カテゴリー別アーカイブ: 雑記

アベラワーの新シリーズとアブーナの行方

アベラワーの新シリーズが登場していたたようです。

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Image via Master of Malt

“Casg Annamh” は “Rare Cask” という意味のゲール語。読み方は「カスク・アムー」でしょうか。これだけで想像するとシングルカスクかと思いきや、ヨーロピアンオークのオロロソ・シェリー樽、アメリカンオーク樽2種類のヴァッティングのようです。バッチナンバーが振られており、#0001というなんとも果てしなく続いていきそうな予感をさせてくれます。

さて気になるのは、この新シリーズによって長らく続いてきた「アベラワー・アブーナ」が途絶えてしまうのかどうか、ということではないでしょうか。最近でこそ全体的なモルトの高騰のあおりを受けてやや値上がりしてきたものの、シェリーカスクのカスクストレングスで実売価格で6000~8000程度という手頃さ。シングルモルト入門者の「ネクストステップ」として必ずといって良いほど名前が挙げられてきたボトルです。自分も最初の頃はお世話になりました。現在はバッチ60ほどまで来ていたと記憶していますが、ここにきてその役目を終えてしまうのでしょうか。コアなファンには残念なニュースかもしれません。

メーカー側の事情を想像してみると、アブーナは約60%というハイプルーフであるのに対して、今回の新ボトルは48%と加水調整がされている模様。10%程度のアルコール度数の差で値段はほぼそのままということで、それだけ原酒の量が浮くことになります。ある意味、内容量が減っている実質値上げのような形とも考えられますね。原酒不足と原料費高騰など頭の痛い悩みに対する苦肉の策というように見えなくもありません。

できれば今後もアブーナのリリースは続けてほしいとは思いますが……覚悟はしておいた方が良いのかもしれません。

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カナダで「甘すぎるお酒」問題

カナダの話ですが、このような痛ましい事件がありました。

「甘すぎるお酒」で少女が死亡 搬送増加でカナダ当局が規制強化 (AFPBB)

14歳の少女が甘いお酒を2缶飲み、そのまま死亡してしまったようです。事件の詳細は調査中とのことですが、酒のアルコール度数は11.9%もあり、恐らくは急性アルコール中毒が原因ということでしょうか。最近カナダでは似たような状況で少年少女が救急搬送されることが多いそうで、当局は「甘すぎる」酒の規制を検討しているそうです。

元々カナダはアルコール飲料に対してやや厳しい態度が多いのですが(販売側の免許や購入側のID確認が必要など)、州ごとに事情は異なっていて、今回の事件は比較的規制が緩いケベック州で起きています。ケベック州ではスーパーやコンビニでアルコール飲料が並んでいるため大人も子どももかなり身近に感じているものと思います。とはいえ14歳が飲んで良いわけはなく、18歳まではもちろん禁止なわけですがなんとでも誤魔化せてしまうでしょう。

日本でも同様にスーパーやコンビニに行けばお酒は買えますし、なんならそこらの自販機でも買えるわけですから、好奇心旺盛な若者はお酒のひとつやふたつ、試してみたくなるのも無理はありません。本来、お酒は刺激が強いものなので、高度数のものなどは味やにおいなどから自然と身体が拒否するようにできているはずなのですが、甘く飲みやすくしたお酒はそんな防御機能をあっさりと乗り越えてしまいます。日本でもカクテル系の缶チューハイとかでかなり度数が高いものも多いですから、同じ様な事件がいつ起きても不思議では無いと思います。

お酒の飲み方を知らないことによって、こういった事件が起きてしまうとなんとも残念です。自分がどの程度お酒を飲めるのかは、時には失敗もしながら自分で探っていくしか無いわけなのですが、その前に生命を落としたり脅かされたりしないような最低限の知識とルールだけは、どうにかして周知していく必要があると感じます。

[残り2日] ウイスキーの良さを知ってもらう本 クラウドファンディング

先日ご紹介した「ウイスキーの良さを知ってもらう本」のクラウドファンディング、残り2日と終了が迫ってきています。そして、終了目前にして200万円という第2目標も達成されておりました。

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ラストスパートでまだまだ募集中ですので、もしまだの方はプロジェクトの支援をご検討されてみてはいかがでしょうか?

当ブログ内でのご紹介記事は過去ポストをご参照ください。

支援額が予想以上となったため、内容をさらにボリュームアップされるそうです。発起人のオザサさんや、監修の倉島さんと藤井さん、編集に携わる方々はこれからがスタートで大変かと思いますが、多少遅れても大丈夫ですので、完成を楽しみにしております。

 

スコッチウイスキー、カロリー情報の表示へ

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スコッチウイスキー協会(Scotch Whisky Association)は、ウイスキーのラベルにカロリー表記を行うよう要請を始めたようです。EUの法律的にはカロリー表記をすべきとなっているようで、それに倣った形です。

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「消費者に適切な情報を」という観点からすれば、当然の流れのように思えますね。これまでもアルコール消費は適量に抑えましょう的な情報は載せてありましたが、ここに来てカロリー情報も付け加えるようになりそうです。このままさらに進んで成分表まで載せる、なんてことにはならないとは思いますが、もしかしたらあり得るかもしれないですね。

ところで、ご存知の方も多いと思いますが、アルコール飲料は「エンプティカロリー」などともいわれ、栄養素がほとんど残らないとされています。ウイスキーなど蒸留酒の場合は25ml(シングル1杯)で55kcalほどのカロリーとなっていますが、糖質もほとんどなく、他の栄養素もほぼ無いのですぐに代謝されて身体に残りません。ビールなどの醸造酒の場合は糖質があるためそれなりのカロリー量になっていますが、それでもお酒単体で太るということはあまり無い、というのが通説となっています。

太るのは同時に摂る食事やつまみのためで、アルコールは食欲を増進させますし、同時に摂ると身体に脂肪として溜まりやすくなります。こうなるとダイエット観点からすれば大敵なわけですが、いずれも適量ならそんなにシビアに気にしすぎなくても良いものでもあります。

情報が多いとかえって迷ったりよく分からなかったりしてしまうものですが、情報に翻弄されて悩みすぎるのもどうかと思いますので、楽しむときは大いに楽しみ、抑えるところは抑えてバランスをとっていけば問題ないでしょう。

 

3/17はセントパトリックデーです。

3/17 土曜日はセントパトリックデーです。
アイルランドの祝日であるセントパトリックデー、由来など調べていくと結構面白いのですがここではさておきまして、この日は酒を飲んだりダンスを踊ったりと大いに愉しむ日となっています。アイルランドのお酒といえば、なにはともあれギネスビールが真っ先に出てくるわけですが、勿論ウイスキーもアイルランドではたくさん飲まれているわけで、この日はアイリッシュ・ウイスキーで盛り上げていきたいですね。

そしてセントパトリックデーに欠かせないのは「緑色」のなにか。なんでも良いんですが、緑色のものを身につけるのが習わし。由来はアイルランドの象徴であるシャムロック(三つ葉のクローバー)。キリスト教の三位一体と、自然を大切にする土着の信仰がうまい具合にマッチしている、というものだそうです。確かに、アイルランドといえば緑、というイメージです。

というわけで、せっかくなのでこの日はアイリッシュ・ウイスキーを飲んでみてはいかがでしょう。もうひとつついでに緑色のボトルだとさらにマッチしているのではないでしょうか。

アイリッシュ・ウイスキーで緑色のものというと……

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ジェムソン。アイリッシュのスタンダードといえばこれでしょう。

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タラモア・デュー。アイリッシュらしい軽やかな味わい。

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ブッシュミルズ10年。アイルランドのシングルモルト。スコッチ・ウイスキーとは異なる香味を感じてほしい一本。

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カネマラ。軽めのものが多いアイリッシュにおいてはやや異色のピート・タイプ。好き嫌いが分かれそうだが、ハマるひとはとことんハマりそう。

 

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グレンダーロッホ(グレンダロウ)は新興のクラフトディスティラリーながらしっかりとした造りで人気を博している。個性的なシングルモルトが多い。

 

こうして見てみると結構ありますね。ボトルだったりラベルだったりと違いはあれど、なんとなく緑色のものが多いのは、やはりアイルランドのシンボルカラーだからでしょうか。国の代表選手として海外まで進出していくわけですから、やはり統一感があると強いですね。

というわけで、セントパトリックデーはウイスキーで Slàinte!!

ビジターセンターの歴史 – その2

ビジターセンターが作られれば人々は観光地として気軽に蒸留所を訪問することができるようになったわけですが、では、それ以前はどうだったのでしょうか。ビジターセンターができる前の蒸留所の様子を探っていきます。

蒸留所は閉鎖的だったのか?

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昔の蒸留所のイメージというと、とにかく閉鎖的で一般人が内部を見るようなことは叶わない。ウイスキーの作り方は秘伝のもので、仮にそれを見ていきたいなんて人間がいたら産業スパイかなにかだ、と考えられていたような、なんとなくそんなイメージがあります。このあたりは竹鶴政孝の時代の逸話によるものかもしれません。

実際には先述の新聞記事にもあったとおり、事前の予約があれば訪問が可能だった蒸留所も少なくありませんでした。いきなり飛び込みではさすがに無理がありますが、旅行会社とか業界人とか記者のような人物であればアポは取れたのでしょう。

一般的な旅行者の場合はどうするかというと、例えば泊まった宿屋で主人に相談してみると
「ああ、そこなら俺の友人が働いているんだ。なに? 中を見てみたい? ちょっと待ってろ、電話してみるから」というやりとりからアポが取れたりだとか。

実はこれ、今でもあったりします。地元の人ならそういったツテのひとつやふたつはあるもので、本当にみんな顔見知りだったり。特にアイラ島とかは地元の繋がりがとても強い。B&Bの人が蒸留所のツアーガイドや観光ハイヤーなど様々なコネクションを持っていたりします。

宿屋ではなくとも、ひとつ目の蒸留所でツアーに参加したら、そこの従業員から別の蒸留所に紹介してもらったりとか。そういった繋がりをつたって様々な蒸留所を訪問することができるのです。

 

ビジターブックに残る歴史

蒸留所では古くからビジターブックが用意されていたようで、全員とは云わないものの多くの人が書いていたことでしょう。むしろ昔だと書かないと何物だこいつ? と思われかねない。日本でも古くからの旅館などでは宿帳がありますが、あれと同じ感覚だと思います。

タリスカーのビジターブックには、なんと1900年頃からのものが残されています。タリスカー蒸留所のビジターセンターには様々な昔のアイテムが展示されているのですが、そのうちのひとつなのでしょう。

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Image via Whisky.com

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タリスカーのビジターセンター内部 おそらくビジターブックはこのあたりに

また、グレングラッサでは1960年代のビジターブックがあるそうです。月に数人程度なので現在に比べたら随分と少ない数ですが、こうしてしっかりと名前が残されているのは凄いですね。

プルトニーではハンドボトルの際に名前を書くのですが、それが実はビジターブックになっていて、遡ること1969年になるようです。えっそうなの?! 知らなかった!! 今後行くときにはじっくりと見てこなければ……。

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Image via THE PISHED FISH

このように、ビジターセンターができる以前も、一部はそこまで閉鎖的な空間ではなく割とフレンドリーだったようです。現在においても、ビジターセンターが無い蒸留所はいくつもありますが、全部が全部閉鎖的かというというそうでもなく、アポイントがあれば――というところも少なくありません。このあたりは昔も今も状況は変わらないのでしょう。

歴史を発見する訪問

ビジターセンターが無かった時代はどこでもてなしたかというと、まあ基本的にはオフィスだったようです。オフィスとはいっても事務机が並ぶだけの作業場だけではなく、小さいながらも客のもてなしができるような部屋が用意されていました。今あるビジターセンターも、当時のオフィスを改装して作られているところが少なくありません。

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ストラスアイラのツアー待ちの一室 クラブのような立派なしつらえ

スコットランドの建物は100年200年は当たり前の世界。風格があるのはただ単にそういった装飾だけによるものではなく、積み重ねてきた年月の重みが自然と生み出しているものなのでしょう。

こうしてみると、蒸留所を訪れる際に見るべきところというのは本当に多いことに改めて気付かされます。今までは蒸留所の外観や製造工程(特にポットスチルによる蒸留)あとはお土産コーナーの特別ボトルなどばかりに目を奪われてしまっていましたが、部屋やその内装、飾られているものひとつひとつに様々な歴史があり、見るべきところがあるのですね。

もし蒸留所を訪れる際には、ぜひとも隅々まで見てまわって下さい。他のビジターが気づいていないような、もしかしたら蒸留所のスタッフさえも気づいていないかもしれない、あなただけの発見があるかもしれません。

2017年、スコッチウイスキー蒸留所へのビジター数が過去最高に

ディアジオが、2017年に傘下の蒸留所へ観光で訪れたビジターについて発表していました。

DIAGEO’S DISTILLERY TOURISM AT RECORD HIGH

The most popular Diageo distillery visitor centres in 2017 were:

1. Blair Athol (86,019 visitors)
2. Talisker (71,006)
3. Dalwhinnie (55,983)
4. Oban (53,912)
5. Glenkinchie (44,978)
6. Glen Ord (34,774)
7. Lagavulin (27,040)
8. Royal Lochnagar (21,576)
9. Caol Ila (15,093)
10. Cardhu (13,342)
11. Clynelish (8,544)
12. Cragganmore (7,993)

これは2016年に比べて 15.2% の上昇で、ここ2012年からの5年間で 96.3% とほぼ2倍の上昇となっています。近年のウイスキーブームと観光誘致策が功を奏した結果でしょうか。これに伴う問題は諸々ありそうですが、それはさておきこれほどまでに観光客が増えているのは凄いですね。

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ディアジオ系列1位となったブレアアソール蒸留所。古いつくりの建物が伝統を感じさせる。

 

ディアジオ系列以外でのビジターがどうなっているのか気になるところなのですが、スコットランド観光局の Visit Scotland で、2012,2013年の統計情報が公開されていました。トップ20の蒸留所だけですが、次の通りです。

Whisky Tourism – Facts and Insights (PDF File)

1. The Scotch Whisky Heritage Centre (301,782)
2. Glenturret (85,304)
3. Glenfiddich (81,316)
4. Glengoyne (59,275)
5. Edradour (54,463)
6. Blair Athol (53,637)
7. Talisker (51,967)
8. Oban (42,466)
9. Dalwhinnie (32,598)
10. Glenkinchie (32,192)
11. Aberfeldy (31,120)
12. Ben Nevis (23,555)
13. Glen Ord (20,340)
14. Tomatin (20,043)
15. Glenmorangie (19,495)
16. Highland Park (18,090)
17. Macallan (15,297)
18. Strathisla (14,254)
19. Royal Lochnagar (11,800)
20. Ardbeg (10,500)

トップはエディンバラのヘリテージセンターで、これは流石に蒸留所じゃないので除外して考えましょう。なんだか見事にディアジオ系列がトップにひしめいているのと、グラスゴーから近いグレンゴインやグレンタレット、観光地として名高いピトロッホリー付近ということでエドラダワーが選ばれているようです。

しかし、ちょっとこの結果には納得がいかないような。アードベッグが入っているならボウモアやラガヴーリンも入っていそうですし、マッカランが入っていないのも気になります。全蒸留所から情報を集めたというよりは、手持ちの情報をとりあえずまとめてみただけ、という気がしなくもありません。

Record Visitors At Morrison Bowmore Distilleries

20th September 2010

こちらの記事によると、ボウモアは2010年に年間10000人ということですので、現在はもっと増えていると考えると上記のランキングには入ってきそうです。

Isle of Arran Distillery welcomes a record number of visitors – Scotch Whisky News

アランでは2016年に年間10万人のビジターという情報が。こちらもグラスゴーから比較的近い場所にあり、観光地として名高いアラン島は人々の目的地になりやすいのでしょうね。

というわけで、先ほどのランキングがすべてというわけでは無さそうです。

ディアジオのランキングに戻ると、あまりメジャーとはいえない(失礼)グレンキンチーがスペイサイドのクラガンモアよりも5倍も多かったりするのがなんとも面白いです。クラガンモアとカーデュでも1.5倍の差があるのがとても不思議です。立地的にはかなり近いといえば近いのですが。

マッカランに寄ったついでのカーデュと、グレンファークラスに寄ったついでのクラガンモア、といったロケーションなのですが、前者のほうが強いということでしょうか。ちょっと世知辛いですね。

 

全蒸留所をあわせた年間トータルは2016年で170万人ということでした。2017年の統計もそのうち出てくるでしょうが、この数字を上まわってくるのは確実でしょうね。改めて、観光産業との結びつきが強いことがよくわかりました。