カーデュ 蒸留所限定ボトル 2018年ボトリング

ワイン樽も使っているようですが、やや特徴に乏しいような…。

Cardhu Distillery Exclusive Bottling (OB, Bottled in 2018, 3 Cask Types Including 1st Fill Red Wine, 48.0%)

香りは落ち着いた麦感、洋ナシ、バニラ、少しスーッとするメンソール、サワーヨールグルト、溶剤のニュアンスが少し。

味わいはもったりした立ち上がりでポリッジ、やや生焼け感のあるホットケーキ、サクランボのニュアンス、ミドルから少し焦げたニュアンスがありビター、カカオニブのビター感があるがさらっと終わるフィニッシュ。

【Good】

カーデュ蒸留所でのみ売られている蒸留所限定ボトルです。3種類の樽で熟成された原酒のブレンドで、うちひとつはワイン樽のファーストフィルということが明記されています。

その香味はというと、目立つ若さは特にはないものの熟成感がさほどなく、プレーンな素の味わいといった感じ。ワイン樽のニュアンスもそこまで感じられず、実は樽の話は飲んだ後から知ったくらいで、情報のインプット無しだと全くワイン樽とは分かりませんでした。

やや生乾きっぽさが目立つ印象で、あまりリッチさが無いのが逆に印象的です。蒸留所限定のボトルとしては少々普通にすぎますし、カーデュらしさという点でもあまり感じられないので、どういう意図でこれをリリースしたのかがちょっと気になる所です。

カーデュ蒸留所を訪れるのも5年ぶりとなりましたが、蒸留所へのアプローチの道が少々変わっていて戸惑いました。ショップも少し改装したように思いましたが、ちょっと記憶が曖昧です。どこの蒸留所もここ数年で多少なりとも設備が変わっているようで、近年の蒸留所への投資状況が伺えました。

今回のサンプルは、現地でディアジオのパスポートを持っていったところご好意で頂けたもの。スタンダードツアーが無料になるこのパスは以前もご紹介しましたが、この日はツアー参加する時間がなかったので代わりに、といったものでした。蒸留所スタッフの方に感謝です。

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ディーンストン 18年 オフィシャルボトル

サラッとしたシンプルな味わい。

Deanston 18yo (OB, bottled in 2019, 46.3%)

ボトル画像撮り忘れ。

香りは酸味を伴う麦感、ツンと来る溶剤、塩キャラメル、塩バターパン、爽やかさもある木樽の香り、ホコリっぽさもある家具のニュアンス。

味わいは柔らかいタッチでキャラメルソース、メロン、塩キャラメル、ミドルもやや平坦、植物感、フィニッシュもサラッと切れて短い、最後の鼻抜けにやや高貴さも見え隠れする木の樽のニュアンス。

【Good】

タッチは柔らかくそれなりに熟成を感じさせる造りではあるものの、やや平坦でフィニッシュも短めなため、あっさりとした印象を持ちました。麦感重視でフルーツ感はあまり強くないものの、メロンのようなニュアンスもあり、悪くない印象。最後の最後に、ちょっとだけ高貴な感じも漂わせていて、ものによってこのニュアンスが全面に出てきてくれるならかなり良いのだけれども……というちょっと惜しい気分です。

ディーンストン蒸留所は1966年操業開始と、まだ50年ほどの蒸留所ではありますが、建物自体は18~19世紀を中心に紡績業で使われていたものをそのまま流用しており、かなり歴史のあるものとなっています。時代の変遷とともに紡績業は畳まざるを得なかったのですが、代わりに地元の雇用確保に何かできないかと考えた結果の蒸留所、というちょっと変わった歴史を持っています。

このあたりのお話はツアーの最初に動画で紹介されているのですが、同じものがネット上に公開されている……はずと思って調べたんですが、無いですね。良い動画だったので是非見て頂きたかったのですが。

グラスゴーやエジンバラから日帰りで行けるギリギリの場所といった位置で、観光客もそれなりに多いようです。

グレンバーギー 19年 1998-2018 The Whisky Trail 台湾向けシングルカスク

中間にほんのりとしたグァバっぽさがあるバーギーです。

GlenBurgie 19yo 1998-2018 (Elixir Distillers “The WHISKY TRAIL” for Taiwan, Barrel Cask#900897, 58.3%)

香りは豊かな麦と穀物由来の甘さ、バニラ、イチヂク、アップルタルト、ややハーブのような青い草のニュアンス。

味わいはやや強めのアタックでコクのある甘み中心、綿飴、中間にグァバや完熟パパイヤなどのトロピカル感、イチヂクのタルト、少しハッカ、フィニッシュに掛けてはかなりビターな樽感が占める。

【Good/Very Good】

エリクサー・ディスティラーズの台湾向けグレンバーギー。

このシリーズは4種類のボトルがあるようで、いずれも花と鳥が描かれています。白を貴重とした中国的なイラストが美しいですね。エリクサー・ディスティラーズのリリースですと、日本向けとしてはドラゴンシリーズやウォリアーシリーズなどがありますね。中世ファンタジーの要素が強いというか、ちょっと厨ニ的だと思っているのは自分だけじゃないはず……。(でもそういうの、嫌いじゃないです)。

さて肝心の中身ですが、ここ最近飲んできたバーギーに似たところがあり、割と綺麗めのバーボン樽原酒のミドルにグァバっぽいトロピカル感が見え隠れするところが特徴的。少し樽が強めに出てきているのか、後半はピリピリとしてドライさがややキツめですが、全体としては飲みごたえがあり良いボトルです。度数が高いので、慣らしが終わった2杯目か、加水してゆるゆると楽しむのも悪くないでしょう。

ここでグレンバーギー蒸留所について手元の写真を探そうとしていて、軽くショック。訪問リストからすっかり抜けてしまっていて、今年2019年のスコットランド旅行の際にも近くを通ったのにスルーしてしまっていました。なぜ忘れていたのか……。

もちろん行っても見学ができるわけではない(ペルノ系列は基本どこもNG)のですが、外観だけでも見てこなければならなかったのに、失敗しました。いつかリベンジしなければ。

Thanks for Gen, Good Bottles!!

ベンネヴィス 21年 1997-2018 The Whisky Trail 台湾向けシングルカスク

程よくフルーツ、程よくスパイシーでした。

Ben Nevis 21yo 1997-2018 (Elixir Distillers “The WHISKY TRAIL” for Taiwan, Barrel Cask#104, 56.8%)

香りはケミカルさを伴うフルーツシロップ、パイナップル、パッションフルーツがわずかに、独特の薬草感、フルーツヨーグルト。

味わいは香り同様にトロピカルフルーツに独特の薬っぽさ、カスタード、火薬のニュアンス、ミドルから茹でた栗、樽感強くブラックペッパーとカカオのニュアンスが続くフィニッシュ。

加水でも大きく崩れることはなく、シナモンやカスタードのニュアンスが強くなりバランスが取れてくる。

【Good/Very Good】

The Whisky Exchange でおなじみエリクサー・ディスティラーがリリースした台湾向けのベン・ネヴィス21年。

香味ともに最近のベン・ネヴィスらしさがしっかりと感じられる構成で、いわゆるジェネリック・トロピカルといった感のフルーツと独特の薬草っぽさが混じり合って主張してくるタイプです。トロピカル満載! といったものではなく、あくまでフルーツ感の一部分がそのように感じられる程度で、全体としてはもう少しおとなし目というか、やっぱりベン・ネヴィスだよね、という印象。

加水で結構印象が変わってくるのと、グラスの残り香も複雑さがあって長く楽しめたので、どちらかというと香りに特徴があり面白いボトルです。近年、優等生で美味しいけれどもあまり個性が無くなってきている原酒も多い中にあっては、これくらいの個性があった方が印象に残りやすく楽しめるのではないかと思います。

近年、現地向けの10年などが割と高評価でこれからも良いものが出てくるのではと期待されているのですが、実際には原酒がかなり不足しているようで今後のリリースが不定期にならざるを得ない状況にあるという話も。ニッカが所有しているわけで、その原酒がどこに向かうかといえば主に日本のブレンデッドウイスキー、ということになるのでしょう。

先日、スコットランドを旅行してきたのですが、どこの蒸留所もここ数年で増築していたり生産量を増やしていたりと、本当に原酒確保に必死になっている状況。そのために犠牲になるものもきっと少なくないと思うのですが……。今後も良いシングルモルトが続いてくれるように祈ります。

ベンネヴィス蒸留所が佇むのは、その名の通りベンネヴィス山のお膝元。山頂は雲に隠れてしまうことが多い。

ボウモア 13年 2002-2015 クリエイティブ・ウイスキー10周年記念

ドライでシャープなボウモアでした。

Bowmore 13yo 2002-2015 (Creative Whisky “Exclusive Malts”, 55.6%)

香りはレモン、ツンとくる溶剤感、強めのアルコール感、ヨードはしっかりあるがやや控えめ、濡れた紙のニュアンス、クローブとナツメグのようなスパイス。

味わいはレモン、グレープフルーツの苦味、トースト、ヒリヒリとアルコールの刺激、機械油、グレープフルーツの苦味とアルコール感がひりつくフィニッシュ。

加水すると香りに熟したプラムのような酸味+甘みのフルーツ感が強くなり、味わいも同様にフルーツの甘さが取りやすくなるものの、依然としてフィニッシュにかけての苦味は強く主張する。

【Good】

クリエイティブ・ウイスキー社の10周年記念のボトルとして詰められたボウモア、13年熟成のボトルです。

全体的にモルトとしての甘さが控えめでドライ、ライトなボディにヨード感も控えめ、アルコール感とスパイス感が強く、全体的に若くてピチピチのボウモア、といった印象でした。2000年や2001年のボウモアではもう少しフルーツ感や麦感に振れてくれるものが多いイメージだったため、2002年だとこういう感じなのかな? とちょっと肩透かしをくらった気分です。この樽の特徴がそうだった、というだけかもしれませんが。最近あまりこのあたりのボウモアを飲めていないので経験不足ですね。

あるいは、良い樽はオフィシャルやもっと力の強いボトラーズが確保してしまっていて、あまり良い樽が出まわらないのでしょうか。最近のボウモアは、というかアイラモルト全般が、人気と需要の高さを背景に強気の値段になっているため、ボトラーズも苦労しているのでしょうか。もう少し落ち着いてくれると良いのですが……。

インペリアル 22年 1990-2013 マキロップチョイス Cask#11972

乳製品と草っぽさから農家をイメージするボトルでした。

Imperial 22yo 1990-2013 (Mackillop’s Choice, Cask#11972, 57.9%)

香りは熟成したチーズ、ポリッジ、オレンジ、クランベリー、やや薬草的なニュアンス。

味わいは強めの刺激を伴いながら、凝縮した麦の甘味、マーマレード、生クリームのようにややオイリー、ミドルからオリーブやマスタードのニュアンス、チーズがかったポリッジのような穀物と薬草のような苦味を伴うフィニッシュ。

【Good/Very Good】

マキロップチョイスからインペリアル、2013年に詰められたカスクストレングスのボトルです。

香味ともに乳製品っぽさが中心にあり、熟成したチーズにやや野暮ったい麦の風味、そして薬草のような草っぽいニュアンスがあるのが印象的でした。やや野暮ったい麦芽の香味あたりが、3回蒸留のインペリアルらしいところかな、という風に捉えました。

樽感はあまり強くなく、それよりはアルコールの強さからかなり刺激が来るため注意して飲まないとあっという間に舌がやられてしまいそうでした。加水をすると熟成したチーズ感が強まり旨味がよく感じられ、素性の良さは垣間見られました。

リトルミル 25年 1989-2015 ハートブラザーズ for North Sea Bottlers

トロピカル感の影に隠れ潜むアイツがいました。

Littlemill 25yo 1989-2015 (HART BROTHERS “Finest Collection” for North Sea Bottlers, First Sherry Butt, 52.1%)

香りはエキゾチックなフルーツ、ややケミカルさを伴うパイナップル、パパイヤのような青い果実感、ポリッシュされた家具、少し紙のニュアンス、時間経過でカカオが出てくる。

味わいはややおとなしいスタートで、マンゴスチン、パイナップル・ファイバー、ミドルから徐々に紙、濡れたダンボールが少しだけ顔を覗かせる、ジャム入り紅茶、少し木とカカオの苦さがあるが心地良い程度がフィニッシュに続く。

【Good/Very Good】

North Sea Bottlers というベルギーのボトラー向けにリリースされた、ハートブラザーズのリトルミル25年。

ここ最近のリトルミルは、以前のように「らしいフレーバー = 濡れたダンボール」のニュアンスが強いものは影を潜め、少しケミカルさを伴うトロピカル・フルーツのフレーバーが出ているものが多いように感じます。このボトルもその系統のひとつですが、味わいの中にそれっぽいダンボールのニュアンスが隠れているのが分かり、ああリトルミルらしいな、と半ば安心するような、でもやっぱりちょっと嫌かもというような、面白い感覚を楽しむことができました。

ファーストフィルのシェリーバットという記載がありますが、シェリー樽らしい影響はかなり控えめで、後半に紅茶とカカオのニュアンスがある程度です。恐らくはオロロソやペドロヒメネスではない、フィノあたりのシェリー樽だったのではないかと推測します。これくらいのニュアンスならファーストフィルでも良いですね。

リトルミルも、蒸留所閉鎖から既に25年が経ち、残りの原酒もあまり多くは無いことでしょう。長熟の域に入り手頃な値段でのリリースが少なくなってきたため、今後はかなり希少価値が高くなってしまいそうです。とはいえ、これまでのリリースが多かったせいかセカンドユースの市場にはいろいろなボトルがありますので、そちらを狙うのもありでしょうか。独特の濡れたダンボール感の無いボトルは限られてそうですが……。

ちなみにこのボトルはベルギーの方々と一緒にテイスティングしたのですが、あちらでも Like a carboard という単語が出てきて、あーこのニュアンスはやっぱりダンボールだよね、と納得しました。日本と海外とでは香味の捉え方が異なることも良くあるのですが、少なくともこのダンボール感は共通だったようです。