カテゴリー別アーカイブ: Balvenie – バルヴェニー

バルヴェニー シングルバレル 15年 #2801 シェリーカスク

近年系シェリー樽の味ですが、 ほどよく 落ち着いてまとまっていました。

Balvenie Single Barrel 15yo (OB, Sherry Cask#2801, 47.8%)

香りは典型的な近年シェリー、レーズン、オレンジピール、ツンと来る溶剤、ゴム、粒子感のあるザラザラとした感じ、柏の葉。

味わいは柔らかいタッチでみたらし団子、ほんの少しのゴムっぽさ、ミドルからレーズン、バナナ、トフィーなどの甘さが多彩、鼻抜けの木の樽と香木感は良いニュアンス、ブドウの皮の渋さと醤油っぽさが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

バルヴェニーのシングルバレル15年、2002年蒸留、2017年ボトリングのようです。シェリー樽のシングルバレルというのは初めてかもしれません。

その香味は近年系シェリーではありますが、ゴム感、出汁醤油っぽさは少しあるものの控えめで、ミドルからの多彩な甘さが心地良く広がってなかなか良質です。一方で、香りはかなりツンと来る尖った感じで、溶剤やアルコール感が強めでややアンバランスな印象を受けました。

47.8%というとバルヴェニーの加水タイプの標準仕様のためこのボトルも加水のものと思われますが、やはりこのくらいの度数に仕上げてあるもののほうが安定するのかもしれません。以前、同様のスペックでカスクストレングスのシェリー原酒を飲んだ時は、かなりゴム感強めなフレーバーでしたので、特に近年系シェリー樽の色が濃いものやファーストフィルのものは警戒してしまいます。

少なくともこのボトルについてはなかなか好印象です。こうしてサンプルを飲んで良いと思えばボトルを買う、というのがどのボトルにでもできれば言うことなしですが、現実的には難しいのが昨今の悩みです。

バーンサイド 22年 1996-2019 小学館集英社プロダクション おやすみカラスまた来てね。ラベル

さらりと軽やか、さっぱりフルーツのニュアンスがしっかり。

Burnside 22yo 1996-2019 (Shogakukan “Oyasumi Karasu Mata Kitene”, 50.4%)

香りはメロン、苺、メントールの清涼感、葉野菜のニュアンス、乾いたオーキーさが目立つ。

味わいは滑らかな口当たりで、バニラアイス、苺のショートケーキ、少し植物感、オーキーでドライ、メロン系のフルーツとホワイトペッパーが残る軽めのフィニッシュ。

【Good/Very Good】

小学館集英社プロダクションがリリースする、コミック作品をラベルに据えたシリーズ(?)。おやすみカラスまた来てね。という作品は自分は読んだことがありませんが、ネオンのようにカラフルな夜を想起させるラベルは、バーとバーテンダーに関する作品らしさが出ています。

ブレンデッド・モルトとなっていますが、バーンサイドといえばバルヴェニー蒸留所にグレンフィディック蒸留所の原酒を少量混ぜたいわゆるティースプーン・モルト。バルヴェニーのオフィシャルは通常12年~14年が主力ですので、22年の熟成ともなればかなり長めと考えられますが、混ぜもの かつ 正式名称を隠していることでやや価格が抑えられており、お財布には優しいところが嬉しいですね。

飲んだ感じはメロンや苺のような、少し青みのある果物や野菜に通じるニュアンスが印象的。50%程度とストレートでもきつすぎない度数まで落ちてきている(加水?)ので、アタックは柔らかさを感じましたが、飲みすすめると結構ドライで、軽めでトーンの高いオーキーさが特徴的でした。

さらっとしていて甘さがくどくないので、杯を重ねても飲み疲れしない所が良いですね。

Wさん、Niceなボトルをありがとうございました。

バルヴェニー “ピートウィーク” 14年 2002ヴィンテージ

DSC05835

Balvenie “Peat Week” 14yo 2002 Vintage (OB, American Oak Casks, 48.3%)

香りはハチミツ、酸味のあるベリー、スモモ、ショウガ、軽くベーコンのような燻製香、ややスモーキー、枯れ草のニュアンス。

味わいはとろりとした麦の甘み、薬用トローチ、ジンジャーハニー、ミドルからややオイリーで塩気を伴うベーコン、塩バター、枯れ草の灰、余韻にかけてしっとりとピーティさ、ホワイトペッパーとジンジャーを伴うフィニッシュ。

【Good/Very Good】

バルヴェニー蒸留所は伝統的な製法が特徴的で、現在もフロアモルティングを続けている数少ない蒸留所。2002年から1年に1週間だけヘビーピートを焚く期間があり、それを Peat Week としているそうです。ボトルの外箱には、各年のピート週間がいつだったのかを表す記載があります。今回のボトルは2002年に始めた Peat Week の初のリリースとなります。

香味は麦感主体で、ややクラシカルな雰囲気。フルーツ感は全体的に控えめながら奥に潜んでいるような、どこか奥ゆかしさを感じます。30ppmというヘビーピートという割にはピーティさはあまり強くなく、アイラ系の島モノのピートとも少し異なり、よく燻したベーコンのようなニュアンスも少し感じたのが面白いところでした。

という香味の感想を持ちながらリリース情報などを探してみたところ、どうやら使用しているピートがフェノール値の低いものらしく、アーシーさ、スモーキーさが強調されるとともに、島モノのような塩気や薬品様が抑えられているとのこと。なるほど納得です。ひと口にピートといってもいろいろな種類があることがよくわかりました。

 

DSC02207

バルヴェニー蒸留所のフロアモルティング場。柱にはOpticの文字があり、大麦はオプティック種が使用されているようだった。

 

圧倒的なフルーツ感も高貴さも備わってはいないものの、かなり複雑で飲むたびに新しい発見があります。加水と思われる度数もちょうど良いバランスで、飲みごたえを保ちつつハードパンチャーにならないように気をつけているような印象を受けました。

暫くは毎年リリースがあるのでしょうか? 来年も楽しみですね。

バルヴェニー TUN1401 バッチNo.4

DSC07857

Balvenie TUN 1401 Batch No.4 (OB 2012 bottled, 50.4%)

香りは高貴、アプリコットジャム、マーマレード、甘さの強いリンゴ、煮だした紅茶、おがくず、少し藁灰のニュアンス。

味わいはリンゴ、アプリコットジャム、遅れて黒糖、噛みごたえのある麦の旨味、少し松脂のニュアンス、鼻抜けにもアプリコットやマンダリンのフルーツ感、染みこむタンニンとフルーツ感満載のフィニッシュ。

【Very Good/Excellent】

免税店向けでリリースされていた、バルヴェニーのTUN 1401。全部で9種類のリリースがありましたが、そのうちのNo.4です。

シェリーカスク由来と思われるアプリコットやマーマレードのフルーツ感が、ノージングにも味わいにもしっかりと存在していて多彩で素晴らしく、紅茶のニュアンスもミドルでしっかりと引き締めてくれます。原酒の幅広さ故か、多層的な味の広がりはシングルカスクではなかなか出てこないものだと言えるでしょう。

芯はしっかりしていて骨太でフルボディ、でも様々な方向に広がりがあってとにかく懐の広い、そんなボトルでした。これは本当に美味しかったです。

免税店向け(トラベル・リテール)ボトルについては、WhiskyMagazineにも記事がありましたが、ここ10年ほどの市場拡大は目を瞠るものがあるようです。昔からそういったボトルは存在していたようですが、大半がブレンデッドだったのでしょう。しかしここにきてシングルモルトのブームから各蒸留所とも力を入れ、このTUN1401がリリースされていた2011~2012頃は免税店向けでも黄金期だったのかもしれません。TUN1401はどれも美味しいと聞いていますし、No.1~4あたりは特に美味しいということでした。(これまではNo.3だけ飲んだことがありました)

ここ最近は原酒不足からか、免税店でもNASばかりになってきた感もあり、通常の市場と同じような方向を歩んでしまっているのが残念ですが、まだまだ美味しい市場であるのでしょう。どこも専門の販売員で空港内を歩く人に勧めてまわっているのが良く目に入ります。

願わくば、こんなボトルがまた出てきて欲しいものですね。

持ち寄り頂いたKさん、ありがとうございました!

DSC07858

バルヴェニー クラシック 1980年代流通ボトル

DSC07773

The Balvenie Classic (OB +/- 1985, 750ml, 43%)

香りは高貴なシェリー、シナモン、ハッカなどのスパイス感、強い紅茶の香り、黒糖、微かに硫黄のニュアンス。
味わいは独特の古いシェリー感、塩気を伴うチョコレートヌガー、紹興酒のニュアンス、栗、クリーム、微かに醤油のニュアンス。フィニッシュにかけては濃く煮出した紅茶と黒糖の甘さが続く。

【Very Good】

バルヴェニーが1980年代半ばにリリースしていた「クラシック」表記のボトル。ボトル形状がブランデーに使われるような独特のボトルです。

色合いから見てもかなりの色の濃さがあり、実際に飲んでみると色の通りのシェリーカスクの強さが伺えます。バルヴェニーの酒質自体は割りとプレーンな内容に収まっているように思われますが、オールドのシェリーカスクの芯の強さを加水でうまく調整している感じで、エグみなど感じられない素晴らしいまとまり具合です。

度数的にもかなりゆるゆるとした飲み口ですが、こんなシェリーカスクのモルトをゆったりと何も考えずに飲めたら幸せでしょう。

この形状のボトルは他にも何種類かリリースされており、肩の部分が12年や18年の表記のものがあります。どの程度味わいが異なるのかはわかりませんが、どれもそれなりに濃い色をしており、当時のバルヴェニーの方向性は強めのシェリーカスクだったのかと思わされます。いつか飲んでみたいですね。

 

バルヴェニーは近年ではダブルウッドやトリプルウッド、はたまた新樽なども試していたりして、結構樽について研究を行っている印象です。蒸留所の敷地内には自前のクーパレッジ(樽工場)も持っていますし、職人もずっと抱えてきていたことでしょう。有名なスペイサイド・クーパレッジよりも少し小さい規模ですが、設備や技術力ではほとんど大差ないと思いました。そういった強みは、今後もスペイサイドの有力ブランドの一角として機能していくのでしょうね。

 

こちらは持ち寄り会でのHさんの持参ボトル。いつも珍しいボトルをありがとうございます。