カテゴリー別アーカイブ: ハンドボトル(ヴァリンチ)

グレンロセス 27年 1989-2016 ケイデンヘッド “CASK ENDS” シリーズ

dsc01477

dsc01478

Glenrothes 27yo 1989-2016 (Cadenhead “CASK ENDS”, Cask#15/212-3 Bourbon Barrel, 53.1%)

香りはハチミツ、やや重めでオイリー、バタースコッチ、熟したリンゴ、アンズ、レザー、メンソールのような樹木のスッキリした香り。

味わいはメロン、バナナ、酸味のあるサクランボ、ややオイリー、ウイキョウのような爽やかなハーブ感、少し塩気と磯のニュアンス、熟した柿、鼻抜けからの香木感と、少し樹の苦味が残るフィニッシュ。

加水するとややビターなチョコレート様が香り立つ。味わいは特に際立つ所なくスムーズに伸びるが、あまり特徴は無い。

【Good/Very Good】

ケイデンヘッドの CASK ENDS シリーズから1989年のグレンロセス。
ラベルが消えかかっているのは、一緒に運んでいて割れてしまったボトルの被害のためです……。

27年という長熟レンジではありますが、熟成感はかなり中庸で未熟でも過熟でもありません。味も割りとプレーンで、前出のグレンリベットと似た系統の味で、素直な良いバーボンバレルが熟成するとこういう味だよね、という模範的な回答のようでした。強いて言えば、リベットが19年に対してこちらは27年、ややオイリーなニュアンスなどから熟成感によって香味に重厚さが混じりはじめていることが比較できました。

 

dsc00349

CASK ENDS シリーズはまだまだ他にも候補がありましたが、現地で試飲した中でピンときたものを選んで持ち帰ってきました。今回紹介したもの以外にも、オルトモアやアラン、ブルイックラディやモートラック etc…、実に様々な蒸留所の樽がありました。会社で考えれば大資本のディアジオから独立資本まで揃っており、ケイデンヘッドのコネクションとその実績がなせるわざといえるでしょう。

スコットランドでは一般的なこうした樽の売買や交換は、一方ではスコットランド独特ではないでしょうか。少なくとも日本ではこうした原酒のやりとりはありませんよね。多様性の確保、競合他社でも時には手を取り合う。よくよく考えると、不思議でもあり、でもやはり素晴らしいもの。今後も様々なウイスキーを育てていってほしいです。

 
このツアーに関してはモルト仲間のRさんGさんに幾つかの情報を頂き、不明なところは体当たりで進んでみましたが、結果的に運良く参加までこぎつけることができました。お二方には本当に感謝です。

 

グレンリベット 19年 1996-2016 ケイデンヘッド “CASK ENDS”シリーズ

dsc01475

dsc01476

Glenlivet 19yo 1996-2016 (Cadenhead “CASK ENDS”, Cask#906682 Bourbon Barrel, 52.1%)

香りは酸味のあるリンゴ、プラム、バタースコッチ、透明感のあるハチミツ、香水のよう、フレッシュな樹木の香り。

味わいはりんご飴、バタークッキー、ヘザーハニー、ミドルからアルコールのパンチと共に樹の香り、嫌味のないバーボンカスクの樽感、香木のニュアンスもある、鼻抜けにバラのような花の香りが漂いフィニッシュまで続く。

加水するとキャラメルのような甘やかな香りがよく立ち、味わいもキャラメルとハチミツ様が良く出てくる。スッキリとまとまっておりバランス良く伸びる。

【Good/Very Good】

ケイデンヘッドの CASK ENDS シリーズから1996年のグレンリベット。

決して未熟感は無く、しかし一方でフレッシュなリンゴや樹木の香りが生き生きとして美味しいモルトです。味はプレーンで、素直な良いバーボンバレルが熟成するとこういう味、という教科書通りのようでした

加水するとまとまりよく伸びてくれて、カスクストレングスでの少し刺々しいところが収まってくれました。ロックは試していませんが、夏場にはそれもありでしょう。

dsc00378

実際の樽はこちらなのですが、ドロナックで詰められたリベットがスプリングバンクの熟成庫にある、という良く分からない経緯のものです。「なんで樽詰めがドロナックなの?」と訊いたのですが、担当者も “I don’t know, HaHaHa!!” としか答えてくれませんでした(笑) まあ、毎日たくさんの原酒が樽に詰められ生まれていくわけですから、全部が全部分かるわけじゃないですが……。

という不思議な面白さもあってこの樽も購入してきました。改めて考えてみても、この樽の素性はとても興味深いですね。

 

ボウモア 16年 2000-2016 ケイデンヘッド “CASK ENDS” シリーズ

dsc01120

dsc01121

Bowmore 16yo 2000-2016 (Cadenhead “CASK ENDS”, Cask#800246 Bourbon Hogshead, 54.2%)

香りはパイナップル、オレンジ、じっとりとしたピート、やや塩気、少しクレヨンのような油脂、獣脂、微かにミーティなニュアンス。

味わいは軽くトロピカル系で、グァバ、パッションフルーツ、グレープフルーツ(イメージはピンク)、ミドルから焦がしたパン、ハイプルーフらしいピリピリとした刺激、鼻抜けはメロンからやや瓜系のニュアンス、全体を支えるピートの苦味と塩の味、メロン系と塩味が交じり合うフィニッシュ。

【Very Good】

ケイデンヘッドの CASK ENDS シリーズから2000年のボウモアです。

香りはやや落ち着いていて華やかさはないもののトップにパイナップルのようなフルーツ感があり、期待できると思いながら飲むとトロピカル要素も感じられる良い内容です。凄い強いわけではありませんが、グァバやパッションフルーツ系の酸味もあるようなトロピカル。ミドルからはメロンの甘さと野菜の白い瓜のちょうど中間あたりの味があり、このあたりは人によって捉え方が変わりそうです。そこに塩気のある味わいもあわさって、生ハムメロンのようなニュアンスもあるのが面白い。

非常に多彩な味わいで飲んでいて飽きない、かなり良いボウモアだという印象でした。

 

アイラモルトはその人気からか、売り手側も結構な強気の値段設定をしてくるため90年代や2000年頃のものもかなり高額なボトルが増えています。ちょうど良い飲み頃に差し掛かっている原酒が値段のために買えないというのは残念なのですが、このボトル、というかケイデンヘッドは割と良心的な価格設定で良い樽を詰めてきてくれています。このボトルは前述の通りCASK ENDSシリーズの特別ツアーで樽から直接購入するものでしたが、それ以外にもスモールバッチシリーズの黒ケイデンから2000年近辺蒸留のボウモアが50~70ポンドほどで3種類ほどラインナップされていました。

ケイデンヘッドの熟成庫を見る限り、同様の樽はまだまだあるように見受けられましたので、日本にもいずれ入荷があると思います。2000年以降でも安くても美味しいボトルはあるものだと(特に最近は)感じることが多くなってきたため、当たりを求めて試してみる価値はありそうです。

キャパドニック 20年 1996-2016 ケイデンヘッド “CASK ENDS” シリーズ

dsc09769

dsc09770

Caperdonich 20yo 1996-2016 (Cadenhead “CASK ENDS”, Cask#13/452-1 Hogshead-Sherry HogsHead 3 years, 48.9%)

香りは甘い蜜、ポリッシュした家具、イチゴ、白桃、洋ナシ、清涼感のあるハーブ、トーンは高い、軽さのある穀物感、軽さを感じるオークの木樽、微かにチョコレートのニュアンス。

味わいは透明感のある蜂蜜、噛みごたえのあるイチゴジャム、徐々に少し刺々しいシェリー樽感が出てくる、ミドルからは少しオイリー、かき氷のイチゴミルクシロップ、トフィー、フィニッシュにかけて樽材の木のニュアンスと濃い目のミルク感が残る。

【Very Good】

CASK ENDS シリーズは、キャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸留所内の貯蔵庫にある樽から直接詰めたものです。ボトラーのケイデンヘッドならではですね。2016年のスコットランド旅行で購入したものです。

dsc00380

サンプルテイスティングの様子。スプリングバンク蒸留所のウェアハウスにて。

 

このキャパドニックは17年をホグスヘッドで、その後3年間は別のホグスヘッドサイズのシェリー樽で寝かせたものです。フィニッシュというには長い期間ですが、思ったよりもシェリー樽感は強くはありませんでした。

特に香りが良く、アンティーク家具のような高級感のある樹木系の香りに、フルーツ感も乗っていて良いニュアンスが出ています。スワリングするのが楽しく、また1杯を楽しむ間にも時間変化で結構変わっていくようで面白さがあります。

加水すると特にアンティークっぽさとフルーツ感が良く出て香りが素晴らしくなり、味わいもジャムのような甘さが強くなる一方で刺々しいシェリー感はなりを潜めました。これは加水がかなり良いですね。

こんな風に良い樽をセレクトできたら、樽選びとしては幸せでしょうね。

この他にもウェアハウス内には様々な樽が並んでいましたが、大半は番号しか振られておらず、蒸留所など詳細は調べないと分からない状態でした。そのためか、テイスティング可能なリストに載っていても探すのが大変だったりして、試したい樽を探すのに10分くらい倉庫内をうろうろしたり、ということもありました(笑)

dsc00381

左側の樽のように、番号しか振られていないものもありました。詳細不明。

 

蒸留所の一般ツアーに飽きてきたり、特別な経験を求めるのであれば、是非こういったスペシャルなツアーに参加されることをお勧めします。個人で樽を買うようなことは今はできなさそうですが、樽から直接ボトルを購入したり、といった機会はいろいろとあります。

スプリングバンク 19年 1997-2016 ケイデンヘッド ウェアハウステイスティング

 

dsc09767

dsc09768

Springbank 19yo 1997-2016 (Cadenhead “Warehouse Tasting”, Cask#606 Recharged Sherry Butt 59.0%)

香りはチョコレート、ネーブルオンジ、強めのシェリー樽香、濃く煮だした紅茶、濃い目の柑橘、少し粘土、腐葉土のようなアーシーなニュアンス。

味わいは桃、チョコレート、トフィー、ミドルからはピリピリとブラックペッパー、やや青臭いハーブ感、湿ったおがくず、酸味のあるさくらんぼ、じっとりとしたタールのようなピート感が広がる、酸味とタール感が残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

Warehouse Tasting はキャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸留所内の貯蔵庫にある樽から直接詰めたものです。この後載せる予定の CASK ENDS シリーズと同じものになります。2016年のスコットランド旅行で購入してきました。

dsc00382

原酒を取り出した樽がこちら

 

やや荒々しく、粘土のようなニュアンスがひっかかるところがありますが、全体的にはなかなかの近年系シェリー感。もう少し落ちついて馴染んできてくれないかな、と期待をしているのですが、どうでしょうか。とりあえず1年くらいは寝かせてみるのもありかもしれません。

Recharged Sherry Butt というのは何か、と質問したところ、「1回スプリングバンクを詰めた後の樽にチャーをしてこの原酒を詰めた」というような説明でした。どのくらいのチャーの強さかは定かではありませんが、味のニュアンスからするとそこそこ強めにかけたのではないかと推測しています。

加水するとブラックペッパーのような刺々しさは弱まるが、全体的に酸味が強調されます。そこまで広がらないですがフルーツを感じやすく、また飲みやすくなります。まだ試していませんが、ハイボールも結構いいかもしれません。サッパリとした酸味がうまくはまってくれるでしょうか。

ケイデンヘッドの貯蔵庫内には様々な蒸留所の樽が眠っていましたが、樽から直接取り出して味を確認し、ボトルに詰めるというのはちょっとロマンがあって良かったです。とても良い経験になりました。

オールドプルトニー 24年 1989-2014 蒸留所限定

dsc09816

Old Pulteney 24yo 1989-2014 (OB, Hand Bottling at the Distillery, Bourbon Cask#4146 53.5%)

香りは酸味のあるプラム、イチゴジャム、ラズベリー、アロエや苔のニュアンス、過熟気味のバナナ、微かにセメダイン系の溶剤、ショートブレッド、こなれた麦感。

味わいはややオイリーなアタックから蜂蜜やトフィー、噛みごたえのあるイチジクのジャム、イチゴやラズベリーもしっかり、ミドルから塩気の強いショートブレッド、やや強めの植物感、コクのある麦の旨味、フィニッシュにかけてはショートブレッドとじわりと染みこむ植物の苦味が続く。

【Good/Very Good】

プルトニー蒸留所で樽から直接ボトリングできる、いわゆるヴァリンチです。先日紹介したの14年熟成ボトルとともに、2014年のスコットランド旅行の際に現地で購入してきました。開封は2014年9月でしたので、2年ほど経過しています。

3ヶ月ほど前に久しぶりに飲んでみたところ、当初よりもフルーツ感が多彩で強くなっていたため、これはいよいよ開いてきたぞ、と喜んで飲んでいたらもうあと1,2杯のところまで来てしまいました。90年台のプルトニーに良くある、バーボン樽の良い部分をうまく抽出したような綺麗めな方向ですが、若さ由来のパワーも落ち着いてきて結構しみじみ飲めるタイプです。どちらが良いかは好みによりますね。

どうもこの日は体調的に植物のエグみのようなニュアンスを強く拾ってしまう傾向にあったようで、このときもテイスティングが引っ張られてしまいましたが、やはりフルーツ感と塩気の強い麦の甘さは良く主張していていい塩梅になっています。

 

dsc02415

ハンドボトリング用の樽。珍しく2種類用意されていた。

 

プルトニーのハンドボトリングは、このように樽がビジターセンター内に置かれていて、希望者は樽から直接ボトリングすることができます。(実際には一度フラスコのようなものに移して700mlを計量します)。ボトリング後はラベルを書き、購入台帳に記入し、フタの部分をロウ付けしてようやく1本出来上がり。これ、意外と時間がかかります。慣れてくれば別ですが、1本あたり10分弱かかったりもします。他の購入者も居たり、スタッフもそこまで慣れていなかったりすると、2本買うだけでも結構な時間をとられる事になりますので、蒸留所訪問の際には時間に余裕を見て行くと良いでしょう。

オールドプルトニー 14年 2000-2014 蒸留所限定

dsc09813

Old Pulteney 14yo 2000-2014 (OB, Hand Bottling at the Distillery, Bourbon Cask#649 61.1%)

香りはバニラ、生クリーム、アプリコットジャム、サクランボ、少し白桃のニュアンス、軽めの紅茶、ややオイリーなクリーム感、微かに昆布出汁のニュアンス。

味わいは強くプラム、トフィーやファッジのような甘さ、プラム、ネーブルオレンジ、ミドルには噛みごたえのあるアプリコットジャム、薄い紅茶のニュアンス、煮詰めた蜂蜜の甘さ、かき氷のメロンシロップ、フィニッシュにかけては軽くヒリヒリとスパイシー、軽い樽感とともにフルーツ感も残る。

【Very Good】

プルトニー蒸留所で樽から直接ボトリングできる、いわゆるヴァリンチです。こちらは2014年のスコットランド旅行の際に現地で購入してきました。開封は2014年9月でしたので、2年ほど経過しています。

個人的にプルトニーらしさとも感じている酸味のあるフルーツ感は以前からありましたが、開栓当初は梅ジャムのようなニュアンスが、時間経過で変化がありコクの強いアプリコットからサクランボなどになってきました。また、このボトルはバーボン樽なのですが、少し紅茶のようなシェリー樽にみられるようなニュアンスも出始めてきて中々に不思議なものです。

14年で61%とまだまだパワフルなところはありますが、かなり開いてきたのか口当たりもそこまでキツくなく、かなり仕上がった樽だと思います。思い出補正が若干入っていますが、90年代以降のバーボン樽モルトとしてはとても良く出来た味わいだと言えるでしょう。

プルトニー蒸留所はかなり以前からこのような蒸留所限定のボトルがありましたが、いずれも高いクオリティのものばかりです。スコットランドの北の果までわざわざ訪れるのは結構大変なのですが、風景も良いですし、スコットランド旅行の際には是非訪れてみることをおすすめします。

dsc06096