今年も世間のウイスキー界隈は賑わってきたように思えます。昨年のマッサンブームから引き続き、ジャパニーズモルトの人気ぶりが高まった中、世界的にもウイスキーのブームは盛り上がりを見せた歳だったのでは。スコッチは消費や輸出が横ばいかやや減少気味ではあったようですが、一方でバーボンやアメリカのクラフト・ディスティラリーなどは更なる盛り上がりを見せたように思えます。
一方で、原酒不足が深刻化しているニュースが散見され、ジャパニーズの大手も相次いで値上げ。9月には、ニッカがラインナップを整理し、余市や宮城峡の年数表記(Age Statement)つきを終売にするという、モルトラヴァーにとっては「ニッカショック」とも言える事態になりました。また、日本においては為替の影響もあり、またスコットランド現地での価格高騰の煽りもあってモルトは軒並み高騰。もはや手軽に買える20年オーバーなどは皆無ともいえる状況です。
個人的な見解としては、このまま価格が高止まりを続ければブームは一気に収束してまたウイスキー業界は不況になると考えています。確かにブームで一時的な裾野は広がったと思いますが、一般的な消費者はボトル1本に1万円も出したりはしません。5000円でも厳しいものです。そんなところへ、リリースされるスタンダードボトルが1万やら2万やらとなっている現状は、明らかに新規消費者には厳しい。一部の金持ちだけを相手にしているような業界になりたいのであれば構いませんが、それではジリ貧になってしまうのではないでしょうか。
似た傾向のニュースでは、軽井沢の1960年蒸留のボトルが香港のオークションで1200万円で落札され、それがNHKのトップニュースになるなど、希少性、価格的な側面がモルト業界のニュースでは強いように思えました。世間的にも露出が増えてきたためだとは思いますが、変なところばかりニュースになるのだな、といった印象です。
さて、個人的な経験については。今年も持ち寄り会などで様々なモルトを経験し、ご一緒させて頂いたモルト仲間には本当に感謝でした。特に大規模持ち寄り会や、普段飲んでいなかったブレンデッド・ウイスキーの会など、自分だけでは絶対に経験できないようなことも沢山ありました。
今年の自分のベスト・ウイスキーなどは敢えて載せませんが、(というか評価はこのブログにも載せていますので不要ですよね)大いに収穫のあった年でした。一方で未来はあまり明るくないように見えるのですが(笑) まあ来年は来年の風が吹くでしょう。楽しみ方は自分で開拓しないといけませんね。