タリスカー 10年 1989-1999 for フレンズオブクラシックモルト 59.3%

Talisker 10yo 1989-1999 (OB for Friends of the Classic Malts, 59.3%)

香りは粘土、リンゴ、透明感のある麦、花火の残り香、じっとりとしたピート、スモークしたベーコンのニュアンス、

味わいは分厚い麦、甘いスイカ、ハネデューメロン、パチパチと刺激的な胡椒の味わい、麦の旨味と甘味が強い、ベーコンあるいはキッパーのような旨味、ピートと共にフリスクのような清涼感を伴う味わいが残るフィニッシュ。

【Very Good】

フレンズ・オブ・ザ・クラシックモルツは、主にディアジオの所有する蒸留所に対していろいろな特典がある会だが、そのフレンズ向けとしてリリースされていたタリスカーの10年。カスクストレングスでのボトリングとなっていて、スペックだけ見たらオフィシャルのタリスカー10年のカスク版、というイメージ。しかし、流石になかなか良い原酒を使っていたのだろうか、中身はかなり高いレベルのもの。

味わいの各要素はエッジが立っていてくっきりとしており、ひと口目から目のさめるような味わい。タリスカーのキャッチコピーである「舌の上で爆発するような」という表現、個人的にはここ10年くらいのタリスカーでは「全く爆発してないよな」という感想だったけれども、このボトルはそのキャッチコピーを地でいく味わい。最近はこういうのなかなか無いですね。とにかくひと口目から好印象で、麦の旨味がぎゅっと詰まった芯の部分と強すぎないピートが心地よく、これくらいが丁度良いバランス。10年とは思えないリッチな仕上がりにも舌を巻きました。

ボトルラベルは白地に文字が少しとシンプルそのものですが、味わいもタリスカーのすっぴん、といったところだろうか。すっぴんでこれだけの器量をもっているあたりは、さすがに200年近く続いてきた蒸留所の貫禄とったところ。

さて、このボトルにもある「フレンズ・オブ・ザ・クラシックモルツ」。ここ最近は Malts.com というディアジオのサイトがあり、そこで登録すると蒸留所の現地で様々な特典が得られるというのは以前にも記事に書いている。実際、自分も登録をして現地ツアーへの参加費を無料にしてもらえたりボトル購入で少しだけ割引されたりと、細かいですが様々な特典がついてくる。ただ、この数年ではこうしたフレンズ向けの特別ボトルというのは、どこかで見かけたようなそうでもなかったような……記憶が定かではないのだけれど、昔はこのボトルのように特別なボトルが蒸留所などで売られていたのだろうか。

スペック的にはあまり魅力的に見えない(どうしてもハンドフィルなどに吸い寄せられてしまう……)ものなのでスルーしてしまっていたが、先入観なしでいろいろと試してみないといけないですね。

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グレンバーギ 26年 1989-2016 マキロップチョイス #16309 53.3%

Glenburgie 26yo 1989-2016 (Mackillop’s Choice, Cask#16309, 53.3%)

香りはもったりと重厚なバタースコッチ、香ばしいスコーン、クロテッドクリーム添え、よく熟れた洋ナシ、古い家具のニュアンス。

味わいはやや繊細なタッチで、酸味強めの白ぶどう、スコーンとバターの風味、やや主張する樽のエグみ、プーアール茶、余韻はビターチョコレートとハーブリキュールの苦味が長く残る。

【Good/Very Good】

マキロップチョイスの1989年蒸留のグレンバーギー26年。

全体的に熟成感のある重めの味わいで、バターやクリームのようなややもったりとした印象の穀物&オイリーなニュアンスが良い。味わいは香りとは少し変わっていてやや繊細。甘さよりも様々な種類の苦味が特徴的。樽のニュアンスだったりカカオだったり薬草だったり。中心にはほんのりとした甘さがあるのだが、その周りに種々の苦味をとりそろえました、といったおもしろい構成になっている。これがシングルカスクというのも興味深い。どちらかというと幾つかの個性がブレンドされたような多層的なイメージなので、やや独特な樽に出会えたためにシングルカスクとしてボトリングされたのだろうか、などと推測してしまう。

1990年前後の蒸留の原酒ももう25年~30年の熟成になったわけで、いよいよ長熟の領域に。感慨深いですね。近年のスコッチウイスキーは全体的にどの蒸留所も酒質がクリアで安定したものになってきているが、そうなってきた時期としてはだいたい1990年頃という印象。逆に言うと徐々に個性が無くなってきているとも言えるのですが、オフフレーバー満載の「これはちょっと……」というようなものもほぼ無くなってきたので、歓迎すべき傾向ではありますね。全体的に75点~95点の範囲に卒なくまとまってきているな、と。逆に言うと、昔は個性的なものが多かったため、下は40点ですが上は120点が出てくるという時代だった。どちらが良いとは一概には言えないとは思うけれど、突き抜けた個性にもたまには出会いたいと思ってしまうところ。

このグレンバーギーは、ある種の個性が光っているな、と感じる一本でした。

オーヘントッシャン 26年 1990-2017 セレブレーション オブ ザ カスク #4971 53.9%

Auchentoshan 26yo 1990-2017 (Carn Mor “Celebration of the Cask”, Hogshead Cask#4971, 53.9%)

香りは透明感のある麦、糖蜜、レモンバウム、チーズケーキ、まだ少し生乾きの麦わら、グラッパに近いニュアンス、オリーブオイルのニュアンス。

味わいはピリピリと刺激的で、アップルシナモンティー、マーマレード、生姜湯、落雁のようなホロリとした甘さ、微かにしっとりとしたアーシーなニュアンス、生姜湯のほんのりとした甘さが短く切れ上がるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

カーンモアのセレブレーションオブ・ザ・カスクから、1990年蒸留のオーヘントッシャン26年。

全体的に線の細い印象を受ける繊細な味わいで、軽めの甘さに、生姜のような刺激的ながらもサッパリとした味わい。緑色を連想させるグラッシーなニュアンスあたりに、ああ、オーヘントッシャンってこうだったような気がするな、という共通性を見出せる味わいだった。比較的プレーンな樽感で蒸留所の方向性を表現しているあたりは、セレブレーション・オブ・ザ・カスクのシリーズ全体に共通するように思う。

オーヘントッシャン蒸留所は、スコットランドの空の玄関口であるグラスゴー国際空港やグラスゴーの街からもほど近く、車で1時間もしないうちに到着できる。立地の良さから観光バスに乗ったツアーが絶えない様子で、スコットランドの旅の始まりか終わりに何回か立ち寄っているが、いつ行っても観光バスが到着する様子が印象的だった。グラスゴーの郊外ということもあって、周りは割と住宅が多い場所なのだが、その端に広々とした蒸留所の敷地があるのが不思議な印象。まあ、日本でもビール工場なら神奈川の横浜-生麦や、西部の大井町といった都市部&郊外(?)にもあるので、それと似たような感じかも。敷地の佇まいは、前者が随分と自然の中にあるような印象を受けるのに対して、後者はまさに工場そのもの、といった趣だが……。

後ろに住宅街が見えるオーヘントッシャンの風景

何の話かわからなくなってきたけれど、グラスゴーから近いオーヘントッシャンは、旅の最後あたりにふらっと立ち寄るのにも向いているのでおすすめですよ、というお話。新型コロナの影響が収まってきてスコットランドにまた行けるようになったら、立ち寄ってみたい場所です。

こちらは小瓶交換でチョイスして頂いたボトルのひとつ。あまり自分からはなかなか選ばない蒸留所なので、久しぶりに美味しいオーヘントッシャンが頂けました。ありがとうございました!

キルホーマンとアイラ島の蒸留所の歴史

キルホーマンのモルトの投稿が2つ続いたのをきっかけに、キルホーマン蒸留所についていろいろと調べていたのだけれど、その中でふと思い出したのはとある地図のこと。手元にその地図の写真が無いためにあちこちの情報をあたってみたわけだが、結果としてアイラ島の蒸留所の歴史について調べることになったため、その内容をここに纏めてみようかと。

キルホーマン蒸留所の謳い文句としてあるのが、Farm Distillery そして 124年ぶりのアイラ島の新規蒸留所 というもの。スコットランド各地の蒸留所の歴史については以前もVizに纏めていたり、歴史的に大きな事件(パティソン事件)についても紹介したけれども、19世紀末の大スキャンダル以降、スコッチウイスキーを取り巻く環境は不安定となり新規の蒸留所はなかなか建設されない時代が長く続いた。

また19世紀の特に前半は、蒸留ライセンスの発行は多々あったもののビジネスとして継続できるかというとやはり難しかったようで、大小様々な蒸留所が稼働しては閉鎖する、ということを繰り返していた時代でもあった。比較的小規模かつ自前で生産した大麦をウイスキーに変えようという Farm Distillery も多く見られたが、大部分が現在まで残っていないのが実態。

アイラ島にも過去いくつもの蒸留所があったことが分かっていて、今ではいくつかのサイト(Islay Info, Kilchoman Distillery, The Lost Distilleries oof Scotland, etc…)でその情報を確認することができる。自分がそれらの名前や場所について初めて知ったのは、キルホーマン蒸留所のビジターセンターに掛かっていた地図でだった。大きな地図に、過去の蒸留所たちの情報が一覧化されていて、こんなにもたくさんの蒸留所がこの小さい島の中にあったのか、と驚いた。

こちらがその地図で、結局キルホーマンのサイトで見つけることができた。内容は最近のバージョンに更新されていますね。以前はポートエレンの復活やアードナホーの計画などは無かったので。

Image via Kilchoman Distillery

この他にも、Whisky Exchange で有名な Elixir Distillers が蒸留所建設の計画をしている他、3,4の新規蒸留所の計画が上がっているという情報も。が、いずれもまだ計画段階で着工には至っていない様子。当局の許可を得るにはかなりの時間と労力がかかることが伺える。

ところで、キルホーマンの前の最後の蒸留所、2005年から見て124年前にできた蒸留所というのは何処だったのか。様々な蒸留所の稼働情報を時系列に纏めてみると、次のようになる。(太字は現在稼働中の蒸留所)

NameEstablishedCloseNote
Bowmore1779[Active]
Daill18141834 ?
Ardbeg1815[Active]
Laphroaig1815[Active]
Octovullin18161819
Octomore18161840
Achenvoir18161818
Lagavulin1816[Active]
Scarabus18171818
Ardmore (Lagavulin 2)18171837Lagavulinの近隣。1837年頃にLagavulinの設備に纏められたとみられる。
Ballygrant18181821
Bridgend & Killarow1818 ?1821 ?
Newton18191837
Tallant18211852Bowmoreの近隣。建物はまだ残っているらしい。
Port Ellen182519832021年に再稼働へ ?
Mulindry18261831
Lossit18261862
Glenavullen18271832
Lochindaal (PortCharlotte)18291929
Ardenistiel18361866Laphroaigの近隣。Kildalton (1849-1852), Islay (1852-1866) と名前を変えながら継続。最終的にLaphroaigの設備に。
Upper Cragabus1841 ????恐らく数年のうちに閉鎖
Caol Ila1846[Active]
Freeport1847 ????恐らく数年のうちに閉鎖
Bruichladdich1881[Active]
Bunnahabhain1881[Active]
Malt Mill19081962マッシュタンのみLagavulinと共有していた。最終的にLagavulinの設備の一部に。
Kilchoman2005[Active]
Ardnahoe2018[Active]Hunter Laing社が設立

最初、閉鎖蒸留所ばかりを見ていて、2005年から124年前、つまり1881年に建設された蒸留所が無い?! なんて思ってしまったのだけれど、よくよく見てみるとブルイックラディとブナハーブン、現在でも稼働中の蒸留所があったことに気づいた……。これらがキルホーマンの前に建設された蒸留所たち。そしてその後は124年間、新規の蒸留所が無かったというキルホーマンの謳い文句になるわけだが……

……あれ? ちょっと待てよ?

モルトミル蒸留所。そうだ、これの扱いはどうなっているんだろう?

モルトミル蒸留所は、2012年のケン・ローチ監督の映画『天使の分け前』でも出てきたためご存知の方も多いと思うが、1907年頃のラフロイグ-ラガヴーリンのいざこざに端を発し、ラガヴーリン側でラフロイグと同じものを作ってしまえ、というなんともな理由から生まれた蒸留所。マッシュタンはラガヴーリンの設備を使っていたが、ウォッシュバックとポットスチルは独自のものを新たに用意して稼働させていた。出来上がったスピリッツは、ラフロイグとは異なるしラガヴーリンともまた異なる味わいだったということである意味「失敗」だったのかもしれないけれど、結局1960年台まで稼働し続け、今も設備はラガヴーリン蒸留所の一部として使われている。

ラガヴーリンの敷地内ではあったものの、別の蒸留所としても考えられそうなものだが、キルホーマン的にはこれはラガヴーリンの設備拡張だった、という認識なのだろうか。しかし、さきほどの地図にも Malt Mill がしっかりとひとつの蒸留所として描かれているし、ちょっとこのあたりはよく分かりませんね。

こうして過去を見てみると、閉鎖した蒸留所の稼働期間は数年だったり20~30年だったり、あるいは100年は続いたけれども閉鎖と様々。現在はスコットランドに限らず日本でも新興ブームとなっているけれど、このうち幾つか生き残るのか、それは何年後までか、などと考えてしまう。ウイスキーは熟成が必要なため、どうしても蒸留所が長く続くことが重要な要素にならざるをえない。その間、生活環境や消費傾向の変化があるのは必然となるため、柔軟な対応と金銭面などでの体力が必要になる。経営的にはかなり難しい事業でしょう。

今はブームという波に乗ったボーナス時期かもしれないが、いずれ苦しい時期もやってくることでしょう。応援したい蒸留所があれば、そんな苦しいときにこそ応援してあげたいものですね。

キルホーマン 2012-2019 信濃屋向けシングルカスク ジャマイカラムフィニッシュ #406/2012

こちらのラムカスクのキルホーマンも良い仕上がりです。

Kilchoman 2012-2019 (OB for Shinanoya, Jamaican Rum Finish Single Cask #406/2012, 56.9%)

香りは塩素、麦芽、糖蜜、ミカンのような柑橘、潮気もあるヨードのニュアンス、少し藁灰、微かにセメダインのニュアンス。

味わいは度数よりは若干まろやかな口当たりから、糖蜜の甘さ、柑橘の酸味、すぐに塩素とヨードたっぷりのピート感、クリアな麦の甘さ、レモン果汁、微かにソーセージのような旨味成分、穀物の甘さに藁灰のピートが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

昨年2020年の夏に信濃屋さんからリリースされた、キルホーマンのシングルカスク。先日のWhisk-e向けとほぼ同様のスペック。あちらのジャマイカラム樽を一度飲んで好印象だったので、信濃屋さんから同様の樽のリリースがあると聞いたときには絶対に買うと決めていました。味わいは期待通り、やはりラム樽のサラッとした甘さが付与されていて、元々のキルホーマンの味わいから少しリッチな仕上がりに。こちらのボトルも上々の味わい。

香味の構成は、これもほぼWhisk-e向けと同じ。若干コクやフレーバーに違いはあるものの、もはや好みの問題、比較してみないとわからないレベルかと。

ジャマイカラムカスクの比較テイスティング

このボトルがリリースされたのは2020年の夏。今回テイスティングしたのは買った直後に開封して半年ほど経ってから、つまり冬になった今なわけだが、リリース当時の意図としては、暑い夏にラム樽のフレーバーも香る陽気なボトルがマッチするのでは、というものだったのではないかと。実際、夏でも結構消費したし、ハイボールも何回か試してみたところ実に美味いやつだった。また夏に向けて気温が上がってきた頃、5月あたりになるとさらに美味く感じるようになっているのでは、と期待。

Whisk-e向けがすぐに売り切れた一方で、こちらのボトルは信濃屋さんでまだ入手可能という、ちょっと不思議な現象が起きているのだけれど、今年の夏に向けて、お手頃でしっかり美味いシングルカスクのキルホーマンを買っておくのも良いのでは。買うなら今のうちですよ。

信濃屋さんもしっかり良い樽引っ張ってきますね。ありがたい事です。年始からプライベートボトルの情報も出てきていますし、今後も楽しみです。