カテゴリー別アーカイブ: 蒸留所訪問

台湾 南投蒸留所への行き方

台湾の南投蒸留所は、台北からかなり離れていることもあって行き方がわかりづらい。お隣とはいえ他国の交通事情はなかなか分からないところが多いです。今回の訪問にあたっては色々と調べましたので、こちらでまとめてみます。

そもそもすべての元凶は、台湾高速鉄道HSRの止まる「高鉄台中駅」と、バスや台鉄の電車が止まる「台中駅」が別ものであること。このおかげでかなり分かりにくくなっている節があります。まあ、横浜と新横浜みたいなものですね。距離的にも似たようなもので、この間の移動は15分程度の時間がかかります。

 

とにもかくにも台北から台中まで行かなければならないですが、ここで幾つかのパターンに分かれます。そのなかでオススメは以下の2パターン。

・時間を節約:台湾高速鉄道HSRを使うパターン
・お金を節約:高速バスを使うパターン

 

時間を節約:台湾高速鉄道HSRを使うパターン

時間を重視するならHSRで高鉄台中駅→統聯客運バス#1657で「軍功里」まで。うまく接続できれば待ち時間もほとんどありませんが、本数があまり多くないので時刻表と突き合わせて見る必要があります。

時刻表はこちらの統聯客運のページを参照してください。(2017年11月現在)

HSRの切符は当日でも自由席ならすぐ購入できます。クレジットカードの利用もOK。日本の新幹線と同じように、みどりの窓口のような場所があるので、窓口、自動券売機どちらかで購入。台中までは635台湾ドルでした。

発車15分前くらいにプラットホームに行くと、自由席にはかなりの列ができていましたが座ることができました。ただ、立つ人も出るくらいでしたので結構混雑します。1時間程度なので立つのもギリギリ我慢できるくらいかと思います。

高鉄台中駅で改札をでた後、一階にあるバス発着所へ。南投蒸留所に一番近い停車場は「軍功里」で、路線番号は#1657。案内所で訊くと、4番から出発とのこと。乗り方が分からなかったのですが、どうやらここはバスの乗車口で前払いらしい。85台湾ドル。小銭を持っていないと面倒なので、事前に崩してもらっておくとスムーズです。所要時間は50分ほどでの到着でした。車両は高速バスに使われるタイプらしく、シートの座り心地はかなり良かったです。

 

お金を節約:高速バスを使うパターン

料金を安くすませるなら、高速バスで台中駅→總達客運バス#6333で「軍功里」。高速バスは使わなかったので正確なことは分かりませんが、だいたい2.5時間ほどのようで値段は200台湾ドルほどとか。かなり安く抑えられるのと共に、台中駅での接続に選択肢が多いのがメリット。#6333はほぼ20分ごとに運行しているので、ひどく待たされることはないでしょう。軍功里までは75分程度で料金は90台湾ドル。バスの車体はいかにもローカル線らしく、かなりガタガタと揺れて座り心地は良くなかったです。とはいえ、普通くらいだとは思います。

時刻表はこちらの總達客運のページを参照してください。(2017年11月現在)

 

 

帰りも上記のどちらかがオススメです。事前に台鉄の普悠瑪号の特急券がとれるならそれもありですが、ネット上ですぐに売り切れていて取るのが難しいし、帰りの時間が読めないことも多いでしょう。同じく特急の自強号は、あまり時間的に早くなくメリットがないのでさらにオススメしません。

とにかく一番避けるべきなのは、高鉄台中駅と台中駅を移動すること。HSRを利用するメリットが待ち時間や移動で消えてしまうのでオススメしません。HSRは往復で買っても割引にならなかったので、片道だけ買って臨機応変に対応できるようにしておくのが良いでしょう。

 

軍功里の停留所から南投蒸留所へは、歩いて15分強の距離。停留所を降りたら南投の方向へ少し歩くと、左へ向かう道路(東山道)が見えます。角には随分新しそうなセブンイレブンが建っていました。もし無くなっていたとしたら、こちらの看板を参照。

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暫く歩くと、Nantou Winery の看板が見えますので、左折すれば建物が見えてきます。

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蒸留所は8:30~17:00のオープン。朝早くから開いているのは良いところですが、流石にツアーなどはすぐには始まらず10時くらいからスタートのようです。スタッフは皆さんフレンドリーでしたので、何かわからないことがあったら聞いてみるのが良いでしょう。

 

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台湾 南投蒸留所の訪問記録

台湾ではカヴァランに続いて南投ワイナリーが2010年からウイスキー蒸留を始めています。カヴァランと比較するとまだまだマイナーではありますが、ここ数年は日本でもウイスキーイベントで良く見かけるようになってきて、知名度がかなり上がってきています。

自分は2年ほど前に知り合いが台湾土産で飲んだのが初めてでした。いわゆる地ウイスキー的なものかと考えながら飲んだのですが、思ったよりも洗練された味わいでなかなか良い造り。ワイナリーらしくいろいろな樽があるようで、ブランデーやライチ酒の樽など、ちょっと変わり種も揃っています。

南投蒸留所は、台北から台中市に移動してさらに1時間ほどバスでかかる場所にあるため、かなり行きにくいのが正直なところ。行き方については別記事にまとめますので、そちらをご参照ください。

南投蒸留所については、写真を通じてその様子を感じて頂ければと思います。

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カヴァラン蒸留所への行き方

ここでは、台北からカヴァラン蒸留所への行き方をまとめてみます。

カヴァラン蒸留所がある最寄り駅の宜蘭駅までは、台湾鉄道の在来線(TRA)と高速バスの2パターンがあります。

在来線(TRA)を利用する場合

特急電車を使うのが良いでしょう。さすがに各駅停車では時間がかかりすぎてしまいます。

特急券は2週間前から次のサイトで予約することができます。

http://railway.hinet.net/ja_JP/net_eng.htm

こちらのサイトで、使いたい時間帯を絞って列車番号を調べておいて、上の予約サイトで「列車番号で往復乗車券予約」を使いました。

http://twtraffic.tra.gov.tw/twrail/TW_Quicksearch.aspx

予約にはパスポート番号が必要です。予約が取れたあとはそのまま指示に従っていくとクレジットで決済する画面に進みます。クレジット決済が済んだあと、支払い完了のページが表示されるので、そのページを印刷して持っていって下さい。「このページを印刷して持っていけ」という表示が出てきます。

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印刷した紙とパスポートを台北のTRA窓口に持っていけばチケットを発行してもらえます。が、この窓口、常に結構な行列ができているようなので注意を。自分も15分くらいは並びました。

 

【注意】予約可能な席は2週間前のオープンからあっという間になくなります。という話をウイスキー仲間が教えてくれていたのですが、本当にあっという間になくなりました。カヴァランへの宜蘭往復は取れたのですが、翌日の南投行きを取ろうと思ったら既になくなっていました。

列車は「普悠瑪(ぷゆま/ピューマ)号」が1時間少々と速くてオススメです。「自強号」は1時間半前後かかります。値段は同じ(片道218台湾ドル)なので可能なら前者を。

席が取れない場合でも「自強号」なら現地でチケットを買うことはできます。ただしその場合は「無座」となり席がありません。聞くところによると席が空いていれば座れるがチケットを持っている人が来たらどかなければならない、というシステムのようです。「普悠瑪号」の場合は無座のチケットは無いようです。

 

高速バスを利用する場合

自分は利用しなかったので詳細は分からないのですが、幾つかの路線があり基本的には台湾のメインステーション近くにあるバスターミナルなどから発着しているようです。料金は120~130台湾ドル。

カヴァラン・スタッフの話によると、時間は1時間程度でかなり早いそうです。本数も15分に1本程度あり、当日にバスターミナルに行けば乗れるということで、こちらの方が一般的に利用されているようです。

これらの情報だけ見ると、電車のメリットはあまり大きくないですね。バスもちゃんと座れるでしょうし、交通渋滞の影響はあるかもしれませんがよほどのことがなければ限定的でしょう。

 

宜蘭駅からはタクシーで

宜蘭駅の駅前にはタクシーが並んでいますので、「金車蒸留所」という紙を見せれば分かってもらえました。「アー、ウイスキー!!」と返事してましたので、ウイスキーとだけ言っても伝わりそうです。15分程度の道のりで料金は270台湾ドルかかりました。

帰りはビジターセンターでタクシーを呼んでもらうことができます。

 

以上です。お役に立てば幸いです。

 

台湾旅行 カヴァラン蒸留所訪問記 その2

一通り案内していただいた後は、ビジターセンターのカフェで試飲をしながらいろいろとお話をさせていただきました。

以下はあくまでも私的な会話ですので、これがカヴァランの公式見解ではありません。私が意味を誤ってとらえていることもありますので、参考程度にお願いします。

 

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――とても大きい蒸留所で圧倒されました。ウイスキー事業を始める際に、もっと小さい規模からスタートする、という考えはなかったのでしょうか?

台湾を見て頂ければ分かると思いますが、ここには大きなウイスキー市場があります。また、世界的にもシングルモルトが盛り上がってきていた時期でした。もちろん入念なリサーチは行ったと思いますが、この規模のウイスキー事業は問題なくいけるとトップは考えたようです。

KingCarは、何事も大きくやっていこうという考え方があります。最初から大きな市場を見据えていましたので、ポットスチルも大規模蒸留所と同じくらいのサイズをスコットランドのフォーサイス社に発注しました。

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ポットスチルやスピリッツセーフはフォーサイス製

 

――台湾はウイスキー市場がとても大きいのですが、みなさん良くウイスキーを飲むのですか?

そうですね、結構飲みますよ。台湾人は本当にウイスキーが好きで、世界でもトップクラスの市場があります。でも、暑いときはやはりビールですね(笑) ビールに氷をいれて飲んだり……日本ではやらないとは思いますが。

――ベトナムでは良く飲みましたよ、氷入りのビール。向こうでは普通はビールが冷えていないですからね。でも、台湾ではほとんどの場所でビールは冷やされて出てきますから美味しく飲めました。

台湾の人は酒を飲むのが好きな人が多いですよ。乾杯を何回もやったりね。

 

――モルトは海外産(イギリス産)とのことでしたが、その理由は?

台湾は気候の問題で大麦を育てるのには向いていません。麦は寒いところで育つものですから。品質の高い大麦を確保するためにはイングランドやスコットランドから輸入するのが一番です。ピートを炊いたモルトも輸入しています。蒸留所の外観ではパゴダが見えたと思いますが、残念ながらあれは飾りです(笑)

 

――カヴァランは樽の処理がとても巧いように思います。何か秘訣はあるのでしょうか?

質の良い樽を買い付けてくることも重要ですが、もうひとつ重要なのは樽の再利用です。この敷地内に樽をリメイドできる設備があり、また、樽のトーストやチャーなどにもかなりの研究を重ねています。最終的には人手で組上げとチェックを行っていて、そのための技術者を育てています。そうしたトータルでの樽へのこだわりを持っています。

現在ではもう一般的だとは思いますが、樽の管理にはQRコードを使い、定期的なチェックも効率的に行えるようになっています。樽番号も分かりやすいですよ。先ほどお教えしましたが……

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――はい。最初のアルファベットが樽の種類(R:リフィル、B:バーボン、S:シェリー etc…)でその後に月、日、1日の通し番号が3桁、でしたね。

そうですそうです。シングルカスクのカヴァラン・ソリストにはラベルにこの樽番号が記載されていますので、いつ蒸留されたどんな樽かが分かるようになっています。

 

――工場内にはあまり人がいないように見えましたが、何名くらいの方がここで働いているのでしょうか?

だいたい150人ほどでしょうか。ただ、ここにあるのはウイスキー事業だけではありませんので、ウイスキーの製造に関わっているひとはもっと少数です。20人くらいだと思います。各作業はほとんどが自動ですが、ニューメイクは定期的に人が官能チェックを行っているなど、要所要所では必ず人手が入ります。

 

――そういえば、カヴァランは2017年のベスト蒸留所(Spirits Producer of the Year)に選ばれたんですね。おめでとうございます。

ありがとうございます。つい先日のことですが、とても名誉ある賞を頂けました。現在カヴァランは年間で100万人以上のビジターがあります。さきほどバスが何台も来ていたのを一緒に見ましたね? 観光にはちょうどいい立地というわけです。そして、カヴァランのブランドをもっと知ってもらうためにもたくさんの訪問者を受け入れています。ほら、下の試飲スペースも盛り上がっていますよ。

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1Fが売店と試飲スペース。2Fにカフェがあるビジターセンター

 

――日本には何回もいらっしゃっているのでしょうか?

ええ、もう結構な回数になりました。そういえば、明後日にも行きますよ。ウイスキーフェスティバル(11/26開催)に参加します。

――(聞くと、自分のフライトと同じでした。なんと奇遇な。)当日のフライトとは、大変ですね……。そういえば、来月でしたか、台湾でもイベントがありますよね。

はい、南の高雄で Whisky Fair がありますので参加予定です。日本からもお越しになる方がいらっしゃると聞いていますよ。台湾でもあちこちでウイスキーイベントがありますので、ぜひ台湾観光とともにウイスキーイベントに参加してみてほしいですね。

 

 

カフェを後にして、帰りのタクシーが車での間に再び敷地内を歩いてみました。雄大な自然を眺めながら、しかし一方で技術の粋を集めたかのようなウイスキーづくりをしている。各行程の効率化や品質コントロールの技術、そしてなにより熟成が早い台湾の気候が大きなアドバンテージになっていて、平均5年ほどでこれほどの品質のものがリリースできるというのは、熟成期間が比較的長いスコッチ・ウイスキーにとっては大きな驚異でしょう。

カヴァランが作るのは、大量生産だが安物っぽさは感じさせない本格派のウイスキー。それはグレーンを作らずシングルモルトだけで勝負していく姿勢からも明らか。大量生産できるグレーンを使えばもっと安価にすることも可能ですが、目指す品質にはあたわないのでしょう。説明のなかで何回も出てきた「品質」という言葉。彼らのウイスキーは、これからますます素晴らしい品質のウイスキーを世界に提供しようとしています。カヴァランは本気で世界のウイスキー市場を狙っている。そんな気概をひしひしと感じながら、蒸留所を後にしたのでした。

 

台湾旅行 カヴァラン蒸留所訪問記 その1

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2008年にオープンしたカヴァラン蒸留所は、2012年から各種の世界的な賞に輝いて以来、常にトップクラスの品質を保ち続けています。まだ10年にも満たない台湾のウイスキー蒸留所がどんなところにあるのか、以前から気にはなっていたのですが、今回ようやく訪れることができました。

この記事では蒸留所の訪問記録についてまとめています。カヴァラン蒸留所への行き方については別記事にまとめてみたいと思います。

 

台湾の中心地台北から、カヴァラン蒸留所がある東部の宜蘭(イーラン)までは特急列車で約1時間という小旅行にはちょうど良い場所。出発こそ地下のホームなので風情は感じられないものの、途中からは山を抜け海を望む風景が広がり、旅らしさも感じることができるルートです。さしずめ、東京から熱海に向かうようなものでしょうか。

朝10時に宜蘭の町に到着。そこまで大きな駅舎ではありませんでしたが、観光客はそれなりに来る場所のようです。しばらく時間を潰そうとぶらぶらしていると、駅にほど近い場所には市場が。かなり猥雑な感じで、観光向けではなくどちらかといえば現地の人に向けた食材を売っている場所のようです。ほとんどの場所が他所者のことなんか知らん的な雰囲気があり、その土地ならでは感があるのが逆に良い。

昼食を地元の食堂ですませたあとはカヴァラン蒸留所へ向かいます。駅からはタクシーが便利、というか実質的にタクシーしか選択肢がありません。バスもあるようですがあまり本数が多くないのと、停留所がかなり離れているようなのでお勧めできません。15分程度で270元という道のりでした。

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駅から離れるにつれて徐々に田舎らしい風景が。5分も走れば周りには民家と田畑、遠くに雄大な山々がそびえる光景、のんびりとした田園風景です。

 

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周りにはほとんど大きな建物がないところに、カヴァラン蒸留所だけがどっしりと構えている。エントランスを抜けてビジターセンターまで向かってもらうと敷地内をぐるりと巡ることになるのですが、これがかなりの広さ。日本の蒸留所と比べても御殿場や余市よりも格段に大きく、白州と同じくらいはありそうな。たくさんの木が植えられているのを横目に見ながら敷地内を抜けていきます。

13時、コンベンションセンターでKingCarグループの紹介ビデオを見た後、2人の方と挨拶を交わしました。お二人はカヴァランのスタッフで、今回は知人の協力で敷地内を案内していただけたのでした。この場を借りて感謝を。ありがとうございます。

 

DSC06042.jpg敷地をぐるりと巡りながら順に設備を案内して頂き、まずは天然水のボトリング設備へ。ここは白州蒸留所と同じように天然水の工場があるのです。水はウイスキーにとっても命。背後にそびえる山々のきれいな水を使っているとのこと。カヴァランがここに建設されたのもこの水があったからだそうです。水の重要さはどこでも変わりませんね。

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続いては樽工場。樽のトーストが半自動で行われている様子が外から見えました。また、内部では樽の解体製造している様子が遠目ですが見えます。全体の工程の中でここが一番人が多いように見えました。

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DSC06048.jpgメインとなる蒸留設備は、現在2棟に分かれています。最初に建造された第1棟(キルンが目立つ建物)では蒸留器が当初は2ペア4基でしたが、2016年1月に2ペア6基を増設し合計5ペア10基に。さらに裏手には第2棟(上の写真2枚)が完成しており、こちらにも5ペア10基と、大きな生産力になっていました。年間生産力はボトル1000万本分。それだけウイスキー需要があると見込んでいるのでしょう。

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第2棟の内部は見れませんでしたが、第1棟はフリーの見学コースになっています。糖化槽発酵槽が並び、続いてポットスチルが並ぶスペースが見えてきます。最初に設置されたポットスチルは右手側に。

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そして左手側には、3ペア6基のポットスチルとともに、ドイツ製のものというスチルが並んでいました。

 

DSC06111.jpgそのさらに奥には熟成庫があり、1階部分を見ることができます。これが庫全体では5階あり、樽の種類によって配置を決めているそうです。低い階層は温度が比較的低く、ここにはバーボン樽を配置。一番上は平均で40℃以上にもなり、主にシェリー樽を配置しています。熟成の早さの鍵はこのような熟成庫の構造にもありそうです。

その2に続きます。

鹿児島 津貫蒸留所へ (その2)

その1から続き。

蒸留工程の後は熟成庫へ。

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PXやOLOと印字されたシェリー樽や、バーボン樽、新樽、鏡板に桜の木材を使った樽など、様々なラインナップが。色々と試しているようですね。樽職人を抱えているわけではないので、基本、樽は外部から買い付けてくるそうですが、本坊酒造といえばワイン事業もありますし、ワイン樽も含めて様々なタイプの樽を揃えるのはお手の物、といったところでしょうか。

 

 

 

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こちらは見学できる熟成庫ということで、積み上げ方もあまり多くはないですし幅広く余裕がとってあります。メインの熟成庫はまた別にあるとのこと。

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鏡板から漏れている樽が。少しなめさせてもらったところ、しっかりウイスキーの味でした。

 

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桜の木の鏡板を使った樽。和の香りは期待できるか?

 

 

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最後はバーカウンターもあるビジターセンター的な位置づけの、本坊家旧邸の「寶常」へ。奇跡的に戦火を免れた建物は、畳にイギリスのアンティーク家具が配されるなど、大正浪漫あふれる内装が落ち着いた雰囲気でとても良い。小さいながらも良い佇まいの庭園を望みながら、ちょっと一杯、というのも乙なものです。ここはスコットランドの蒸留所のビジターセンターにも決して負けず劣らず、訪れる価値がある場所と言えるでしょう。

 

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設備的には決して大きくはない津貫蒸留所ですが、見どころはかなりたくさんあり、一度は訪れてみる価値があると思います。ウイスキー好きな方でしたら色々と見ているだけで2時間は過ぎてしまうでしょう。バーでは原酒だけではなく様々なラインナップが揃っているので(マルスの30年もありましたよ)、それらを飲むというのも良いかもしれません。

鹿児島空港からは1.5時間、鹿児島市の中央からは1時間ほどでしょうか。決して近くは無いですが、遠すぎるわけでもありませんし、九州の観光も兼ねてぜひ行ってみて下さい。

鹿児島 津貫蒸留所へ (その1)

ふと思い立って、鹿児島の津貫蒸留所に行ってきました。

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長野県の信州マルス蒸留所を抱えている本坊酒造は、もともと鹿児島の南さつまが本拠地。津貫蒸留所はその本坊酒造の創業の土地にあった焼酎蔵を改装して2016年にオープンしました。蒸留所としては新生児ですが、家柄としては由緒正しい赤子といったところでしょうか。

予約なしでも受付を済ませれば自由見学ができるようでしたが、ホームページから予約をしたところ製造スタッフの方に内部を説明して頂けました。あまり人が多くなかったのも幸いだったかもしれません。

 

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まずは蒸留所のシンボルとなっている「津貫」と大きな文字が目立つタワー。元々は甲類焼酎用の連続蒸留器が収められていた建物だったので、このような背の高い建物なのですね。内部は本坊酒造の歴史をまとめた博物館のような佇まい。歴史年表、津貫の説明、昔の単式蒸留器の片割れ、使われなくなった連続蒸留器などなど。

年表はこちらにも記載されていますが、改めて見てみると、本坊酒造がいろいろな酒造りに手を広げながら発展していったことがよくわかります。戦後の復興と発展の流れの中で1949年にウイスキー製造免許を取得、日本ウイスキー界のある意味「裏役」としての立役者となった岩井氏との関係、その後一度停止してしまったウイスキーづくりなど、歴史浪漫が感じられます。

 

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続いて蒸留設備。

入ってまず「あれ?」と思いました。なんというか、ウイスキー蒸留の香りではない、違った香りがする。その疑問は一番最初に顔を見せた蒸留器によって氷解しました。独特の形状をした蒸留器、ジンですね。

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津貫蒸留所ではジンの蒸留も行っており、このときはウイスキー蒸留に先立ってジンを蒸留しているところでした。別々のスチルを使っているため味には特に影響しないと思いますが、様々なポットスチルが入り交じっているのはとても面白い絵です。

 

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ジンに使われるジュニパーベリー。こうして見るとたしかに「ベリー」らしく、小粒なブルーベリーといったところ。ひとつ食べさせてもらったところ、ベリー系の甘酸っぱさの奥からジンらしいあの香りがやってきます。なんとなく香りから青い実を想像していたのですが、百聞は一見にしかず、ですね。

 

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先程のジンの蒸留器はイタリア製でしたが、ウイスキー用のポットスチルは三宅製作所のもの。まだ新しくピッカピカです。やや小さいですが、特に右側なんかはラガヴーリンに似た形状ですね。ラインアームは下向きで、重めの酒質を狙っているのでしょうか。

ひとつだけやたら古めかしい小さな蒸留器がありますが、これは昔のウイスキー蒸留器の片割れだそうです。もうひとつの片割れは、先程の蒸留塔跡の中に鎮座していました(古すぎて使えないらしい)。いずれ新しいポットスチルもこのような年季の入った色合いになるのでしょうか。

 

その2に続きます。