カテゴリー別アーカイブ: 雑記

パラフィルム実験続報

先日はじめたパラフィルムの実験の続報です。

15日ほど経っていますが、今の所は水量の変化はほとんどど見られません。水は放っておけば蒸発するわけですが、それにしてもボトルの口があまり大きくないので空気と触れる部分が小さく、蒸発しにくい状態ではあります。まあ当然といえば当然ですね。洗面器のように空気に触れる部分が広ければもっと蒸発しやすいと思います。

それはさておき、気になったのはパラフィルムの内側に水滴がついていることです。

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外部と内部の温度や湿度の差などで内部の水蒸気が外側に出ようとしているようですが、パラフィルムがこれを止めていることが分かります。となると、パラフィルムは水分を通さない、という結論にしても良いのでしょうか。

これは少々難しいところです。「完全に通さない」ことと「ほとんど通さない」ことの差は結構大きいからです。水蒸気を「ほとんど通さない」ところに水蒸気があつまって水滴になる程度の大きさに結合しているだけかもしれません。

よくよく考えてみれば、もう1セットフタをしないものを比較用に準備しておくべきだったかもしれません。蒸発量の比較をとれば、どの程度蒸発を防げるのかが分かるはずですから。今から実験をし直すべきでしょうか。

ちなみに、この状態で逆さまにしても水はこぼれません。しっかりと蓋ができていることが分かります。短期的な観点では水分は通さないのは明らかでしょう。様々な実験などでもその防水性が用いられているわけですから。しかし、長期的な観点ではなかなか判断は難しいようです。

定期的に新しいものに交換して巻き直した方が良いのかもしれませんね。

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響・白州の終売に日本のウイスキー産業の未来を考える

先週、大きな驚きとともに報じられた、サントリーの白州12年と響17年の販売休止。朝晩のニュースでもかなり大々的に取り上げられたので、ウイスキーファンだけではなく世間一般の方々まで知るところとなりました。

2015年にニッカが、余市と宮城峡の10年~20年を終売にしたときもニュースにはなりましたが、ここまで扱いが大きくなかったと記憶しています。ニュースでも流れたとは思いますが、今回のサントリーの件と比べるとかなり落ち着いていたように思います。

思うに、日本人にとってウイスキーとはサントリーのボトルのことなのでしょう。山崎、白州、そして響の名前は、ここ数年海外でも高い評価を受けているというウンチクも含めてそこそこ広く浸透しているのでないでしょうか。ニッカはどうしても知名度では今ひとつのようで、そのあたりの差が今回のニュースからも感じられます。

ちなみに、2014年時点の統計によると、ウイスキーの国内シェアはサントリーが全体の43%、ニッカが25%、他の国産ウイスキーが19%、輸入ものが13%という比率。サントリーとニッカの差は確かにかなり開きがあるものの、思ったよりもサントリー独占というほどではありません。特にここ数年は「その他の国産」に含まれるクラフト蒸留所が健闘しており、今後数年はシェアを伸ばしていく傾向にあると考えられます。

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さて、日本ウイスキーの海外での高評価や原酒不足に伴う値上げ傾向もあって、ウイスキーは輸出量とともにボトル単価もぐんぐん上がっていっています。これはこれで良いこともあるのでしょうが、日本人が国産ウイスキーを買えない、という事態にもなりかねません。いうまでもなく、ここ20年ほどは経済も停滞し給料は上がらない可処分所得は増えない税金は高くなる etc etc… とにかく自由に使えるお金が大きく増えた、という感じはありませんよね。しかしウイスキーの価格は上がり、流通も少なくなって簡単には入手できない状況にあります。日本人が買うには高嶺の花になってしまうのでしょうか。

他のお酒の話になりますが、コニャックはその95%が輸出向けという状況で、主にアメリカと最近は中国の人気が高い。完全に海外向けの酒になっています。シェリーも生産量の80%はスペイン国外に出ていて、生産地であるアンダルシア地方以外ではメインのお酒ではない状況。日本のウイスキーについては手元に数字がないのですが、50%以上は輸出向けになっていると推測します。今後その方向性はどんどん加速し、90%程度が海外向けでしかもとんでもない高値になっているかもしれません(今でも充分高いと思いますが)。

ウイスキーに限らずですが、お酒というのは低価格にすると需要が減る、という不思議な特徴があります。高級品だからこそ保てる市場というのが存在するのですね。それは主に贈答品だったり、海外からのお土産だったりと、ちょっと特別な意味合いを含ませるという場合に、高級なお酒というのは必要にされるのです。かつてジョニ黒が10000円という高級品だった頃、それは確かに高級品だからこそ大事にされた時期がありました(もちろん今から考えても当時のボトルは間違いなく美味いですが)。税制が変わりスコッチが安くなった結果、高級品だからこその市場というのが消えてしまい、日本のウイスキー需要が大きく減退した原因のひとつとも云われています。

これらの歴史を踏まえて各メーカーも路線を考えているのであれば、日本の大手のウイスキーは今後安くなることは考えにくいですし、むしろどんどん高くなる一方でしょう。そしてそのほとんどが、好評な海外にまわされていくのではないでしょうか。そんな未来しか見えてきません。

今回のサントリーショックは、後から見ると日本ウイスキーの重要な転換点だった、という気がしています。

MALTS.JP のリニューアルとキャンベルタウンの行方

ディアジオ(MHD:モエ ヘネシー ディアジオ)が運営するシングルモルトの情報サイト『MALTS.JP』がリニューアルしていました。

http://malts.jp/

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以前からディアジオが所有する蒸留所の紹介サイトとして機能してきており、シングルモルトの各地域を代表する「クラシック・モルツ」をプッシュするための蒸留所やボトルの紹介、ツアー情報などを発信してきていました。一方で、デザイン的には元々あった海外向けサイト(MALTS.COM)をそのまま日本語化したようなつくりで、手抜き感があったことは否めず、ユーザフレンドリーとは言い難いつくりだったと記憶しています。

今回のリニューアルでは、シンプルながら見やすくポップで明るい造りになっていてイメージがガラリと変更。前は黒が基調のサイトだったので、白主体の明るいサイトになって一気に華やかになりました。あまりごちゃごちゃと説明はせず、必要最低限の情報でシングルモルトを紹介しています。画像が多いのも、蒸留所や各ボトルのイメージのしやすさに繋がっていますね。

というわけでかなり良いリニューアルなんじゃないかな、と思っていたところでちょっと見慣れない言葉が……。

「シングルモルトスコッチ 6つの生産地」

スコッチの地域区分といえば、ローランド、ハイランド、スペイサイド、アイランズ、アイラ、そしてキャンベルタウンの6つですよね、と思って見ていると、

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キャンベルタウンは……どこへ消えた……。

 

なんと、キャンベルタウンという名前は存在せず、あるのは「Coastal Highland – ハイランド沿岸」のみ。地図をよくよく見てみると、キャンベルタウンはこのハイランド沿岸に含まれているようです。

なんと天下のディアジオさん、自分が蒸留所を持っていない地域となれば歴史的な区分も無視してしまうというわけですか……。

まあ確かにキャンベルタウンはごく狭い地域に限られますし、稼働している蒸留所も3つしかないので今ではかなりマイナー感が漂ってしまっていますが、歴史的にみれば一大産業地として30以上の蒸留所が稼働していた時期があり、そこから衰退してしまったという推移も含めて、やはり重要な地域だと思うのです。

そもそも、スコッチウイスキー協会(SWA)がキャンベルタウンという地域の重要性を説いて、スプリングバンクとグレンスコシアの2つだけだったところになんとか3つ目のグレンガイル蒸留所(キルケラン)をオープンさせたという話もあります。SWAによれば「各地域最低3つの蒸留所があることが望ましい」ということで、資本的にも安定していたスプリングバンク(J&A Mitchell)がグレンガイル復活に乗り出した、というのが十数年ほど前のお話。現在はグレンガイルも見事に軌道に乗り始めキルケラン12年のリリースを続けていますので、面目躍如といった感があります。

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キャンベルタウンの街並み。地方にしてはかなり大きく、都市機能が集中している。

天下のディアジオさんも、自分が蒸留所を持っていない地域を無視するのではなく、新しく蒸留所を建てるなり閉鎖蒸留所を復活させるなりで気概を見せてくれても良かったのではないかと思いますね。

 

ちなみに本家のMALTS.COMでは、ハイランドという大きな括りで扱われていますが、説明書きを見ると Coastal Highland や one foot on the islands といった記載があります。ハイランドという括りは大きすぎるといえば確かにそうなので、キャラクターを表現しようと思うとこういった記載になるのでしょう。

https://www.malts.com/en-row/our-whisky-collection/clynelish/clynelish-14-years-old/
https://www.malts.com/en-row/our-whisky-collection/oban/oban-14-years-old/

 

時代が変われば介錯も変わるものですし、歴史は強者によって造られるというのも往々にしてあることではありますが、なんだか歴史の改ざんをリアルタイムで見ている気がしてなんだかもやもやとした気分になるのでした。

 

パラフィルムは水分を通さないのか? 実験

パラフィルム、ご存知ですか? 使っていますか?

元々は理工系の実験室などで使われているもので、伸びやすく防水、無臭ということから、ウイスキー愛好家やバーのストックなどではボトルの保管の際にネック周りをこれでぐるぐると巻いてやるというのをよく見かけます。

かくいう自分も、どこかのブログか情報サイトなどでその存在を知ってからかれこれ7,8年前ほど使っています。あまり頻繁に付け替えたりしないこともありますが、この一箱だけでまだ使い切れていないので、コスパは悪くないと思います。

さて、今まで使い続けてきた割には非常に今更な話ではあるのですが、パラフィルムって本当に効果あるのでしょうか?

これまでずっと巻いたウイスキーのボトルを見てきて、揮発したりとかそういうのは今のところほとんど感じないのですが、そもそも本当に効果があるのかのデータとかを見たことがなかったのです。「まあみんな効果あると仰ってますし」とは思っていたものの、なんとなく疑問符が消えることがありませんでした。

なら試してみれば良かったんですね。

というわけで、非常に簡単にではありますが実験をしてみることにしました。

 

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パラフィルムとボトルを準備します。

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ボトルのネック部分まで水を入れます。ちょっとバラついていますが、まあ誤差の範囲ということで。
ウイスキーじゃなくて水なのか、というご意見もあるかと思いますが、ウイスキーの成分は基本的に半分以上が水なわけです(100-ABVですね)。また、アルコール分子は水分子よりも大きいですし、香味成分についても同様ですので、水分が抜けなければアルコール分子も抜けないでしょう。

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パラフィルムを切り出して

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ボトル口にこれで封をします。

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右側の2本は一重、左側の2本は二重にしました。普通パラフィルムを巻くときは二重三重にぐるぐると巻きますので、その違いがあるかどうかも見れればベターかと思いまして。

これらを、1セットを温度が上がりやすい日向へ、もう1セットをあまり日の差さない場所に配置しました。これでしばらく様子を見て、水分量が変化するかどうかをチェックしてみたいと思います。

できれば目に見えて変化が現れてくれると助かるのですが。かなり時間がかかるかもしれませんので、気長に待ってみましょう。

 

ウイスキー好きな都市 そうでもない都市

毎日新聞より、こんな調査結果が載っていました。

家計調査 – 山形市民はウイスキー好き?

https://mainichi.jp/articles/20180502/k00/00e/040/219000c

山形県がウイスキー支出額全国1位というのはかなり意外です。ウイスキーの蒸留所があるわけでもなく、どちらかというと日本酒に強いイメージがあります。東北ということでお酒好きな傾向が強そうなイメージはあるものの、やはりウイスキーとは結びつかないような。不思議です。もしかしたら、ものすごくウイスキー消費量が多い方がたまたま調査世帯に入ってしまっていたとか……。異常値は排除されていたのかどうかなどが気になりますが、あまり考えにくいところでもありますので、純粋に皆さん良く飲むということでしょうか。

もうひとつ面白かったのが、最も少なかったのが鹿児島市という点。焼酎文化が強いですから仕方ないとは思いますが、ここ最近、鹿児島の蒸留所がこぞっとウイスキー事業に参入してきている一方で、地元では飲む人があまり居ないという状況になっているようです。同じ日本国内とはいえ、県外への「輸出」品も考えられます。どことなくスコットランドと似ていますね。そのうちAOCみたいなものを作ってみたりとか、そういう動きがあっても面白いと思うのですけれど。

話は山形に戻り、焼酎専門メーカー「金龍」がウイスキー蒸留に参入との情報があります。いわゆる「地ウイスキー」の復活が各所で起こっているようにも見えますね。その頃と比べて品質がどの程度上がっているのかはこれからの話なのでまだ分かりませんが、地ウイスキーブームと同じ轍になりませんように……。

アベラワーの新シリーズとアブーナの行方

アベラワーの新シリーズが登場していたたようです。

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Image via Master of Malt

“Casg Annamh” は “Rare Cask” という意味のゲール語。読み方は「カスク・アムー」でしょうか。これだけで想像するとシングルカスクかと思いきや、ヨーロピアンオークのオロロソ・シェリー樽、アメリカンオーク樽2種類のヴァッティングのようです。バッチナンバーが振られており、#0001というなんとも果てしなく続いていきそうな予感をさせてくれます。

さて気になるのは、この新シリーズによって長らく続いてきた「アベラワー・アブーナ」が途絶えてしまうのかどうか、ということではないでしょうか。最近でこそ全体的なモルトの高騰のあおりを受けてやや値上がりしてきたものの、シェリーカスクのカスクストレングスで実売価格で6000~8000程度という手頃さ。シングルモルト入門者の「ネクストステップ」として必ずといって良いほど名前が挙げられてきたボトルです。自分も最初の頃はお世話になりました。現在はバッチ60ほどまで来ていたと記憶していますが、ここにきてその役目を終えてしまうのでしょうか。コアなファンには残念なニュースかもしれません。

メーカー側の事情を想像してみると、アブーナは約60%というハイプルーフであるのに対して、今回の新ボトルは48%と加水調整がされている模様。10%程度のアルコール度数の差で値段はほぼそのままということで、それだけ原酒の量が浮くことになります。ある意味、内容量が減っている実質値上げのような形とも考えられますね。原酒不足と原料費高騰など頭の痛い悩みに対する苦肉の策というように見えなくもありません。

できれば今後もアブーナのリリースは続けてほしいとは思いますが……覚悟はしておいた方が良いのかもしれません。

カナダで「甘すぎるお酒」問題

カナダの話ですが、このような痛ましい事件がありました。

「甘すぎるお酒」で少女が死亡 搬送増加でカナダ当局が規制強化 (AFPBB)

14歳の少女が甘いお酒を2缶飲み、そのまま死亡してしまったようです。事件の詳細は調査中とのことですが、酒のアルコール度数は11.9%もあり、恐らくは急性アルコール中毒が原因ということでしょうか。最近カナダでは似たような状況で少年少女が救急搬送されることが多いそうで、当局は「甘すぎる」酒の規制を検討しているそうです。

元々カナダはアルコール飲料に対してやや厳しい態度が多いのですが(販売側の免許や購入側のID確認が必要など)、州ごとに事情は異なっていて、今回の事件は比較的規制が緩いケベック州で起きています。ケベック州ではスーパーやコンビニでアルコール飲料が並んでいるため大人も子どももかなり身近に感じているものと思います。とはいえ14歳が飲んで良いわけはなく、18歳まではもちろん禁止なわけですがなんとでも誤魔化せてしまうでしょう。

日本でも同様にスーパーやコンビニに行けばお酒は買えますし、なんならそこらの自販機でも買えるわけですから、好奇心旺盛な若者はお酒のひとつやふたつ、試してみたくなるのも無理はありません。本来、お酒は刺激が強いものなので、高度数のものなどは味やにおいなどから自然と身体が拒否するようにできているはずなのですが、甘く飲みやすくしたお酒はそんな防御機能をあっさりと乗り越えてしまいます。日本でもカクテル系の缶チューハイとかでかなり度数が高いものも多いですから、同じ様な事件がいつ起きても不思議では無いと思います。

お酒の飲み方を知らないことによって、こういった事件が起きてしまうとなんとも残念です。自分がどの程度お酒を飲めるのかは、時には失敗もしながら自分で探っていくしか無いわけなのですが、その前に生命を落としたり脅かされたりしないような最低限の知識とルールだけは、どうにかして周知していく必要があると感じます。