カリラ 18年 1997-2016 ウイスキーファインド 山海經シリーズ “精衛填海”

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Caol Ila 18yo 1997-2016 (WhiskyFind, “山海經/精衛填海”, Sherry Butt Cask#2, 40%)

香りは白い海岸を思わせる塩とヨード、爽やかなヨーグルト感、バニラ、レモンの皮、ビターオレンジ、とてもバランスが良い。

味わいは柔らかめのタッチで、塩たらこ、素朴な麦感、控えめなオレンジなどの柑橘系フルーツ、ミドルからミネラル感、再び塩気とバターが現れ、ピート感と合わさっていくフィニッシュ。

【Good/Very Good】

台湾の新興ボトラーズ、ウイスキーファインドが詰めたカリラ18年。

90年代後半のカリラ、というかいつの時代でもカリラは安定した品質を提供してくれますが、こちらもとても良いカリラでしたあ。派手さはなく、落ち着いているけれどもアイラモルトの良いところを凝縮したような味わいで、バランスも良く飲みやすいボトルでした。

加水ではない度数落ちの40%ということなのですが、さすがに18年でそこまで落ちるのかはちょっと不思議な気もしますが……。ちなみにシェリーバットなのですが、あまりシェリー樽のニュアンスが取れませんでした。この日はマッカランやストラスアイラなど良質のシェリーカスクものが多かったためか、軽めのシェリーのニュアンスが拾えなかったようにも思えます。

ダルユーイン 1980-1999 マキロップチョイス

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Dailuaine 1980-1999 (Mackillop’s Choice, Cask#1236, 55.2%)

香りはメロン、青い草、バニラ、プレーンなオーク樽、少しメンソールのニュアンス。

味わいはややパワフルなアタックで、バニラアイスのような甘さと柑橘類や梅のような酸味、少しオイリーな乳製品、素朴なオートビスケット、ホワイトペッパーが刺激的に残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ダルユーインはどういったところがハウススタイルなのか、今ひとつ明確に理解できていないところ。香りにメロンや青い瓜的なニュアンスが特徴的ですが、一方で味にはあまりメロンっぽさは無く、プレーンなバーボン樽の良い部分が出てきている印象でした。20年弱という長熟ではない熟成が樽感の強さを回避しているのでしょう。

80年頃のモルトとなると近年では30年オーバーになるわけで、どうしても過熟による樽の強さにつながってしまいがちです。そう考えると、中熟の飲み頃のモルトは過去のリリースでないと味わえないわけで、こういったボトルで往年の味わいを勉強するのも難しくなってきてしまいました。貴重な経験をありがとうございます。

ところで、マキロップチョイスというとどうしても思い出してしまうのが、某酒屋で投げ売りされてしまっていた時期があったこと。確かにその頃は他にもっともっと素晴らしいモルトがひしめき合っていたため、マキロップチョイスはそこまで注目されることがあまり無かったように思います。結果的にその投げ売りの印象から「安かろう悪かろう」のイメージが付いてしまったように思います。しかし、このボトルは良い香味で素晴らしいものでした。飲まないで印象だけで語ってはいけませんね。

 

グレンモーレンジ 10年 1981-1991 ネイティブロスシャー

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GlenMorangie 10yo 1981.02.05-1991.04.17 (OB, The Native ROSS-SHIRE, Cask#978, 59.6%)

香りはツンとくるアルコールの刺激、レモン、カスタードやバターの風味がケーキのよう、奥に紫蘇のニュアンス。

味わいはプラムジャム、薄めた塩バター、乾いたオーク感がしっかり、ミドルからレモンバームとカスタードクリーム、ピリピリとホワイトペッパーの刺激、やや軽めのタッチで柑橘系とオーク香が続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

グレンモーレンジのネイティブ・ロスシャー10年。オフィシャルのシングルカスクでカスクストレングスというのは、当時としては相当な意欲作だったことでしょう。時期的には魔の80年代を過ごし、90年代で少し上向き始めるかどうか、といったところ。もしかしたら、売り手側も「何か変わらないといけない」と思ったのかもしれません。

このあたりは1991年に詰められた余市のシングルカスクと似たような経緯があるように思えます。

ボトリング後25年を経てなお荒々しくパワフルなところがあり、当時はもっと強く個性的だったのかもしれません。一方で少しボディにかけて軽めなのは、経年によるものか短熟によるものか、どちらかだけでなくそれぞれのミックスと言う感じ。紫蘇やレモンバームのような独特のニュアンスがありつつも、飲んだ瞬間に「あ、モーレンジらしい」と思わされたところに、近年のモーレンジとも共通するハウススタイルがあるのだなと気付かされました。

そういえば1981年ということでマイヴィンテージでした。最近はめっきり見かけなくなってしまった年代ですが、こうしてまたひとつ味わえたことに感謝です。Kさん、ありがとうございました。

 

グレングラント 1952 G&M蒸留所ラベル

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GlenGrant 1952 Distilled (G&M, Distillery Label, 75cl, 40%)

香りはプラム、レーズン、黒糖、高貴さもあるオールドシェリー香、やや工場のような、セメダインのニュアンス。

味わいは緩くライトなタッチ、プラム、ザラメ、ポン菓子の甘さ、軽く柿渋、紅茶、ローストしたカシューナッツのオイリーさ、フィニッシュは緩やかに紅茶のニュアンスが消えていく。

【Good/Very Good】

G&M社の蒸留所ラベルのグレングラント、1952年蒸留ですが年数表記はありません。60年代さえ枯渇していまった現在においては、50年代前半というのはなんとも恐ろしいスペックのモルト……。

香りは良質なオールドシェリー感がふんだんに漂っており、スワリングするごとにこの香りに包まれるのは喜びであります。一方で、味わいはかなり緩めで良く言えばゆるゆるとどこまでも飲めそうな、悪く言えばパンチに欠けて印象が薄い、という感想。個人的にはこのくらいのゆるさは歓迎で、特に1,2杯目にこちらでスタートできたなら素晴らしいでしょうね。

G&Mによるグラントの蒸留所ラベルはこれ以外にも様々なヴィンテージや熟成年数表記のものがリリースされているので、正直どれが良いものなのかがパッと見で判断がつきにくい印象があります。一部のものはかなり濃いシェリーカスクのものもあったり、一方で5年表記などでも昔のものはかなり凄い味わいのものがあったりと幅が広いことも。ある意味、どれもが個性的でそれぞれのキャラクターがあるということなので、グラントにハマる人はきっと幅広く揃えていたりするのでしょうね。

 

最近では2016年にオフィシャルボトルがラベルチェンジを行い、描かれていた二人のオジサンが姿を消してしまうという寂しさもありました。逆に味わいは洗練されて良くなったようですが、あの2人のハイランダーのラベルは「古臭い」ものと感じられてしまったのでしょうかね。

 

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ちなみに、ラベルのおじさん二人は誰かと言うと、1840年にグレングラント蒸留所を創業させたジェームズとジョンのグラント兄弟です。元々は他の蒸留所と同様に密造から始まったようですが、正式に免許を受けて稼働するように。ロセス地区のなかでもひときわ大きい蒸留所となったということでした。

大変貴重なボトルを経験させて頂きました。ありがとうございました!