カテゴリー別アーカイブ: Caol Ila – カリラ

カリラ 35年 1983-2018 ウィームス for Cask Club

円熟のカリラ。穏やかで心地よいスモーキーさが印象的でした。

Caol Ila 35yo 1983-2018 (Wemyss Malts “Smoky Nectar”, Hogshead, 46%)

香りは心地良いスモーク、やや穏やかなヨード、ミーティ、オイスターのような魚介、良い塩気のある海産物、ブーケガルニ、少し焦がしたバターのニュアンス。

味わいは柔らかくスモークチーズ、バタースコッチ、貝の旨味、やがてレザーのニュアンスが広がり、少し強めの樽の味、やや黒胡椒が効いたスパイシーなフィニッシュへと続く。

【Good/Very Good】

ウィームスが Cask Club というメンバー向けにリリースしたカリラの35年熟成。加水仕様だとは思いますが、211本とかなり少なめのボトリングは35年の間にかなりの量が天使に飲まれてしまったからでしょう。

内容としては、非常に良くまとまっていてひっかかりのないカリラ。極端にフルーティに寄ることもないですし、ピートやスモーキーさが強すぎることもない、それでいて塩気と魚介の旨味がしみじみ美味いボトルでした。長熟にしてはあまり樽が強すぎないのも好印象です。

カリラではこの手の味わいは割とスタンダードな範囲かとは思いますが、繊細で優美さを感じさせるやや線の細いような香味が、男前なパンチの効いたものが多い最近のアイラ・モルトとはかなり異なっていて、ああ、やっぱり良い熟成をさせるとこうなるんだな、と。久しぶりに長熟で熟成の良さを楽しむことができました。


こちらは、先日のベルギー旅行の際に現地のウイスキーラヴァーとの持ち寄り会で頂いたボトルです。海外での貴重な機会をセッティングしてくださり、またいろいろとサンプル交換などもさせていただきました。今後これらのテイスティングノートを載せていこうと思います。

Many Thanks for Olivier!!

カリラ 18年 1997-2016 ウイスキーファインド 山海經シリーズ “精衛填海”

DSC04838.jpg

Caol Ila 18yo 1997-2016 (WhiskyFind, “山海經/精衛填海”, Sherry Butt Cask#2, 40%)

香りは白い海岸を思わせる塩とヨード、爽やかなヨーグルト感、バニラ、レモンの皮、ビターオレンジ、とてもバランスが良い。

味わいは柔らかめのタッチで、塩たらこ、素朴な麦感、控えめなオレンジなどの柑橘系フルーツ、ミドルからミネラル感、再び塩気とバターが現れ、ピート感と合わさっていくフィニッシュ。

【Good/Very Good】

台湾の新興ボトラーズ、ウイスキーファインドが詰めたカリラ18年。

90年代後半のカリラ、というかいつの時代でもカリラは安定した品質を提供してくれますが、こちらもとても良いカリラでしたあ。派手さはなく、落ち着いているけれどもアイラモルトの良いところを凝縮したような味わいで、バランスも良く飲みやすいボトルでした。

加水ではない度数落ちの40%ということなのですが、さすがに18年でそこまで落ちるのかはちょっと不思議な気もしますが……。ちなみにシェリーバットなのですが、あまりシェリー樽のニュアンスが取れませんでした。この日はマッカランやストラスアイラなど良質のシェリーカスクものが多かったためか、軽めのシェリーのニュアンスが拾えなかったようにも思えます。

カリラ 1991 23年 ケイデンヘッド スモールバッチシリーズ

DSC04333

Caol Ila 23yo 1991-2016 (Cadenhead “Small Batch”, Bourbon Hogshead, 53.3%)

香りはオレンジ、少しパイナップルのニュアンスもある、シリアル、濡れたシダのような植物感、粘土質なアーシーさとヨード。

味わいはややパワフルにオレンジマーマレード、ハチミツがけのシリアル、やや薄めの紅茶、ミドルから落ち着いたピート、ホワイトペッパーのピリピリしたニュアンスがハチミツ感と共に続くフィニッシュ。

【Good/Very Good】

ケイデンヘッドのスモールバッチシリーズから、こちらはカリラ23年。

前出の32年と同様に、やはり安定したカリラです。色合いからこちらの方がやや赤みがかっていて、そのためかオレンジなどの柑橘や麦の甘さなどがハッキリとしていて華やかな印象でした。32年で魚介系の出汁の旨味を強めに感じた部分はこちらにはそこまで出ていないなど、どちらもそれぞれの特徴があり、同じカリラでも違いを愉しむことができました。

この他にも黒ケイデンの10年という短熟カリラも同時に頂きました。10年にしては未熟感は無く、一方でヤングアイラらしいパワフルさ、若さとピートの良い相性がバッチリ愉しめる一本でした。

ケイデンヘッドは安定して良い樽をリリースしてきますね。黒ケイデンという呼称もすっかり定着して、ケイデンヘッドの豊富なストックと選別眼の確からしさが伺えます。まだまだ様々なリリースがあることと思いますので(70年代もまだ結構あるそうで)往年の味わいを期待する人も満足できるリリースがあるのではないでしょうか。

良いカリラの垂直テイスティングでした。ありがとうございました!

カリラ 1984 32年 ケイデンヘッド スモールバッチシリーズ

DSC04332

Caol Ila 32yo 1984-2016 (Cadenhead “Small Batch”, Bourbon Hogshead, 49.5%)

香りは青いリンゴ、青い麦の穂、少し紙のニュアンス、レモン、しっかりとヨード、粘土のニュアンス、コクのある魚介系フレーバー。

味わいは柔らかいアタックで白パン、プーアル茶、ミドルからホワイトペッパー、旨味の強い魚介出汁、ほのかにレモングラス、フィニッシュにかけて茶葉とオレンジオイル、らしい粘土質のピーティさが後をひく。

【Good/Very Good】

ケイデンヘッドのスモールバッチシリーズから、カリラ32年。

カリラらしい安定したアイラ・モルトです。強すぎずしっかりと効いたピートに、魚介系の出汁とレモングラスのニュアンスがあいまって、ややアジアンテイストな印象を受けました。モルトで感じやすいお茶のニュアンスも、普通は紅茶を良く感じることが多いですがここではプーアル茶のようにやや異なる印象。

とても多彩でそれぞれが良くまとまっていて、開けたてからでも美味しいカリラでした。まだ開栓後時間が経っていないということで、今後の開き方にも期待できそうですね。

こちらは持ち寄り会にてテイスティングさせて頂きました。ありがとうございます。

 

カリラ 1981 29年 ダンカンテイラー レア&オールド

image

Caol Ila Duncan Taylor RARE&AULD 1981-2010 29yo Cask#3491 Matured in Oak Cask 55.2%

ヨードの薬品臭さ、磯の香り、熟れたイチジク、うっすらとレモン、青リンゴ、藁のような香り? 奥の方にオレンジピールのようなニュアンスもあり。結構複雑で色々なフレーバーが楽しめる。

味わいは、オイリーなアタックから始まり果実感のすぐ後にピートを感じる。過熟したイチジク、完熟した柿のような甘さと渋さが同居する味わい。鼻抜けはピートに加えて少し強めのメンソールやヨモギ。フィニッシュは果実の甘さとアルコール由来のスパイシー、ブリニーな味わいが比較的長い。

【Good/Very Good】

ダンカンテイラーの1981ビンテージのカリラです。開栓してから随分と時間が立ってしまっているため、既に開ききって少しヘタり気味な部分があると思うのですが、複雑な味わいが楽しめる良いカリラだと思います。カリラらしいオイリーさ&ブリニーな味わいもさることながら、熟れすぎて腐るギリギリ一歩手前な果実のニュアンスがあり、良い長熟のモルトに仕上がっている印象でした。

カリラは80年代前半までは呑んだことがあるものの、70年代のものは呑んだことが無いのですが、傾向としてはあまり変化が無いのでしょうか。生産量が多いカリラですが、他の蒸留所と同様、どんどん貴重な品になっていくのでしょうね。