アベラワー 12年 オフィシャル1980年代 V.O.H.M.表記

DSC05910.jpg

Abelour V.O.H.M. 12yo (OB +/-1980s, 750ml, 43%)

香りはむせ返るようなアプリコットジャム、陶酔感のあるシェリー感、セクシーなムスクやコロン、獣の毛皮、紅茶、微かに灯油のニュアンス。

味わいはトフィ、爛れかけたイチジクやオレンジ、じんわりと広がる紅茶の葉、ミドルからざわざわと植物感、綺麗にまとまったオークのエグミと、白粉の餅の甘さ、ややオイリーさを残したイチジクのニュアンスが続くフィニッシュ。

【Very Good】

アベラワー蒸留所は1974年にペルノリカール社に買収されました。ブランデーが主要な同社の影響らしく、シングルモルトにも関わらずまるでブランデーのようなボトルが使われました。V.O.H.M. (Very Old Highland Malt)という表記もブランデーのV.S.O.P.とよく似ていますが、なんかちょっとパチもんみたいで微笑ましい感じがありますね。

おそらく1980年前後のボトリングと思われるこちらは、逆算すると1970頃の蒸留となり、流石に原酒や樽にも恵まれていた頃なのでしょう。流石にトロピカルや突き抜けたさ高貴なシェリー感とまではいかないものの、独特のくぐもった毛皮やムスクのようなニュアンスは軽い妖艶さを伴っていて物珍しさもある。あるいはヒネとも言えるかもしれないが、現在の若いモルトでは出せないニュアンス、近年ではほとんど消えてしまった味わいを感じることができます。

日本でも輸入している業者が多かったためか、オークションでもそれなりに数が出回っている様子。また、同じシェリー樽使いの蒸留所であるマッカランやグレンファークラスほど人気が出ていないので、10000円少々とまだそれなりに手頃な値段でてに入ります。現在でもなかなかのボトルであれば同じくらいの値段になってしまいますから、それを考えれば悪くないチョイスだと思います。

 

広告

グレンモーレンジ アスター 2017リリース

DSC05912.jpg

Glenmorangie ASTAR (OB, 2017, 52.5%)

香りはハチミツ、ネーブルオレンジなどの柑橘、バニラチョコレート、ハイトーンで洗練されたクリアな清涼感のある木香、奥に熟したイチジク、実にアスターらしい香り。

味わいはややしっかりした口当たりから、透明感のあるハチミツ、バニラケーキ、アンズ、サワーヨーグルト、ミドルから木材の収斂味、良いバーボンらしい木のニュアンス、焦がしたチョコレート、トフィー、シナモンと木の香りが良く残るフィニッシュ。

加水すると香り味ともに樽を焦がしたようなニュアンスがエッジを強める。ボディはあまり膨らまない。ストレートの方が満足感が高くオススメ。

【Very Good】

あのグレンモーレンジ・アスターが帰ってくる、というニュースを聞いて嬉しくなった人も多かったことでしょう。自分もそのひとりでした。

2008年~2012年にリリースされていたアスターは、ワールドワイドな展開だったためか日本でも手に入りやすいボトルでした。仲間内でも「近年ボトルの中では抜群の安定度で美味い」というのが当時の評価だったと記憶しています。また、700mlボトルで5000円程度という値段の安さも魅力的で、非常にコスパの良いボトルでした。モルトの入門者向けとしても、ファーストステップのオフィシャルスタンダードから続くセカンドステップとして、アベラワー・アブーナなどと共に名前が挙がることが多かったと思います。

アスターの特徴は何と言っても「樽の影響を真剣に研究した結果」であること。ビル・ラムズデン博士が研究してきた「デザイナーズカスク」による、グレンモーレンジの樽使い。それらの知識の結集がこのアスターです。嫌味のない綺麗な樽感、そしてどこか華やかさも兼ね備えたまさにバーボン樽のお手本とも言える樽使い。前アスターのときから評判が良かったですね。

今回の2017年リリースではどうなのかと期待しながら飲んでみました。まず香りからして、いかにもグレンモーレンジらしい、そして、アスターらしい香り、とでも言えましょうか。バーボン樽の良い香りが広がります。味も洗練された嫌味の無い素直な味で、原酒由来と思しきフルーツやハチミツのような味わいがトップに、ミドルからは樽感の良い香りが鼻腔全体に広がっていきます。

総じて満足感が高い、近年系のバーボンカスクのモルトとしては実に素晴らしい出来栄えです。

 

しかし一方で、同じアスターならば以前のリリースはやはりお手頃だったという印象が否めない……。こればっかりは時代背景にもよりますので仕方のないことですが、どうしても比較してしまいますね。

昨今のウイスキーブームによる品薄、原材料費の高騰、そして為替の影響も大きいと思います。前アスターのときはちょうどリーマンショックがありかなりの円高でした。当時と比べると2017年は2割ほど上がっていることになりますから、少なからず値段にも反映されてしまっています。

いろいろと現実を見せつけてくれるリリースですが、間違いなく今の時代を代表するハイクオリティなボトルだということもまた確かだと感じました。

 

バルヴェニー “ピートウィーク” 14年 2002ヴィンテージ

DSC05835

Balvenie “Peat Week” 14yo 2002 Vintage (OB, American Oak Casks, 48.3%)

香りはハチミツ、酸味のあるベリー、スモモ、ショウガ、軽くベーコンのような燻製香、ややスモーキー、枯れ草のニュアンス。

味わいはとろりとした麦の甘み、薬用トローチ、ジンジャーハニー、ミドルからややオイリーで塩気を伴うベーコン、塩バター、枯れ草の灰、余韻にかけてしっとりとピーティさ、ホワイトペッパーとジンジャーを伴うフィニッシュ。

【Good/Very Good】

バルヴェニー蒸留所は伝統的な製法が特徴的で、現在もフロアモルティングを続けている数少ない蒸留所。2002年から1年に1週間だけヘビーピートを焚く期間があり、それを Peat Week としているそうです。ボトルの外箱には、各年のピート週間がいつだったのかを表す記載があります。今回のボトルは2002年に始めた Peat Week の初のリリースとなります。

香味は麦感主体で、ややクラシカルな雰囲気。フルーツ感は全体的に控えめながら奥に潜んでいるような、どこか奥ゆかしさを感じます。30ppmというヘビーピートという割にはピーティさはあまり強くなく、アイラ系の島モノのピートとも少し異なり、よく燻したベーコンのようなニュアンスも少し感じたのが面白いところでした。

という香味の感想を持ちながらリリース情報などを探してみたところ、どうやら使用しているピートがフェノール値の低いものらしく、アーシーさ、スモーキーさが強調されるとともに、島モノのような塩気や薬品様が抑えられているとのこと。なるほど納得です。ひと口にピートといってもいろいろな種類があることがよくわかりました。

 

DSC02207

バルヴェニー蒸留所のフロアモルティング場。柱にはOpticの文字があり、大麦はオプティック種が使用されているようだった。

 

圧倒的なフルーツ感も高貴さも備わってはいないものの、かなり複雑で飲むたびに新しい発見があります。加水と思われる度数もちょうど良いバランスで、飲みごたえを保ちつつハードパンチャーにならないように気をつけているような印象を受けました。

暫くは毎年リリースがあるのでしょうか? 来年も楽しみですね。

キルケラン 12年 グレンガイル蒸留所

DSC05356-2.jpg

諸事情でボトルが割れてしまったため、代用ボトルです……。

Kilkerran 12yo (OB, Glengyle Distillery, 2016, 46%)

香りはレモン、酸味が強めの柑橘、やや薄めの麦芽ジュース、ほんのりとヨーグルトやバター、ミネラル感、奥にひっそりとアーシーなニュアンス、ピート感だろうか、ボディ薄めで線が細いイメージ。

味わいは優しいタッチでふやかしたシリアルに少しハチミツ、洋ナシ、微かに桃のニュアンス、全体的に薄め、奥からじんわりとミネラル感とピートなのだろうか、じっとりとした苦味も感じる複雑さがあるフィニッシュ。

ロックではミネラル感、しっとりとしたピートが良く立ち上がる。レモンウォーターのような清涼飲料水のようなほろ甘さも。
結構良い変化。

【Good/Very Good】

昨年2016年にようやく Work in Progress ではないオフィシャルラインナップとしてリリースされました、グレンガイル蒸留所のキルケラン12年。スコッチ好きの方であればもはや説明不要かと思います。だいぶ今更感が漂っていますが、先日近場でボトルを見つけて何となく気づいたら買っていました。いやまあ、安かったですしね。

まだ若いニュアンスは残っているものの、刺々しさは特にありませんし、フルーツや麦の甘さとミネラルやピートのほろ苦さが良いバランスをとっていて、ゆるゆる飲むにはかなり適したボトルです。フルーツ感は控えめで、なんというか、日本の果物ではなくヨーロッパの(あまり甘くもなくちょっと味気ない)果物という感じ。個人的にはロックにしたときのエッジが立ってくるほろ苦さに好印象を受けました。

 

現地リリース直後の2016年5月にスプリングバンクとグレンガイルに寄っていたこともあって、蒸留所スタッフのちょっとした熱気がこもった説明や雰囲気を良く憶えています。スタッフにとって、このキルケラン12年はようやくこぎつけたリリースだったようで、苦労がたえなかったそうですがそれが報われた、ということでした。

DSC00372.jpg

キルケラン蒸留所の Work in Progress シリーズが誇らしげに肩を並べていた

 

現地でも、そして日本に帰ってきてからも仲間内で飲んだりしていて、ただし自分はそこまで好みではないかな、という印象だったので特に食指が動かなかったのですが、改めて飲んでみると決して派手ではないですがしっかりした味わいで、やや古典的なスコッチの王道を行くような味。ロックもハイボールもこなせるオールラウンダーとして重宝しています。これは今後も楽しみですね。

一方で、継続してのリリースが無いのか輸入元が手配できていないのか、どこも売り切れ状態なのが気にかかります。次のリリース、15年熟成あたりを狙っているのでしょうか。あまり大きな生産量ではないようなので継続リリースが難しいのかもしれませんが、気長に待ちたいと思います。

 

新政 亜麻猫 白麹仕込純米酒

DSC05830.jpg

新政 亜麻猫 白麹仕込純米酒

  • 微発泡で白麹由来の酸味が強く、まさに白ワインのような味わい
  • 本質的には穏やかな米の甘さが感じられ素直な味わいがある
  • 日本食とのマリアージュは難しいが洋食にはマッチしそう

[動画紹介] 2003年収録のスコッチウイスキードキュメンタリー

久々に動画の紹介です。

2003年に収録されたスコッチウイスキーのドキュメンタリーで、様々な業界人へのインタビューでスコッチウイスキーの魅力を語る、というものです。

デイヴ・ブルーム、チャーリー・マクリーン、リチャード・パターソン、イアン・マッカーサー etc… スコッチウイスキー、特にシングルモルトにハマっている人ならご存知のあの方々が登場されますが、

とにかく皆さん若い!!(笑

15年も前なので当たり前といえば当たり前でしょうが、なかなかにギャップがあってちょっと面白いです。後半にはハイランダーインの皆川さんも登場していますが、やはりお若い。裏を返せば、それだけ長い間を最前線で過ごしている方たちなわけですから、本当に凄いことだと思います。

ドキュメンタリーの中身はまあ良くあるスコッチの歴史と現在といったところなので、知っている方には今更なものも多いですが、上記の面々の若かりし姿や過去の蒸留所やツアーの様子、当時のボトルラインナップなどいろいろな細部に興味が尽きませんでした。

スリーシップス バーボンカスクフィニッシュ

DSC05820.jpg

Three Ships Bourbon Cask Finish (OB, 43%)

香りはカスタード、バニラ、穀物由来の甘やかな香り立ち、井草っぽさと紙のニュアンス、バナナと微かにパパイヤのようなフルーツ感。

味わいは薄めたような紙とトロピカル感、穀物の単調な甘さ、ミドルから草模様が広がり、若干のエグみが口腔内を覆う。フィニッシュにかけては微かなトロピカル感が再び顔を覗かせるがややドライに終わる。

【Good】

南アフリカのジェームズ・セジウィック蒸留所が手がけるブレンデッドウイスキー。アワードを受賞した5年ものの姉妹品で、バーボンカスクフィニッシュというこちらは3.5年の熟成期間だそうです。

最初に飲んだときの第一印象は「割とよくできたアイリッシュ・ウイスキー」でした。アイリッシュに独特な紙っぽさと裏返しのほんのりとしたトロピカルフルーツ感があり、軽やかな仕上がりも手伝ってアイリッシュっぽいという印象でした。「グリーンスポット」や「キルベガン」などに近いように感じます。

開けたてはもう少しフルーツ感が出ていたのですが、開栓後3ヶ月ほど経ってこなれてきたのか、やや草っぽさが主張してくる感じになってきました。前述の5年よりは華やかさがあって、自分はこちらの方が好みでした。夏の暑いときにロックで飲むのもなかなかに良かったです。ハイボールは少し紙っぽさが目立ってしまったので、1回だけ試したきりになってしまいました。

 

バーボンカスクフィニッシュの3年半という熟成期間は、マルコポーロがヴェニスからイェルサレム、そしてクビライ・カーンに謁見したという東方見聞録の旅程からヒントを得ているとか。その航路に南アフリカは関係が無いはずですが……(笑) まあ、そういう旅の時間というのを意識したシリーズなのでしょう、スリーシップスというのは。