グレンフィディック蒸留所がビジターセンター50周年記念ボトルをリリース

グレンフィディック蒸留所が、自身のビジターセンター設立50周年を記念して、30年熟成のシングルカスクをリリースするそうです。

Image via Spirits Buisiness

Glenfiddich releases 30yo to mark visitor centre https://www.thespiritsbusiness.com/2019/07/glenfiddich-releases-30yo-to-mark-visitor-centre/

ビジターセンターの歴史については以前こちらで記事にまとめましたが、現在まで続くウイスキーツーリズムの走りとなったビジターセンター設立から50年、今なおスコットランドの蒸留所ツアーは人気上昇中で、スコットランド全体で世界中から年間200万人以上の訪問客が集まっています。

特にグレンフィディック蒸留所は敷地も大きく、ビジターセンターも充実していることから、大型バスでツアー客がたくさん来ているのが印象的でした。日本でも白州蒸留所や宮城峡蒸留所、余市蒸留所などは大型の駐車場があり、ツアー客も多い印象でしたが、グレンフィディックはさらに賑わっていたように記憶しています。

蒸留所での体験を重視する最近の傾向で、昔は一部だけだったハンドフィルも今では一般的になりましたし、小規模蒸留所も顧客に様々なアプローチをする一環として、蒸留所の門戸を開いていることが多くなりました。やはり実際にウイスキーが作られているところを見ると印象的で、その蒸留所のことをもっと知りたいと思ったり、あとでウイスキーを飲むときにも思い出しながら飲んだりと、本当に良い経験になります。

最近は国内の蒸留所も多いので、ぜひいろいろな蒸留所に出かけて、実際に見て頂きたいと思います。自分もまだまだ行きたいところが多く、次はどうしようか、などと悩み中です。

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ユーロスターがアルコールの持ち込みを制限するように規約を変更

イギリスとフランスを結ぶ特急列車ユーロスターで、規約に変更があり、アルコールの持ち込みが制限されるようになった、と報じられています。

BBC News – Eurostar defends alcohol limits on trains

https://www.bbc.com/news/business-48742530

持ち込み可能なアルコールは「ワインのボトル1本か缶ビールが4本まで」のみで、ウイスキーなどのスピリッツ類は禁止。許可されたもの以外を持ち込みたい場合は、別途荷物運搬のオプションに申し込まないといけないようですが、最低でも30£からという、決して安くない値段になっています。

「快適な旅を維持するため」という名目だそうですが、これはあまりに厳しいと言わざるを得ません。ユーロスター以外の路線では軒並み認められているアルコール類が、英仏間だけがボトルネックとなって移動できないということになりますから、旅行客はもちろんのこと、お酒を扱うビジネスをされている方には大打撃でしょう。

日本からイギリスへ直接フライトで発着する分にはユーロスターのお世話になることはありませんが、ユーロスターを利用するような旅程を考えていらっしゃるモルトラヴァーな方々がいらっしゃいましたら、ウイスキーの運搬方法にはお気をつけください。

養命酒健康の森

信州マルス蒸留所の前になりますが、 養命酒健康の森に寄ってきました。

恐らく皆さんご存知と思われる、薬用養命酒。あの養命酒の生産工場は駒ケ岳の麓、信州マルス蒸留所から10kmほどとかなり近い場所にあります。最近、クラフトジンの「香の森」「香の雫」を発表した養命酒。(ジンの工程は見れませんが)工場見学も受け付けているということで、行ってみました。

中央アルプスを背景にしてならぶ建物は、敷地の1/3程度で、残り敷地はというとこのあたり一帯の森なのだそう。自然環境や水源も含めて養命酒を作るのにふさわしい場所として、1972年から駒ヶ根工場で生産しているそうです。

ツアーは事前予約しておきましょう。飛び入りだと空いていないことがあります。ツアー時間は60分+試飲20分ほど。養命酒の製造工程をざっくりとですが知ることができます。

養命酒に使われている生薬を実際に触ったり匂いを嗅いだりできるコーナー。どれもかなり独特の匂いがあり、確かにこれは薬として効き目がありそうだ、というのが伝わります。特に一番多く使われているという「クロモジ」は、枝を折ると爽やかな心地良い香りが。クローブやシナモンなどの定番とも言えるスパイスもありました。

ツアーの詳細は行ってみてのお楽しみということで省きますが、施設内はいろいろと面白い場所がありますし、天気が良ければ南アルプスと中央アルプスが一望できる好立地。散策もできる林や小川があり、簡単なハイキング気分も味わえる良い場所です。

さて、個人的に一番気になっていたクラフトジン「香の森」と「香の雫」。どちらもボタニカルに「クロモジ」を使っているのが養命酒らしい特徴。確かに、どことなく養命酒と似た香りがします。

「香の雫」はクロモジの小枝を中心に11種類のボタニカルを使用。37%というアルコール度数で少し飲みやすい方向を目指しているそうです。対して「香の森」はクロモジの太い枝や皮などを中心に18種類のボタニカルを使用していてアルコール度数47%。こちらはより本格的なジンを目指して作られているそう。

飲み比べてみると、香の雫の方がボタニカルの風味はやや控えめで優しく、味わいも丸みと甘さを感じやすい風味でした。香の森の方はガツンと効いたクロモジの清涼感と、その他にもやや苦そうな薬のようなボタニカルが特徴的。十分に美味しいですが、香の雫と比べると単体ではややキツい味わいかもしれないな、という印象でした。

どちらも結構違った味わいではあるので、2つ比べて試してみると面白いと思いますよ。

ツアーでの試飲はノンアルコールもありますし、お土産までもらえてしまって、しかも無料とは……。こんなに至れり尽くせりで良いのだろうか、と思ってしまう内容でした。天気が良ければ散策してみるのもいいですし、オープンテラス的なカフェでくつろぐこともできます。

ここはなかなかに良い観光スポットでした。駒ヶ根にお寄りの際はぜひ。

[蒸留所訪問] 信州マルス蒸留所

久しぶりに信州マルスウイスキー蒸留所に行ってきました。

前回来たのが2013年だったので、実に6年ぶりということに。そんなに前だったっけ、と思いつつも訪れてみると、なんと、工事中で入れない……? と焦りましたが、ショップ・見学ともにオープンしていました。

受付をすませ、セルフツアーという部分は特に変わっていませんでした。熟成庫と糖化・発酵・蒸留という工程はしっかりと見学できます。

発酵槽に、以前は無かった木製のタンクが3基ほど増えていました。また、ポットスチルは2014年に入れ替えたため、現在稼働中のものはまだまだ新しい銅の色を保っています。綺麗ですね。

2014年に役目を終えたポットスチルは、熟成庫の隣に飾ってありました。この色、貫禄ありますね。こういう燻し銀ならぬ「燻し銅」の色も良い。1960年から54年ほどの使用期間ということになりますが、実際には1992年から2009年までの19年間は休止しており、また以前は年中可動していたわけではないため、実際の稼働期間としてはそこまで長くなく、実際には半分の27年にも満たないくらいでは。このあたりは以前訪れた江井ヶ島蒸留所と似たようなものかもしれません。

工事は敷地内の様々な場所で行われていて、全体的にリニューアルと増築が図られるようです。今の建物もかなり古びた感じなので、ウイスキー・ブームの今、タイミングとしては悪くなさそうです。工事がすべて終わるのは来年2020年の秋ということで、これからしばらくはかかるようですが、その間もウイスキーの蒸留は続けられるようで、工場の稼働と改築と、うまくまわしていくのが大変そうです。

見学は、しばらくは特に変更無く実施できるようですが、工事の影響で休止期間が発生したりするかもしれませんので、見学を考えている方は信州マルス蒸留所のサイトをチェックしておくと良さそうです。

グレングラッサ 28年 1986-2014 ウイスキーライブ2014向け

蒸留所らしさはあまり感じられませんでした。

GlenGlassaugh 28yo 1986-2014 (OB for Whisky Live 2014, Sherry Butt, Cask#9, 43.9%)

香りはプルーン、トースト、アーモンド、煎りたてのゴマ、やや紹興酒のニュアンス。
味わいは強めのシェリー樽、レーズン、ローストナッツ、オイリーなボディ、やや出汁醤油っぽさもある、タンニンの収斂味、煮出した紅茶とナッツのオイリーさが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ビリー・ウォーカー氏がグレングラッサ蒸留所を手にしてから何度かリリースがあった、オフィシャルの長熟レンジ。グレングラッサ蒸留所は1986年から閉鎖されていましたが、2008年に蒸留を再開。その閉鎖前のラストヴィンテージとなる1986年の原酒が、Whisky Live 2014 のためにボトリングされました。

シェリー樽の要素が支配的で、香味ともにかなりオイリーなニュアンスが印象的です。グラッサらしさ、というと、草のような青々しい要素をイメージするのですが、このボトルについてはそのあたりが皆無で、ハウススタイルは感じられませんでした。樽のチャーの影響からか、ローストしたナッツやゴマのニュアンスが結構感じられるところが面白いウイスキーでした。

グレングラッサは、割と好みが分かれるというか、樽によって香味が一貫していないような印象があります。シングルカスクがかなりの数リリースされたため、ということもありますが、マンゴーなどのいわゆるトロピカルフルーツが感じられるものもあれば、草の要素が非常に強くて大草原の真っ只中、というようなボトルもあり、買う側としてはなんだか凄いバクチのような感じがしますね。ブレ幅が大きい分、突き抜けるときはとことん突き抜ける、ということなのでしょうか。

事前に試飲できれば良かったりもしますが、高額ボトルだとなかなかそういう機会が得られないことも多くて。難しいですね。

バランタイン30年 1990年台流通ボトル

円熟した非常に良いバランス。飲む芸術品です。

Ballantine 30yo (OB, +/- 1990s, 750ml, 40%)

香りはべっこうあめ、カラメル、トフィ、熟したリンゴ、少し植物っぽさ、清涼感のあるハーブ、洋ナシ、どれもが主張しすぎず、円やか。

味わいはとても優しいタッチでリンゴとさくらんぼ、適度な濃さの紅茶、ミドルからしっかりした旨味の出汁、和三盆、木と樽の植物感と、控えめに広がる乾いたピート、少しミルクチョコレートのニュアンス、リンゴと紅茶の渋みが微かに残る軽やかなフィニッシュ。

【Very Good】

1990年代流通と思しきバランタイン30年です。使われている原酒は、逆算して1960年代。「腐っても60年代」というような言葉もあるくらい、スコットランドのモルトが非常に優れた味わいを誇っていた時代なわけでして、これが不味いわけがない、と思えてしまう代物です。もちろん、これ以前のものにはもっと素晴らしいものや味の方向性が少し異なるなどもありますが、自分がイメージするバランタインらしい味わいというとこのボトルにあるような香味が浮かんできます。

非常に多彩でスワリングするたびにころころ変わり拾うのが楽しく、しっとりとして落ち着いたバランタインらしいさすがの複雑さと円熟味。加水と経年ということもあり、やや線の細い繊細な趣ですが奥にはピートや程よい樽感も感じられ、全体として非常にバランスが良い。

やはりブレンドの巧さなのでしょう。匠が作り上げた往年の名作、飲む芸術品、といった感じです。

このボトルの楽しみ方としては、やはり「時間に思いを馳せる」というのが良いように思います。

原酒が作られてから今ここにたどり着くまでの長い長い時間。熟成期間の長さに加えて、瓶詰めされてからも30年ほどになろうかという膨大な時間。また、これを作り上げたブレンダーが研鑽してきたその時間。この時期ですと、マスターブレンダーはロバート・ヒックス氏でしょうか。彼の技を感じられるわけですね。

そういった特別感のあるバランタイン30年ですが、このボトルであれば、昨今のシングルモルトに比べればまだまだ手頃な価格で手に入るというのがありがたいですね。これだけの満足感を得られるかどうか怪しいボトルも多い中、オールドボトルでもそれなりに安定した品質のものが多いバランタイン30年。一本手元にあって損はないと思います。

タリスカー 175周年記念ボトル 2005年リリース

優しいピートとほんのり甘さが良いバランスでした。

Talisker 175th Anniversary (OB, bottled in 2005, 45.8%)

香りは綺麗なピート、バニラ、プリン、綺麗な出汁、少し潮の香り。
味わいは穏やかな立ち上がりでバニラ、しっとりピート、カラメルの甘さが心地いい、控えめながらコショウ、穏やかなピートのフィニッシュは優しく短く消える。

【Good/Very Good】

2005年にタリスカー蒸留所の175周年を記念して特別に詰められたボトル。限定とはいえ、50000本を超える量がリリースされたようで、あまり特別感は無く、オフィシャルの1ラインナップというイメージでした。自分が呑み始めた頃にもまだまだ酒屋に普通に置いてあったものですが、いつの間にか姿を消していたなあ、という印象だけが残っています。

最近の10年のように若さはありませんし、18年とも方向性が違う。熟成感でいえば15年程度のようにも思いますが、いまいち掴みどころがありません。比較はさておいて香味にフォーカスすると、ややカラメルが効いた甘さが特徴的で、ピートも強くなく控えめ。全体的にまとまりが良く、飲み疲れない。際立った個性は無いものの、こういう落ち着いた味わいは結構評価されても良いのではないかと思いました。

ストレート以外の飲み方では、ハイボールでやや濃い目に仕立ててみたところこれがかなり美味しい。タリスカー10年の若さもあるパンチの効いたハイボールも勿論良いのですが、本格的な夏に入る前の今の季節ならこちらの方がマッチしていました。

こちらは持ち寄り会でのNさんご持参のボトル。貴重なボトルをありがとうございました。