カテゴリー別アーカイブ: 持ち寄り会

ダルユーイン 1980-1999 マキロップチョイス

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Dailuaine 1980-1999 (Mackillop’s Choice, Cask#1236, 55.2%)

香りはメロン、青い草、バニラ、プレーンなオーク樽、少しメンソールのニュアンス。

味わいはややパワフルなアタックで、バニラアイスのような甘さと柑橘類や梅のような酸味、少しオイリーな乳製品、素朴なオートビスケット、ホワイトペッパーが刺激的に残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ダルユーインはどういったところがハウススタイルなのか、今ひとつ明確に理解できていないところ。香りにメロンや青い瓜的なニュアンスが特徴的ですが、一方で味にはあまりメロンっぽさは無く、プレーンなバーボン樽の良い部分が出てきている印象でした。20年弱という長熟ではない熟成が樽感の強さを回避しているのでしょう。

80年頃のモルトとなると近年では30年オーバーになるわけで、どうしても過熟による樽の強さにつながってしまいがちです。そう考えると、中熟の飲み頃のモルトは過去のリリースでないと味わえないわけで、こういったボトルで往年の味わいを勉強するのも難しくなってきてしまいました。貴重な経験をありがとうございます。

ところで、マキロップチョイスというとどうしても思い出してしまうのが、某酒屋で投げ売りされてしまっていた時期があったこと。確かにその頃は他にもっともっと素晴らしいモルトがひしめき合っていたため、マキロップチョイスはそこまで注目されることがあまり無かったように思います。結果的にその投げ売りの印象から「安かろう悪かろう」のイメージが付いてしまったように思います。しかし、このボトルは良い香味で素晴らしいものでした。飲まないで印象だけで語ってはいけませんね。

 

グレンモーレンジ 10年 1981-1991 ネイティブロスシャー

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GlenMorangie 10yo 1981.02.05-1991.04.17 (OB, The Native ROSS-SHIRE, Cask#978, 59.6%)

香りはツンとくるアルコールの刺激、レモン、カスタードやバターの風味がケーキのよう、奥に紫蘇のニュアンス。

味わいはプラムジャム、薄めた塩バター、乾いたオーク感がしっかり、ミドルからレモンバームとカスタードクリーム、ピリピリとホワイトペッパーの刺激、やや軽めのタッチで柑橘系とオーク香が続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

グレンモーレンジのネイティブ・ロスシャー10年。オフィシャルのシングルカスクでカスクストレングスというのは、当時としては相当な意欲作だったことでしょう。時期的には魔の80年代を過ごし、90年代で少し上向き始めるかどうか、といったところ。もしかしたら、売り手側も「何か変わらないといけない」と思ったのかもしれません。

このあたりは1991年に詰められた余市のシングルカスクと似たような経緯があるように思えます。

ボトリング後25年を経てなお荒々しくパワフルなところがあり、当時はもっと強く個性的だったのかもしれません。一方で少しボディにかけて軽めなのは、経年によるものか短熟によるものか、どちらかだけでなくそれぞれのミックスと言う感じ。紫蘇やレモンバームのような独特のニュアンスがありつつも、飲んだ瞬間に「あ、モーレンジらしい」と思わされたところに、近年のモーレンジとも共通するハウススタイルがあるのだなと気付かされました。

そういえば1981年ということでマイヴィンテージでした。最近はめっきり見かけなくなってしまった年代ですが、こうしてまたひとつ味わえたことに感謝です。Kさん、ありがとうございました。

 

ストラスアイラ 1953-2010 G&M 蒸留所ラベル

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Strathisla 1953-2010 (G&M, Distillery Label, 43%)

香りはカラメル、高貴さは無いが往年のシェリー感、ダークチョコ、プルーン、アーシー、ニガヨモキなどのハーブ、タバコの葉、少しタール感がありオイリーなニュアンス。

味わいは柔らかいタッチで、カラメルの甘さ、カカオチョコレート、種有りのプルーン、ミドルから少し粒状感があり、砂糖なしのココア、土気やミネラル感、タール、燻した肉にブーケガルニが添えられているよう、とても複雑なフィニッシュ。

【Very Good】

GMの蒸留所ラベルのストラスアイラは様々なヴィンテージのものがリリースされていますが、1953年蒸留の2010年ボトリングということで、50年オーバーの熟成ということになります。当然自分よりも先に生まれているわけで、そう考えると本当にめまいがしてしまいそうでした。

度数的にも実際の飲み口もかなり軽めではあるのですが、内容は重々しく複雑。全体的にシェリー感が支配的、と思いきやその中でも様々な要素が複雑に絡み合い、とてもすべてを拾うことができませんでした。やや野暮ったさも含まれているところがマッカランとは別の方向性で、複雑さはマッカラン以上でした。本当に凄いモルトです。

 

G&Mのこのシリーズは、同一ヴィンテージの複数樽ヴァッティングなのでしょうか。シングルカスクであればそのように明記しそうですし。いずれにしても、これまでのリリースから考えて同系統のシェリーカスクがかなりの数、G&Mには存在していたことになります。そして、これらのストラスアイラは2005年頃~2012年頃に結構な数がボトリングされリリースされていたように記憶しています。

そこで気になるのが、これらを払い出した後の空樽はどうなったのか、ということです。流石にかなりの長期間熟成に使われてきたこともあって、そのままリフィルで使うことが難しいものもあったかもしれませんが、きっと他の原酒に使われたものもあると思うのです。

そうなると、20年後くらいには良質なシェリーカスクのリフィルがリリースされるかもしれませんね。樽のポテンシャルがどの程度残っているのか、親が良くてもその子供が良いとは必ずしも言えませんが、将来にちょっと期待してみても良いんじゃないかな、なんて思うわけです。

近年のシェリーカスクのマネジメントも凄い進歩ですが、往年のシェリーカスクの再利用もありえるのでは、ということで将来のモルトに期待してみたいと思います。

ブルームスベリー 30年 ファイネスト オールドブレンデッド ウイスキー

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Bloomsbury Finest Old Blended Scotch Whisky 30yo (Bloomsbury, 43%)

香りはクリームやバターなどの乳製品、とてもコクが強い、徐々にリンゴや洋ナシのフルーツ感が現れ、続いてポリッジ、バタースコッチ、微かにフローラルなハチミツ様も。

味わいは柔らかくとてもクリーミーで、香り同様のミルク感、一呼吸置いてリンゴ、徐々にホワイトペッパーのような刺激、セージなどのハーブ感、奥にピートのニュアンス、フィニッシュはカスタードクリームに複雑なハーブ感が合わさる。

【Very Good】【Interesting】

ブルームスベリーというと、もうかれこれ10年以上前に幾つかリリースがあったものの、最近は全然聞かなくなってしまったボトラーズですね。近年でもボトラーズは現れては消えていくものが多いですし、そういうものなんでしょう、とある種開き直ってしまったりもしています。

さて、このボトルがリリースされたのがいつかは正確には分からないのですが、恐らく2005年より前だと思います。30年熟成ということですので、1970年代前半に蒸留されたモルトがメインであることは間違いないでしょう。ものによっては1960年代の原酒も入っているかもしれませんね。

クリーミーな味わいからなんとなくグレンタレットが思い浮かんだりしましたが、いかんせん情報が無いのでさっぱり分かりません。しかし、ブレンドらしく多層的な味わいで、原酒が良いからかしっかりとした芯の強さを感じる良質なウイスキー、という印象です。

情報があまり無いので詳しい所は分かりませんが、昔はこういうブレンデッドも結構たくさんあったのですね。以前記事にしたダイナースなども、ある意味個性的なブレンデッドでした。しっかりとした味わいで良い物が多かったのだなあ、としみじみ感じてしまうのでした。

 

マッカラン 18年 オフィシャル 1978年蒸留

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Macallan 18yo 1978-1996 (OB, 43%)

香りは高貴なシェリー香、プルーン、ダークチェリー、ミドルから良質な麦感、少し醤油と紹興酒のニュアンス、木の皮、ヨモギのようなハーブ感もある。

味わいは染み込むような良質のシェリー樽、生クリームのように柔らかい、カカオ、オレンジオイル、ミドルからはアーシーさが出てくるが重くはない、するすると流れるようなオレンジやチェリーと紅茶が香るフィニッシュ。

【Very Good】

1970年代のオフィシャルマッカランは初めて呑みました。GMのスペイサイドフロムマッカランなどでこの近辺のヴィンテージを飲んだことはあったのですが、自分でもちょっと意外な気がしています。

この年代のマッカランに期待するところといえば、やはり良質なシェリーカスクによる高貴さとヴェルヴェットのような上質な口当たりでしょうか。このボトルはその期待にしっかり応えてくれる味わいで、しかし決して綺麗なだけではない複雑さもあってテイスティングが本当に楽しかったです。

状態が良かったこともあってか、素晴らしい味わいは「期待通り」と言ってしまいましたが、一方でオフィシャルのマッカランはその年代によってそれなりに味の差があることも知られています。特に有名なのは1945年頃、戦時や直後には燃料が不足したことからモルトの乾燥にピートを炊いたことによる、マッカランらしからぬピーティな味わいがあるというエピソード。流石にそのようなマッカランを飲んだことはありませんが、一度は試してみたい年代ならではの個性というものもあります。

 

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マッカラン蒸留所のバックバーより、2012年頃に一斉に樽詰めされた各年代のモルト。マッカラン好きならば一度は垂直テイスティングしてみたいところでしょうか。

 

今回のボトルで言うと、少しアーシーさやヨモギのようなハーブ感が独特で、これもマッカランの中でも少し個性的かも、なんて思いました。勿論他のボトルでもあったりなかったりでしょうが、垂直テイスティングなどで確かめられたら楽しそうですね。って、そこまでするにはちょっと高嶺の花になってしまいましたが……。

Rさん、大変貴重なモルトを経験させて頂きました。ありがとうございます!

 

アバフェルディ シングルカスク 24年 1990-2015

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Aberfeldy Single Cask 24yo 1990-2015 (OB, Cask#6394, 53.5%)

香りはハチミツがけのトースト、マーマレード、グラノーラ、微かに濡れた麦畑のニュアンス。

味わいは柔らかい滑り出しで洋ナシ、続いてハチミツが強く主張、ミドルからトーストや焼いた麦、じわりとホワイトペッパーの刺激、フィニッシュには紅茶とマーマレードが抜ける。

【Very Good】

アバフェルディのシングルカスクはこれまでも幾つかボトリングされているのを見ていまして、ラベルは時期によって多少デザインが異なるものの、2015年ころからはこのようなデザインになっていますね。こちらは24年熟成とかなり長めの熟成期間です。

ひと言でいうと「アバフェルディらしい」という印象。そして美味しい。強めに主張するハチミツ感と少しオイリーさ、そして長熟レンジらしくやや樽が効いており、チャーによるものか焦げ感も良いアクセントになっているようでした。

アバフェルディは21年なども安定して美味しいというイメージがあるものの、通常ラインナップは基本的には46%程度までの加水ボトル。元々そこまで太い線を持つ酒質ではないと思っており、そのせいもあってか飲みごたえはやや緩やかな印象です。そこで物足りないと思う人にはやはりこのあたりのシングルカスクがひとつの答えになるはずです。53.5%とありますが、飲みくちはあまり強さを感じませんでした。

現地のハンドボトルなどでもやはり同系統の味わいのものが用意されているのですが、20年を超えてくる熟成のものは見たことがありませんでした。若い樽だとどうしてもパワフルさに振りまわされてしまうことが多いのですが、このボトルはそのあたりのバランスがとてもいいため頭ひとつ抜けている印象でした。

グレングラント 1952 G&M蒸留所ラベル

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GlenGrant 1952 Distilled (G&M, Distillery Label, 75cl, 40%)

香りはプラム、レーズン、黒糖、高貴さもあるオールドシェリー香、やや工場のような、セメダインのニュアンス。

味わいは緩くライトなタッチ、プラム、ザラメ、ポン菓子の甘さ、軽く柿渋、紅茶、ローストしたカシューナッツのオイリーさ、フィニッシュは緩やかに紅茶のニュアンスが消えていく。

【Good/Very Good】

G&M社の蒸留所ラベルのグレングラント、1952年蒸留ですが年数表記はありません。60年代さえ枯渇していまった現在においては、50年代前半というのはなんとも恐ろしいスペックのモルト……。

香りは良質なオールドシェリー感がふんだんに漂っており、スワリングするごとにこの香りに包まれるのは喜びであります。一方で、味わいはかなり緩めで良く言えばゆるゆるとどこまでも飲めそうな、悪く言えばパンチに欠けて印象が薄い、という感想。個人的にはこのくらいのゆるさは歓迎で、特に1,2杯目にこちらでスタートできたなら素晴らしいでしょうね。

G&Mによるグラントの蒸留所ラベルはこれ以外にも様々なヴィンテージや熟成年数表記のものがリリースされているので、正直どれが良いものなのかがパッと見で判断がつきにくい印象があります。一部のものはかなり濃いシェリーカスクのものもあったり、一方で5年表記などでも昔のものはかなり凄い味わいのものがあったりと幅が広いことも。ある意味、どれもが個性的でそれぞれのキャラクターがあるということなので、グラントにハマる人はきっと幅広く揃えていたりするのでしょうね。

 

最近では2016年にオフィシャルボトルがラベルチェンジを行い、描かれていた二人のオジサンが姿を消してしまうという寂しさもありました。逆に味わいは洗練されて良くなったようですが、あの2人のハイランダーのラベルは「古臭い」ものと感じられてしまったのでしょうかね。

 

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ちなみに、ラベルのおじさん二人は誰かと言うと、1840年にグレングラント蒸留所を創業させたジェームズとジョンのグラント兄弟です。元々は他の蒸留所と同様に密造から始まったようですが、正式に免許を受けて稼働するように。ロセス地区のなかでもひときわ大きい蒸留所となったということでした。

大変貴重なボトルを経験させて頂きました。ありがとうございました!