Kilkerran 12yo (OB, Glengyle Distillery, 2016, 46%)
香りはレモン、酸味が強めの柑橘、やや薄めの麦芽ジュース、ほんのりとヨーグルトやバター、ミネラル感、奥にひっそりとアーシーなニュアンス、ピート感だろうか、ボディ薄めで線が細いイメージ。
味わいは優しいタッチでふやかしたシリアルに少しハチミツ、洋ナシ、微かに桃のニュアンス、全体的に薄め、奥からじんわりとミネラル感とピートなのだろうか、じっとりとした苦味も感じる複雑さがあるフィニッシュ。
ロックではミネラル感、しっとりとしたピートが良く立ち上がる。レモンウォーターのような清涼飲料水のようなほろ甘さも。
結構良い変化。
【Good/Very Good】
昨年2016年にようやく Work in Progress ではないオフィシャルラインナップとしてリリースされました、グレンガイル蒸留所のキルケラン12年。スコッチ好きの方であればもはや説明不要かと思います。だいぶ今更感が漂っていますが、先日近場でボトルを見つけて何となく気づいたら買っていました。いやまあ、安かったですしね。
まだ若いニュアンスは残っているものの、刺々しさは特にありませんし、フルーツや麦の甘さとミネラルやピートのほろ苦さが良いバランスをとっていて、ゆるゆる飲むにはかなり適したボトルです。フルーツ感は控えめで、なんというか、日本の果物ではなくヨーロッパの(あまり甘くもなくちょっと味気ない)果物という感じ。個人的にはロックにしたときのエッジが立ってくるほろ苦さに好印象を受けました。
現地リリース直後の2016年5月にスプリングバンクとグレンガイルに寄っていたこともあって、蒸留所スタッフのちょっとした熱気がこもった説明や雰囲気を良く憶えています。スタッフにとって、このキルケラン12年はようやくこぎつけたリリースだったようで、苦労がたえなかったそうですがそれが報われた、ということでした。
現地でも、そして日本に帰ってきてからも仲間内で飲んだりしていて、ただし自分はそこまで好みではないかな、という印象だったので特に食指が動かなかったのですが、改めて飲んでみると決して派手ではないですがしっかりした味わいで、やや古典的なスコッチの王道を行くような味。ロックもハイボールもこなせるオールラウンダーとして重宝しています。これは今後も楽しみですね。
一方で、継続してのリリースが無いのか輸入元が手配できていないのか、どこも売り切れ状態なのが気にかかります。次のリリース、15年熟成あたりを狙っているのでしょうか。あまり大きな生産量ではないようなので継続リリースが難しいのかもしれませんが、気長に待ちたいと思います。