月別アーカイブ: 2019年1月

富士御殿場 10年 2000-2010 シングルカスク ウイスキー

良い意味でジャパニーズらしくない、富士御殿場のモルト。

Fuji-Gotemba 10yo 2000-2010 (Single Cask Whisky, Cask#M000794, 49%)

香りは白ブドウ、リンゴ、マスカット、良いフルーツ感、ハチミツ、少し紅茶や火薬の残り香、微かにキャベツのような野菜と溶剤のニュアンス。

味わいはやや硬さもある口当たりで、白ぶどう、リンゴ、それも芯に近い少し苦味、やや強めの樽感、ミドルから溶剤、ハーブ類、サラッとした和三盆と少し溶剤系の香りが残るフィニッシュ。

【Good/Very Good】

キリンの富士御殿場蒸留所というと、通常の銘柄としては「富士山麓」ほぼ一択、どちらかというとモルトよりも質の高いグレーンを推している印象もあり、他のジャパニーズウイスキーとも一線を画している印象があります。基本的にモルトとグレーンを混ぜたブレンデッド・ウイスキーがリリースの主体ということで、あまりシングルモルト、シングルカスクなどのリリースは聞かないのですが、過去には蒸留所限定でこれらのリリースが度々あったようです。(現在は原酒不足の影響もありほぼ無いかと……最近行ってないですが。)

こちらは先月のウイスキー写真展の際に、T.Ishiharaさんが提供していたボトルです。あの場でもなかなかの人気だったようですが、自分も頂いてみると、確かにこれは美味いシングルカスクです。

典型的なバーボン樽の要素ではあるものの、総じてバランス良くまとまっていて、香りも味も嫌なところを感じさせない、優等生的な仕上がり。香りのハチミツと、チャーによるものか火薬ようなニュアンスが心地良い。

飲んでも華やかさがあり、ブラインドで出されたらきっとスペイサイドの中熟、例えばオルトモアの20年くらいのボトルとか答えそうです。

ネットで情報を拾っているとかなり幅広いラインナップがあったようで、その香味もまた幅広く良いものから微妙なものまで、まさにシングルカスクらしい博打的個性的な香味にあふれていたようです。どちらかというと蒸留所限定のグレーンの方が安定して美味しいボトルが多かったようなので、なおさらモルトを選ぶ理由が少なかったりもするのですが、どちらにしても今となっては夢の跡、といった話ですね。

富士御殿場蒸留所は多種多用なポットスチルがあり見学もオススメです

ボウモア 18年 Deep&Complex

飲みやすく、確かに複雑さある。上質なアイラモルト。

Bowmore 18yo Deep & Complex (OB, for Travel Retail, 43%)

香りは穏やかなピート、海を感じさせるソルティーさ、オートミールやポリッジ、少しレーズン、ダークチョコ、濡れたわら半紙のニュアンス。

味わいは優しい口当たりで、チョコレート、ビスケット、じわりと穏やかながらもタンニンの刺激、下支えするピート、返りにオレンジやマンダリンの柑橘ジャム、じんわりと広がる赤い果実と少しの煙とヨードを感じるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ボウモアが2017年にラベルチェンジをした際、通常の18年と前後してこの Deep&Complex という18年ものが主に免税店向けにリリースされました。その後、多くの酒商の流通ルートにのって来たため、あまりこれが免税店限定という感じではなくなりましたが、一応限定ものだったりします。

やや低めの加水ボトルということもありますが、ピートの強さもあまり感じない飲みやすいタイプ。しかしながら、ピートとシェリー樽の味わいがうまくミックスされていて、確かに複雑さもある。ピート&シェリー樽のニュアンスがこれほどお手軽に味わえるのはなかなかないかもしれません。

シェリー樽はオロロソとペドロヒメネスの2種類を混ぜているそうで、個人的にはやや甘めでペドロ・ヒメネスのニュアンスが少し強めな味わいだと感じました。一方でミドルからのタンニンの刺激はややオロロソっぽさを感じ、あれこれ香味を考えながら拾い上げる練習にはもってこい、というイメージ。

通常のボウモア18年もほぼ同系統の味わいであるため、あとはお好み次第といったところですが、どちらかというとDeep&Complexの方が少しお値段高めなことが多いので、ちょっとポジション的に困ってしまいそうな残念な子……。

とはいえ、普通に美味しいです。冬場のアイラモルトならこういうのが良いですね。

クライヌリッシュ 21年 1996-2018 シグナトリー Whisky Exchange向け

気合いの入ったイベント向けらしく、上質な仕上がりでした。

Clynelish 21yo 1996-2018 (Signatory Vintage for “Whisky Exchange Whisky Show”, Refill Sherry Butt, Cask#11390, 52.0%)

香りは紅茶、ジンジャーティー、生姜の砂糖漬け、ハチミツがけのトースト、ややワクシーなニュアンス、カモミールのようなハーブ感が奥に潜む。

味わいはぬるりとややオイリーな口当たりで、マーマレード、メープルシロップとパンケーキ、ミドルはほどよいタンニンの刺激と濃いめの紅茶、鼻抜けは甘さと柑橘のフレーバー、甘めのハーブティーが心地よく続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ウイスキーエクスチェンジが執り行っている Whisky Show 向けに詰められた、シグナトリーヴィンテージシリーズのクライヌリッシュです。ラベルが紫色なのが、通常のものとは異なる特別感を出していますね。

TWE の Whisky Show は2009年から始まり2018年9月の会で10周年だったようです。毎年このイベント向けにいろいろなボトルが詰められているようですが、このときは(も?)相当な気合が入っていたのでしょうか。このクライヌリッシュもかなり特別感があり美味しかったです。

リフィルシェリー樽ということですが、通常のウイスキーの香りというよりはなんだか上質なコニャックのようで、ランシオっぽいニュアンスもあり心地良い。飲んでも、あまり度数の高さを感じさせない上質な口当たり、クライヌリッシュらしさを思わせるオイリーさもありつつ、紅茶やハーブティー感がちょうど良い塩梅で香り味も共に良いバランスを保っていました。

近年の良いクライヌリッシュの一例、という感じです。素晴らしいですね。

クライヌリッシュといえば、ウィームスの1997年蒸留のボトルもかなり良い印象がありましたが、味わいの方向性はかなり異なるのが興味深いところ。樽が違うからといえばそれまでかもしれませんが、原酒の風味も豊かだからこそではないかと考えています。蒸留所のスタイルだけではなく、これだけ香味の幅が広く、それでいてどれも美味しいというのは、造り手も選ぶ人も、それぞれがプロフェッショナルだからこそだと思いました。

マッカラン 16年 1998 シェリーホグスヘッド キングスバリー シルバーラベル

不思議なお茶のニュアンス漂うマッカランでした。

Macallan 16yo 1998 (Kingsbury “Silver Label”, Sherry Hogshead, 46%)

香りは紅茶とプーアル茶のような独特のニュアンス、少し桃、イチジク、あまりフルーツ感は強くはない、ミルクティっぽさもある。

味わいは柔らかいタッチで、凄いシェリー感、アモンティリャードそのもの、タンニンの渋み、プルーン、ボディはゆるく、発酵感のある酸味が少し、樽のタンニン感がやや強いめに締めるフィニッシュ。

【Good/Very Good】

キングスバリーのシルバーラベルは加水されたボトル。最近はゴールドラベルが多くリリースされていたため、シルバーラベルの存在を少し忘れていました。

ちなみにゴールドラベルはカスクストレングスでのボトリング。同社の宣伝によれば、「特に際立った個性をもった樽のみが厳選され樽出しにてボトリングされる最高品質」とのことです。でも、ちょっとリリース多くて最高品質の割に結構お手軽感があります。

さてこちらのマッカランですが、いわゆる近年系シェリーのマッカランです、とひとことで括れないような、ちょっと不思議なニュアンスがありました。香りもお茶系の独特のニュアンスがあったのですが、特にその味わい。自分はウイスキーを飲んでいると思ったのに、まったくのシェリーそのものを飲んでいるような、それくらい強調するシェリー感です。

アモンティリャードのような、やや辛味のあるピリッとしたエッジ、発酵感のあるニュアンス、それに対して麦感が少し控えめなこと、加水でボディが柔らかいことなどがそうさせているのだと思います。いや、本当に不思議ですが、樽の強さからきているのでしょうか。

16年でかなり強めの樽感が出ていることから、加水しない状態ではいがらっぽく美味しく飲めないような代物だったのかも、という推測もできます。しかしながら、これはこれでカスクストレングスで飲んでみたいような、そんな魅力もありました。

Kさん、おすそ分けありがとうございました。

グレンバーギー 1997-2016 G&M Exclusive for JIS

GlenBurgie 1997-2016 (G&M Exclusive for Japan Import System, Refill Bourbon Cask, #8570, 57%)

香りはリンゴやアプリコット、ココナッツ、ローストしたカシューナッツ、やや火薬のニュアンス。

味わいはやや硬いアタックで焼きリンゴ、アプリコットジャムを塗ったトースト、ミドルからココナッツの甘いフレーバー、少しピリピリするタンニン様、フィニッシュにかけてややトロピカル感も感じる芳醇なフルーツフレーバーを残して消える。

【Good/Very Good】

昨年、G&Mはラベルチェンジを行ったためこのラベルは現在は使われなくなってしまいましたが、今でも酒屋さんには残っていますし、自分なんかは長らく見てきたExclusiveのラベル。ジャパンインポートシステムとのつながりも深く、for JIS のラベルもこれまでいろいろとリリースされてきていました。

今回のグレンバーギーもそんな G&M Exclusive for JIS のひとつで、なかなか秀逸だと唸らされる一本でした。

ものすごいトロピカル感! というわけではないのですが、フィニッシュにかけて喉奥から立ち上ってくるフルーツ感には南国フレーバーが見え隠れしていて、マンゴーの皮に近い部分やグァバのような、甘いだけじゃなくちょっと渋みもあるような、そんなニュアンス。ココナッツっぽい香りも南国感を少し醸し出しています。

とはいえ、主体となるのは麦っぽい甘みとナッツのようなオイリーさ。ノージングでいろいろな表情を見せるので、香りだけでかなり長い時間楽しめ、その全体のバランスと複雑さがよくできていると感じる一本でした。

こちらは Bar Laddie さんでいただきました。先日の写真展にお越しいただき、また、マスターも以前アイラ島で働いていらっしゃったという経緯から、アイラ島の風景などを中心にいろいろとお話することができました。楽しいひととき、ありがとうとざいました。

Gallery – キルダルトンの十字架

引き続きGalleryページの紹介です

キルダルトンの十字架

 

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アードベッグ蒸留所からさらに東へ5km少々。朽ちた寺院の跡地にはケルトのハイクロスのような立派な十字架。概ね8世紀頃につくられたものと云われていて、装飾がここまでしっかりと残っているのはかなり珍しいとのこと。

車だけでなく歩きでも、結構訪れる人は多い。キルダルトンの名前は広く知れ渡っているようだ。

Gallery – Mull of OA

引き続きGalleryページの紹介です

Mull of OA

「オーの岬」は、アイラ島のポートエレンからさらに西側へ行った果てにある場所。岬の先までは1時間ほどのトレッキングコースとなっている。荒涼とした大地が続く中をひたすら歩いていくと、まるでファンタジーの世界にいるような、不思議な感覚になる場所。

アードベッグがウイスキーに名付けた An OA は、この先で海流がぶつかるところ、ということらしい。