9/7に行われたモダンモルトウイスキーマーケット(MMWM)2018に参加してきました。
同イベントに参加したのは確か2015年以来だったので、実に3年ぶりということになります。駅から近くアクセスしやすい、コンパクトながら出展数はなかなかのものだったり。当日は真夏の暑さもやや落ち着いて、そろそろウイスキーが美味しくなる季節を感じさせる陽気。様々な新商品などがあり、いろいろと試飲してきました。
全部は紹介できませんが、特に印象に残ったものを書いていきます。
オールド・プルトニー 12年~18年, Huddart
まずはオールド・プルトニーの新ラインナップ。12年~18年、そしてハダート。自分のいちばん好きな蒸留所なのでこれは外せません。
12年は安定で現行とほぼ変わらない味わいです。安心しました。15年と18年は、それぞれ17年と21年の代わり……というわけにはいかないのが正直な感想。17年の味わいが引き継がれているのは18年です。21年の熟成感は流石に得られませんでした。2本ともややシェリー樽の効いた味わいで、プルトニーらしいオイリーさは健在。総じてハウススタイルと感じられる芯の部分は残していました。
気になるハダートはNASなので若さはあるものの、バタースコッチとトーストのような、こんがりとした甘さが印象的。ノンピート麦芽をピート樽で熟成させたという変化球は、なるほど確かに通常のピート麦芽のウイスキーとはちょっと違う方向です。ピーティというよりはスパイシーさが後味に乗ってくる感じ。なかなかおもしろい味わいでした。
リニューアルは2019年1月で、価格は未定。海外の価格を見ていると、おそらくは15年が10,000円、18年が15,000円程度になるのではないかと推測します。正直、価格的にはキビシイ。バランスが良いと思うのは15年なのですが、現行17年の方がやはり好みかつ値段的にもまだ低めなので、やはり今の17年を買っておいた方が良いのでは、と思ってしまいました。
一方で、実際にボトルを見て思ったのは「デザインが良い」ということ。ラベルが蒸留所限定のヴァリンチを彷彿とさせ、箱も高級感がある風合いで色づかいも気に入っています。中身は同じでこのデザインに置き換えてくれれば……というのはないものねだりですね。
カーンモア プルトニー 2007 シングルカスク
プルトニーといえば、ボトラーズからのリリースですがカーンモアの2007年ものが美味しかったです。プルトニーらしいバター、噛みごたえのある柑橘ジャム、そして塩気が、カスクストレングスのフルボディでしっかりとキャラクターが立っています。もちろん若さも若干あるものの、それも味方につけたような良いカスクです。プルトニーというか北ハイランドの味わいが好きな方にはオススメ。
グレンアラヒー12年~25年
グレンアラヒーの12年~25年。ビリー・ウォーカーらが蒸留所を買収してから、それまでいわゆる「原酒工場」だったアラヒーからもスタンダードラインナップがリリースされるようになりました。
12年と18年は、スタンダードではあるものの総じて味わいは良好です。スペイサイドらしい華やかさもあり、原酒工場とはいえ高品質なものを作っていたのだなと改めて気付かされます。そして25年はさすがの味わい。特に後味にやや陶酔感があり、お値段も良いのですが中身も良いものでした。
グレンアラヒーは今後、シングルカスクものが順次リリースされる予定とのこと。まさに以前のグレンドロナックやベンリアックのような戦略ですね。かなり良い樽が眠っているようで、そういったものに陽の目が当たるのは嬉しいものの、でも数年後に手放して後は知らん、というような気もしていてちょっと複雑です。
キルホーマン 10年 シングルカスク 日本向けファーストリリース
正直、今回のイベント中でいちばん意外な美味しさだったかもしれません。10年とは思えない複雑さ。後味に少しだけですがトロピカル感も乗っていたように思われ、ピート感ともあわさってとても多彩な香味を兼ね備えていました。50ppmのヘビーピート麦芽とのことですが、飲んだ印象はそこまで強くはありませんでしたね。
ほんの少しの試飲だけだったので、一度しっかりと飲んで判断してみたいボトルでした。
アンノック18年
こちらも正直驚きの美味しさ。バーボン樽とシェリー樽のヴァッティングとのことですが、バランスが非常に良い。飲んでいて心地よい満足感があり、落ち着いてしみじみ飲める。18年よりもさらにハイレンジの22年や24年もありましたが、それよりも断然18年の方が好印象でした。
ひと通り試して思ったのは、近年のオフィシャルボトルは高級レンジに行くに従ってシェリー樽の比率を増やしているように思いますが、たいていはそれが行き過ぎていて、あまり好ましくない方向に振れてしまっているように思います。これは自分の好みであることは承知の上ですが、どうもバランスが良くないものが多いですね。それよりもミドルレンジの方が良いバランスに収まっている。バーボン樽の処理は凄い良くなってきたのですが、シェリー樽の方がそれに追いついていない感じでした。
イベント内容的にもボトラーズはやや少数派で、どちらかというと現行オフィシャルがメインのイベントでしたので、最近のトレンドを知ることができたので面白かったです。こうして見てみると、オフィシャルの少し上のグレードには安定した良いものがしっかりと存在している、ということが分かります。ラインナップの整理やラベルチェンジなどとあわせてブレンドも変えてきているのでしょうか。全体的な品質は底上げがされてきているようにも思えました。