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スコットランドと赤いライオン

スコッチウイスキーをある程度好む人なら、アザミといえばスコットランド、というイメージはあるかと思います。その由来や国花とされているアザミは、ウイスキーのラベルにもよく描かれていますね。

一方で、赤いライオンのシンボルマークも、スコッチウイスキーを良く飲む人には馴染みがあるのではないでしょうか。というか、ライオンというとベルギーの方が思い浮かんだりしたものですが、スコットランドでもそうなのか……? よく見かけるなあと思っていたものの、自分はつい最近までこの由来を知りませんでした。

 

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赤いライオンが印象的な、ダグラスレインのブレンデッド・ウイスキー「キングオブスコッツ」

レッドライオンはスコットランドの国章で、スコットランド女王メアリーの第一子であるジェームズ6世(イングランドではジェームズ1世)が広めたとされています。今でもイギリスでは Red Lion の名を持つパブはとてもポピュラーでどこの街でも見かけるそうな。一体いつから国章となったかは分かりませんが、「まさしくスコットランドであるもの」に対して国章であるレッドライオンを掲げるというのは、日本なら桜をモチーフにするようなものなのでしょう。ちなみに金のライオン3頭がイングランド、アイルランドは竪琴が国章となっています。

 

一方で、イギリスといえば紋章の国、というくらい紋章がたくさんあるわけですが、王室の紋章で左右(サポーターといわれる部分)に描かれているライオンとユニコーンは、ライオンがイングランド、ユニコーンがスコットランドを表してます。中心のシールドの中には、上に書いたイングランド、スコットランド、アイルランドのモチーフも描かれていますね。

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イギリス国章は王室の紋章でもある

さて、そうするとレッドライオンとユニコーンはどちらがスコットランドを表すものなのだろう? と疑問に思うのですが、実はどちらもスコットランドの象徴となっていて、ユニコーンは国獣とされています。日本の国鳥がキジなのと似たようなものでしょうか。想像上の獣が国の代表というのも面白いものです。

 

というわけで、レッドライオンやユニコーンがスコッチウイスキーのラベルに描かれるのはある意味自然なことだったわけです。

 

レッドライオンが印象的なのは、前述の陶器ボトルに大きくあしらわれたレッドライオンが印象的な「キングオブスコッツ」ブレンデッド・ウイスキーの他には、RED_LION

まさにそのままの名前を冠した「レッドライオン」ブレンデッド・ウイスキー。

 

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ホワイト&マッカイのラベルといえば「ダブルライオン」が有名ですが、これもレッドライオンの派生でしょうか。

 

また、ユニコーンを初めて見かけたのはキングスバリーのラベルでした。

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一時期、様々なシリーズがリリースされていたキングスバリー。改めて見てみると、右側の盾にはレッドライオンも描かれていたのですね。左側は青地にポットスチルでしたか。青はスコットランドの色でもありますし、まさにスコッチウイスキーですね。

 

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少し毛色は異なりますが、スリーリバーズからリリースされていた「貴婦人と一角獣」シリーズも、そういう意味では繋がりがあってのもの……だったのでしょうか。どちらかというとシリーズものとして受けが良さそうだったから、という理由かと思いますが。貴婦人と一角獣のタペストリーはフランスのものですが、描かれているのはライオンとユニコーンのセットなので、何かしらの繋がりがあるのかもしれませんね。

 

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その他にも、フェッターケアンは最近のラベルではユニコーンがモチーフとして描かれていました。

 

こうして見てみると、様々なラベルで使われていることがわかりますね。向こうではレッドライオン、ユニコーンともに自然に扱われているモチーフなのでしょう。こういうのはどこの国でも持っているものだと思いますが、その由来を知ってみると、なるほどラベルの見方も変わってくるかもしれませんね。

 

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お気に入りの一本

唐突ですが、料理することが好きです。

別に上手でもなんでもないんですが、自分で何か作ってそれを食べると結構満足感があります。まあ、ちょっとは不味くても食べられなくなければそれなりに美味しいと感じることができるので、馬鹿舌なのかもしれませんが。

自分で手をかけたものは評価が高くなる。これは科学的にも証明されていることで、「インバルブメント効果」と呼ばれます。なるほど、人間というのは思い込みが強いからですね。先入観などによって同じボトルでも美味しく感じたりそうでもなかったりと、バイアスがかからないことは無いといっていいほどだと思います。

「苦労して手に入れた一本」が美味しいと感じるのは、ある意味では自然なことなのかもしれません。それはそれで良いことだと思っていて、思い入れのあるボトルというのはその人にとって大切な思い出と繋がっているものだと思います。昔だれかにプレゼントで貰ったもの、バーでおすすめされて美味しかったもの、酒屋を巡ってようやく手に入れたもの etc…

自分の場合は、スコットランドに旅行して現地で詰めたボトル、良くヴァリンチやハンドボトリングという名前で紹介していますが、これらが思い出深いボトルです。昨日、久しぶりにケイデンヘッドで詰めたボトルを飲んで、懐かしさを感じると共に「やっぱりこれ結構良いよなあ」なんて浸っているところでした。

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キャパドニックとリベットが特にお気に入り

 

旅のお土産ボトルは、単なる土産ものというだけではなく、将来感じるであろう懐かしさまでを含めたものなのかもしれません。そう考えると、ちょっと奮発するのも仕方のないことなのかもしれません。

というポジティブ思考で高いボトルを買ったことを正当化してみてはいかがでしょう(笑)

 

アイルランド旅行

無事にアイルランドから帰国しました。

アイルランドの蒸留所はひと通り巡り、また、かねてより見てみたかった現地のパブと音楽セッションにも触れることができました。天気にも恵まれ、珍しいくらいの晴れで自然豊かなアイルランドの綺麗な光景を見れたことも非常に幸運だったと言えるでしょう。

 

アイルランドを北から南まで走ってみて、大きさとしても感覚としても北海道に似ているな、と思いました。地図で見ると遠いようで近いようで、やっぱり遠いという、そんな感覚。頑張れば一日あれば端から端まで行くことができますが、それぞれの街に見どころもありますし、高速道路以外は結構時間がかかりました。

1週間程度ではやはり全然足りなかったですね。首都のダブリンはもっとしっかり見たかったですし、パブもいろいろと周りたかった。西には行かなかったため、世界遺産や名所もかなり逃してしまっています。またいずれ訪れたいです。

いずれちゃんとした形で旅行記や蒸留所の情報などをまとめてみたいと思います。

 

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アイルランドに来ています

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アイルランド旅行に来ています。

写真はティーリング蒸留所のツアーにて。

これまではスコットランドばかりを見ていましたが、すこし違った視点を持ってみようかと思い、今回はアイルランドを訪問してみることにしました。

10年くらい前は、特にアイリッシュ・トラッドの音楽やドルイド思想などに興味があったこともあり、ウイスキーにハマる前は海外旅行はアイルランドにしたいなあ、と思っていたのですが、気がついてみたらこんなに後まわしになってしまいました。

昨夜は、ダブリンのパブで音楽を聴きながらギネスをやるという、ある意味念願だったことも叶えることができました。

まだ旅は始まったばかりですが、ウイスキーの蒸留所も含め、いろいろと見ていこうと思います。

帰った後にはまたいろいろとまとめてみようかと思います。

ウイスキーの技術進歩と伝統と 

技術の進歩は最先端の分野だけではなく、一次産業や二次産業の伝統的な部分にもその効果が波及していくもの。酒造りの現場にも、情報産業の技術が応用されていくのは現代としては既に当たり前、でしょうか。

この記事を見て、そんな印象がよぎりました。

もろみの品温を管理する「IoT酒造品温モニタリングシステム」 from @IT

こちらはウイスキーではなく日本酒の分野の話ですが、酒造りに重要な温度管理にIoTを利用しようというもの。大手ではこういったコンピュータによる管理手法は既にとられていることと思いますが、昨今はやりのIoTを用いた、従来よりも小まわりの利くシステムは、やや規模の小さめな酒蔵にも恩恵を与えていくことになるでしょう。いやはや、酒造りも進歩が激しいですね。

 

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ウイスキー造りの現場でも、大手系列などでは随分昔からコンピュータによる管理が主流となっていて、蒸留所の全行程のオペレーションが2名でもできるという状態になっています(実際には何かあったときのバックアップということで1名でも実行可能だそう)。これらのシステムは、さすがにやや旧式なこともあるでしょうからクラウドやIoTへの対応はまだかもしれませんが、コンピュータ制御による安定化は大量生産と均質なクオリティを容易にしてきました。

その結果でしょうか、90年ころからのヴィンテージではどの蒸留所も全体的にレベルが上がっていて、以前よりもあからさまな外れやオフフレーバー満載のものは少なくなったように思えます。80年代がいろいろと酷すぎた、ともいえるかもしれませんが……。

 

でも、本当にこれで良かったのでしょうか? 確かに全体的に品質は上がり、どの蒸留所も美味しいモルトが出て来るようになりました。でも何となく、どこの蒸留所も似たような味わいになってきていませんか? 優等生的に美味しいようには思いますが、ハウススタイルと言われるような個性は、なりを潜めてきてはいませんか? 自分にはどうもそんな感覚があります。

 

現場でウイスキーを作っている方々の中にも、そのようなことを思っている人がいるのでしょう。ここ最近、旧来の作り方に戻してきている蒸留所があります。麦を古代種のベア・バーレイに変えたり、フロアモルティング100%にしたり、といったようにです。

これらにどんな効果があるかといえば、ベア・バーレイはデンプン質が少なくアルコール収量が低い、逆に言えば雑味が多くなる。フロアモルティングは、モルトスターでの製造に比べれば発芽がどうしても不均一で、絶対的な安定度でいえばかなり落ちるでしょう。

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スプリングバンク蒸留所のフロアモルティング。通常ラインナップのボトルでは、これらのモルトはごく一部のみ使われている模様。

 

先日紹介されていた、1947年の蒸留所の様子を収めた動画。1:30頃にフロアモルティングの様子が映っています。これだけの量を均等にモルティングするなんて、とても無理ではないでしょうか。

 

こうした不安定、不均質なものが、逆に個性的だったり芯の太い味わいになるのではないでしょうか。コンピュータ管理された均質なものは、どうしても突き抜ける要素が少ないように思えるのです。

もちろん、必要なところには様々なコンピュータの恩恵を使うべきだと思います。が、どうしても効率を犠牲にした部分が必要になるとも思うのです。将来、複雑さを残したモルトがどれだけ味わえるのかを考えると、古典的なやりかたを伝統という形でうまく残していって欲しいですね。

スコットランドへ行ったらやりたい10のこと

ファイルを整理していたら、初めてスコットランドへの旅行を計画していたときのメモが出てきました。自分は旅をする前に「やりたいことリスト」を書き出すことが多いのですが、そこには当時考えいたやりたいことがいろいろと書かれていました。そのなかで実現出来たこともありますし、できなかったこともあります。やり残したことがあるのは残念ではありますが、またいつか来よう! というモチベーションにもなります。

そんなリストやこれまでの旅行の経験から、もしウイスキー好きがスコットランドに行ったら是非試してほしいこと、を超個人的主観でリストアップ。モルトラヴァーの皆さん、こんな旅、いかがですか?

 

発酵槽からもろみ(ウォッシュ)を飲む

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モルトラヴァーならば、蒸留所のツアー参加は必須でしょう。そのなかでも、まずは発酵中のもろみ(ウォッシュ)を味わえるチャンスをゲットしてみてください。残念ながらもろみは決して美味しいものではありませんが、麦芽が発酵していく過程の味はどのようなものなのか、なかなか試すことはできませんので貴重な機会です。そしてツアーのみんなで「あんまり美味しくないよね!」といって笑い合うのも一興です。

蒸留所にもよりますが、ディアジオ系のカリラやラガヴーリンでは試せました。その他大きすぎない蒸留所のツアーであれば試すことは可能でしょう。

 

ニューメイクを飲む

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蒸留したてのニューメイクは、熟成されたウイスキーほどの魅力はないかもしれませんが、これから育っていく原酒がどんな味なのか、知っておくことに興味はありませんか? 特にそれが好きな蒸留所であればなおさらでしょう。どんなウイスキーも、原酒の素性が良くなければ良いウイスキーにはなりません。ニューメイクがどれほどクリーンで、そして様々なフレーバーをその奥に蓄えているか、是非とも味わってみてください。

ニューメイクを試せるツアーは非常に限られています。通常のツアーではほぼ無理でしょう。少しレベルの高いツアーに参加するか、事前にメールで蒸留所に問い合わせてみることをおすすめします。少なくともハイランドパーク、アベラワー、ラガヴーリンでは特別ツアーで試すことはできました。

 

樽出し原酒を飲む

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ストレートフロムザカスク。まさにこれはウイスキーラヴァーの夢ではないでしょうか。熟成庫に並んだ数々の樽から、ヴァリンチと呼ばれる巨大なスポイトを使って原酒を取り出し、その場で味わう。これ以上の喜びはありません。熟成庫の中はウイスキーの香りに溢れ、その中の香りのひとつがあなたの目の前のグラスに注ぎ込まれるのです。テイスティングには注意してください。なぜなら、いつも以上にそのウイスキーが美味しく感じられてしまうから。熟成庫という場の効果は抜群です。

通常ツアーではなかなか試すことはできませんが、ハイレベルのツアーなら可能となっている蒸留所も多いです。バルヴェニー、スプリングバンク、ラフロイグなどで可能なツアーがあり、通常は事前予約が必要となっています。

 

ポットスチルに触れる

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隔離された場所にあったり、ガラスで仕切られたりと、日本のウイスキー蒸留所ではまず触らせてもらえない稼働中のポットスチル。安全面を考慮すれば致し方ないところですが、蒸留工程のハイライトともいえるポットスチルには是非触ってみたいというもの。

スコットランドでも制限は厳しくなかなか触れることはできないものですが、いくつかの蒸留所ではほんの手がとどくところまで近づいたり、場合によっては触ることができるところもあります。稼働シーズンか休止期間か、一日の中でもタイムスケジュールなどで変わってきたりもするのでいつでも可能なわけではないようですが、チャンスがあれば是非触ったり、中を覗いてみたりしてみてください。手触り、厚み、暖かさ、不思議な感覚が手を通ってきます。

実際にアラン、グレンドロナックで触ることができました。銅フェチな方は是非。

 

ハンドボトル(ヴァリンチ)を購入する

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ヴァリンチと云われるハンドボトル、つまりは樽出し原酒をボトリングさせてくれるサービスはここ数年で多くの蒸留所が取り入れてくれました。樽出し原酒を飲む、と同じように、やはり樽から直接というのはウイスキーラヴァーの心をくすぐるものがあります。多くは事前に蒸留所が樽を用意しています。どこも試飲はさせてもらえるので、気に入った味なら購入できるという安心感もあります。

ロマンはどこの蒸留所でも等しく得られますが、ほとんどの蒸留所が始めたため、残念ながらそのいくつかはお世辞にも美味しいとはいえないものもあったりします。自分の思い入れのある蒸留所であれば是非購入するのが良いでしょう。

オススメはやはりプルトニー蒸留所。自分がプルトニー好きになったのは、当時はまだあまり一般的でなかったヴァリンチを先駆けて取り入れ、スコットランド本土の北の果てまでわざわざ足を運んでくれたビジターのためにしっかりと美味しい樽を用意してくれていた、その気概に惚れたからなのでした。

 

マスタークラスに参加する

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ウイスキーフェスティバルなどでも開催されるマスタークラス。幾つかの蒸留所では現地で同様のツアーセッションに参加することができます。蒸留所内部の詳細な説明や様々な原酒のテイスティングなど、通常では体験できないことばかり。もしかしたら有名なブレンダーのあの方や、生ける伝説級のあの方が講師をつとめてくれるかもしれません。そうではなくとも、ブランドアンバサダーなどの重要なポストの方々が、あなたの特別な時間のためにエスコートしてくれます。

このような特別なツアーは大抵が事前予約が必要となります。また、開催が複数人からのため1人のみでは参加できないものもありますが、タイミングが良ければ他の参加者が居るため1人でも参加できたりします。事前にメールなどで蒸留所に問い合わせて、参加できるか確認しておきましょう。

 

パブに行く

 

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イギリスやお隣アイルランドでもそうですが、スコットランドといえばパブの文化。人々が集まり、わいわいやりなが酒を飲み交わす、そんな雰囲気を味わうのも良いものです。ウイスキーを飲むひとは意外と少なく、ビールやエールの方がより一般的ですが、別にウイスキーを飲んではいけないということもないので、自分の好きな酒をどんどん注文しましょう。

また、地方のパブは料理も美味しいです。イギリス料理は不味いと評判ですが、それは主に都市部の話。地方に行けばいくほど、食材の新鮮さや手の込んだ料理には磨きがかかります。野菜たっぷりのスコッチブロスやアンガスビーフ、本場のハギスとモルトのマリアージュなども是非試して頂きたい。

 

自然を満喫する

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スコットランドは北海道とおなじくらいの国土に、やはり同じく北海道と同じくらいの人口。つまり、手付かずの自然が数多く残る地でもあります。映画でもおなじみのグレンコー付近の山々、スカイ島の Old Man of the Storr, アイラ島のモニュメントのある岬 Mull of OAなどなど、挙げていったらキリがありませんが、いずれも軽いトレッキングを楽しんだ後に息を飲むような光景に出合うことができます。

スコットランドやイングランドにはフットパスと呼ばれるウォーキングやトレッキングのコースが数多く設定されており、国民は「歩く権利」が守られているというほどの力の入れようです。各所にゲートやマップが設定されており、難易度などもあわせて様々な情報が記載されたパンフレットやマップ、オンラインにも同様の情報が載せられています。

天気が変わりやすいスコットランドでは装備はしっかりと考える必要があります。事前のルート情報などもしっかり把握しておけば危険はさほどありませんし、有名な場所であれば同じコースを目指す人は多いですので気軽に楽しめます。是非スコットランドの雄大な自然を体感してみて下さい。

 

アイラ島の蒸留所を巡る

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スコッチが好きな人の間でも、やはりアイラ島というのはある意味「聖地」ともいえる場所でしょう。小さい島の中に8つもの蒸留所と、荒涼とした自然と、人々の暖かみとその営み。スコットランドの良いところが凝縮された場所です。

あまり長い時間が取れない日本人には、一度ですべての蒸留所をまわるだけでも精一杯かもしれませんが、そんなに焦る必要はありません。一度ならず二度、三度と訪問してみたくなる場所ですので、きっとまた戻ってくるに違いありませんから。

 

スペイ川を散策する

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スペイサイド。多くのスコッチ好きを魅了する言葉であり、スコッチの故郷のように感じる名前ですらあります。多くの蒸留所が集まるスペイ川の近郊ですが、実際にその川を見て、その水に触れてみるというのはある種の禊のようではないでしょうか。スペイ川はそれなりに大きな川で、周りに遊歩道が整備されている場所もあります。クライゲラヒの町辺りにもその入口があり、アクセスにはちょうど良い場所です。クライゲラヒ橋のフォルムは写真などで一度は見たことがあるのではないでしょうか。

釣りが趣味の人にとっても、スペイ川は聖地のような扱いです。秋、黄金色の樹々の中でトラウト(マス)を狙うフィッシングは最高の愉しみだそう。水の中で少し冷えた身体は、陸に上がった後にウイスキーで温める。そんな過ごし方もまた格別でしょう。(ただし、入漁券は相当な値段らしいのでご注意を!)

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。なんだか飲んだり食べたりが主な内容になってしまいましたが、ウイスキーが好きな人であれば仕方ないですよね! とはいえ、ウイスキーや食事だけではなく、自然と文化を満喫しながら理解する。一本のボトルの背景にある様々なことを体験すると、ウイスキーを味わう際にも理解の助けになってくれるでしょう。

あなただけのスコットランドを、ぜひ見つけてください。

 

バーチャル世界のウイスキーを考える

久しぶりに攻殻機動隊を観ていました。

もう初代からは相当な年月が経った割には、あんな未来はまだかなり先というように思えますが、2030年頃にはナノマシンも普及し始めるような観測もあり、未来は着実に近づきつつあります。電脳化によって達成される世界はどうなるのか想像も及びませんが、100年後、200年後くらいにはあんな未来が待っているのかもしれませんね。

さて、そんな映画の中でのワンシーン。主要メンバがバーで酒を飲んでいたのですが、それすらもリアルではなくバーチャルな世界での出来事として扱われており、一瞬にしてリアルに戻されるというものでした。

これ、すごく興味をひかれました。

もしかしたら、電脳化のような技術が普及した暁には、古今東西のあらゆる経験がバーチャルで得られるようになるのかもしれないのではないか、と思ったのです。つまり、どんなウイスキーをもバーチャルながら味わう経験を得られるようになるのではないか、ということです。

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インターネットが普及し、我々は様々な情報を手にすることができるようになりました。それこそ、インターネットが無かった時代には考えられないほどの情報、景色、写真、動画といったものを、です。電脳化の世界が普及すれば、同様のことが起きないとどうして言えるでしょう。

例えば音響制作の世界では、著名なヴィンテージ機材のシミュレートは既に一般化し、デジタルでありながらアナログ機材の効果を得ることに躍起になっていた時期はとうに過ぎ去りました。今ではごく当たり前のものとして様々なソフトウェアが存在します。写真や映像でも、技術の進歩と集積によって、各種エフェクトの演算が手軽に当たり前のように使えるようになりました。

ウイスキーを味わうという体験も、いずれはデジタル化され、集積され、バーチャルの世界で多くの人が体験できるようになるのではないでしょうか。

ある見解では、「プレイステーション10」ともなると、鼻から吸入したナノマシンによってゲームの世界を「体験」できるようになるのでは、などというちょっとトンデモに思えなくもないものがありましたが、もしかしたら正解かもしれませんよね。生活の必需に近いところがプロセスされ終わったあとは、嗜好品が対象となるでしょう。そして多くの情報がコレクションされていくに違いない。なぜなら人間はそういうのが好きだから。

そして、そこでもまた「所詮デジタル化された香味の蓄積」「生身で味わってこそ最高の経験」といった主張は一定量あり続けることでしょう。フェイク問題も多く出てきそうですよね。一方でブロックチェーンなどの技術によって出処が確かな情報、というプレミアムが、高価値を生み出すのかもしれません。

いやあ、未来を想像するのは楽しいですね。