カテゴリー別アーカイブ: 【Good/Very Good】

ティーリング 9年 2007-2017 蒸留所限定 ハンドボトル

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Teeling 9yo 2007-2017 (OB, Hand bottling, Port Butt, Cask#11650, 59.2%)

香りは黒蜜、赤ブドウ、レーズン、焦がしたカラメル、綿菓子、少し清涼感のあるハーブと切った木材。

味わいはブドウ、濃いカラメル、ビターチョコレート、ハイプルーフらしくピリピリとスパイシー、タンニンの収斂味、フィニッシュはブドウ、焦げた木や炭のニュアンスが残る。

加水するとブドウ感が強まるが、味に焦げたニュアンスが強まり好みが別れる所。ざらざらした粒状感も特徴的。ほんの少しパイナップルやライチのニュアンスが顔をのぞかせる。

【Good/Very Good】

ティーリング蒸留所のハンドボトル、樽出し原酒を直接詰めたもの。今年4月のアイルランド旅行でティーリング蒸留所を訪問した際に購入してきたボトルです。

 

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ざっくりと言って、近年系シェリーカスクの短熟ウイスキー、という内容です。シェリーカスクではなくポートカスクですが、内容的にはほぼ同様の味の傾向でした。素性は悪くなく、10年にギリギリ満たないものですが未熟感も特に無く、良い熟成を経たものであることが分かります。一方で度数が60%近くもありストレートで飲むにはちょっと辛い内容。加水するのが良いでしょう。

ダブリンで稼働し始めたティーリング蒸留所はクーパレッジも抱えており、バーボン樽、シェリー樽は勿論、ポート、マディラ、ラム、カルヴァドス、ワイン、etc… といったように世界中から様々な種類の樽を仕入れて使っているようです。場所もコストもかかるため小さめの蒸留所では独自のクーパレッジを抱えるというのは難しいと聞きますが、自分たちが納得いくような品質の高い樽を造り続けるためには必要との判断でしょう。

アイルランドではスコットランドに比べてシングルモルトは総じて高額な傾向にありますが、こちらはハンドボトルでも値段が控えめな方ということもあり、それなりに売れ行きは良いようです。無くなったら入れ替わりで概ね10年前後のものが準備されるので、時期によって樽の種類が違いそうです。ダブリンを訪れるウイスキー関連の方は多いので、モルトBarなどではもしかしたらバーテンダーの方が現地で買ってきたボトルがある、なんてことがあるかもしれません。見かけたら是非試して見て下さい。

カリラ 1991 23年 ケイデンヘッド スモールバッチシリーズ

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Caol Ila 23yo 1991-2016 (Cadenhead “Small Batch”, Bourbon Hogshead, 53.3%)

香りはオレンジ、少しパイナップルのニュアンスもある、シリアル、濡れたシダのような植物感、粘土質なアーシーさとヨード。

味わいはややパワフルにオレンジマーマレード、ハチミツがけのシリアル、やや薄めの紅茶、ミドルから落ち着いたピート、ホワイトペッパーのピリピリしたニュアンスがハチミツ感と共に続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ケイデンヘッドのスモールバッチシリーズから、こちらはカリラ23年。

前出の32年と同様に、やはり安定したカリラです。色合いからこちらの方がやや赤みがかっていて、そのためかオレンジなどの柑橘や麦の甘さなどがハッキリとしていて華やかな印象でした。32年で魚介系の出汁の旨味を強めに感じた部分はこちらにはそこまで出ていないなど、どちらもそれぞれの特徴があり、同じカリラでも違いを愉しむことができました。

この他にも黒ケイデンの10年という短熟カリラも同時に頂きました。10年にしては未熟感は無く、一方でヤングアイラらしいパワフルさ、若さとピートの良い相性がバッチリ愉しめる一本でした。

ケイデンヘッドは安定して良い樽をリリースしてきますね。黒ケイデンという呼称もすっかり定着して、ケイデンヘッドの豊富なストックと選別眼の確からしさが伺えます。まだまだ様々なリリースがあることと思いますので(70年代もまだ結構あるそうで)往年の味わいを期待する人も満足できるリリースがあるのではないでしょうか。

良いカリラの垂直テイスティングでした。ありがとうございました!

カリラ 1984 32年 ケイデンヘッド スモールバッチシリーズ

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Caol Ila 32yo 1984-2016 (Cadenhead “Small Batch”, Bourbon Hogshead, 49.5%)

香りは青いリンゴ、青い麦の穂、少し紙のニュアンス、レモン、しっかりとヨード、粘土のニュアンス、コクのある魚介系フレーバー。

味わいは柔らかいアタックで白パン、プーアル茶、ミドルからホワイトペッパー、旨味の強い魚介出汁、ほのかにレモングラス、フィニッシュにかけて茶葉とオレンジオイル、らしい粘土質のピーティさが後をひく。

【Good/Very Good】

ケイデンヘッドのスモールバッチシリーズから、カリラ32年。

カリラらしい安定したアイラ・モルトです。強すぎずしっかりと効いたピートに、魚介系の出汁とレモングラスのニュアンスがあいまって、ややアジアンテイストな印象を受けました。モルトで感じやすいお茶のニュアンスも、普通は紅茶を良く感じることが多いですがここではプーアル茶のようにやや異なる印象。

とても多彩でそれぞれが良くまとまっていて、開けたてからでも美味しいカリラでした。まだ開栓後時間が経っていないということで、今後の開き方にも期待できそうですね。

こちらは持ち寄り会にてテイスティングさせて頂きました。ありがとうございます。

 

ラム ニューグローブ2005 Bar Lamp & 信濃屋向け

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NEW GROVE 2005 (OB for Bar Lamp & SHINANOYA, LIMOUSIN OAK CASK #76-16, 54.3%)

香りはメープルシロップ、濃いめの紅茶、酸味のあるブドウ、フレッシュな樹木、少し溶剤のニュアンス。

味わいは紅茶、デラウェアのような赤ブドウを皮付きで、少し桃のニュアンス、ハッカ、クローブ、強烈に濃いカラメル、コーヒーの苦味、ピリピリとスパイシーなフィニッシュ

加水するとブドウの甘さが良く引き出され、桃のニュアンスが少し前に出てくる、香木感、ハッカやシナモンが良いバランスとなる。飲みやすく好み。ロックでも良い。

【Good/Very Good】

信濃屋さんが今年3月にリリースしたラム、ニューグローブ シングルカスク 2005 です。公式の紹介サイトはこちら

ラムはこれまであまり飲んだことがなく、自分で購入したのはこれが初めてです。

これまで何度か良質のラムをテイスティングしてきた中で、良い物はしっかりとフルーツ感が乗ってくることが分かっていたので、このボトルも似たような傾向にあると知って購入してみようと思い立ちました。

実際に飲んでみると、赤ブドウが強めで桃も少し感じるフルーツ感。良いですね。そして紅茶のニュアンスが結構強め。全体的にバーボンにも通じるような香木感は新樽によるものでしょうか。味わいのコーヒーのような苦味はハードチャーしているのかもしれない。などなど、どんなものか想像しながら様々なフレーバーを拾っていくのが楽しいテイスティングでした。

度数が高く口当たりが強すぎるきらいがあるため、加水やロックが個人的にはオススメです。加水してもあまり崩れないので、43%くらいまで落とした方がフレーバーを愉しめると思います。

内容的には Very Good に限りなく近いのですが、ちょっと強めのスパイス感とハイプルーフゆえの強すぎるアタックが迷う所です。開けてから2週間ほどなので、今後開いてくれば間違いなくVG評価になるでしょう。

ラムにもこういう世界が広がっているかと思うと、モルトから浮気して他にもいろいろと試してみたくなりますね。チョイスが光るナイスボトルでした。

 

グレンギリー 22年 1993-2016 スコッチモルト販売

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GlenGarioch 22yo 1993-2016 (Scotch Malt Sales “Distillery Collection”, 56.2%) 

香りは透明感のあるハチミツ、ヘザー、ミドルから瓜のようなメロンのような、少し青みがかったニュアンス、絞ったオレンジ果汁、後半に香木のようなウッドスパイス、残り香は焼き栗のニュアンス。

味わいはオレンジ、少し焦げたトースト、梅ジャム、清涼感のあるメンソール感、少し溶剤、細かく挽いた黒胡椒、香り同様の香木感が長く残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

スコッチモルト販売がリリースしている Distillery Collection の1993年蒸留のグレンギリー22年。

安定した美味しさで、特別なクセもなく良いバーボンカスクのお手本のような味わいでした。ハイプルーフなためやや飲み疲れする側面もありますが、加水するとハチミツの甘さとフィニッシュの香木感がしっかりと伸びてくれてNiceでした。

 

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このシリーズはやはりラベルが良い。調べてみると、このシリーズは既に10年になるとか。現在のラベルは佐藤英行氏によるもので、スコットランドの様々な風景が閉じ込められたこれらのラベルはシリーズで並べたら本当に良いコレクションになりそうですね。「ラベル酔い」というのも、それはそれでボトルの持つ魅力のひとつだと思います。

 

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グレンギリーは数年前にオフィシャルボトルのラベルチェンジがあり、最近のボトルは文字とロゴだけのものになってしまいましたが、旧ボトルでは同じように鹿が描かれていました。またこれ以前のボトルでも何回かシンボルとして同様に鹿が描かれています。タータンチェックの柄とも相まって、自分がウイスキーを飲み始めた頃に「最もスコッチらしい」雰囲気を出していたボトルでした。そんなわけで、こうして飲み終わった後も外箱だけいまだに残してあるわけです。

今のボトルも、外箱にはタータンチェックが描かれていますし、嫌いではないのですけどね。中身はむしろ最近のものの方が安定して美味しいと思います。この時期のグレンギリーは、ちょっとパフュームが出ていたりしますので……。

 

オールドプルトニー 11年 2005-2017 蒸留所限定

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Old Pulteney 11yo 2005-2017 (OB, Hand Bottling at the Distillery, Bourbon Cask#372, 61%)

香りはやや若く乳酸系飲料のフレーバー、バニラ、塩バターに少しガーリックが効いた香ばしさ、青リンゴ、奥に白桃が潜む。

味わいは力強く広がる青リンゴの酸味、バター、ややフローラルな軽快なニュアンス、ミドルからシュークリームの甘さ、ピスタチオ、フィニッシュにかけてローストしたカシューナッツ、とリンゴの酸味が残る。

【Good/Very Good】

プルトニー蒸留所の現地で手に入るハンドボトル、いわゆるヴァリンチです。今年の4月下旬に訪れた方が購入してきたものをテイスティングする機会を頂きました。プルトニーラヴァーとしてはとても嬉しいです。

11年熟成と比較的若く、香り味ともにやや若さが主体となったフレーバーではありますが、マイナスな印象は特に無く、それ以外の要素も含めて全体的にバランスが良いバーボンカスクのモルトです。もう少し熟成すると、オレンジやマンダリンというような徐々に重さのある柑橘系フレーバーに推移していくのですが、ちょうどその途中経過をたどることができ、熟成の最中のものをテイスティングできたという感じでとても良い経験になりました。

「ピートは若さを救う」のスローガン(?)にあるように、アイラのように短熟でもピートが効いたものは総じて「飲める」印象があります。しかし、正統派のバーボンカスクで若いながらもここまで仕上がったものはなかなか珍しいのではないでしょうか。プルトニー蒸留所のオフィシャルのシングルカスクは90年代から鉄板の仕上がりでしたが、2000年代に入ってもそのクオリティは揺るぎないものであることが確信できたボトルでした。

スコットランドの北の果てにあるプルトニー蒸留所。毎回行く度に違う樽が用意されているのですが、どれも大変素晴らしい出来栄えで、北の地をわざわざ訪れたビジターに良いものを提供しようという気概は大変嬉しいものです。それがまだまだ変わらずにいてくれることに嬉しさを感じます。

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Sさん、貴重な現地のボトル、ありがとうございました!

リトルミル 19年 1990-2009 スリーリバース ザ・ダンス シリーズ

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Littlemill 19yo 1990-2009 (Three Rivers “The Dance”, Bourbon Barrel Cask#750, 51.5%)

香りはグラッシー、パイナップルファイバー、ポン菓子、麹と味噌のような独特のフレーバー。
味わいは柔らかく広がる砂糖菓子の甘さ、パイナップル、白桃などのややトロピカルなフルーツ、水につけた紙、人参のような野菜感、フィニッシュにかけては軽めの甘さと野菜や草のニュアンスが残るが長くは続かない。

【Good/Very Good】

スリーリバースの長いことシリーズ化されているダンスシリーズからリトルミル蒸留所。このボトルは2009年ボトリングの、ダンスシリーズでは第3弾。2017年現在30本近くリリースされているダンスシリーズの、最初期のものとなります。

1990前後のリトルミルというと、昔のようなダンボールや紙のフレーバーがややなりを潜め、代わりにトロピカル感のあるフルーツが出てくるイメージがあります。このボトルもそれに沿った傾向で、パイナップルのようなフルーツ感がしっかりと出ていました。一方で紙っぽさや、野菜のような少し独特のフレーバーも同居しており、そういう意味では多彩で複雑、どのフレーバーを取るかで印象が代わりやすいボトルでしょう。

この後、リトルミルもトロピカル系フルーツがしっかりと出てくるものが多数あり、ダンスシリーズでもリトルミルは常連となっています。そんなリトルミルを初期から拾ってきたスリーリバースさんのチョイスが光る一本です。