カテゴリー別アーカイブ: 日記

蒸留所訪問 – 長濱蒸留所

岐阜の方面へ行きたい場所があったため、そこから少し足を伸ばして、かねてより行ってみたかった長濱蒸留所を訪問してきました。

 

DSC04629

日本国内でもウイスキーブームに乗っかる形で各地にクラフト蒸留所の建設が進められているのはご存知の通りかと思います。昨年頃から徐々に建設中などの情報が飛び交っていましたが、そういった蒸留所を差し置いていきなり「蒸留はじめました」と驚かされたのが長濱蒸留所でした。

今年に入り、故障したボイラー修繕のクラウドファンディングがあり、自分もひと口乗りました。その御礼品としてニューメイクなどを頂いたところ、これはかなり良い出来だと思ったため、近いうちに行ってみたいと考えていたところでした。

 

DSC04627
長濱蒸留所、もとは長濱浪漫ビールというクラフトビールの醸造所。レストラン併設の醸造設備の一角にポットスチルが鎮座しているのは、入った瞬間に見て分かるようになっています。銅の鈍色が良いですね。また、エントランスをくぐった瞬間にビール醸造のものとはまた違った香りが漂っている、そう、これはニューメイクの香り。なんとも不思議な空間に足を踏み入れたことが実感できました。

DSC04624
こちらでは蒸留設備とウイスキーメイクについて案内頂けました。細かい内容についてはWhisky Magazineの方に詳しくまとまっているのでそちらをご参照頂くとして、ポットスチルはポルトガルのHOGA製で初留800L+再留400Lという本当に小規模なサイズ感。日本のウイスキーファンには小規模として馴染み深いと思われる秩父蒸留所が2000L+2000Lですので、そのさらに半分、といえばどのくらいの規模かはなんとなく想像できるでしょうか。

 

DSC04610
自分が訪問したタイミングでは蒸留の終わり頃で、初留と再留のテール部分が出てきているところでした。ノージングさせてもらったところ、初留は籾殻を燃やしたものをふやかしたような独特の香り、再留はラバーゴムや溶剤のような香りが出ていました。こういうところは切って捨てるわけですね。なるほど。

ミドルカットを飲ませてもらったところ、品よくまとまったクリアな甘さにレモンのような柑橘感があり、ピートが程よく効いた良い味。このときはライトピートの原酒を仕込んでいました。加水で糊っぽさがでるのは他の蒸留所でも感じた傾向です。ピート感が強すぎず弱すぎずで中々いい塩梅で、若さもうまく救うように一体感がある出来でした。素直に良い原酒だと思います。

ウイスキービジネスに加わった経緯なども伺いましたが、とにかくフットワークが軽く、導入の早さから様々な製造方法や原料の試行錯誤を繰り返すところなど、従来のウイスキー造りとはちょっと違う、まさにハンドクラフトの真髄ここに極まれりといった感じでした。それでいて出来てきたニューメイクはかなりの品質を感じさせるもの。これは熟成後の味わいにも期待してしまいます。

 

DSC04620

熟成は今のところバーボン樽がメイン。そこにミズナラ樽やワイン樽、桜の木を鏡板に用いる樽など、様々な種類でのチャレンジが始まっているそうです。桜の木などはどうなるかが非常に楽しみですね。想像ですが、3年~5年の熟成でかなり仕上がってくるものと思います。

 

DSC04654

今後熟成の過程でどのような味わいになっていくのか興味深いところですが、長濱蒸留所さんの面白い所はその過程をカスタマーに対して公開していこうというプロジェクト。熟成過程でどんな味わいになっていくのかも含め、ウイスキーファンに訴えかける商品づくりを目指しているそうです。ある意味、飲み手側も参加者になれるというか、一緒になって長濱蒸留所を盛り上げていけるのではないでしょうか。

日本にクラフト蒸留所が根付くかどうか、今後の3年ほどが勝負になってくると思います。その中でいち早く体制と品質を確立してきた長濱蒸留所、今後とも応援していきたいと思います。

 

世界のアルコール消費傾向が面白い

ウイスキー界隈で話をしていたら、使われる樽のうちシェリー樽についての話題がありました。

「最近のシェリー樽はスコッチ業界がボデガに依頼してシーズニングをしている」というのはウイスキー関連の情報では有名なところですが、ここでふと疑問が浮かびました。

「シェリー酒って日本だとかなりマイナーだけど、実際どこの国で消費されているものなのだろう?」

上記のシーズニング用シェリーは実際には飲まないそうですが、本当に飲むシェリーはどこで消費されているのだろう? あまり考えたことがなかったのですが、調べてみるとすぐに情報は見つかりました。

sherry-sales-statistics-2014.jpg

International sherry sales statistics 2002-2014    image via Sherry Notes

なるほど、スペイン国内が30%程度で、イギリス、オランダ、ドイツ、アメリカと続くようです。特にヨーロッパ圏が主なようですね。

それにしても、見事に右肩下がり。ボデガも経営が厳しそうです。ウイスキーやその他業界からの樽需要が増えている最近はまだ良いのかもしれません。

 
右肩下がりの理由はいろいろとありそうですが、そういえばここ数年良く耳にするのが、若者のアルコール離れ。これは何も日本に限った話ではないと聞きます。

自分の印象としては、たしかにアルコールは飲まれなくなって来ていますが、それは昔のように「とりあえずビール」や「エチルでもメチルでも持って来い」的な勢いの安くて悪い酒を飲む習慣が無くなってきたためだと思っています。むしろ自分だけのスタイルでこだわりをもって酒を飲む人が増えているような。しかし実態は分かりません。

世界的なアルコール離れというのは本当に起きているのか? 気になったのですがちょっとまとまった情報を見つけることができませんでした。代わりに、WHOが取りまとめた “Global status report on alcohol and health” という資料を見つけました。これの付録に各国のアルコール消費推移がまとめてあり、見ているとなかなかに面白いです。

 

まずは日本

japan2.jpg

japan1.jpg
1990年代前半をピークに消費量は少しずつ減少。特にビールが減少しているようで、代わりにspirits(焼酎? 最近はウイスキーも?)が上昇しています。日本酒はOthersに入りそうですね。多種多様な酒が飲まれているのが分かります。

 

イギリス

uk2.jpg

uk1.jpg
意外と消費量は減ってないですが、ビールはここ最近で激減してきてますね。代わりにワインが台頭してきているのでしょうか。

 

フランス

france2.jpg

france1.jpg
消費量の減少っぷりが凄いです。特に国酒ともいうべきワインが綺麗に消費量と一致しての減少。その他はほとんど変化が無いので、単純にお酒が飲まれなくなっているようです。

 

スペイン

spain2.jpg

spain1.jpg

フランスと同様に消費量の減少が凄い。ワインが減少している代わりにビールが上昇。2000年代前半のスピリッツの激減とその他の急上昇はなんでしょうね? 何か制度が変わったりしたのでしょうか。

 

中東の国などでは、流石のイスラム教。アルコール消費量は少ないです。ほとんどゼロ、なんて国もいくつか。

no1.jpg

 

他にもいろいろな国があり、それぞれに飲まれているお酒が全然違いますね。ビールばかりの国、逆に蒸留酒ばかりの国、まんべんなく飲まれている国。本当にそれぞれのお国柄が出ています。消費量が減っている国もあれば、ここ最近で上昇している国もある。

面白いのは、フランスやスペインではワインの消費量が減り、イギリスやドイツ、ベルギーではビールの消費量が減っていること。どの国でも旧来のものは「古臭い」というようなイメージで敬遠されていくのでしょうか。隣の芝生は青く見えるというか、新しいものが流行っていくのはどこの国も同じなのかもしれません。

でもまたそのうち回帰的なブームがやってきて復活したりとか、巡り巡っていくような気もしますね。日本でもウイスキーは1980年頃までのブームから冬の時代を経て、ここ数年はご存知の通りジャパニーズウイスキーはブーム真っ最中でした。それもいずれまた冬の時代が来るのかもしれません。

それぞれの好きなものを応援していって、各業界がしっかりと継続していていけたら良いですね。

 

クロスレビューサイト ”Tasters.jp” が公開されました

昨年から The Whisky Diver(TWD) というテイスティングのスキルアップを目的とした会に参加しておりまして、そのメンバで、我々飲み手が主体となって各ボトルのレビューを公開していくブログを立ち上げる運びとなりました。

こちらがそのサイト、Taster.jp です。

toppage_banner02-300x300.jpg

Tasters.jp – お気に入りの美酒に出会える、レビューサイト

 

レビュー対象のお酒はウイスキーに限ってはいませんが、まずはTWDメンバのメインであるウイスキーを中心にレビューしています。今後、日本酒なども含めて多種多様な酒のレビューサイトとしていこうと計画中です。

 

DSC07813

TWDでの一コマ. 各人の香味表現の比較など.

 

TWDの目的のひとつに「香味表現の認識を合わせる」というものがあります。

「あの人がいう○○は、自分の感じる○○と同じなのだろうか?」
「もしかしたら△△のことを言っているのではないか?」

ある程度テイスティングに慣れてきた方であれば、誰もが気にする部分ではないでしょうか。公式のテイスティング・ノートと比較する際にもよくあります。こういった差についてしっかりと議論をし、どういう表現が良いだろうか、認識が合っているだろうか、様々な角度から見ていこうと。

こういう飲み手主体の発信をさらに伸ばしていき、Web上で公開していくのがこの Taster.jp です。

 

 

タイムリーな話題としては、ちょうど発売となるニッカの「ブラックニッカ クロスオーバー」について、メンバでテイスティングをしています。皆さんの評価や香味表現とも比べてみていただけると面白いのではないでしょうか。

 

また個人的には、テイスティング以外でも写真を提供させて頂いております。ここに載せたものと被るものもあるかもしれませんが、そうではない写真などもありますので、お目汚し失礼ながら見てやって頂けると幸いです。

まだまだレビューサイトとしては小規模かもしれませんが、今後もっともっとコンテンツを拡充させていきますので、皆さんどうぞご覧になって下さい。

 

本日はワールド・ウイスキー・デー(World Whisky Day) です

top_k_016

みなさん、ウイスキー飲んでますか?

突然ですが、本日、5/20はワールド・ウイスキー・デーです。2012年から始まった記念日ということでかなり新しい部類に入るのですが、なんだかんだでもう5回目。スコッチ業界まわりだと結構浸透してきたようで、海外のタイムラインなどを見ているといろいろなイベントが行われているようです。

そういえば、アイラ島のフェスもちょうどこの時期ですね。アードベッグ・デーやキャンベルタウン・オープンデーも同じくこの時期。なんでしょう、5月はスコットランドが盛り上がる時期なんでしょうか。長い冬が終わり暖かさが感じられるようになってきて、さらに陽の長さもあってゆったりとした夕暮れを過ごせる、たしかにうってつけかもしれませんね。

日本では、やや暑くなってきた今日などはビールの方が美味しかったりもしますが……。せっかくなのでここはハイボールで始めつつ、モルトを頂いたりしてみるのも良いのではないでしょうか。

自分も今日はモルトを一杯いってみようかと。

Slainte mhor

 

宮城峡蒸留所へ行ってきました。

dsc00171

ふと思い立って自転車で旅をしたくなり、山形近辺を巡る旅の途中で宮城峡蒸留所へ寄ってきました。あまり時間が無かったため、ほんのさわりだけの訪問となりましたが、蒸留所がどんな場所にあるのかを知ることはできました。

 

改めて、ニッカの宮城峡蒸留所は仙台から西に25kmほどの場所にある作並温泉のすぐ側にあり、近くの「新川(にっかわ)」川が竹鶴政孝の理想にかなったというのは有名な話です。場所柄そこまで大きな道路も無く、周りには工場や集落もほとんどありませんでした。温泉地とも数キロ離れているため、本当に蒸留所だけがぽつんと建っているような印象です。

 

dsc00124

蒸留所はなるべく自然環境を残して建築するよう竹鶴政孝が命じたため、場内のいたるところに緑が溢れています。池の側にビジターセンターがあり、林の中にウェアハウスが並ぶ。樽を熟成させる環境としては理想に近い場所だというのがひと目見て分かりました。

気温の変化はそれなりに大きいでしょう。一応太平洋側のため、日本海側ほど雪が積もることは無いかもしれませんが、それでも東北地方の山の中、冬は雪化粧というには程遠い厳しい環境だったと思います。一方で夏場は結構な暑さになりますから、寒暖差は激しい。結果として、スコットランドよりも熟成は早く進むことになります。これは他の日本の蒸留所でも同じかとは思いますが。

 

dsc00135

さて、蒸留所のツアーに参加すればひと通りの施設を見学することができました。蒸留工程はモルトウイスキーのためのポットスチルの部分のみで、連続式蒸留機は見ることができませんでした。ちょっと楽しみにしていたのですが、残念。

 

ショップでは限定の商品などが幾つか並んでいました。以前に比べたらラインナップは少なくなっているのかもしれませんが、樽出し51度の限定ラベルや、「モルティ&ソフト」「フルーティ&リッチ」「シェリー&スウィート」などのボトルが販売中。これらは試飲は有料ですが、ノージングだけは無料でできるコーナーがありました(間違っても飲んではいけませんよ)。香りだけでの判断ですが、「フルーティ&リッチ」がかなり好印象。リンゴやバナナなどのフルーツにやや乾いたウッディネス、澄んだ空気の林の中にいるような感覚がなかなか良くできていると思いました。

dsc00121
あっという間に時間が来てしまい退散となりましたが、次に来るときはもう少し周辺も散策してみたいですね。

スコットランド旅行とアイラ島について考える

 

DSC08640

今回のスコットランド旅行では、8年ぶりとなるアイラ島がハイライトだった。最初の海外旅行でアイラ島に行くという、ちょっとした冒険から早8年か、というちょっとした感慨に耽りながらの再訪は、いろいろな変化が目につくことになりました。
アイラ島は、2005年頃からはシングルモルトのブームとともに観光客がかなり増加してきた模様。自分が訪れた2008年頃でもかなりの観光客で賑わっていたが、今回改めて訪れてさらにその数は大きくなったことが良く分かった。風景は大きくは変わらないものの、整備された道路や街の様子を伺うと観光客向けに過ごしやすい場を作ろうとしていることがよく分かる。また、郊外の土地も荒れ地だったところを整備しているところも見られ、色々と環境を変えようとしているのが伺えた。

 

DSC08451
一方で、宿の少なさは相変わらずらしく、観光客が途絶えないことから値段もかなり上がっていた。正直言うと、かなり高い。8年前のほぼ倍の金額だった。それでも予約はいっぱいで、ふらっと行って空いているB&Bはほぼ皆無と考えて差し支えないでしょう。実際には島の外れの方であれば空きもあったりしたのだが、利便性など考えると微妙という結論になってしまった。

 

DSC08644
アイラ島の人口は3400人程度と云われていて、その数は10年前からほとんど変わっていないらしい。その中でもウイスキーに関連した生活をしている人は、実際にはそこまで多くはないはずで、中には静かな暮らしを望んでいる人も多いことと思う。最新号の Whisky World にもちょうどアイラ島特集で同じようなことが書かれていたが、あれだけの小さな島に大量に押し寄せる観光客という比率を考えると、ちょっと異常というかキャパシティオーバーとも考えられる。そういうアンバランスで危うい状況にあるということも考えてしまい、少し複雑な気分になってしまったのも事実でした。

 

DSC09298
一方で変わらないのは、アイラ島の人々の優しさ。B&Bの主人、蒸留所のスタッフ、レジのおばさん、パブのマスター。みんな親切だったし、いろいろと話し相手にもなってくれた。英語は聞き取りづらいこともあるけれども(笑)、自分のひどい英語にもちゃんと答えてくれたのは本当にありがたいです。

 
今後もアイラ島はウイスキーの聖地としてモルトラヴァーを受け入れていくのだと思いますが、何十年先になっても素晴らしいアイラ島を守っていくためには、訪れるこちら側のマナーに依るところが大きいでしょう。自分もまたいつか訪れたいアイラ島、そのためにできることは、マナーを守り善き旅行者であること、人として当たり前のことだけです。

今後のアイラ島の行く末に幸あらんことを祈りつつ、アイラ島とアイラ・モルトに乾杯。

DSC08448

スコットランド旅行2016 8日目

2016/08/18 (木) 曇りときどき雨

全く起きることなく8時間睡眠。自分でも驚いた。

おそらく最後になるフル・ブレックファストを頂き、しかしこの日はやることがない。宿は決まっているので、荷物をまとめたり車を返したりと帰国の準備を済ませる。

 

DSC00466.jpg

少し考え、1時間弱のところにあるグレンケアンの工場へ。ウイスキーラヴァーなら一度は見たことがあるであろうグラスはここで作られているのだった。残念ながら工場内の見学はできなかったが、受付の女性がフレンドリーな対応で、ウイスキーとグラスのことについて色々と話をすることができた。アウトレット商品もいろいろと置いていた。さしずめ、日本だとカガミクリスタルと同じような位置づけにも思えた。

早めに宿に入り、荷物や撮りためた写真の整理。

あとはもう翌日の帰国を待つばかり。

 

2016/08/19 (金) 曇りときどき雨

帰りのフライトでは遅延があったりボトルが割れたりといろいろとトラブルはあったものの、とりあえず五体満足で無事に帰宅となった。割れたボトルについては残念だったけれども、1本のみだったのでまだましな方かと。

 

帰国の途はやはり大変で、また、旅行というのもやはり思った通りにいかないことも多々あり、帰るころには疲れてもう暫く旅行は良いかな、なんて思ってしまいます。

でも、またすぐにあの風景に会いたくなる。またスコットランドの空気に触れたくなる。

撮りためた写真や動画の整理をしていると、旅の楽しさや懐かしさが蘇ってきます。

スコットランドに限らずまだまだ行きたい場所はいろいろとあるけれど、今はもう少し、今回の旅行の余韻を楽しもうと思います。

DSC08938