月別アーカイブ: 2014年3月

イチローズ モルト&グレーン プレミアムブラックラベル

Ichiro’s Malt&Grain Chichibu Blended Whisky Premium Black Label 50%

香りはレーズン、プルーンなどの少し酸味のある甘いフルーツの香りが強すぎず漂う。熟成感はそこまで感じないが、ほどよくシェリーっぽさ、醤油のニュアンス。

味わいは、優しいクリーミーなトップノート、ココナッツミルク。続いて少し強めの植物感、タンニン様の収斂味。メロンやスイカ、ヘチマのワタのような瓜のニュアンス。全体的に軽やか。

【Good】

イチローズモルトのブレンデッド・ウイスキー、プレミアムブラックラベルと名付けられたボトル。こちらはモルト10種、グレーン3種をブレンドしたものだそうです。

同時にテイスティングしたホワイトラベルと比較しても、熟成感がしっかりと出ていて比較的バランスが取れた味わいになっています。シェリー樽の原酒が含まれているようで、ほどよく乗ったシェリー樽熟成のニュアンスが良いアクセントになっていました。出汁醤油っぽいニュアンスも含まれており、もしかしたら軽井沢が……? などと思ったりもしましたが、どうなんでしょうね。流石にそれはないでしょうか。

イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベル

Ichiro’s Malt&Grain Chichibu Blended Whisky White Label 46%

香りはかなり若い麦感、吟醸香に近いようなメロンっぽさ、薬品というか人工的な花の香り、香水っぽい? 粘性のあるオイリーなニュアンス。

味わいは、やはり若さ特有の麦感とアルコール感、クリーミーでメレンゲっぽい甘さ。湿った布、ガムテープ、溶剤っぽいオフフレーバー。フィニッシュはヒリヒリとドライな感覚。

【Okay】

イチローズモルトのブレンデッド・ウイスキー、ホワイトラベル。国内外のモルト9種、グレーン2種をブレンドしたものだそうです。

全体的に若いニュアンスが強く、熟成されていない荒々しさというか、好きなように暴れているような印象を受けました。できたばかりの秩父蒸留所のモルトがメインになっているのでしょうか?

どうもオフフレーバー的な部分を多く拾ってしまったようで、単純に好みに合わなかったような気がします。テイスティングのタイミングが良くなかったかもしれないので、もう一度試してみたいですね。

カヴァラン ソリスト ヴィーニョ バリック

Kavalan Solist Vinho Barrique 57.8%

香りは爽やかな酸味を持ったチェリー、イチゴ、少し工業的なアルコール感がモワッと包み込む。ベリー系のフルーツ感が強く、梅、スモモのようなニュアンスも。軽くバターっぽいオイリー。

味わいは、優しいアタックから始まり、イチゴと練乳のような粘性のあるミルキーな甘さ。ミドルからチェリーやラズベリー、オレンジピールのような酸味と苦味の共存、クローブなどの多彩なニュアンスが見え隠れする。かなり濃厚な味わい。フィニッシュはイチゴバニラのアイスクリームのよう。

【Good/Very Good】

台湾のカヴァラン蒸留所のソリスト・シリーズから、ヴィーニョ・バリックというものです。ヴィーニョというとワインのことを指すと思われますが、その通りアメリカン・オークのワイン樽を用いています。このワイン樽を24ヶ月以上自然乾燥させ、トースト、リチャーを施し、フルーティなバニラの香りを引き出すことに成功した、とのことです。

最初はフィニッシュものかと思ったのですが、そうではないようですね。実際に味わってみると、確かにバニラの成分がかなり強く出ていますが、強すぎるきらいはありません。フルーティさはイチゴのようなニュアンスで、濃厚なイチゴバニラのアイスのような、面白い味わいでした。嫌味なところもあまりなく、デザートに一杯いかがでしょう、というようなシチュエーションに合いそうですし、実際にアイスクリームなどとのマリアージュも面白そうです。

カヴァランのソリスト・シリーズは前に試したシェリーカスクもかなり良い味わいに仕上がっていましたし、全体としてレベルが高いと思います。熟成年数が書いていないため、実際にどの程度の熟成となっているのかはわかりませんが、味わいから考えると10年以上は経っているように思えます。

台湾はスコットランドに比べて気温も高く、夏場は40℃にもなる環境。樽内での蒸発や熟成はかなりのスピードで進むようです。ニューメイク・スピリッツの度数を高くし、短い熟成期間で品質に耐えうるものを作る方針だとか。土地に合った作り方をしなければならない、ということなのでしょう。

ところで、日本からするとお隣の台湾ですが、人口は日本の1/5程度なのに対して、ウイスキーの消費量は日本よりも多いとか。台湾市場が活気がある、といわれるのも納得ですが、日本ももっともっと盛り上がって、東方のウイスキー熱を盛り上げていきたいですね。

ニッカ 余市 シングルモルト12年 現行品

余市 Nikka Yoichi Single Malt 12yo 45%

香りは蜜柑、藁灰、煙っぽさから始まり、段々とリンゴや多彩なフルーツ感が溢れてくる、後半に火薬っぽさも。

味わいは、プラム、イチジクなどの酸味のあるフルーツ。穏やかに下支えするピート、ミドルからバニラ、クローブなどの少し甘い味わい、徐々にアーシーなニュアンス、なめし革、石灰などのミネラル感。フィニッシュはドライ、軽くミーティなニュアンス。

【Good/Very Good】

現行の余市シングルモルト12年。ニッカのシングルモルトは余市の他にも宮城峡がありますね。蒸留所のハウススタイルが出ているかと言われると、日本の蒸留所はとても多彩な味わいを作り出しているため難しいですが、昔からの味わいというのはあると思います。

12年にしては結構な複雑さを備えていますし、フルーツ感もしっかりと出ていて、12年の割にかなりの完成度だと思います。竹鶴と同じく、どちらかというとスムースな飲み口というよりは少しクセがあり、焼酎が好きな人などにもオススメできるボトルなのではないでしょうか。

現行シングルモルトのスタンダードですが、この価格帯でいい出来映えにしなければ淘汰されてしまう。そういう意味でも本当に注力しなければならない分野かもしれません。メーカーの意地が垣間見えるボトルです。

ニッカ 竹鶴 21年 現行品

竹鶴 Nikka Taketsuru 21yo Pure Malt 43%

香りはバニラクリーム、軽くシェリー樽のニュアンス、薄荷、メンソール、エタノールのような少しケミカルっぽさ、プラム、酸味のあるフルーツ感。

味わいは、ピリピリとしたスパイシーさから始まり、石や砂などのミネラル感、ドライイチジク、ドライトマトのようなフルーツ感+塩加減、栗の渋皮のようなタンニン様、少しダシ汁のようなところも。

【Good/Very Good】

現行の竹鶴21年ピュアモルト。ニッカのブレンデッド・モルトの中でも、スタンダードかつ21年という長期熟成品だけあって、かなり複雑な味わいです。

サントリーのウイスキーはどちらかというとスムーズで呑みやすさを追求しているように思えますが、ニッカは少しクセのある味わいで、どちらかというと通好みな味わいではないでしょうか。竹鶴の名を冠しているだけあり、少しピートの効いたバランスが絶妙なところだと思います。

21年という熟成年数の割には市価で10000円しないですし、満足度も高い。17年も良いですが、ひとつ上のこちらも是非試して頂きたいですね。