ティーリング 25年 1991-2017 蒸留所限定 ハンドボトル

DSC04748

DSC04749

Teeling 25yo 1991-2017 (OB, Hand bottling, American Bourbon, Cask#8448, 51.3%)

香りはライチ、マンゴスチン、酸味のある白ぶどう、木の皮のような木香、バニラ、マジパン、微かにバニラビーンズ、甘く熟したスイカのニュアンス、スワリングすると清涼感のあるハーブとバニラのニュアンスが香り立つ。

味わいは柔らかいアタックで、香り同様のライチ、マンゴスチンに強烈なパッションフルーツ、ミドルはややスパイシーでホワイトペッパー、クローブ、シナモンが良いバランスを奏でる、甘みもたっぷりでコクのあるパウンドケーキ、薄めたパイナップルジュースにフレッシュな木の香りが心地よく続くフィニッシュ。

加水すると香りに桃と紅茶のニュアンスが出てくる。味にはフルーツの皮のような渋みが表に出てくるためあまり良い変化はしない。口当たりも柔らかいため加水の必要性はあまりなく、ストレートが良い。

【Very Good/Excellent】

ティーリング蒸留所のハンドボトル、樽出し原酒を直接詰めたもの。先日の若いボトルと同様、今年4月のアイルランド旅行でティーリング蒸留所を訪問した際に購入してきたボトルです。

DSC02994

 

アイリッシュに求める「らしさ」が全開で、マンゴスチン、パッションフルーツなどのトロピカルフレーバーは探すまでもなく感じることができます。心地よいところまで自然に落ちたアルコール感、樽の影響によると思われるスパイス感もほどよく、これ以上寝かせると渋くなったりもしそうですが、そこまでには至っていない。いろいろな面でバランスの良い、まさにボトリング時期真っ盛りといったところ。流石に少々値は張りましたが、ティーリングさん、蒸留所のビジターに良いものをチョイスしてくれてていますね。

仲間内の話を聞くと、中身はブッシュミルズの原酒ではないかということです。自分はてっきりティーリング氏が勤めていたというクーリー蒸留所のものかと思っていたのですが、これ以外にもリリースされているアイリッシュのウイスキーなどからブッシュミルズの可能性が高そうですね。

 

それにしても、1990年近辺、25年前後の熟成のアイリッシュ・シングルモルトにある、このトロピカルフレーバーは一体どこからくるものなのでしょうね。2000年以降蒸留の原酒には、まだこのような面影を見るものはあまり無い気がしますし、たまたまその時期にアタリの樽が多かったのか、それとも原酒のポテンシャルとしては同じようなものなのか……。ブレンデッドのアイリッシュでも結構似たようなフレーバーをうっすらと感じるので、後者だと自分は認識しているのですが。

スコッチと異なるのは、原料の一部を発芽させていない大麦を使っているところ、いわゆる「シングルポットスティル」の部分でしょうか。均質でない原料からくる多彩さが、このようなフレーバーに繋がっているのかもしれません。

などなど、いろいろと考えてしまいますが、飲んでいる間はそんなことはどうでも良くなりそうなくらいの美味しいウイスキーです。ちょっと思い出補正が入ってしまっているかもしれませんが、そこはまあご容赦下さい。

 

DSC04751

それにしてもこのボトル、かなり重量があり箱も専用のもので大きく重い……。コルク栓まで重くて、開栓時に驚いて落としてしまったほどです。高級感があって良いですが、他のボトルよりもかなり場所を取るのが難点でしょうか(笑

 

ティーリング 9年 2007-2017 蒸留所限定 ハンドボトル

DSC04740

Teeling 9yo 2007-2017 (OB, Hand bottling, Port Butt, Cask#11650, 59.2%)

香りは黒蜜、赤ブドウ、レーズン、焦がしたカラメル、綿菓子、少し清涼感のあるハーブと切った木材。

味わいはブドウ、濃いカラメル、ビターチョコレート、ハイプルーフらしくピリピリとスパイシー、タンニンの収斂味、フィニッシュはブドウ、焦げた木や炭のニュアンスが残る。

加水するとブドウ感が強まるが、味に焦げたニュアンスが強まり好みが別れる所。ざらざらした粒状感も特徴的。ほんの少しパイナップルやライチのニュアンスが顔をのぞかせる。

【Good/Very Good】

ティーリング蒸留所のハンドボトル、樽出し原酒を直接詰めたもの。今年4月のアイルランド旅行でティーリング蒸留所を訪問した際に購入してきたボトルです。

 

DSC02993-2

ざっくりと言って、近年系シェリーカスクの短熟ウイスキー、という内容です。シェリーカスクではなくポートカスクですが、内容的にはほぼ同様の味の傾向でした。素性は悪くなく、10年にギリギリ満たないものですが未熟感も特に無く、良い熟成を経たものであることが分かります。一方で度数が60%近くもありストレートで飲むにはちょっと辛い内容。加水するのが良いでしょう。

ダブリンで稼働し始めたティーリング蒸留所はクーパレッジも抱えており、バーボン樽、シェリー樽は勿論、ポート、マディラ、ラム、カルヴァドス、ワイン、etc… といったように世界中から様々な種類の樽を仕入れて使っているようです。場所もコストもかかるため小さめの蒸留所では独自のクーパレッジを抱えるというのは難しいと聞きますが、自分たちが納得いくような品質の高い樽を造り続けるためには必要との判断でしょう。

アイルランドではスコットランドに比べてシングルモルトは総じて高額な傾向にありますが、こちらはハンドボトルでも値段が控えめな方ということもあり、それなりに売れ行きは良いようです。無くなったら入れ替わりで概ね10年前後のものが準備されるので、時期によって樽の種類が違いそうです。ダブリンを訪れるウイスキー関連の方は多いので、モルトBarなどではもしかしたらバーテンダーの方が現地で買ってきたボトルがある、なんてことがあるかもしれません。見かけたら是非試して見て下さい。

カリラ 1991 23年 ケイデンヘッド スモールバッチシリーズ

DSC04333

Caol Ila 23yo 1991-2016 (Cadenhead “Small Batch”, Bourbon Hogshead, 53.3%)

香りはオレンジ、少しパイナップルのニュアンスもある、シリアル、濡れたシダのような植物感、粘土質なアーシーさとヨード。

味わいはややパワフルにオレンジマーマレード、ハチミツがけのシリアル、やや薄めの紅茶、ミドルから落ち着いたピート、ホワイトペッパーのピリピリしたニュアンスがハチミツ感と共に続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ケイデンヘッドのスモールバッチシリーズから、こちらはカリラ23年。

前出の32年と同様に、やはり安定したカリラです。色合いからこちらの方がやや赤みがかっていて、そのためかオレンジなどの柑橘や麦の甘さなどがハッキリとしていて華やかな印象でした。32年で魚介系の出汁の旨味を強めに感じた部分はこちらにはそこまで出ていないなど、どちらもそれぞれの特徴があり、同じカリラでも違いを愉しむことができました。

この他にも黒ケイデンの10年という短熟カリラも同時に頂きました。10年にしては未熟感は無く、一方でヤングアイラらしいパワフルさ、若さとピートの良い相性がバッチリ愉しめる一本でした。

ケイデンヘッドは安定して良い樽をリリースしてきますね。黒ケイデンという呼称もすっかり定着して、ケイデンヘッドの豊富なストックと選別眼の確からしさが伺えます。まだまだ様々なリリースがあることと思いますので(70年代もまだ結構あるそうで)往年の味わいを期待する人も満足できるリリースがあるのではないでしょうか。

良いカリラの垂直テイスティングでした。ありがとうございました!

カリラ 1984 32年 ケイデンヘッド スモールバッチシリーズ

DSC04332

Caol Ila 32yo 1984-2016 (Cadenhead “Small Batch”, Bourbon Hogshead, 49.5%)

香りは青いリンゴ、青い麦の穂、少し紙のニュアンス、レモン、しっかりとヨード、粘土のニュアンス、コクのある魚介系フレーバー。

味わいは柔らかいアタックで白パン、プーアル茶、ミドルからホワイトペッパー、旨味の強い魚介出汁、ほのかにレモングラス、フィニッシュにかけて茶葉とオレンジオイル、らしい粘土質のピーティさが後をひく。

【Good/Very Good】

ケイデンヘッドのスモールバッチシリーズから、カリラ32年。

カリラらしい安定したアイラ・モルトです。強すぎずしっかりと効いたピートに、魚介系の出汁とレモングラスのニュアンスがあいまって、ややアジアンテイストな印象を受けました。モルトで感じやすいお茶のニュアンスも、普通は紅茶を良く感じることが多いですがここではプーアル茶のようにやや異なる印象。

とても多彩でそれぞれが良くまとまっていて、開けたてからでも美味しいカリラでした。まだ開栓後時間が経っていないということで、今後の開き方にも期待できそうですね。

こちらは持ち寄り会にてテイスティングさせて頂きました。ありがとうございます。

 

ラム ニューグローブ2005 Bar Lamp & 信濃屋向け

DSC04345

NEW GROVE 2005 (OB for Bar Lamp & SHINANOYA, LIMOUSIN OAK CASK #76-16, 54.3%)

香りはメープルシロップ、濃いめの紅茶、酸味のあるブドウ、フレッシュな樹木、少し溶剤のニュアンス。

味わいは紅茶、デラウェアのような赤ブドウを皮付きで、少し桃のニュアンス、ハッカ、クローブ、強烈に濃いカラメル、コーヒーの苦味、ピリピリとスパイシーなフィニッシュ

加水するとブドウの甘さが良く引き出され、桃のニュアンスが少し前に出てくる、香木感、ハッカやシナモンが良いバランスとなる。飲みやすく好み。ロックでも良い。

【Good/Very Good】

信濃屋さんが今年3月にリリースしたラム、ニューグローブ シングルカスク 2005 です。公式の紹介サイトはこちら

ラムはこれまであまり飲んだことがなく、自分で購入したのはこれが初めてです。

これまで何度か良質のラムをテイスティングしてきた中で、良い物はしっかりとフルーツ感が乗ってくることが分かっていたので、このボトルも似たような傾向にあると知って購入してみようと思い立ちました。

実際に飲んでみると、赤ブドウが強めで桃も少し感じるフルーツ感。良いですね。そして紅茶のニュアンスが結構強め。全体的にバーボンにも通じるような香木感は新樽によるものでしょうか。味わいのコーヒーのような苦味はハードチャーしているのかもしれない。などなど、どんなものか想像しながら様々なフレーバーを拾っていくのが楽しいテイスティングでした。

度数が高く口当たりが強すぎるきらいがあるため、加水やロックが個人的にはオススメです。加水してもあまり崩れないので、43%くらいまで落とした方がフレーバーを愉しめると思います。

内容的には Very Good に限りなく近いのですが、ちょっと強めのスパイス感とハイプルーフゆえの強すぎるアタックが迷う所です。開けてから2週間ほどなので、今後開いてくれば間違いなくVG評価になるでしょう。

ラムにもこういう世界が広がっているかと思うと、モルトから浮気して他にもいろいろと試してみたくなりますね。チョイスが光るナイスボトルでした。

 

長濱蒸留所 シングルモルトウイスキー ニューメイク 59%

先日の記事に引き続き、長濱蒸留所関連です。

DSC04739

NAGAHAMA Distillery  Single Malt Whisky    New Make 59%

香りは麦焼酎のようだが品の良い穀物の甘さ、もわっとしたヨーグルト様、奥に少しレザーとオイリーなニュアンス。

味わいはレモン果汁と、レモンの白い部分のような苦味、透明感のある甘みのスピリッツ、おこげのような穀物と焦げ感のニュアンスが少し残る。

加水するとレモンのワタのような苦味が味香り共に顕著に、少し糊のようなニュアンスも出て来るが、これはどのニューメイクでもほぼ共通。やはりオフフレーバーはほとんど感じられない。

 

長濱蒸留所のニューメイクスピリッツ、こちらはノンピートのものです。クラウドファンディングの御礼品として頂きました。

ニューメイクなので熟成感はありませんが、その分原酒の素顔を見ることができます。流石に度数が高く舌がやられないよう気をつけないといけませんが、穀物由来と思しき甘さに柑橘系のフルーツフレーバーがうっすらと乗っている、そしてオフフレーバー的な部分がありません。素性の良さを伺うことができます。

樽に詰めるのと同じ59%のアルコール度数となっていて、これが熟成していくのかと思うと、将来への期待が高まりますね。比較して申し訳ないですが、秩父蒸留所などが3年ほど寝かせたものでかなり仕上がっているのを考えると、こちらも3年~5年ほどで熟成感がしっかり出ているウイスキーになるのではと期待できます。

今後、ライトピートのニューメイクや熟成が進んでいる途中のものも商品としてリリースされるようですので、その過程を愉しむこともウイスキーファンとしては大いにありではないでしょうか。

 

蒸留所訪問 – 長濱蒸留所

岐阜の方面へ行きたい場所があったため、そこから少し足を伸ばして、かねてより行ってみたかった長濱蒸留所を訪問してきました。

 

DSC04629

日本国内でもウイスキーブームに乗っかる形で各地にクラフト蒸留所の建設が進められているのはご存知の通りかと思います。昨年頃から徐々に建設中などの情報が飛び交っていましたが、そういった蒸留所を差し置いていきなり「蒸留はじめました」と驚かされたのが長濱蒸留所でした。

今年に入り、故障したボイラー修繕のクラウドファンディングがあり、自分もひと口乗りました。その御礼品としてニューメイクなどを頂いたところ、これはかなり良い出来だと思ったため、近いうちに行ってみたいと考えていたところでした。

 

DSC04627
長濱蒸留所、もとは長濱浪漫ビールというクラフトビールの醸造所。レストラン併設の醸造設備の一角にポットスチルが鎮座しているのは、入った瞬間に見て分かるようになっています。銅の鈍色が良いですね。また、エントランスをくぐった瞬間にビール醸造のものとはまた違った香りが漂っている、そう、これはニューメイクの香り。なんとも不思議な空間に足を踏み入れたことが実感できました。

DSC04624
こちらでは蒸留設備とウイスキーメイクについて案内頂けました。細かい内容についてはWhisky Magazineの方に詳しくまとまっているのでそちらをご参照頂くとして、ポットスチルはポルトガルのHOGA製で初留800L+再留400Lという本当に小規模なサイズ感。日本のウイスキーファンには小規模として馴染み深いと思われる秩父蒸留所が2000L+2000Lですので、そのさらに半分、といえばどのくらいの規模かはなんとなく想像できるでしょうか。

 

DSC04610
自分が訪問したタイミングでは蒸留の終わり頃で、初留と再留のテール部分が出てきているところでした。ノージングさせてもらったところ、初留は籾殻を燃やしたものをふやかしたような独特の香り、再留はラバーゴムや溶剤のような香りが出ていました。こういうところは切って捨てるわけですね。なるほど。

ミドルカットを飲ませてもらったところ、品よくまとまったクリアな甘さにレモンのような柑橘感があり、ピートが程よく効いた良い味。このときはライトピートの原酒を仕込んでいました。加水で糊っぽさがでるのは他の蒸留所でも感じた傾向です。ピート感が強すぎず弱すぎずで中々いい塩梅で、若さもうまく救うように一体感がある出来でした。素直に良い原酒だと思います。

ウイスキービジネスに加わった経緯なども伺いましたが、とにかくフットワークが軽く、導入の早さから様々な製造方法や原料の試行錯誤を繰り返すところなど、従来のウイスキー造りとはちょっと違う、まさにハンドクラフトの真髄ここに極まれりといった感じでした。それでいて出来てきたニューメイクはかなりの品質を感じさせるもの。これは熟成後の味わいにも期待してしまいます。

 

DSC04620

熟成は今のところバーボン樽がメイン。そこにミズナラ樽やワイン樽、桜の木を鏡板に用いる樽など、様々な種類でのチャレンジが始まっているそうです。桜の木などはどうなるかが非常に楽しみですね。想像ですが、3年~5年の熟成でかなり仕上がってくるものと思います。

 

DSC04654

今後熟成の過程でどのような味わいになっていくのか興味深いところですが、長濱蒸留所さんの面白い所はその過程をカスタマーに対して公開していこうというプロジェクト。熟成過程でどんな味わいになっていくのかも含め、ウイスキーファンに訴えかける商品づくりを目指しているそうです。ある意味、飲み手側も参加者になれるというか、一緒になって長濱蒸留所を盛り上げていけるのではないでしょうか。

日本にクラフト蒸留所が根付くかどうか、今後の3年ほどが勝負になってくると思います。その中でいち早く体制と品質を確立してきた長濱蒸留所、今後とも応援していきたいと思います。