カテゴリー別アーカイブ: 持ち寄り会

タリスカー 15年 1978-1993 ケイデンヘッド

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Talisker 15yo 1978-1993 (Cadenhead “Acthentic Collection” 56.4%)

香りはやや荒さを感じるオールドシェリー、プルーン、ドライフィグ、やや強めのシナモン、コリアンダー、微かに醤油のニュアンス。

味わいはやや粗野な口当たりの濃厚なオールドシェリー、少し硫黄感、シナモンケーキ、強めに煮出した紅茶、鼻抜けにプルーンなどの様々なフルーツ感が通り過ぎ、やや収斂味を伴いながらピートとスパイスが締めくくるフィニッシュ。

【Very Good】

90年代にケイデンヘッドがリリースしていたオーセンティックコレクション、通称グリーンケイデンのタリスカー15年です。同シリーズはプレーンな樽感と中熟程度の熟成から、クリアな麦感が主体のものが多い印象でしたが、このボトルは濃厚なシェリーカスクでした。

やや強めかつ荒々しさを感じる昔のシェリーカスクで、ボトリング約25年という時間を経てもまだまだパワフルさは失われていません。恐らくリリース当初はもっとパワフルな味わいだったものと思われ、かなり飲み疲れするボトルだったのではないでしょうか。

そう考えると、今現在リリースされている濃厚ボトルも、時間が経ったときにどのように変化していくのかは楽しみなところではあります。もっとも、麦感やシェリー樽などの基本要素が異なるため、同じような変化は期待できないですが、もしかしたらとんでもなく化けるボトルがあったりするかもしれません。というような夢を掻き立てられるボトルでした。

 

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ロングモーン 1969 G&M カスクシリーズ

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Longmorn 1969 (G&M “CASK Series” for Japan, 62.9%)

香りはライチやパイナップルなどのとてもナチュラルで作為的でないトロピカルフルーツ感、バニラ、ハチミツ、セージやミントのハーブ感、少しシナモン、微かに青いバナナのニュアンス。

味わいはライチ、マンゴスチン、桃、ミドルから白胡椒の刺激、白ワインの様な爽やかさと青みがかかったニュアンスが奥行きを作る、シナモンやアニスのようなスパイス感を伴うトロピカルフルーツの幸福な余韻。

【Excellent】

有限会社ウイック経由で日本に入ってきたG&Mのロングモーン1969。

その香味は、目まぐるしく飛び込んでくるトロピカルフルーツを中心としたフルーツ感。完熟から青さの残るところまでの多彩さ、それを支える麦のボディ。60%オーバーとは思えないソフトな口当たり。ボディは分厚く、余韻にかけて広がるトロピカル感。アタックからリリースまですべてが素晴らしくまさに至福でした。

ただただ凄いとしか言いようがなくて、テイスティング・ノートの語彙が貧弱になってます。

こちらのボトルを飲んだのは初ですが、曰く状態にかなりばらつきがあるそうで、これは大当たりのボトルということでした。たしかに、往年のロングモーンに求める要素がすべて詰まっておりその上で良いバランスを保っている。モルトってこんな香味も持つのか、と改めて感動しました。

口開けでこの素晴らしさ。ですが、これから開いていくのではなく後は味が落ちていく一方、ということもあるようで、かなりピークが短い模様。このあたりのコンディションの把握も難しいですね。

先日アナウンスがあった通り、G&Mは今年2018年に数あるシリーズを整理して5種類に絞ることになっており、このCASKシリーズは終了してしまいます。かなり長い間続いていたシリーズであり、こういった素晴らしいボトルが多かった同シリーズが終了してしまうのはちょっと残念ですが、まあいたし方ありませんね。今このクラスのボトルをリリースするとなると、恐らくハイエンドの「ジェネレーションズ」に分類されるのでしょう。

割と手軽にこんなボトルを手にすることができた時代があったとは、ちょっと信じられませんね。

 

ブローラ 4thリリース 30年 1975-2005

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Brora 4th 30yo 1975-2005 (OB 4th Release, 56.3%)

香りは過熟気味のネクタリン、マンゴー、パッションフルーツ、チーズ、おしろい粉、湿った洞窟、ややくぐもったオイルのニュアンス。

味わいは香り同様のフルーツ感に熟成したチーズなどの乳製品の旨味とオイリーさ、濃厚なバター、少しハーブ様と樹木のニュアンスが鼻を通り抜ける、じっとりとしたピートとフルーツが長く続くフィニッシュ。

【Excellent, Interesting】

ディアジオのオフィシャルリリースの4thボトル。もう原酒が無い無いと言われながらも、昨年2017年までの16thまで毎年着実にリリースされ、その都度価格も着実に階段を上っていったというブローラ。思えば遠くへ来たものです……。

そんな貴重なブローラの初期リリース、70年代のボトルを飲む機会を頂きました。Tさん、ありがとうございます。

上記のテイスティング・ノートはグラスに注いでから1時間ほど経ったところでのものです。今回のボトルはその場での口開けで、直後はかなり閉じていたものの、15分くらい経つと期待する過熟フルーツが出てきて、30分ほどでそれが全開になってきました。かなり変化が著しく、表情をコロコロと変えていくので驚きでした。

そして、ブローラといえばやはりこの個性的なフルーツ感。独特の腐りかけのような危うさ、でも破綻していない、本当に不思議な魅力が詰まっています。麦なのか樽なのか、はたまた蒸留設備なのか。同時に飲んだ72クライヌリッシュにはこのような個性が見受けられないので、蒸留設備の違いとしか思い浮かばないのですが、それにしてもどういう違いなのか、まったくもって不明です。洗浄していない部分があってその影響、とかなのでしょうか。

呑むにあたっては小さめのコニャックグラスと、リーデル・ソムリエグラスのような大ぶりのグラスで試しましたが、これについては小さめの方が香味の発散具合がちょうどよくマッチしていました。大ぶりの方では少しぼやけてしまっている香味が、小さめのではシャープになって輪郭がはっきりしていて好印象。このあたりの比較もあまりできるものではないので、全てにおいて贅沢な時間でした。きっとこの先も忘れないでしょうね。

クライヌリッシュ 32年 1972-2005 エイコーン

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Clynelish 32yo 1972-2005 (ACORN “Natural Malt Selection”, 53.5%)

香りは優しい麦感、ハチミツとカスタード、アーモンドの香ばしさとオイリーさ、削ったばかりのヒノキのような木材香、オレンジとバナナのフルーツ感。

味わいはしっとりとした口当たりでカスタードやスポンジケーキ、良く熟したオレンジ、バナナチップ、マジパン、クリーミーなオイリーさ、ローストしたナッツと落ち着いたフルーティさが鼻抜けからフィニッシュまで長く続く。

【Very Good】

日本の古参ボトラー、エイコーンがリリースしていたクライヌリッシュ。1972年といえばクライヌリッシュの鉄板ヴィンテージ。ボトリング後の時間経過からか、かなり落ち着いていて優しいニュアンスが全体的に支配しており、53%という度数の割にはするすると飲めてしまう仕上がりになっていました。

しっかりとした麦感とオイリーなニュアンス、そしてフルーツ感が良いバランスで混在していて、奇をてらわない素の美味しさといった感じです。バーボンカスクのお手本のような方向性、それでいてこの複雑さは、90年代のバーボン樽のボトルだとちょっと思いつきません。90年代の30年オーバーはまだまだこれからなので。もしかしたらこのようなボトルにもお目にかかれるかもしれませんが、昨今のリリースを見ているとかなりの高額となってしまい手が出せそうにないような雰囲気があります。

今のうちにバーなど飲める場所で飲んでおいた方が良いかもしれませんね。

ロッホサイド 23年 1981 ブラッカダー ロウカスク

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Lochside 23yo 1981-2004 (Blackadder “RAW CASK”,Bourbon Hogshead 55.4%)

香りは軽くケミカルさを伴うマンゴーやパッションフルーツがほんのり、パイナップル、焦げた藁、バタースコッチ、トフィー、インスタントコーヒー。

味わいはマンダリン、バタースコッチの甘さ、続いてマンゴーやパッションフルーツの南国フルーツ感が追いかける、同時に軽く風邪シロップの甘さ、奥にはインスタントコーヒーそのままの苦味と粒状感、甘さとピリピリとした刺激も加わるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ロッホサイドは1981が鉄板ですね。逆に言うと1981以外のリリースがあまり多くないのでそう感じているだけかもしれませんが。もしかしたら全体的に同じような味わいの系統なのかもしれませんが、同じくそれなりにまとまったリリースがあった1991などでは、南国フルーツ感はほとんど感じられないことが多いので、やはり1981は良いな、と思ってしまいます。

フルーツのフレーバーはどことなくトマーティン1976に近い感じもします。ややケミカルさが感じられるところとか。ややチャーしたオーク樽のフレーバーが強いのは、ブラッカダーらしく「樽の粉」が利いているためかもしれません(笑) もう残り少ないボトルでしたのでなおさらその傾向が強かったのかも。

ロッホサイド蒸留所は1992年に閉鎖されてしまったため、もう新しい原酒は無いわけで。最近まったくリリースを聞かなくなったところを考えると、いよいよストックもほぼゼロなのではないかと。もし何かの機会でリリースされることがあれば、注目の的になるのではないでしょうか。

キャパドニック 1992 Bond#1限定ボトル

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Caperdonich 1992 (Bond #1 special bottling for members, 55.9%)

香りは熟したリンゴ、溶かしたバターのオイリーさ、コンポート、熟しきったバナナ、カスタードケーキ、新しめの家具のポリッシュ。
味わいは強めのアタックからハチミツとリンゴ、バニラとカスタードのケーキ、ややオイリーでまったりとした甘さ、後半からアルコール感とポリッシュのニュアンスが口腔を覆う、リンゴの皮とバニラ感が力強く長く続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

Bond#1といえば、Dave Broom氏がディレクターを努めた会員制組織でそれなりに活動していたように思いましたが、1年ちょっとしか続かなかったという印象が残っています。改めて調べてみると、その短い活動期間の中でも、数本の軽井沢を始めとする各種ボトルが会員限定絵でリリースされており、それ以外にも会員限定のテイスティング企画が執り行われるなど、結構精力的な会だったのだなあ、と改めて感じました。自分は参加しておりませんでしたが。

そんなBond#1がリリースした1992キャパドニックは、およそ20年程度の中熟ということになりますが、若くもなく過熟すぎもしないまさにちょうど良い熟成感。リンゴのコンポートにバターで風味を付けたような、甘味と酸味を感じるちょっと独特の香味です。この辺の香味が90年代のキャパドニックとして自分が特徴的と思っている部分で、以前のテイスティングでいうとケイデンヘッドの1996キャパドニックがまさに同じ方向性の香味を持っていると感じていました。

70年代のキャパドニックなどはもちろん美味しいですが、90年代のものもしっかりと美味しいものがありますね。キャパドニック蒸留所そのものは2002年に閉鎖されてしまっているので、それ以降のリリースが無いのが残念ではありますが、90年代前半の原酒は結構リリースがあるので、お気に入りの方は今のうちに買っておくのが良いかもしれません。

そういえば2000年前後のキャパドニックってほとんど聞かないように思えるのですが……。もともとブレンデッド用という意図が強いイメージがあるので、そちらのブレンデッド原酒にまわされてしまったのかもしれません。ブローラやポートエレンのように、ここ最近のブームを受けて復活したりしませんかね。

 

ブルイックラディ 35年 1970-2006 創業125周年記念ボトル

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Bruichladdich 35yo 1970-2006 (OB 125th Anniversary Bottling, 40.1%)

香りはやや昔のスタイルでやさしいモルティさとシェリー感、古い家具、樹木の香り、ホワイトペッパー、微かに高貴なランシオのニュアンス。
味わいは染み込むような優しい麦とシェリー樽感、ボディは緩いが芯のあるバーボン樽感、バニラ、オレンジ、干したアプリコット、フィニッシュにかけて軽くランシオ系の高貴さを伴いながら儚く消える。

【Very Good/Excellent】

ブルイックラディはあまり長熟のものを飲んだことが無い蒸留所です。それは、1994年から2001年ころまで閉鎖されていたということもあり、自分の飲み始めた頃にはあまり目立ったリリースが無かったことと、アイラ島というとやはりピートの効いたボウモアやラガヴーリンなどを求めてしまうもので、ブルイックラディをちゃんと評価することが出来ていなかったと思っています。

今回のラディは1881年の創業から125周年となる節目にリリースされたもので、復活からようやく前途が明るくなってきたところでの並々ならぬ力が入ったボトルと言えると思います。往年のシェリー樽のニュアンスが存分に漂っている中に、各種のフルーツ感やヴィンテージ家具のような古酒感が良いアクセントに。ランシオのような高貴なニュアンスもありノージングが楽しくなります。
味わいはしっとりと優しく染み込むようで、引っ掛かりのなさは本当に秀逸。徹頭徹尾、バランスの良さと陶酔感にやられっぱなしでした。スルスルと飲めてしまうので、ある意味危険なボトルとも言えるでしょう。

流石の記念ボトル、間違いなく自分の中で最高のラディと言えます。この時代の原酒の良さを感じるために、オールドボトルを求める気持ちもよく分かりました。昔の12年とか、美味しいですよね。もっとラディもいろいろと試してみないと。

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