カテゴリー別アーカイブ: ブラインドテイスティング

トマーティン 19年 1977-1997 ソサエティ 11.9

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Tomatin 19yo 1977-1997 (SMWS, Cask No. 11.9, 54.4%)

香りはカスタードクリーム、キャラメル、やや紙っぽいニュアンス、ヒノキかクスノキのような木香、少しメロンのようなフルーツ感があるが控えめ。

味わいは薄めのヘザーハニー、とかしたキャラメル、緑の草、青みのあるイチゴ、樹木のエグミのニュアンス、鼻抜けはケミカルなフルーツ感、風邪薬のシロップ、もっさりとしたリンゴのフレーバーとケミカル感が残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ソサエティの11番はトマーティン。かなり昔のボトリングで、ソサエティのラベルもかなり古びた印象がありますね。ボトリング後20年が経過していますが、オールド香のようなものは特に感じませんでした。

 

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ボトルに書かれた一言コメントを見ると、なんと “Peaches, peaches…and more peaches”。ピーチ! ピーチ! ピーチ!! なんていうコメントが近年でもどこかで書かれていた記憶がありますが、20年前にも同じコメントがあったとは……(笑) 面白いですね。

しかしこのボトルからはあまり桃のニュアンスは取れませんでした。どちらかというとアタックに顕著な植物感の印象が強く、ミドルからのフルーツ感は植物感と混じってやや青いイチゴのようなニュアンスではないかと。人口甘味料的な、どことなく作為的な甘さは1976トマーティンにも通じるところがあると感じたものの、この1つ前に飲んだキンコー向け1976ベンリアック2ndに比べると、さらに桃やフルーツ感は薄めでした。

このあたりは、もしかしたらボトリング後の経年で飛んでしまったのかもしれません。もし本当に桃感満載ということであれば、昔からトマーティンにはその手のフレーバーが備わっていたということでしょうし、76ヴィンテージだけではないのでしょう。90年台トマーティンにも桃感がよく出ているものもあるということで、今後も76に匹敵するボトルが出てくるかもしれません。楽しみですね。

 

 

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スペイモルト フロム マッカラン 1968-2009

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SPEYMALT from Macallan 1968 (G&M, Bottled in 2009, 43%)

香りはオレンジ、パイナップル、レーズンなど多彩なフルーツ感、クローブ、ナッツ、素朴なビスケット、ココアパウダー、アーモンドチョコのニュアンス。

味わいは酸味が強めのレモン、グレープフルーツなどの柑橘類、カスタードクリーム、レモンケーキ、ミドルからオークらしい収斂味、鼻抜けにクローブとカルダモンなどのスパイス、柑橘の酸味と木の皮のニュアンスが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

GMがリリースするマッカラン。その1968ヴィンテージという、ちょっと経験が無い世界でしたが、飲んだ第一印象は「随分と酸味があるな」というものでした。

マッカランといえばやはりシェリーカスクで、しかもこのあたりの年代であれば心地よいレーズンやチョコレートのようなシェリーカスクの味わいを想像したのですが、実際には上記の通り。先入観で「こんな味がするはずだ」という思い込みを、良い意味で裏切られました。

G&Mのこのボトルもシングルカスクではないと思われますが、味わい的にはシェリーカスクではなくバーボンカスク主体のヴァッティングでしょうか。シェリーカスクにこだわるマッカランではありますが、バーボンカスクを使っていないわけではありませんし、そのなかでもかなりの量がG&Mにはあったということでしょう。

継続的にリリースされているスペイモルト・フロム・マッカランですが、味わいに統一性はあるのでしょうか。あまり飲んだことのないシリーズなので、ちょっと気になってきました。マッカランとしてではなく、先入観無く飲めばいろいろと発見があるのかもしれません。

山崎蒸留所 1991-2008 オーナーズカスク 1S70430

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Yamazaki 1991-2008 (OB “The Owner’s Cask”, Cask# 1S70430 Sherry Butt)

香りは強めのレーズン、カカオ、ビターチョコレート、少し酸味のあるプラム、ローストコーヒー、枯木のニュアンス。

味わいはザラザラとしたタッチで強めのチョコレート、マンダリンのような酸味のあるコーヒー、ドライプルーン、鼻抜けはスパイス感が強くクローブ、スターアニスの甘い香り、カカオの苦味と濃厚なチョコレート、レーズンのヒントが残るフィニッシュ。

【Very Good】

山崎オーナーズカスクのシリーズから、こちらはビックカメラで売られていたものだそうです。シェリーカスクの山崎は、近年様々な賞を取ったことで有名になりましたが、このボトルも同様の味わいで濃厚なシェリーカスク由来の香味がふんだんに漂うボトル。

強めの樽感なのに不思議とギスギスした嫌味は少ない。特に鉛筆の芯やクレヨン、出汁醤油といったオフフレーバーに振れることも少なく、サントリーのカスク・マネジメントのレベルの高さを感じます。

 

樽を買う。モルトラヴァーにとってはまさにひとつの夢ではないでしょうか。山崎オーナーズカスクは2004年に始まり、様々な原酒の樽を一般向けにリリースした、国内では画期的なものでした。ちなみに当時のプレスリリースには「世界でも初」となっていますが、スプリングバンク蒸留所などはその前から普通に樽を売っていたようですし、初ではないと思いますが……。

それはさておき、2010年には残念ながら終了。その間に100を超える樽が一般の個人や団体に流れ、様々にリリースされていました。流石に気合が入っていたためか、どれも品質はかなりのもの。シェリーカスクだけでなくバーボンカスクも良質のものが多いようです。

今となっては羨ましいですよね。安いものでは50万円ほどからあったそうですから、頑張れば買えないこともなかったわけで。一方で、今では新興のクラフトディスティラリーで樽買いのチャンスがあります。カスク・オーナーの夢はそちらで実現するのも良いのではないでしょうか。

 

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ブローラ 30年 オフィシャルボトル 3rdリリース

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Brora 30yo (OB, bottled in 2004, 3rd Release, 56.6%)

香りは過熟気味の柑橘、パイナップル、マンゴーなどのトロピカル感、じっとりとしたピートにヨード、下支えするどっしりとした穀物の甘さ、まとまりがあり素晴らしい。

味わいはやや弱めのアタックから香り同様のフルーツ感、穏やかだがじんわりと主張するピートやヨード、ショートブレッドの甘さ、少し塩パンのようなニュアンス、じっくりと染み込むトロピカルフルーツとピート感がまとまりよく続いていくフィニッシュ。

【Very Good/Excellent】

2004年にリリースされた、オフィシャルのブローラ30年。この系統のオフィシャルボトルでは3番目のリリースとなるボトルでした。

こちらも簡易ブラインドで提示され、第一印象はボウモア30年シードラゴン。過熟気味のフルーツにやや落ち着いた感じのじくじくしたピートを取った結果のイメージでした。結果は上記の通りブローラ。盛大に外しましたが、アイラと北ハイランドで結構似たイメージが出て来るのも我ながら不思議だなあと思いました。

 

トロピカルというよりも過熟気味のフルーツ感の方が強く、爛れたニュアンスはある意味硫黄成分を含んだフルーツフレーバーもにも通じる要素があるのかもしれません。ピートのいぶしたようなニュアンスもあってボウモアと混同しました。

島モノらしさのあるピートのボウモアと、あまりそのようなイメージのないブローラですが、フルーツ感は結構似ているようにも思えました。ボトル公開後は「なるほど確かに」と思うのですが、ブラインド時にどう感じたかを思い返すと面白いですね。

 

ブローラのこのシリーズのオフィシャル、今回のボトルは2004年ボトリングでしたが、自分が飲み始めた2008年頃でも一部の酒屋ではこの3rdや4thが残っていた記憶がありあす。値段は3万円超えるほどでしたでしょうか、当時はその値段でもかなり高額な部類に入ったため、皆さんそこまで食指が動かなかったのかもしれません。2013年頃でも8thや9thが残っていて、それも4万円ほどでしたので、またまた同じような傾向ではありましたが、やはりいつしか売り切れてしまっていました。

この個性的な味わいは、近年ではあまり見られなくなってしまいました。もっとクリーンでクセのない方が一般的には受けるのでしょうか。この個性的な味は残して欲しかったですが、残念ですね。

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ブルイックラディ 27年 The Stillman’s Drum

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Bruichladdich 27yo (OB “The Stillman’s Drum”, 45%)

香りはアプリコット、カスタード、アーモンド、少しバニラ、少し火薬のニュアンス。

味わいは素直な麦の甘さ、バタースコッチ、ミドルから少し紹興酒、野暮ったい青草様、薄めたブドウ果汁、落ち着いてじんわりと残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

もうかなり昔にリリースされた Stillman’s Drum シリーズからブルイックラディです。

高貴さや陶酔感は薄いですが、昔らしいシェリーカスク感があり、度数が45%ということもあってだらだらと飽きずに飲めそうなところが好印象でした。

口開け直後ということだったので、まだ開いていないのでしょう。ややフルーツ感に乏しい印象でしたが、今後開いてくればレーズンなどのフルーツ感が乗ってくるかもしれないという期待が持てそうなボトルでした。

このシリーズは以前にタリバーディンを記事にしていますが、麦の旨味がしっかりと乗っていて、どこか古風な味わいが特徴的です。最近の華やかな感じはありませんが、噛みしめるほどに旨みが増すような、しみじみと愉しむのに向いている感じ。度数が高くないのも寄与していますね。

やや没個性的なところが逆に近づきやすい、寄り添うようにあっていつでも心おきなく愉しめる、そんな位置づけ、良いと思います。

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ベンリアック 35年 1976-2012 酒のキンコー向け2ndボトル

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BenRiach 35yo 1976 (OB for KINKO 2nd Release, Cask#3035, 43.8%)

香りは青葉、やや強めに草、奥からパイナップル、缶詰のミックスフルーツ、桃、シロップ、ヒノキのような木のニュアンス。

味わいは青い植物感から始まる、徐々にシロップづけのパイナップル、チェリー、桃など、ミドルから強くはないがしっかりと主張する樽の味、シロップの甘さとフルーツ感が残るフィニッシュ。

【Very Good】

九州のキンコーさん向けのベンリアック1976、セカンドボトルです。当時のアナウンス記事がまだ残っていますので、改めてそちらを参考にしてみると「最もピーチフレーバーだった樽」ということでした。

自分はそこまで桃という感じはとれなくて、どちらかというとパイナップルっぽさと、ミックスフルーツ缶のシロップのような、どこか人工的な要素もある甘さだな、という印象でした。上記サイトにもある「シンプルで澄んだ桃のフレーバー」というのはなかなか言い得て妙で、シロップのような澄んだイメージなら納得でした。

長熟の度数落ちで43%まで下がっているためか、飲んだときに強さは感じられないものの、ミドルには樽のニュアンスが結構強く出てきていることが感じられました。流石に35年という熟成期間は樽の影響がかなり出ますね。一方で、それでも比較的プレーンなニュアンスで、超熟に耐えられる良い樽だったのでしょう。

キンコーさんのチョイスが光る、良いボトルでした。自分も買っておきたかったですね……。

良いボトルを飲ませて頂きまして感謝です!

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アードベッグ 1993-2004 エーカーダイク “A Single Old Malt Cask”

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Ardbeg 1993-2004 (Acredyke “A Single Old Malt Cask”, 57.5%)

香りは濃厚なチーズ、ヨード、海の潮気、甘そうなハチミツ、少しミーティさ燃やした枝のニュアンス。

味わいはやや強めのアタック、柑橘の白い部分や袋、若さを想起する乳酸系、チェダーチーズ、じくじくとしたタール様、海岸の泥、フルーツ感は乏しくじっとりとしたヨードとチーズ感が個性的なフィニッシュ。

【Good/Very Good】

エーカーダイク、という読み方で良かったように思いましたが、どうだったか。この1993アードベッグは香りにチーズ感がとても特徴的で、アイラの要素がしっかりとあるもののボウモアのようなフルーツ感に乏しく、ラフロイグのように柑橘のニュアンスも薄い。かといってカリラほどオイリーで地味でもない。というところから第一印象はアードベッグでしたが、ここまで濃い目のチーズやミーティなニュアンスは経験が無く、ラガなどと迷うところでした。

簡易ブラインドで答えを聞いたときは納得でしたが、アードベッグで1993年というヴィンテージは休止中ではないかと思っていたため出てきませんでした。そう、アードベッグと言えば1981年に頃に休止した後、1989年から1996年まで不安定な操業が続いていたのですが、この期間を完全休止と思っていたのが原因です。その後、1997年にモーレンジが買収してからは安定した操業が可能となり、今では様々なリリースが出るようになりました。

度数の割には飲みくちはやや柔らかく、ボトリング後の経年によるものかもしれません。一方で香りと味にも若々しさの残るチーズ感が特徴的でした。個性的なアイラの蒸留所から、さらに個性的とも思えるボトルが選ばれた、そんな気がしますね。

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