カテゴリー別アーカイブ: 蒸留所訪問

鹿児島 津貫蒸留所へ (その2)

その1から続き。

蒸留工程の後は熟成庫へ。

DCS05427_28.jpg

PXやOLOと印字されたシェリー樽や、バーボン樽、新樽、鏡板に桜の木材を使った樽など、様々なラインナップが。色々と試しているようですね。樽職人を抱えているわけではないので、基本、樽は外部から買い付けてくるそうですが、本坊酒造といえばワイン事業もありますし、ワイン樽も含めて様々なタイプの樽を揃えるのはお手の物、といったところでしょうか。

 

 

 

DSC05437.jpg

こちらは見学できる熟成庫ということで、積み上げ方もあまり多くはないですし幅広く余裕がとってあります。メインの熟成庫はまた別にあるとのこと。

DSC05429

鏡板から漏れている樽が。少しなめさせてもらったところ、しっかりウイスキーの味でした。

 

DSC05431

桜の木の鏡板を使った樽。和の香りは期待できるか?

 

 

DSC05377.jpg

最後はバーカウンターもあるビジターセンター的な位置づけの、本坊家旧邸の「寶常」へ。奇跡的に戦火を免れた建物は、畳にイギリスのアンティーク家具が配されるなど、大正浪漫あふれる内装が落ち着いた雰囲気でとても良い。小さいながらも良い佇まいの庭園を望みながら、ちょっと一杯、というのも乙なものです。ここはスコットランドの蒸留所のビジターセンターにも決して負けず劣らず、訪れる価値がある場所と言えるでしょう。

 

DSC05368.jpg

設備的には決して大きくはない津貫蒸留所ですが、見どころはかなりたくさんあり、一度は訪れてみる価値があると思います。ウイスキー好きな方でしたら色々と見ているだけで2時間は過ぎてしまうでしょう。バーでは原酒だけではなく様々なラインナップが揃っているので(マルスの30年もありましたよ)、それらを飲むというのも良いかもしれません。

鹿児島空港からは1.5時間、鹿児島市の中央からは1時間ほどでしょうか。決して近くは無いですが、遠すぎるわけでもありませんし、九州の観光も兼ねてぜひ行ってみて下さい。

広告

鹿児島 津貫蒸留所へ (その1)

ふと思い立って、鹿児島の津貫蒸留所に行ってきました。

DSC05378.jpg

長野県の信州マルス蒸留所を抱えている本坊酒造は、もともと鹿児島の南さつまが本拠地。津貫蒸留所はその本坊酒造の創業の土地にあった焼酎蔵を改装して2016年にオープンしました。蒸留所としては新生児ですが、家柄としては由緒正しい赤子といったところでしょうか。

予約なしでも受付を済ませれば自由見学ができるようでしたが、ホームページから予約をしたところ製造スタッフの方に内部を説明して頂けました。あまり人が多くなかったのも幸いだったかもしれません。

 

DSC05380.jpg

まずは蒸留所のシンボルとなっている「津貫」と大きな文字が目立つタワー。元々は甲類焼酎用の連続蒸留器が収められていた建物だったので、このような背の高い建物なのですね。内部は本坊酒造の歴史をまとめた博物館のような佇まい。歴史年表、津貫の説明、昔の単式蒸留器の片割れ、使われなくなった連続蒸留器などなど。

年表はこちらにも記載されていますが、改めて見てみると、本坊酒造がいろいろな酒造りに手を広げながら発展していったことがよくわかります。戦後の復興と発展の流れの中で1949年にウイスキー製造免許を取得、日本ウイスキー界のある意味「裏役」としての立役者となった岩井氏との関係、その後一度停止してしまったウイスキーづくりなど、歴史浪漫が感じられます。

 

DSC05397.jpg

続いて蒸留設備。

入ってまず「あれ?」と思いました。なんというか、ウイスキー蒸留の香りではない、違った香りがする。その疑問は一番最初に顔を見せた蒸留器によって氷解しました。独特の形状をした蒸留器、ジンですね。

DCS05384_85.jpg
津貫蒸留所ではジンの蒸留も行っており、このときはウイスキー蒸留に先立ってジンを蒸留しているところでした。別々のスチルを使っているため味には特に影響しないと思いますが、様々なポットスチルが入り交じっているのはとても面白い絵です。

 

DSC05389.jpg

ジンに使われるジュニパーベリー。こうして見るとたしかに「ベリー」らしく、小粒なブルーベリーといったところ。ひとつ食べさせてもらったところ、ベリー系の甘酸っぱさの奥からジンらしいあの香りがやってきます。なんとなく香りから青い実を想像していたのですが、百聞は一見にしかず、ですね。

 

DSC05392.jpg

先程のジンの蒸留器はイタリア製でしたが、ウイスキー用のポットスチルは三宅製作所のもの。まだ新しくピッカピカです。やや小さいですが、特に右側なんかはラガヴーリンに似た形状ですね。ラインアームは下向きで、重めの酒質を狙っているのでしょうか。

ひとつだけやたら古めかしい小さな蒸留器がありますが、これは昔のウイスキー蒸留器の片割れだそうです。もうひとつの片割れは、先程の蒸留塔跡の中に鎮座していました(古すぎて使えないらしい)。いずれ新しいポットスチルもこのような年季の入った色合いになるのでしょうか。

 

その2に続きます。

蒸留所訪問 – 長濱蒸留所

岐阜の方面へ行きたい場所があったため、そこから少し足を伸ばして、かねてより行ってみたかった長濱蒸留所を訪問してきました。

 

DSC04629

日本国内でもウイスキーブームに乗っかる形で各地にクラフト蒸留所の建設が進められているのはご存知の通りかと思います。昨年頃から徐々に建設中などの情報が飛び交っていましたが、そういった蒸留所を差し置いていきなり「蒸留はじめました」と驚かされたのが長濱蒸留所でした。

今年に入り、故障したボイラー修繕のクラウドファンディングがあり、自分もひと口乗りました。その御礼品としてニューメイクなどを頂いたところ、これはかなり良い出来だと思ったため、近いうちに行ってみたいと考えていたところでした。

 

DSC04627
長濱蒸留所、もとは長濱浪漫ビールというクラフトビールの醸造所。レストラン併設の醸造設備の一角にポットスチルが鎮座しているのは、入った瞬間に見て分かるようになっています。銅の鈍色が良いですね。また、エントランスをくぐった瞬間にビール醸造のものとはまた違った香りが漂っている、そう、これはニューメイクの香り。なんとも不思議な空間に足を踏み入れたことが実感できました。

DSC04624
こちらでは蒸留設備とウイスキーメイクについて案内頂けました。細かい内容についてはWhisky Magazineの方に詳しくまとまっているのでそちらをご参照頂くとして、ポットスチルはポルトガルのHOGA製で初留800L+再留400Lという本当に小規模なサイズ感。日本のウイスキーファンには小規模として馴染み深いと思われる秩父蒸留所が2000L+2000Lですので、そのさらに半分、といえばどのくらいの規模かはなんとなく想像できるでしょうか。

 

DSC04610
自分が訪問したタイミングでは蒸留の終わり頃で、初留と再留のテール部分が出てきているところでした。ノージングさせてもらったところ、初留は籾殻を燃やしたものをふやかしたような独特の香り、再留はラバーゴムや溶剤のような香りが出ていました。こういうところは切って捨てるわけですね。なるほど。

ミドルカットを飲ませてもらったところ、品よくまとまったクリアな甘さにレモンのような柑橘感があり、ピートが程よく効いた良い味。このときはライトピートの原酒を仕込んでいました。加水で糊っぽさがでるのは他の蒸留所でも感じた傾向です。ピート感が強すぎず弱すぎずで中々いい塩梅で、若さもうまく救うように一体感がある出来でした。素直に良い原酒だと思います。

ウイスキービジネスに加わった経緯なども伺いましたが、とにかくフットワークが軽く、導入の早さから様々な製造方法や原料の試行錯誤を繰り返すところなど、従来のウイスキー造りとはちょっと違う、まさにハンドクラフトの真髄ここに極まれりといった感じでした。それでいて出来てきたニューメイクはかなりの品質を感じさせるもの。これは熟成後の味わいにも期待してしまいます。

 

DSC04620

熟成は今のところバーボン樽がメイン。そこにミズナラ樽やワイン樽、桜の木を鏡板に用いる樽など、様々な種類でのチャレンジが始まっているそうです。桜の木などはどうなるかが非常に楽しみですね。想像ですが、3年~5年の熟成でかなり仕上がってくるものと思います。

 

DSC04654

今後熟成の過程でどのような味わいになっていくのか興味深いところですが、長濱蒸留所さんの面白い所はその過程をカスタマーに対して公開していこうというプロジェクト。熟成過程でどんな味わいになっていくのかも含め、ウイスキーファンに訴えかける商品づくりを目指しているそうです。ある意味、飲み手側も参加者になれるというか、一緒になって長濱蒸留所を盛り上げていけるのではないでしょうか。

日本にクラフト蒸留所が根付くかどうか、今後の3年ほどが勝負になってくると思います。その中でいち早く体制と品質を確立してきた長濱蒸留所、今後とも応援していきたいと思います。

 

軽井沢蒸留所 最後の一般公開

tumblr_inline_nwtwx8zspz1so1izs_540
軽井沢蒸留所へ行ってきました。

2012年に閉鎖された軽井沢蒸留所の、機材搬出前の最後の一般公開が10/25にありました。今まで訪れたことが無かったので、折角の機会ならばということで行ってきました。最初で最後の軽井沢蒸留所の訪問です。

 

tumblr_inline_nwtwxxcGzS1so1izs_540.jpg
メルシャンの美術館跡地と並んで建てられていた蒸留所の佇まいは、軽井沢という別荘地にとてもマッチした外観でした。元の建物自体はコンクリート製の無骨なものだったのかもしれませんが、建物全体を覆う蔦のおかげである種の異国情緒を感じさせます。これが石積みの建物であったのならば、間違いなくスコットランドの光景だっただろうと。

蔦の絡まる外観で真っ先に思い出したのは、ブレア・アソール蒸留所でした。かの蒸留所も、古き善き観光地にあり明媚な建屋が印象的でしたが、軽井沢蒸留所も負けず劣らず。周囲の紅葉も良い雰囲気を出していました。

 

tumblr_inline_nwtx6q0Zvl1so1izs_540.jpg
既に稼働が止まって3年、発酵槽は腐り貯蔵庫はがらんどう。事務室も含めて比較的綺麗ではありますが、廃墟となりつつある侘びしさがいたるところに漂っていました。

 

tumblr_inline_nwtx7a3OvE1so1izs_540.jpg
稼働が止まっているおかげで、普段は見れないような場所までどこでも見れました。モルトミルのレバーを撫で、古いコンピュータのキーを押し、ポットスチル裏側から中を覗き込むなど、普段では経験できないようなものばかりでした。

 

tumblr_inline_nwtx896yGY1so1izs_540.jpg

傷みが激しい機材は仕方がないですが、一部の設備はガイアフローの静岡蒸留所に引き継がれるそうですね。今後のウイスキー事業にどのように引き継がれていくのか、将来が楽しみではありますが、軽井沢蒸留所の跡地はどうなってしまうのかが気になりました。町役場の新庁舎が建つとのことなのですが、現在の建物自体は取り壊されてしまうのでしょうか。あの外観は良いと思っただけに、なんとかウェアハウスだけでも残したりできないかな、などと思ったのでした。

 

tumblr_inline_nwtx95nvXn1so1izs_540.jpg

ウイスキーミュージアム

九州旅行の途中で、行ってみたい場所がありました。

tumblr_inline_ns2g7jTW2M1so1izs_540.jpg大分は日田にあるウイスキーミュージアム。

ウイスキーのボトルも多いですが、それ以上に関連するグッズ、ポスターやコースター、人形などの置物、什器、食器など、ウイスキーに関連するあらゆるものがコレクションされています。こういう博物館は珍しい、というか世界でもここしかないそうです。

館長は中学生の頃からウイスキーの格好良さに憧れ、様々なグッズを集めるようになったそうです。以来30年以上にわたってのコレクションがところ狭しと並べられていました。

 

tumblr_inline_ns2g8a2xbM1so1izs_500.jpg
中央にドーンと鎮座する、余市蒸留所の最初期のポットスチル。ジョニーのおっさんの大きな人形などが目を引きますが、細かいものも本当に興味深いものばかりでした。

 

tumblr_inline_ns2g8v7yai1so1izs_500
それにしても、よくぞここまで集めたものですね…。館長ともいろいろお話をさせてもらって、本当にウイスキー好き、コレクション好きなんだなあ、というのがよく分かりました。

まだまだ秘蔵のものがたくさんあるそうです。次に訪れる時にも楽しみにできそうです。

キリン富士御殿場蒸留所

自転車でキリンの富士御殿場蒸留所まで行ってきました。

tumblr_inline_ne0uz7palo1so1izs.jpg

そういえば一番近い蒸留所なのに行ったことなかったな、と。折角近場なのだから行ってみよう、蒸留所見学は事前に予約となっていたけれどとりあえず外観だけでも見てみようか、という考えでということで突発的にGo。

ルートは、ひたすらR246を下っていくことに。このR246ルート、ちょっとした発見がありました。こちらは別途まとめるとして、とりあえず何も問題なく2.5時間ほどで御殿場蒸留所に到着。

蒸留所見学をお願いしたら、1名なら大丈夫だったようで何とか受け付けてもらえました。感謝!

 

tumblr_inline_ne0uzwkcwG1so1izs.jpg

見学コースは、1)プロジェクションマッピングによるムービー -> 2)コース見学(発酵~蒸留、樽熟、ボトリング工程) -> 3)試飲 といったお決まりのパターンで60分ほど。結構しっかりとした説明もあり、ムービーもよく作ってあって、見学に力入れているのが分かるな、といった印象でした。

そう、(1)のムービーなのですが、これが凄かったというかちょっとした発見でした。今回一番前に座ったのですが、大画面の迫力というのを久しぶりに堪能した気がします。映画館ともちょっと違う気がするのは、恐らくかなりの横長な画面のおかげで、視界に収まりきらないくらいの範囲に映像が流れているんですね。そのためか、映像への没入感が凄くて、自然の風景とかだとその中に入り込んで居るんじゃないか、と本当に思えてくるようで、ちょっとした感動がありました。ムービー自体は、ちょっと演出がクサい(笑) ところもありましたが、でも良い出来だったと思います。

 

tumblr_inline_ne0v0liAig1so1izs.jpg

さて、試飲はアルコールNGなのでジュースをもらい、販売所を眺めてみると、蒸留所限定のボトルや、シングルグレーン27年シングルカスクなどがありました。シングルカスクはお値段凄かったな……。試飲でも値段が凄いことになってました。

その後もふらふらと寄り道しながら帰宅。御殿場周辺は、幹線道路以外は車通りも多くなくて良いですね。アップダウンがそれなりにあるので、あっちこっち寄り道するのは少し大変ですが。

もう一つ面白かったのが、「アバディーンスタジオ」という名前のギャラリーを見かけたと思ったら、そのうち「カット&ヘアー アバフェルディ」という店があって、次は何が出るんだ流れ的にアベラワーか? とかとか。蒸留所もあるし、ミニチュア版スコットランド目指していたり……まさかね。